格安SIMカードと組み合わせたいSIMフリースマートフォンがこの春も続々と登場している。ここでは2016年1月以降に発売されたものの中から10機種をピックアップ。最新モデルの傾向とあわせて各機種の特徴を紹介しよう。
SIMフリースマートフォンは、基本的に世界各地で発売されるグローバルモデルをベースにしていることが多く、これまではシンプルな機能のものが多かった。また、日本の通信事情に特化していないことも目立ち、製品を選ぶ場合には、利用するSIMカードの対応バンドに注視する必要があった。
だが、そんな状況が急激に変わりつつある。LTEの対応バンドについては日本にかなり特化するようになってきている。今回取り上げる製品はそのほとんどがNTTドコモのXiでサービス中のバンド1、3、19に対応しているため、通話エリアの面で大きな違いはなくなっていると言っていいだろう。
また、ROMやRAMの容量が極端に少ないものも減少しているし、クアッドコアやオクタコアCPUの採用や、ディスプレイもHDやフルHDが主流になっているなど、通信キャリア製のスマートフォンと比べても性能差が少なくなった。
加えて、バッテリー容量やデザイン、カメラ機能などで製品に強い特徴を持たせる製品も増えている。そのため、以前よりも柔軟な製品選びができるようになっている。
価格性能比の高さで人気を集めている、ASUSのZenFoneシリーズ。その最新機種となるのがこの「ZenFone Go」だ。HD表示に対応する約5.5インチの液晶ディスプレイを備えたボディに、クアルコムのクアッドコアCPU「Snapdragon 400(1.4GHz)」や2GBのRAM、16GBのROM、64GBまで動作確認の取れたmicroSDメモリーカードスロットとなどを搭載。OSはAndroid 5.1となっている。
搭載バッテリーは3100mAhで、価格帯を考えるとかなりの大容量。連続通話時間は約960分(3G)、連続待受時間が約514時間(3G)/約400時間(LTE)という値で、スタミナも十分。また、シリーズの特徴のひとつとなっている日本語入力アプリ「ATOK」も継続して採用されている。
価格.com最安価格は21,373円(2016年3月15日現在)。あいかわらず価格性能比が高く、この春も注目を集める1台になりそうだ。
5.5インチという大画面を備えつつ、本体価格19,800円を実現した、Zenfoneの新しいスタンダードモデル
折りたたみスタイルのボディが特徴の新モデル。ガラケーのようだが、Google Play対応のAndroid 5.1を搭載するなど機能面ではまぎれもないスマートフォンである。
本機は天板の両面それぞれに、WVGA表示対応の約4.0インチ液晶ディスプレイを搭載するデュアルディスプレイ機という点もユニーク。両画面ともタッチ操作に対応しているが、内側の画面は、テンキーでの操作も可能となっており、ガラケーの操作に慣れたユーザーにとってスマホへの架け橋になるだろう。
処理性能では、MediaTekのクアッドコアCPU「MT6735M(1.0GHz)」や、1GBのRAM、8GBのROMなどを搭載。128GBまで動作確認の取れたmicroSDXCメモリーカードスロットも備わっている。なお、最新のSIMフリースマホとしてみるとRAMとROMの容量が少なめ。搭載バッテリーは2000mAhだが、バッテリーパックなので交換して利用することができる。
ガラケーのようだがソフトウェアの面で見るとスマートフォンそのもの。さまざまな最新コンテンツを扱うことができる
ZTEの最新モデルBlade V580は、同社の国内ラインアップとしてもなかなか意欲的な製品だ。フルHD表示に対応した約5.5インチの液晶を備えるボディは金属製で、MediaTekのオクタコアCPU「MT6753(1.3GHz)」や、2GBのRAM、16GBのROM、32GBまで対応するmicroSDHCメモリーカードスロットを装備する。OSはAndroid 5.1。
また、背面に指紋認証センサーを備えており、キーロックの解除に加えて、自撮りのときのシャッターボタンとしても利用可能。なお、価格.comの最安価格は27,018円(2016年3月15日現在)となっており、ハードウェアの充実度を考えれば、かなりお買い得な製品といえそうだ。
指紋認証センサーやフルHD液晶を備えるなど、基本性能の高さが魅力
HD表示に対応する約5.5インチのディスプレイを備えたスマートフォン。スペック的にはやや平凡だが、搭載されるバッテリーの容量に特徴がある。その容量は5000mAh。一般的なスマートフォンの倍近い値だ。その結果、連続通話時間は約2258分 (3G)、連続待受時間は約914.4時間(3G)/約683.6時間(LTE)という長時間駆動を実現。この大容量を生かし、モバイルバッテリーとしてほかの機器に充電することも可能。1台2役をこなせる大容量スマートフォンだ。
処理性能を見ると、クアルコムのクアッドコアCPU「Snapdragon 410(1.2GHz)」や、2GBのRAM、16GBのROMを搭載。128GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットも備わっている。OSはAndroid 5.0。
大容量バッテリーを備えているため、本体の重量は約202gとやや重いが、本機のスタミナはそれに見合う利便性をもたらしてくれそうだ。
5000mAhという大容量バッテリーを誇り、モバイルバッテリーとしても使うことができる
2台のスマホで国内のSIMフリーマーケットに参入するモトローラ。そのうち高性能モデルに位置づけられるのが、このMoto X Playだ。
搭載されるディスプレイはフルHD対応の約5.5インチ液晶。表面の保護ガラスは米コーニング社の「Corning Gorilla Glass3」が使われており破損に強い。
処理性能を見ると、クアルコム社のオクタコアCPU「Snapdragon 615(1.7GHz)」、2GBのRAM、16GBのROM、128GBまで動作確認の取れたmicroSDXCメモリーカードスロットを搭載。動作OSが最新のAndroid 6.0となっている点にも注目だ。同OSは、Android 5.0系をベースとしつつ、省電力性能や新しいAPIへの対応などさまざまな面で強化されている。
このほか、5GHz帯のWi-Fiや、急速充電対応の3630mAhの大容量バッテリー、画素数約2100万のメインカメラなど、価格に見合った高い性能を搭載。安いだけのSIMフリー機ではちょっともの足らなく感じてきたら、本機はなかなか魅力的な製品に映るだろう。
フルHD液晶に加えて、急速充電対応大容量バッテリーや高画素のメインカメラなど、ひとクラス上の性能を備えるSIMフリースマホに仕上がっている
モトローラのもう1機種は、HD表示に対応する5インチ液晶ディスプレイ搭載のエントリーモデル「Moto G」。CPUに「Snapdragon 400(1.4GHz)」を使用し、2GBのRAMと16GBのROM、32GBまで動作するmicroSDHCメモリーカードスロットを搭載。OSには、Androi 5.0を採用する。
本機のボディはIPX7等級の防水仕様に対応しているのが大きな特徴。防水仕様は、国内メーカー製スマートフォンでは珍しくないが、海外製のSIMフリー機ではまだ貴重な存在だ。また、ディスプレイの保護ガラスにCorning Gorilla Glass3が使われているのもポイント。本機はタフネスを追求した製品ではないが、日常的に起こる落下や水没に対して十分配慮がなされており、安心して使うことができるはずだ。
IPX7等級の防水仕様に対応する。海外メーカー製SIMフリースマホでは珍しい
HD表示に対応した、約5.0インチ液晶ディスプレイを搭載するミドルサイズのスマートフォン。昨年登場した「Blade S」の後継モデルで、オクタコアCPUの「Snapdragon 615(1.5GHz×4+1.0GHz×4)」やAndroid 5.0の採用など、基本性能では共通するものが多い。
上記のCPUに加えて、2GBのRAM、16 GBのROM、32GBまで対応するmicroSDHCメモリーカードスロットを搭載。バッテリー容量は2400mAhだ。また、ユニークな機能として、ジェスチャー操作に対応するほか、音声データをより高品質に再現するDAC「AK4375A」を搭載していることも見逃せない。
本機はWi-Fi機能もなかなか魅力的だ。IEEE802.11b/g/n/acの各規格に対応するほか、5GHz帯も利用可能。最新のWi-Fiルーターと組み合わせることで高速なネットワークを利用できる。
DACやac規格まで対応するWi-Fiなど、ユニークな性能が数多く採用されている
FREETELのエントリーラインアップ「Priori」シリーズの最新機種。HD表示に対応する約5.0インチの液晶ディスプレイの採用など、トレンドにあわせてボディを大型化しつつ、4000mAhの大容量バッテリーを搭載し、ロングスタミナ機に生まれ変わっている。
処理性能を見ると、MediaTekのクアッドコアCPU「MT6735P(1.0GHz)」や、2GBのRAM、16GBのROM、128GBまで動作確認の取れたmicroSDXCメモリーカードスロットを装備。プリインストールされるOSはAndroid 5.1である。
低価格モデルながら、5GHz帯のWi-Fiに対応しているなど、SIMフリー機の経験が豊富なPrioriシリーズにこめられたこだわりを感じ取ることができる。
低価格ながら4000mAhという大容量バッテリーを搭載し、長時間駆動を実現している
価格.comの「スマートフォン」カテゴリーで人気ランキングで1位を快走中(2016年3月15日現在)なのが、この「GR5」だ。人気の理由は、その高い価格性能比にある。ディスプレイはフルHD表示に対応する約5.5インチという大画面で、オクタコアCPU「Snapdragon 615 MSM8939(1.5GHz×4+1.2GHz×4)」や、2GBのRAM、16GBのROM、128GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを備え、Android 5.1を動作ささせている。こうした本機の表示性能や処理性能はミドルクラスとして十分魅力的なものだ。
加えて、背面に指紋センサーを備えているほか、ボディ自体も重厚な質感の金属製で、低価格のSIMフリー機にありがちなチープさがない。トータル見ると完成度が高く、この春にSIMフリー機を選ぶ場合の基準となりうる一台だ。
金属ボディに指紋センサー、フルHD液晶など、使い勝手に直結する要素に注力している
近頃のスマートフォンは完成度が高くなっており、どれを選んでも大きな違いがないという画一化が進んでいるが、「ZenFone Zoom」は、高性能なカメラ機能を搭載している点でユニークなモデルだ。フルHD対応の約5.5インチ液晶ディスプレイを搭載する高性能機であると同時に、本機のメインカメラには、独自の光学機構が採用され、コンパクトデジカメのような光学3倍ズームを実現しているのだ。
光学ズームは、スマホで一般的なデジタルズームと異なり、画質の劣化を抑えることができる。しかも、使用する際にレンズ部分が飛び出ない機構を実現しており、ズームを使ってもボディはフラットなままなのもうれしい点だ。
処理性能を見てみると、高性能モデルの「ZX551ML-BK128S4」では、インテルのクアッドコアCPU「Atom Z3590(2.5GHz)」や、4GBのRAMと128GBのROM、128GBまで動作確認の取れたmicroSDXCメモリーカードスロットを備え、Android 5.0を動作させている。特に、4GBのRAMは、エントリーモデルにも搭載されており、競合製品と比べて大きなアドバンテージとなっている。
メインカメラは、有効画素数約1300万で、光学ズーム機構と組み合わされる。高性能スマートフォンでありつつ、コンパクトデジカメのようなカメラ性能を持っている