特別企画
春山の登山シーズン到来!!

安全登山に欠かせない登山の計画立案や登山届の提出にPCやスマホを活用する

いよいよ、春山シーズンの到来だ。雪で閉ざされていた山々も山開きとなり、心が躍る。ただし、忘れてはならないのが、山を“安全に”楽しむということ。その一手段として、登山計画の立案や登山届の提出、登山地図の活用、天候の確認などに、パソコンやスマートフォン・タブレットを使ってみよう。

万一に備え、たとえ低山でも登山届は出しておきたい。写真は、東京都・青梅線の奥多摩駅にある登山届提出所

万一に備え、たとえ低山でも登山届は出しておきたい。写真は、東京都・青梅線の奥多摩駅にある登山届提出所

登山届の提出が義務づけられている山域もある

安全登山に欠かせないのは、事前にしっかりとした計画を立て、それをまとめた登山届(登山計画書)を提出しておくことだ。登山届は、万一山岳遭難が発生したときに、迅速な救助/捜索活動を行えるようにするのが目的のひとつ。また、事前に登山ルートの状況や危険か所を知ることができ、装備品のチェックなどにも役立つ。

山岳遭難は増加傾向にあり、山域によっては登山届の提出を県の条例で定めているところもある。新潟県、群馬県、富山県、岐阜県、長野県、山梨県だ。違反者には罰金や罰則が科せられるので、チェックしておきたい。

・新潟焼山における火山災害による遭難の防止に関する条例
http://www.pref.niigata.lg.jp/bosaikikaku/yakeyama.html

群馬県谷川岳遭難防止条例
http://tanigawadake.ec-net.jp/jyourei.htm

富山県登山届出条例
http://www.pref.toyama.jp/sections/1103/reiki_int/reiki_honbun/i001RG00000391.html

岐阜県北アルプス地区における山岳遭難の防止に関する条
https://www.pref.gifu.lg.jp/kurashi/bosai/sangaku/11115/jourei.html#eria

長野県登山安全条例
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html

山梨県登山の安全の確保に関する条例
https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/tozan_jourei.html

登山届を提出する

登山届の提出方法は、登山口などに設置されたポストに投函する、事前に該当山域を管轄する警察や自治体に郵送、メールやFAXで送信する、などがある。どのような方法でも構わないのだが、ここでは計画の立案から登山届、下山通知の提出が無料でできる、「コンパス 山と自然ネットワーク」の使い方を解説する。

「コンパス 山と自然ネットワーク」は、公益社団法人日本山岳ガイド協会とインフカム株式会社が運営する情報ネットワークシステムのこと。パソコン、スマホ、タブレットのブラウザー上で登山計画を立て、インターネット経由で提携の警察や自治体へ登山届を提出できる。また、下山後にはスマホから下山通知の提出も可能だ。

「コンパス 山と自然ネットワーク」
https://www.mt-compass.com


iOS版
https://itunes.apple.com/jp/app/deng-shan-jienokonpasu-shanto/id1008101800?mt=8

Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.infcam.compassapp

さっそく、使ってみよう。登山計画の作成はスマホでもできるが、画面が小さくてやや操作がしづらいので、可能であればパソコンやタブレットを利用したい。

まずは、「コンパス 山と自然ネットワーク」のホームページ右上にある「ログイン・新規登録」からユーザー登録を済ませよう。ユーザー登録なしでも一部機能は使えるが、登山届の提出には必須だ。

ユーザー登録をしてログインしたら、名前の下にある「登山計画管理」をタップ。次の画面で、「新規作成 マップから」を選ぶ。

「コンパス 山と自然ネットワーク」のホームページ。画面を下にスクロールすると、提供されるサービスの内容を閲覧できる(以下、画面はiPad Proの「Safari」の例)

この画面で「新規作成 マップから」を選択する

この画面で「新規作成 マップから」を選択する

地図の画面になるので、右上の検索ボックスに登る山の名前を入力して検索する。同じ名前の山が複数あるときは、検索結果から該当の山を選択する。ここでは、東京都青梅市にある御岳山を例にする。

登る山を検索して指定する

登る山を検索して指定する

目的の山の周辺地図が表示されたら、画面右上の「計画作成」タブをタップ。はじめに、「設定」ボタンをタップする。開くメニューから、「入山年月日」「下山年月日」「タイム計算」「GPX読み込み」が選べるので、「入山年月日」「下山年月日」をそれぞれタップして設定しよう。

「タイム計算」は、登山ルートの所要時間の計算に利用する。参考タイムとして一般的な歩行速度を「普通(×1.0)」とし、自分は速めに歩けるのか、ゆっくりめなのかを各3段階から選択できる。ここで選んだタイムが、ルート上のポイント間の所要時間に反映される。

よくわからないときは、「普通(×1.0)」を選んでおく。一度その設定で歩いてみて、時間通りに歩けたか、速かったか、遅かったかで、次の計画立案時に反映しよう。

「GPX読み込み」は、記録済みのGPSデータがあるときに利用する。

「設定」をタップし、「入山年月日」「下山年月日」を設定する

「設定」をタップし、「入山年月日」「下山年月日」を設定する

「タイム計算」は、自分の歩行速度に合わせて選択する

「タイム計算」は、自分の歩行速度に合わせて選択する

ここから、地図上で登山ルートを指定していく。画面左の「+」「-」、タブレットならピンチ操作で地図の拡大/縮小が可能だ。地図を拡大すると登山道上に黄色の丸が表示されるが、これがタップ(位置指定)できるポイントとなる。

まずは、歩きはじめとなる登山口をタップ。これで、画面右の「計画作成」タブに、ひとつめのポイントが追加される。出発時刻を指定するために、追加されたポイントの右端にあるエンピツのアイコンをタップする。

編集画面が開いたら、「発時間」を出発予定時刻に修正する。またここでは、地点名の入力もできる。主なポイントは自動入力されるが、「名称未設定」となるときに、自分でわかりやすい名前に変更する。移動中の「地点の種類」は「経由地」だが、山小屋やテント場など宿泊するポイントでは「泊地」に設定する。設定したら「OK」をタップ。

登山ルート上の黄色の丸をタップして地点を指定する

登山ルート上の黄色の丸をタップして地点を指定する

編集画面で、「着時間」「発時間」などを変更できる

編集画面で、「着時間」「発時間」などを変更できる

2番目のポイントを指定して編集画面を開くと、「着時間」が自動設定されている。これは、前述の「タイム計算」の設定にしたがって自動計算された結果だ。例では、7時出発で8時着となっているので、指定したポイント間は一般的な速度で歩いて1時間かかることがわかる。

通過するだけなら発時間はそのまま、休憩を予定するならそのその分を加えた時刻を指定しよう。あとは、同様に通過ポイント、泊地などを指定していけばいい。このようにして、下山ポイントまでの登山ルートを設定する。設定できたら、「次へ」をタップする。

2つ目のポイントを指定すると、ポイント間に必要な歩行時間がわかる。ポイントの修正などは、画面左の「戻る」ボタンからできる

目印となる山小屋や分岐、休憩ポイントなどを下山ポイントまで指定し、最後に「次へ」をタップする

目印となる山小屋や分岐、休憩ポイントなどを下山ポイントまで指定し、最後に「次へ」をタップする

情報入力画面になるので、「登山山域・目的」「入山口」「下山口」の情報を設定。「エスケープルート」(緊急時の下山ルート)を用意している場合は、それも入力しておこう。設定したら「次へ」をタップ。

この画面で「登山山域・目的」「入山口」「下山口」「エスケープルート」の情報を設定する

この画面で「登山山域・目的」「入山口」「下山口」「エスケープルート」の情報を設定する

次の画面では、装備品の情報を入力する。「食料」「行動食」の量、「飲料水」の有無、「個人装備・備品」、複数人での登山なら「共同装備」だ。「個人装備・備品」「共同装備」に関しては入力内容を保存でき、次回以降の入力の手間を省ける。

装備に関しては持って行く物の確認も含め、細かく記しておこう。万一の遭難を考慮すれば、ウェア、シューズ、ザックのメーカーと製品名、色なども加えておくといいだろう。

続けて同じ画面で、自分の連絡先メールアドレス、無線機の有無、山岳関連団体への加盟の有無、山岳遭難保険の加入/未加入などを設定。設定したら「同行者の入力へ」をタップする。

装備は「日帰り」「小屋泊」「テント泊」が選択でき、それぞれの装備を保存できる

装備は「日帰り」「小屋泊」「テント泊」が選択でき、それぞれの装備を保存できる

同行者がいる場合は、同行者の情報を設定する。そして最後に、緊急連絡先情報を設定する。これは、トラブルが起きたときの連絡先だ。自分が登山することを知る家族や知人を登録しておく。

「緊急連絡先へのメール時間」は、設定した下山予定時刻を過ぎて下山通知が送信されないときに、緊急連絡先へメールを送信するタイミングを設定する。3、5、7、9時間後から選択可能だ。

あとは、緊急連絡先とする連絡者の名前、電話番号、メールアドレスを入力して「確認画面」をタップ。登録した連絡先は次回以降、「緊急連絡先一覧」から選択して指定できるようになる。登山届、下山通知を送信したタイミングでも緊急連絡先へメールが届く。

なお、下山通知が出されないときに緊急連絡先へメールが送信されたとしても、すぐに捜索が始まるわけではない。メールを受け取った人が、警察等に救助要請をする必要がある。そうしたことも、緊急連絡先に指定する人にはきちんと伝えておこう。

緊急連絡先まで登録したら、「確認画面」をタップする

緊急連絡先まで登録したら、「確認画面」をタップする

設定内容を見直し、問題がなければ登山計画の作成は完了だ。登山届をすぐに提出するなら「登山届を提出」をタップ、別のタイミングで提出するなら「下書き保存」をタップする。

計画の内容を見直し、「下書き保存」か「登山届を提出」を選ぶ

計画の内容を見直し、「下書き保存」か「登山届を提出」を選ぶ

登山届の提出と下山通知

登山届は、スマホから送信が可能だ。注意したいのは、登山口には電波の届かない場所があるという点。登山開始直前ではなく、前日や登山口に向かう途中に提出しておくといいだろう。

提出には「コンパス 山と自然ネットワーク」アプリを起動し、緑色の丸の中に山が連なっているボタンをタップ。5つのメニューボタンが表示されるので、「登山計画」をタップする。

次の画面で「制作途中」をタップすると下書き保存した登山計画が表示されるので選択し、「編集・提出」→「確認・提出」→「登山届を提出」とタップ。確認の画面で「OK」をタップすると送信され、「登山届けを提出しました」と表示が出る。

同時に、自分と緊急連絡先のメールアドレス宛てに、登山届が提出された旨のメールが届く。

この画面で「制作途中」をタップする

この画面で「制作途中」をタップする

最後に「OK」をタップすると、登山届の提出は完了だ

最後に「OK」をタップすると、登山届の提出は完了だ

「コンパス 山と自然ネットワーク」アプリでは、「登山届証明」も表示できる。登山届提出後にアプリのホーム画面から「登山計画」を選び、メニューの「登山届証明」をタップすれば、表示できる。

登山届が提出済みであることを証明する「登山届証明」

登山届が提出済みであることを証明する「登山届証明」

「コンパス 山と自然ネットワーク」には登山地図もあり(事前にダウンロードすればオフラインで利用可)、登山中にGPSを使って歩行ログを取れる。ただ、あまり使い勝手がよくないので、ほかの登山地図アプリの利用をおすすめしたい。登山地図アプリについては後述する。

歩行ログを取得する機能もあるが、使い勝手が今ひとつ

歩行ログを取得する機能もあるが、使い勝手が今ひとつ

無事に下山できたら、忘れずに下山通知も出しておこう。提出は、「コンパス 山と自然ネットワーク」アプリのホーム画面で「登山計画」をタップし、メニューの「下山通知」をタップ。登山計画の「下山通知」→「OK」とタップする。「下山通知を出しました。」と表示されたら完了だ。

同時に、自分と緊急連絡先のメールアドレス宛てに、下山通知が提出された旨のメールが届く。

下山したら、忘れずに下山通知を提出する

下山したら、忘れずに下山通知を提出する

登山には必須の地図もスマホで

登山には登山地図が必須だ。スマホで使える登山専用の地図があるので、インストールしておこう。GPSを使って現在地が瞬時にわかるし、向かっている方向、向かうべき方向を知るのにも重宝する。なお、GPSはインターネット接続を必要としないので、電波の届かない山中でも利用できる。

以下に、おすすめの3つの地図アプリを紹介しておく。いずれも、オフラインでの利用が可能だ。使い比べてみて、見やすく扱いやすいものを選ぶといいだろう。

「山と高原地図」
株式会社昭文社
1エリア500円
※月額400円で全エリアの地図が使い放題になる「山と高原地図ホーダイ」もある。

・iPhone
https://itunes.apple.com/jp/app/山と高原地図/id504487370?mt=8

・Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.mappleon.android.yamatokogen

紙の「山と高原地図」を使っているのなら、同じ地図が使いやすい。有料ではあるが登山道の状況や水場などの情報量が多い。

「YAMAP/ヤマップ 登山を全然に楽しむGPSアプリ」
YAMAP INC.
無料

・iPhone
https://itunes.apple.com/jp/app/yamap-ヤマップ/id558780450?mt=8

・Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.yamap

歩行時間、消費カロリー、標高、歩行距離、北緯/東経などの情報がひと目でわかりやすい

歩行時間、消費カロリー、標高、歩行距離、北緯/東経などの情報がひと目でわかりやすい

「ヤマレコMAP - 登山・ハイキング用GPS地図アプリ」
Yamareco Inc.
無料

・iPhone
https://itunes.apple.com/jp/app/ヤマレコmap-登山-ハイキング用gps地図アプリ/id1121091790?mt=8

・Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.yamareco.memo

一定時間ごとに、現在時刻と標高を音声で知らせてくれる

一定時間ごとに、現在時刻と標高を音声で知らせてくれる

地図アプリは便利だが、スマホのバッテリー切れや故障、あるいは消失によって使えなくなる可能性がある。そのため、紙の地図とコンパスも必ず携行しておこう。地図の読み方と基本的なコンパスの使い方は、ぜひマスターしておきたい。

スマホの地図だけに頼るのは危険だ。紙の地図とコンパスも携行しよう

スマホの地図だけに頼るのは危険だ。紙の地図とコンパスも携行しよう

お天気アプリの活用

登山の計画を立てるとき、あるいは登山中、山の天気を知ることはとても大切だ。一般的なお天気アプリでは山の麓の天気しかわからないので、山岳専用の天気予報を活用しよう。以下では、おすすめの2つのサービスを紹介する。

「山の天気予報」
https://i.yamatenki.co.jp/
株式会社ヤマテン
月額:300円

パソコン、スマホ、携帯電話で詳しい山岳気象を確認できる。全国18山域、59山の山頂の天気、気温、風向・風速を6時間単位で翌々日まで予報する。登録した山の天気予報をメールで受け取ることも可能だ。山小屋の小屋番さんたちも活用するなど、詳細で信頼性は高い。

山頂の詳細な予報は、とても役に立つ

山頂の詳細な予報は、とても役に立つ

「tenki.jp 登山天気」
一般財団法人 日本気象協会
月額:240円(30日間のお試し期間は無料)

・iPhone
https://itunes.apple.com/jp/app/tenki-jp-登山天気/id1144845642?mt=8

・Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.or.jwa.tenkijpyama

1週間先までの、山の麓、登山口、山頂と標高別の天気を確認できる。適した服装、雷の発生率、風向きと風速などが時間別にわかり、登山には欠かせない多くの情報が提供される。

情報が見やすく、使い勝手がいい

情報が見やすく、使い勝手がいい

予備バッテリーは必須

登山でスマホを活用できるシーンは多いのだが、心配なのはバッテリー切れだ。登山ではバッテリーを節約することも重要だが、合わせてモバイルバッテリーをぜひ携行しておきたい。

歩行ログを取るためにGPSを使い続けると、バッテリーの消費も激しいので要注意。今回、御岳山への日帰り登山で試したところ、残量100%で出発して6時間後の下山時には55%となっていた。この程度の日帰り登山であれば持つのだが、遭難や事故などで下山できないことも想定しておく必要がある。1泊以上となれば必携だ。

モバイルバッテリーも携行する。写真は、筆者が日帰りや1泊登山で使っている「Anker PowerCore+ mini」と「Anker PowerLine+ ライトニングUSBケーブル Apple MFi認証取得」

まとめ

筆者は「コンパス 山と自然ネットワーク」が登場するまで、登山口に用意された登山届用紙に書き込んで投函したり、入力フォームをダウンロード(警察のホームページなどから可能)したり、自分でExcelで作成しておき、それを登山口で投函する方法をとっていた。

しかし現在は、便利な「コンパス 山と自然ネットワーク」をもっぱら利用している。特に、面倒だからという理由で登山届の提出を敬遠している方は、一度使ってみていただきたい。また、これから登山をはじめようかという方にもおすすめする。

登山では、何が起こるかわからない。きちんと登山届を提出したうえで、安全な登山を楽しもう。

小野均

小野均

パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。

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