近年、一気にトレンドになったサードウェーブコーヒー。そう、今とにかく“コーヒー”が熱い。そして、それを愛でる“コーヒーマニア”の世界もまた熱いのです。何種類ものドリッパーやフィルターを使いこなし、自宅で本格的なドリップを極める方も多いと聞きます。なお、コレを書いている筆者は、ハンドドリップに憧れつつなんだか奥深くて手が出せないでいる、ただの“ゆるいコーヒー好き”です。
そんな中、アピックスから新発想のコーヒーメーカー「Drip Meister ADM-200」(以下、ADM-200)が登場しました。なんとコレ、給湯部が360°回転しながらお湯を注いで、自動でハンドドリップを再現するという製品なのです。この絶妙な横着感……筆者のような、マニアの領域まで踏み込めていない“ゆるいコーヒー好き”にピッタリそうじゃないですか? ということで、さっそく使ってみることにしました。
5,000円台というお手ごろ価格に、かわいらしい見た目のADM-200。360°回転するというその仕組みとは?
まずは、本体の構造を見ていきましょう。ADM-200は、紙フィルターを使ってコーヒー粉からコーヒーを抽出するタイプのコーヒーメーカー。なお、湯沸かし機能は付いていないので、使うときは別途お湯を沸かしてから給湯タンクに入れる必要があります。なお、この給湯タンクは二重構造になっており、お湯の温度を“ちょうど飲みごろ”に保てるよう工夫されているのがポイント。
そして注目なのは、やはり360°回転しながらコーヒーを淹れるという、独自の仕組みですよね。電源を入れると、給湯部が1分間で3周まわるようになっています。この360°回転の様子は、のちほど動画でじっくりお見せしましょう。
ホワイトとブラックの2色をラインアップ。インテリアにあわせて選べます
奥行きはわずか9cmで、ふだん暮らしている室内にポンと置きやすいスタイリッシュさ
本体を分解してみると、これらのパーツで構成されていることがわかります
360°回転してお湯を注ぐ給湯タンク。フタを開けてみると、内側には「2Cup」「1Cup」「Steaming」の目盛り付き。1度に最大でカップ2杯分を淹れることができます
給湯タンクの底には3つの丸い穴が。ここからお湯が出てきて、ハンドドリップを再現してくれるとのこと。また、二重構造になっているのがおわかりいただけるでしょうか? これで、コーヒーの抽出に適温を保ってくれるそうです
ガラスサーバーは、ハンドル部がオーク材でできていてスタイリッシュ
さて、自分の舌をハンドドリップ的な感覚(?)にするべく、まずはお店でちゃんとしたハンドドリップのコーヒーを飲んでみました。ご協力いただいたのは、東京・初台のカフェ「fuzkue」(フヅクエ)さんです。
結論から言うと、じっくりハンドドリップされたコーヒーの味は、やはり格別でした。普段、筆者が適当に淹れているコーヒーでは、いかにいらない苦味・渋みが出て味が雑になってしまっているかを実感します。ハンドドリップしたコーヒーは、苦味・渋みもふんわりと深い風味になっていて、味に“うま味の芯”のようなモノが感じられるのです。
店長の阿久津さんにコツを聞いてみたのですが、「コーヒーの淹れ方は、そんなに難しく考えることはないと思いますよ。おいしいと思った豆を買ってきて、適切に保存して適切な鮮度のうちに飲む。そうすれば、大体おいしく淹れられるんじゃないかな」とのことで、ハードルが低いような高いような、そしてつまるところ何がコツなのか。そう、筆者のようなゆるいコーヒー好きには、その「適切な保存と鮮度を保つ」のも大変なわけで……。つまり、やっぱりハードルは高めなようです。
初台駅南口から徒歩30秒ほどのところにあるカフェ・fuzkueさんは、「おひとりさまが何時間でも本を読みまくれるカフェ」というコンセプトのお店。店長の阿久津さんみずから、ハンドドリップでコーヒーを淹れてくださいました。もちろんコーヒー豆にもこだわっており、そのときどきで仕入れが変わります。挽き立てのコーヒーに細いお湯が注がれた瞬間、ただよってくる豊かな香りにノックアウト
プロのハンドドリップの様子は、ぜひ以下の動画をご覧ください。細〜くゆっくりと、お湯が注がれていきます。カップ1杯分(約200cc)を淹れるのにかかった時間は2分ほどでした。ドリップの回転は40〜50周といったところのようです。
というわけで、コレがじっくりとハンドドリップで淹れたコーヒーです。ウマい……! でもやはり極めるのはむずかしそう
というわけで、本格的なハンドドリップはその道のプロにおまかせするとして……ゆるいコーヒー好きの筆者宅では、ADM-200で“擬似ハンドドリップ”を楽しんでみようと思います。
ADM-200を稼動させてみると、スイッチオンした途端に、給湯部が360°回転を始めます。1分間に3周する仕組みで、コーヒーの抽出にかかった時間は、カップ1杯分で大体3分弱、カップ2杯分で6分弱でした。fuzkue店長さんのハンドドリップより、少しゆっくりめに回っているようです。
まずは本体の準備から。背面に備わる電源プラグに同梱されるACアダプターからのケーブルを接続しましょう
続いて、ドリッパーにコーヒー粉をセット
本体の側面に電源スイッチが付いていて、これをオンにしたら360°回転が始まります。ちなみに本製品、これ以外にインターフェイスはナシというシンプル仕様
最初に、給湯部の「Steaming」ラインまでお湯を注ぎ、コーヒー粉をスチーム
20〜30秒ほどして「Steaming」のお湯がすべて落ちきったら、「1Cup」または「2Cup」のラインまでお湯を入れてコーヒーを抽出していきます
百聞は一見にしかず、ですよね。ADM-200が360°回転している様子を収録したのが以下の動画です。ぜひご覧ください。自動回転しつつ、3つの穴から同時にお湯が注がれているのがおわかりいただけるかと思います。
さて、ADM-200で淹れたコーヒーの味はどうでしょうか? fuzkueさんで淹れてもらったものとはコーヒー粉が違うので完璧な比較はできませんが、ただ苦味や渋みだけでなく、コーヒー自体の風味やうま味がちゃんと出ているという点では、かなりイイ線いっているように感じました。もちろん、いつも筆者が適当に淹れているコーヒーと比べたら雲泥の差です。スイッチをポンとやるだけでこの味ができるなら、大満足。それに、自分の心に“ハンドドリップ的なことしてやった感”が湧いてきます。
変な話、おいしいコーヒーを淹れてくれるコーヒーメーカーは、世の中にたくさんあると思うのです。しかし、ここまで“ハンドドリップ的なことしてやった感”を演出してくれる製品はあまりないはず。ゆるいコーヒー好きには、そんな満足感もうれしいポイントです。
ハンドドリップはカップ1杯分で2〜3分くらい時間がかかりますが、これをコーヒーメーカーが自動でやってくれると、その間に他のことができて便利。忙しい平日の朝にはうれしい機能です
ADM-200でのドリップが終わった直後のコーヒーはこんな感じ。円を描いてお湯が注がれた跡が残っています
せっかくなので、ADM-200で淹れたコーヒーを、先ほど登場したfuzkue店長・阿久津さんにも飲んでもらいました。360°回転するADM-200を見て、「なるほど、おもしろいアイデアですね」と、興味津々な様子の阿久津さん。できあがったコーヒーを飲んで「お、なかなかおいしいですね」と感心されていました。「僕は仕事でやっていますが、普通の家庭で忙しい朝にゆっくりハンドドリップするのは大変ですよね。でもコレなら、気軽に使えてイイですね」とのこと。ADM-200で淹れたコーヒーは、プロが飲んでもおいしく味わえるようです。
興味津々でADM-200を使い始めた阿久津さん。お店で出しているのと同じコーヒー粉を使って試していただいたところ、おいしく味わえたようです。「コーヒーを淹れるアイテムっていろいろなモノが出ていますが、こういう切り口の製品は初めて見たかも。おもしろい!」と感心されていました
というわけで、ハンドドリップ諦めている派の筆者にとっては、“ハンドドリップ的な満足感”を演出してくれるADM-200はかなりポイント高し、でした。しかも、価格.com最安価格が5,115円(税込・2017年5月26日時点)と、価格が手頃でポチりやすいのも魅力的。
最近は、コーヒー豆をその場で挽いて販売してくれる専門店も多いですよね。挽きたての新鮮なコーヒー粉を買ってきて、ADM-200にセットすれば、スイッチひとつでおいしいコーヒー生活がスタートできるわけです。いつかはちゃんとしたハンドドリップに挑戦したいコーヒー入門者の皆さん、まずは気軽にADM-200から始めてみませんか?
[ご協力] fuzkue(フヅクエ) - 一人の時間をゆっくり過ごしていただくための静かな店
[住所] 東京都渋谷区初台1-38-10 二名ビル2F
[営業時間] 12:00〜24:00(不定休)
[公式サイト] http://fuzkue.com/
[食べログはこちら] https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131807/13174339/