今年もアップルの「iPhone」シリーズ新モデル「iPhone 13」「iPhone 13 mini」「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」の販売が2021年9月24日から始まりました。日本国内ではアップルからの直接販売に加えて、例年通り大手キャリアのNTTドコモ、au、ソフトバンクが取り扱っているほかに、今年からiPhoneの販売を始めた楽天モバイルもさっそくiPhone 13シリーズの販売を始めています。
iPhone 13シリーズはハードウェアの進化もさることながら、日本国内ではアップルだけでなくキャリア版もすべてSIMフリーになったことが大きな変化と言えます。これは2021年10月1日以降、原則として端末のSIMロックが廃止される動きに対応したもの。期日以前の登場ではあるものの、iPhone 13シリーズは先行してSIMロックが施されない状態で発売されることになりました。
iPhoneシリーズはどのキャリアで購入してもハードウェアの仕様は同じなので、たとえば従来でもSIMロックを解除すれば「ドコモで購入したiPhone 13をauの回線で使う」ことができました。今年のiPhone 13シリーズからはSIMロックを解除する必要もなくなったので、今まで以上に好きな回線と組み合わせて使いやすくなっています。
そこで今回は、各キャリアが販売する「iPhone 13」「iPhone 13 mini」「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」の本体価格について、代金の一部支払いが免除される買い替えサービスを利用する場合や、ほかのキャリアから乗り換える場合を含めて比較してみたいと思います。
※記事の内容は2021年9月30日時点での情報をもとにしています。記事中の価格は特に断りがない限り税込です。
まずはiPhone 13シリーズの本体価格を見てみましょう。NTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルがオンラインで販売している「iPhone 13」「iPhone 13 mini」「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」の本体価格を以下にまとめました。参考としてアップルのオンラインストアにおける本体価格も併記しています。
各キャリアの買い替えサービス
なお、各キャリアではiPhone本体の返却を前提に、分割支払の一部を免除する上記のサービス(ここでは「買い替えサービス」と表記)を提供しています。そのため、以下の本体価格比較表では買い替えサービスを利用しないケースの価格を「最後まで使う」、買い替えサービスを利用するケースで一番安くなる場合の価格を「2年で返却」としています。
また、NTTドコモの「いつでもカエドキプログラム」には早期利用特典が用意されていて、22か月目までにiPhoneを返却すると返却翌月〜23回目までの分割支払額に対する割引を受けることができます(割引額はモデルにより異なる)。そのため、ユーザーが翌年のiPhoneシリーズ新モデル登場時に早期利用するケースを想定して「1年で返却」する場合の支払総額(13〜23回目まで11回分の分割支払額が割引される)も試算しています。
「iPhone 13 mini」「iPhone 13」の本体価格比較
「iPhone 13 Pro」「iPhone Pro Max」の本体価格比較
4機種のうち「iPhone 13」で本体価格が一番安い128GBモデルの本体価格に注目すると、以下のようになります。
●NTTドコモ
最後まで使う…111,672円
2年で返却…56,232円(24回目の支払免除)
1年で返却…49,632円(24回目の支払免除&13〜23回目の支払額に毎回600円の割引を適用)
●au
最後まで使う…115,020円
2年で返却…62,100円(24回目の支払免除)
●ソフトバンク
最後まで使う…115,920円
2年で返却…57,960円(25〜48回目の支払免除)
●楽天モバイル
最後まで使う…98,800円
2年で返却…52,692円(25〜48回目の支払免除)
●Apple Online Store(参考)
最後まで使う…98,800円
各キャリアの「最後まで使う」場合の本体価格を比べると、楽天モバイルはアップルから直接購入する場合と同額ですが、ほかの3キャリアはおよそ13,000〜18,000円ほど高いことがわかります。
「2年で返却」する場合の支払総額も楽天モバイルが最も安く、最も高いauとの差額は10,000円近くに達します。これらの傾向は「iPhone 13」128GBモデルに限らず、ほかのモデルでも同様です。
なお、買い替えサービスに早期利用特典が設けられているNTTドコモの場合、「1年で返却」した時の支払総額は50,000円を切る49,632円まで安くなります。auとソフトバンクの買い替えサービスも購入から13か月目以降(タイミングにより変わる可能性あり)になれば端末を返却できますが、NTTドコモのような割引は設けられていないため、毎年iPhoneを買い替えているユーザーはドコモの「いつでもカエドキプログラム」に注目です。
いっぽう、各キャリアでは他社からの乗り換えユーザーに対して、本体価格の割引やポイント付与のキャンペーンを展開しています。次は、これらの特典を考慮した「iPhone 13」「iPhone 13 mini」「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」の本体価格をチェックしてみましょう。なお、今回考慮した特典は以下の通りです。
●NTTドコモ
5G WELCOME割…「iPhone 13」シリーズは本体価格を22,000円割引
●au
au Online Shop お得割…「iPhone 13」シリーズは本体価格を22,000円割引
●ソフトバンク
web割…「iPhone 13」シリーズは本体価格を21,600円割引
●楽天モバイル
合計20,000ポイントを付与(内訳:料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」申し込みで5,000ポイント、他社からの乗り換えで15,000ポイント)
「iPhone 13 mini」「iPhone 13」の本体価格比較(乗り換え前提)
「iPhone 13 Pro」「iPhone Pro Max」の本体価格比較(乗り換え前提)
割引やポイント付与を考慮した場合の「iPhone 13」128GBモデルの本体価格は、以下のようになります。
●NTTドコモ
最後まで使う…89,672円
2年で返却…34,232円(24回目の支払免除)
1年で返却…27,632円(24回目の支払免除&13〜23回目の支払額に毎回600円の割引を適用)
●au
最後まで使う…93,020円
2年で返却…40,100円(24回目の支払免除)
●ソフトバンク
最後まで使う…94,320円
2年で返却…47,160円(25〜48回目の支払免除)
●楽天モバイル
最後まで使う…78,800円
2年で返却…32,692円(25〜48回目の支払免除)
●Apple Online Store(参考)
最後まで使う…98,800円
各キャリアの「最後まで使う」場合の本体価格を比べると、元々アップルから直接購入する場合と同額だった楽天モバイルは、20,000円相当のポイント付与によって78,800円まで安くなります。
ほかの3キャリアの本体価格はアップルから直接購入する場合よりも割高でしたが、21,600円(ソフトバンク)もしくは22,000円(NTTドコモ、au)の割引が適用されることで、アップルから購入する場合よりもおよそ4,000〜9,000円お得になります。見方によっては、乗り換えユーザー向けの割引適用を前提とした本体価格と言えなくもありません。
いっぽう、「2年で返却」する場合の支払総額を比べてみると、最も安いのは楽天モバイルの32,692円ですが、NTTドコモも楽天モバイル並に安い34,232円になることがわかります。auはドコモより6,000円近く高い40,100円、最も高いソフトバンクは47,160円です。これらの傾向はほかのモデルでも同様となります。
なお、乗り換えユーザー向けの割引が適用される前と比べてソフトバンクとほかの3キャリアの差額が広がっていますが、これには割引が適用される範囲が関係しています。
ソフトバンクの「web割」は分割前の本体価格そのものが割り引かれるため、iPhoneを返却することで免除される最大24回分の分割支払額にも割引が適用されます。つまり、iPhoneを返却すると「web割」の割引額21,600円を全額享受することができず、最大で10,800円分の割引を失うことになります。
これに対し、残価設定型の買い替えサービスを提供するNTTドコモの「5G WELCOME割」とauの「au Online Shop お得割」は、返却により免除される24回目の最終回支払分を含まない1〜23回目までの支払総額に割引が適用されます。そのため、iPhoneを返却する・しないに関わらず、乗り換えユーザー向けの割引を全額享受することができます。
また、楽天モバイルの乗り換えユーザー向け割引はポイント付与の形で提供されているため、やはりiPhoneの返却とは無関係に特典を享受できるというわけです。
純粋に価格だけを重視した場合、「iPhone 13」シリーズを一番安く手に入れられるのは「楽天モバイル」もしくは「NTTドコモ」ということになります。最後まで使うか、あるいは2年で返却するなら楽天モバイルがお得ですし、次のiPhoneシリーズ新モデルに買い替える予定であれば、買い替えサービスに早期利用特典が設けられているNTTドコモがお得です。
ただし、買い替えサービスを利用するのに条件が設けられている場合もあります。NTTドコモの「いつでもカエドキプログラム」の場合はdポイントプログラムへの加入が必要ですし、楽天モバイルの「楽天モバイルiPhoneアップグレードプログラム」は楽天カード会員が対象です。ソフトバンクの「トクするサポート+」ではiPhoneの返却と同時に指定機種への機種変更が必要となります(※2021年9月24日以降加入したユーザーについては今後のサービスリニューアルで不要になる予定)。
また、気をつけたいのは返却時のiPhoneの状態です。買い替えプログラムを利用してiPhoneを返却する際、破損や故障などによってiPhoneの状態が査定基準を満たさないと最大で22,000円の支払いが生じたり、買い替えプログラムの特典が受けられなかったりする場合があります。iPhoneはモデルによっては200,000円を超えますし、保証サービスへの加入は必須と言えます。
こうしたサービスの提供条件も含めて、自分が利用しているキャリアから購入するか、キャリアを乗り換えつつ購入するか、それとも別のキャリアやアップルから購入するかを検討するのがいいでしょう。
信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。