レビュー

"コンパクトで高性能”をさらに磨き上げた14型ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G14」レビュー

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ASUS JAPANからゲーミングノートPCの新モデル「ROG Zephyrus G14 GA403」が登場した。14型有機ELディスプレイを搭載したコンパクトなボディで、機動性が高いのが魅力だ。CPUにはAMDの最新CPUである「Ryzen 8000シリーズ」を採用するなど、スペック面もパワーアップしている。

発表されたばかりの新モデルを試せたので、その実力をチェックしていきたい。

ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G14 GA403」。今回は「Ryzen 9 8945HS」と「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を採用した上位機種の「プラチナホワイト」モデルを試用した

ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G14 GA403」。今回は「Ryzen 9 8945HS」と「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を採用した上位機種の「プラチナホワイト」モデルを試用した

持ち歩けるゲーミングノートPC

「ROG Zephyrus G14」は、携帯性とパフォーマンスを両立したコンパクトなゲーミングノートPC。初代モデルから、そのコンセプトは変わっておらず、コンパクトなゲーミングノートPCを探している人には間違いなく有力な選択肢に入ってくる。また、ゲームはしないが、高性能なモバイルノートPCを探しているクリエイターなどにとっても、最適なモデルと言える。

今回取り上げる最新モデルは、デザインが刷新されている。従来モデルは、天板の「AniMe Matrix」(無数の穴とLEDを組み合わせたもので、アニメーションを表示できる)が特徴だったが、新モデルの天板には「SLASH LIGHTNING」という細いLEDライトが斜めに配置されている。光り方で各種通知をしてくれるという、シンプルなシカケだ。たとえば、PCの起動時とシャットダウン時などに光らせたり、バッテリー残量低下時にアラートを出してくれたりする。

天板の「SLASH LIGHTNING」。控えめな白色LEDで、さりげなくゲーミングノートPCらしさを主張する

天板の「SLASH LIGHTNING」。控えめな白色LEDで、さりげなくゲーミングノートPCらしさを主張する

「SLASH LIGHTNING」は「Armoury Crate」で設定できる。光り方やいつ光らせるかをカスタマイズできる

「SLASH LIGHTNING」は「Armoury Crate」で設定できる。光り方やいつ光らせるかをカスタマイズできる

CNC削り出しのアルミニウムのきょう体は、質感が高く、頑丈さも感じられる。左右の額縁が細く、ゲーミングノートPCとしてはスマートなデザインだ。本体サイズは311(幅)×220(奥行)×15.9〜16.3(高さ)mm、重量は約1.5kg。2023年モデルの重量は約1.65kg(最軽量モデル)だったので、0.15kgほど軽くなっている。一般的な14型ノートパソコンと比べても遜色ないコンパクトさと重さだ。これでゲーミングノートPCなのだから、驚異的と言える。

CNC削り出しのアルミニウムボディ。「プラチナホワイト」という名称だが、光りの当たり方によっては写真のようにシルバーに見える

CNC削り出しのアルミニウムボディ。「プラチナホワイト」という名称だが、光りの当たり方によっては写真のようにシルバーに見える

天板の隅にROG(Republic of Gamers)のロゴと文字が彫り込まれている

天板の隅にROG(Republic of Gamers)のロゴと文字が彫り込まれている

最厚部でも16.3mmのスリムボディ。天板にはLEDが埋め込まれているが、非常に薄型で見栄えはよい

最厚部でも16.3mmのスリムボディ。天板にはLEDが埋め込まれているが、非常に薄型で見栄えはよい

カラーは「プラチナホワイト」(下)と「エクリプスグレー」(上)の2色(「エクリプスグレー」は上位モデルのみで選択可能)。左前は16型の「ROG Zephyrus G16」の「プラチナホワイト」モデル

カラーは「プラチナホワイト」(下)と「エクリプスグレー」(上)の2色(「エクリプスグレー」は上位モデルのみで選択可能)。左前は16型の「ROG Zephyrus G16」の「プラチナホワイト」モデル

パフォーマンスと冷却性能ともにパワーアップ

スペック面では、CPUにAMDの「Ryzen 8000シリーズ」を採用するのがポイント。「Zen4アーキテクチャ」を採用した最新のCPUで、パフォーマンスと電力効率を両立しているのが特徴だ。モバイルゲーミングノートPCの本モデルに適したCPUと言える。

ラインアップは以下の2モデル。CPUとGPUの違いが大きな差で、「エクリプスグレー」が選べるのは上位モデルのみという違いもある。どちらもメモリー容量は32GBで余裕のあるスペックだ。

ROG Zephyrus G14 GA403UI
CPU:Ryzen 9 8945HS(8コア/16スレッド)
GPU:GeForce RTX 4070 Laptop GPU
メモリー:32GB LPDDR5X-6400
ストレージ:1TB SSD
カラー:プラチナホワイト、エクリプスグレー
市場想定価格(税込):349,800円(プラチナホワイト)、384,800円(エクリプスグレー)
※販路が違うためカラーにより価格が異なる。

ROG Zephyrus G14 GA403UV
CPU:Ryzen 7 8845HS(8コア/16スレッド)
GPU:GeForce RTX 4060 Laptop GPU
メモリー:32GB LPDDR5X-6400
ストレージ:1TB
カラー:プラチナホワイト
市場想定価格(税込):329,800円

今回試したのは上位モデルの「ROG Zephyrus G14 GA403UI」。CPUは「Ryzen 9 8945HS」で、基本クロックは4.0GHz、ブースト・クロックは最大5.2GHzという高性能なものだ。TDPは45W。GPUには「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を採用する。最大TGPは90W(Dynamic Boost)で、高いパフォーマンスが期待できそうだ。

CPU情報を取得する「CPU-Z」の結果

CPU情報を取得する「CPU-Z」の結果

定番ベンチマークテストの結果は以下のとおり(動作モードは「パフォーマンス」)。すべて期待通りの結果と言えるだろう。小さくても、性能は15型や16型のゲーミングノートPCと比べてもそん色ない。あらゆるゲームを最高画質でサクサク楽しめるとは言えないが、リッチな画質では楽しめるレベルだと感じた。

CINEBENCH R23
CPU(Multi Core):16202
CPU(Single Core):1778
CINEBENCH R20
CPU:6555
CPU(Single Core):679
CINEBENCH 2024
GPU(System Requirements):10613
CPU(Multi Core):893
CPU(Single Core):103
ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク(2560×1600 最高品質)
12953(非常に快適)
PCMark 10 Professional Edition
トータル:7337
Essentials:9116
Productivity:10110
Digital Content Creation:11631
3DMark Professional Edition
Speed Way:2583
Port Royal:6298
Time Spy Extreme:4933
Time Spy:10600
Fire Strike Ultra:6176
Fire Strike Extreme:12132
Fire Strike:23988
サイバーパンク2077(ベンチマーク、平均FPS)
低:94.39
中:79.22
高:59.28
ウルトラ:41.73
Steam Deck:76.72
レイトレーシング(低):46.82
レイトレーシング(中):33.22
レイトレーシング(ウルトラ):31.69
レイトレーシング(オーバードライブ):20.98

コンパクトなボディなので、心配なのが冷却性能だ。ゲームを長時間遊んでも、パフォーマンスは落ちないのだろうか? 結論としては問題なし。2時間プレイしたが、パフォーマンスが落ちることはなく、安定して動作し続けた。底面の後ろから熱を放出する仕組みなので、ゲーム中に手を触れる部分やマウスを置く本体横が熱くならないのも好印象。高いパフォーマンスを安定して維持できるのは、ゲームだけでなく、クリエイティブな作業にも有利だ。

本モデルの冷却システムは、ROGシリーズではおなじみの液体金属グリスに、3本のヒートパイプと3つの冷却ファン、それにフルワイドヒートシンクとこだわりが詰まっている。ヒートパイプは新しい繊維とメッシュを導入し、これまでの溝とパウダーをベースにしたものと比べ、効率が26%向上しているという。動作音はゲーミングノートPCとしては静かなほうだ。GPUの切り替えに再起動は不要で、ゲーム以外の日常的な作業はほぼ無音でこなせる。

新設計の3本のヒートパイプ

新設計の3本のヒートパイプ

ROG初の有機EL採用、美麗な画面でゲームが楽しめる

ディスプレイも見どころのひとつ。ROGゲーミングノートPCシリーズ初の有機ELディスプレイを搭載する。解像度は2880×1880で、アスペクト比は16:10。リフレッシュレートは120Hz、応答速度は0.2ms、コントラスト比は100万:1、輝度は500ニットと高品質なディスプレイだ。G-SYNC、Dolby Vision、PANTONE認証、VESA DisplayHDRなど各種機能の搭載および認証も取得している。

14型で迫力がないと思うかもしれないが、「フォートナイト」「Apex Legends」「サイバーパンク007」をプレイしてみた感じ、画面の狭さや小ささは感じなかった。普段は27型のディスプレイでゲームをしているので、サイズは小さいものの、物足りなさはない。

有機ELならではのメリハリのある画質に目を見張る。普段利用している液晶ディスプレイよりも鮮やかで、「ROG Zephyrus G14」のほうが間違いなく画質はきれいだ。人によっては小ささが気になるかもしれないが、家中どこでも気軽に移動して遊べる利便性のほうが多くの人にはうれしいのではないだろうか。

「フォートナイト」のプレイ画面。24型や27型などと比べて、遠くの敵などは確かに見えにくいが、有機ELならではの高コントラストな画質で遊べるので、テンションは上がる

「フォートナイト」のプレイ画面。24型や27型などと比べて、遠くの敵などは確かに見えにくいが、有機ELならではの高コントラストな画質で遊べるので、テンションは上がる

キーボードは日本語配列で、キーピッチが実測で19mmのフルサイズだ。キーストロークは実測で1.2mmほど。打鍵音は静かで、キー配列もオーソドックスでクセはない。上部には音量、マイク、「Armoury Crate」の4つのボタンが配置されている。タッチパッドも広く、マウスなしでも日常使いは快適にこなせるだろう。もちろん、RGBイルミネートキーボードなので、好みの色に光らせることが可能だ。

オーソドックスな配列のキーボード。右上の六角形の電源ボタンなど細部に遊び心が散りばめられている

オーソドックスな配列のキーボード。右上の六角形の電源ボタンなど細部に遊び心が散りばめられている

RGBイルミネートキーボードなので、バックライトを赤や青など好みの色に光らせられる

RGBイルミネートキーボードなので、バックライトを赤や青など好みの色に光らせられる

セキュリティ面ではWindows Helloの顔認証をサポート。通信機能は最新のWi-Fi 6Eに対応するなど最新モデルならではの充実した装備だ。外部インターフェイスはUSB 4(Type-C)、USB 3.2(Type-C/Gen2)、USB 3.2(Type-A/Gen2)×2、HDMI出力、microSDメモリーカードスロット、マイク入力/ヘッドホン出力を備える。

内蔵バッテリーは73Whで急速充電に対応。カタログスペックでは2時間で充電できるという。電源ポートは「ASUSスリムパワージャック」という専用端子。180WのACアダプターはゲーミングノートPC用としてはコンパクトだが、一般的な14型ノートパソコンのものよりはさすがに大きい。

バッテリー駆動時間は動画再生時が約11.2時間、アイドル時が約12.7時間(JEITA測定法3.0)。外出先ではゲームをせず、一般的なモバイルノートとして使うということもできる。

外部インターフェイスは両側面に配置されている

外部インターフェイスは両側面に配置されている

ACアダプターは、ゲーミングノートPC用としてはコンパクトだ。USB Type-Cでの充電もサポートする

ACアダプターは、ゲーミングノートPC用としてはコンパクトだ。USB Type-Cでの充電もサポートする

まとめ

「ROG Zephyrus G14」は昨年発売された2023年モデルも完成度が高く、価格.comでも人気だ。「Ryzen 9 7940HS」を搭載した「GA403XI」が「ゲーミングノートPC」カテゴリーの人気売れ筋ランキングで13位に入っている(2024年3月5日時点)。バランスのよさやコスパのよさ、ゲーミング感のないデザインなどが評価されている。

今回レビューした最新モデルも、2023年モデルのいいところをしっかりと継承しているし、軽さやスペック面はさらに磨きがかかっている。コスパの面では、標準メモリーが32GB、ストレージが1TBと高性能な仕様となり、価格設定は高めだ。メモリーが16GBでは少ないという声があったのかもしれない(海外向けでは16GBモデルがあるようだ)。円安や部材の高騰などさまざまな要因があるので、高めなのはしょうがないのかもしれない。値段が落ち着くまで少し待ってみるのもありだろう。

ちなみに、今回は14型の「ROG Zephyrus G14」を試したが、16型の「ROG Zephyrus G16」もラインアップされているので、大画面を求めるなら、そちらをチェックしてみてほしい。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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