レビュー

3万円高で2in1化を果たした「New XPS 13 2-in-1」の実力は?

デルの「New XPS 13」は、「11型のボディサイズで13型のディスプレイを搭載」というのが売り文句のモバイルノートだ。スタイリッシュなデザインとコストパフォーマンスの高さで、価格.comでも人気のモデルである。そんなNew XPS 13を2in1パソコン化した、「New XPS 13 2-in-1」が2017年1月20日に発売された。New XPS 13のコンパクトでスリムなボディはそのままに、ディスプレイ部分が360度回転するコンバーチブルタイプの2in1パソコンに仕上げられている。今回は最上位機種の「プラチナハイエンド・QHD+タッチパネル」を使って、発売されたばかりのNew XPS 13 2-in-1をレビューしたい。

New XPS 13 2-in-1は、スタイリッシュなデザインが特徴のNew XPS 13を2in1パソコン化したモデル。レビューにはプラチナハイエンド・QHD+タッチパネルモデルを使用している。同モデルの直販価格は199,980円(税別、2017年2月3日時点)

こだわりボディのNew XPS 13をほぼそのまま2in1パソコン化

New XPS 13 2-in-1はクラムシェルのNew XPS 13を、ほぼそのまま2in1パソコン化したモデルだ。ヒンジ部分や外部インターフェイスをよく見ないと、New XPS 13とNew XPS 13 2-in-1を区別するのは難しい。完成度の高いNew XPS 13のデザインに極力手を加えずに、2in1パソコン化したと言える。New XPS 13と同様、デザイン面や素材には強いこだわりが感じられる。天板と底面には削り出しのアルミ合金を、パームレストはカーボンファイバーを使用。シリアルナンバーや技適などの情報は、底面のカバーの中に隠している。

ディスプレイ部分が360度回転するコンバーチブルタイプで、ディスプレイをぐるりと回転させると、タブレットスタイルで利用できる。ヒンジの強さは絶妙で、好みの場所でピタリと止まり、クラムシェルとしても使いやすい。ディスプレイ部分を180度以上回転させると、キーボードとタッチパッドが無効になり、誤操作を防いでくれる仕組みが盛り込まれている。本体重量は最軽量構成時で約1.24kg。New XPS 13と重量はほとんど同じだ。見た目がコンパクトなだけに、実際に手にするとスペックの数字以上に重く感じてしまう。モバイルノートとしては重すぎることはないが、タブレットスタイルで利用することを考えると、1kgを切る軽さを実現してほしかった。

ディスプレイ部分が360度回転するコンバーチブルタイプで、動画視聴に適したテントモード(写真)やスタンドモードで利用できる

削り出しのアルミ素材を使用したボディ。余計な装飾がなく、シンプルで高級感のある仕上がり

削り出しのアルミ素材を使用したボディ。余計な装飾がなく、シンプルで高級感のある仕上がり

ヒンジも金属製で、剛性感のある作り

ヒンジも金属製で、剛性感のある作り

フレームレス・ディスプレイはタブレットスタイルにマッチするか?

New XPS 13の最大の特徴であるフレームレス・ディスプレイも、そのまま継承している。幅が5.2mmしかない極細の額縁により、13.3型液晶ディスプレイを搭載しつつ、11型クラスのモデル並みのサイズ感を実現しているのだ。フレームレス・ディスプレイは、タブレットスタイルのときも、画面が強調されて見栄えがいい。ただし、額縁が細すぎて手に持った場合に指で表示が見えなくなることもあった。

表示品質は、鮮やかで見栄えのするディスプレイだ。今回試したモデルは、3200×1800(QHD+)という高解像度な13.3型液晶ディスプレイで、細かな文字もシャープで見やすかった。輝度も400ニットと非常に明るく、蛍光灯下なら輝度を50%にしても明るく感じられる。このあたりはNew XPS 13と同じだ。QHD+のほかに、1920×1080のフルHDモデルも選択可能なのだが、ディスプレイの解像度によってバッテリー駆動時間が異なるので注意しておきたい。カタログスペックでは、フルHDモデルが約15時間、QHD+モデルが約8.5時間となっており、バッテリー駆動時間を重視するならフルHDモデルを選ぶといいだろう。

額縁の幅は5.2mmしかない。このフレームレス・ディスプレイにより、13.3型液晶ディスプレイを搭載しながら、11型クラス並みのコンパクトサイズを実現している

3200×1800の超高解像度なディスプレイを搭載。グレアタイプだが、反射が抑えられた高品質なディスプレイだ

3200×1800の超高解像度なディスプレイを搭載。グレアタイプだが、反射が抑えられた高品質なディスプレイだ

額縁が極細のフレームレス・デザインは、タブレットスタイルで利用すると手が画面にかぶりやすい

額縁が極細のフレームレス・デザインは、タブレットスタイルで利用すると手が画面にかぶりやすい

YシリーズのCPUのパフォーマンスをチェック

操作性もNew XPS 13とほぼ同じだ。キーボードのキーピッチは実測で約18mm、ストロークも深めで快適にタイピングできる。打鍵音も静かで、会議中に内職をする人にも向いている。明るさを2段階で調整できるキーボードバックライトも備わっている。ただ、右端のEnterキーやBackspaceキー、左端の半角/全角キーは小さめ。いずれも使用頻度の高いキーなので、少なからず慣れは必要になるだろう。タッチパッドはカーソルの移動は問題ないが、クリックボタン一体型でクリックしにくい。

新機能として、Windows 10の生態認証機能「Windows Hello」に対応する指紋認証センサーと顔認証用のカメラを搭載する。また、今回は試せていないが、別売りで2048段階の筆圧検知に対応するアクティブスタイラスペンも用意する。

キーボードはNew XPS 13とほぼ同じ。カーソルキーの下に指紋認証センサーを備える

キーボードはNew XPS 13とほぼ同じ。カーソルキーの下に指紋認証センサーを備える

ラインアップは搭載するCPUの種類やメモリーとストレージの容量、ディスプレイの解像度の違いで6モデル(各モデルにOffice付きモデルを用意、2017年2月3日時点)。今回試したプラチナハイエンド・QHD+タッチパネルは、CPUが「Core i7-7Y75」(1.30GHz、最大3.60GHz)、メモリーが16GB、ストレージがPCI Express接続の512GB SSDという最上位機種だ。搭載するCPUは、TDPが4.5WのYシリーズで、TDPが15WのUシリーズを搭載するNew XPS 13よりCPU性能は劣ると思ったが、パソコンの総合的な性能を測定するベンチマークテスト「PC Mark 8 Professional Edition」(Futuremark)のスコアは2787と、「Core i7-7500U」を搭載する「New XPS 13」(スコアは2646)よりわずかに高かった。メモリーとストレージの容量が異なるので一概に比較はできないが、なかなか良好な結果と言える。ストレージの読み書きの速度を測定する「CrystalDiskMark 5.2.1 x64」(ひよひよ氏作)の結果は、New XPS 13とほとんど変わらず、読み書きともに高速だった。

PC Mark 8 Professional Editionの結果。TDPが4.5WのCPUを搭載しているが、十分すぎるスコアを記録した

PC Mark 8 Professional Editionの結果。TDPが4.5WのCPUを搭載しているが、十分すぎるスコアを記録した

CrystalDiskMark 5.2.1 x64の結果。読み書きともにNew XPS 13とほとんど変わらなかった

CrystalDiskMark 5.2.1 x64の結果。読み書きともにNew XPS 13とほとんど変わらなかった

【関連記事】Macノートに十分対抗できる!? スタイリッシュで高性能なデル「New XPS 13」

外部インターフェイスは、New XPS 13とかなり違う。左右側面にあったUSB3.0端子がなくなり、SDカードスロットもmicroSDカードになっている。右側面にUSB 3.1 Type-C(DC-In/PowerShare対応/DisplayPort兼用)、左側面にThunderbolt 3(USB 3.1 Type-C/DC-In/PowerShare対応/DisplayPort兼用)を備える。左右の好きなほうにACアダプターを接続できるのは地味に便利だ。Thunderbolt 3対応の機種を使うときだけは、左側に差すように気を付けたい。USB Type-Aがなくなったが、変換アダプターが付属するので心配は不要だ。

外部インターフェイスは、New XPS 13から大きく変わっている。USB Type-Aがなくなり、右側面にUSB Type-C、左側面にThunderbolt 3を備える

USB Type-CをUSB Type-Aに変換するアダプターが付属する

USB Type-CをUSB Type-Aに変換するアダプターが付属する

ACアダプターはコンパクトだが、New XPS 13と同じく、電源ケーブルは太くてアースが付いている

ACアダプターはコンパクトだが、New XPS 13と同じく、電源ケーブルは太くてアースが付いている

まとめ

New XPS 13 2-in-1は、11型のボディサイズに13型のディスプレイを搭載したサイズ感や、スリムでスタイリッシュなデザインなど、New XPS 13のいいところをそのまま残しながら、2in1パソコン化したモデルだ。通常のノートパソコンとしても使いやすいので、クラムシェル派の人にも注目してもらいたい。価格はNew XPS 13より3万円ほど高い設定だが、タブレットとしても使えることと、指紋認証/顔認証が付いていることを考えれば、検討してみる価値はある。レビューする前に心配していたパフォーマンス面も、ベンチマークの結果を見る限り、それほど気にする必要はなさそうだ。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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