レビュー

コーヒー通なら試してみたい! ダイニチ「カフェプロ503」で“自宅焙煎”デビュー

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1杯ずつていねいに淹れる「サードウェーブコーヒー」がブームとなっている昨今、自宅で豆を挽き、挽きたて、淹れたてのコーヒーを楽しんでいる人も多いことだろう。そんなコーヒー愛好家にとって、豆の種類、挽き方、抽出方法の次にこだわりたくなるのが、豆の焙煎だ。そんなわけで、今回試してみたのがダイニチの焙煎機能付きコーヒーメーカー「カフェプロ503」。経験と技術が必要な豆の焙煎をボタン操作ひとつで行える、ちょっとニッチな、でもそれゆえにコーヒーファンにはたまらない1台である。

豆の焙煎から挽き、抽出までが1台で可能

コーヒーの生豆を買ってきて、銀杏や大豆を炒める手網を用意すれば自宅でも「豆の焙煎」ができる。だが、これが想像以上に難しい。15〜20分ほどコンロ上でせっせと網を振り続けるだけで骨が折れるし、かといってかくはんが甘いと煎りムラができ、味がバラつく原因にもなってしまう。そして問題なのが、火を止めるタイミング。この見極めは熟練したプロでも至難の業と言われており、豆の色合いの変化や、豆がパチパチと音をたてる「1爆ぜ(いちはぜ)」、その音がチリチリに変わる「2爆ぜ(にはぜ)」などを目安に「今だ!」と手網を火から下ろすのだが、ちょっと煎りが深すぎたり、浅すぎたり、何度やっても狙い通りに決まらない。安定した焙煎には、それ相応の技術と経験が必要なのである。

そんな苦労を一手に引き受け、簡単なボタン操作で狙い通りの焙煎豆に焼き上げてくれるのがダイニチの「カフェプロ503」。しかも焙煎だけでなく、豆挽き、さらにはドリップまでを自動で行うという、まさに至れり尽くせりの焙煎機能付きコーヒーメーカーだ。自宅焙煎の大きなメリットは「保存性の高さ」にある。焙煎した豆は10日ほどで風味が低下し始めると言われるが、常温で3年間保存がきく生豆を使い、必要な時に、必要な量だけ焙煎してコーヒーを淹れる「カフェプロ503」なら、いつも新鮮で風味豊かなコーヒーが楽しめるというわけだ。

本体サイズは240(幅)×265(奥行)×616(高さ)mm、重さは10.2kg。女性1人では箱から取り出すのもひと苦労のサイズ感だが、見るからに「誰もが持っているアイテムじゃない」ルックスにニヤリとしてしまうのは筆者だけだろうか? なお、2017年8月3日時点の価格.com最安価格は60,270円

ボタン操作ひとつでプロ仕上げの焙煎豆に

早速焙煎にチャレンジしてみよう。「カフェプロ503」で1回に焙煎する生豆の量は60gで、コーヒーカップ約10杯分。焙煎が終わると焙煎釜からストック部へと豆が落ち、最大30杯分まで本体内部にストックしておける仕組みだ。焙煎の度合いは、浅め(ライト・ロースト)/標準(ミディアム・ロースト)/深め(シティ・ロースト)の3段階で調節可能。「浅め」なら豆感や酸味が際立ち、「深め」なら苦みのある重厚な味わいが楽しめる。

また、コーヒー豆の焙煎で最も重要な「均一な加熱」を実現しているのが、ダイニチ独自の「ダブル焙煎方式」である。焙煎釜の上下に設置されたダブルヒーターで、生豆の外側と内側をじっくり加熱。さらに内蔵するセンサーで焙煎時の温度制御を行うことにより、煎りムラの少ない、均一な焙煎豆に仕上げてくれる。ダイニチは石油ファンヒーターのトップメーカーとしても知られるが、その開発で長年培ってきた温度制御技術が存分に生かされているのだ。

本体上部の焙煎釜には、上下に設置された電気ヒーターで均一にローストできる「ダブル焙煎方式」を採用

本体上部の焙煎釜には、上下に設置された電気ヒーターで均一にローストできる「ダブル焙煎方式」を採用

使用した豆は、ダイニチから販売されている生豆「オリジナルブレンド」。グアテマラ、ブラジル、ホンジュラスなど数種類の豆を組み合わせた、クセのないバランスの取れた味わいが特徴

焙煎釜に、付属の計量カップですりきり1杯、60g(コーヒーカップ約10杯分)の生豆を入れる。業務用の焙煎機では一度に大量の豆を入れる必要があるが、10杯分なら1日1杯のペースでも10日で飲み切れる。つまりはいつも新鮮なコーヒーを楽しめるのだ

焙煎釜のふたのメッシュ部分には脱臭触媒が備えられており、焙煎時のニオイを低減してくれるという

焙煎釜のふたのメッシュ部分には脱臭触媒が備えられており、焙煎時のニオイを低減してくれるという

焙煎釜のふたを閉め、本体側面の電源スイッチをポチッ

焙煎釜のふたを閉め、本体側面の電源スイッチをポチッ

豆の煎り加減を浅め/標準/深めから選択し、「焙煎」ボタンを押すと焙煎がスタートする。今回は「標準」をチョイスした

焙煎が始まるやいはや聞こえてくる、カラカラカラという音。豆を勢いよくかき混ぜながら均一に加熱していくのだ。そして5分ほど経過すると、きたきた、豆が爆ぜる音。パチパチ、パチパチ……。と同時に本体上部から煙が漏れ出し、なんとも香ばしいコーヒーの香りが広がる。運転音は想像以上に小さく、テレビの音量を上げずに済むのもうれしいところ。約11分で焙煎が終了すると、ガシャンと音がして焙煎釜のシャッターが開き、ストック部へ豆が落ちる。その後3分間、ファンが回転して焙煎豆を冷却。粗熱で焙煎が進んでしまうのを防いでくれる。

焙煎が進むにつれ、豆の色は淡緑色から茶褐色、さらに黒褐色へと変化していく。脱臭触媒が設けられているとはいえ、焙煎中はそれなりにニオイと煙が出るので、念のため換気扇を回しながら使用するのがよさそう。もちろん、そのニオイと煙も焙煎の醍醐味なのだが

焙煎が終わり、ストック部へと落ちた豆は小窓から確認できる。焙煎して適量をストックしておき、いつでもドリップできるのがうれしい。ちなみに、焙煎したての豆はガスを含んでいるため、すぐにドリップするとお湯がなじみにくく、比較的あっさりとした味わいになる傾向がある。1〜2日程度寝かせてから淹れると、より調和した味わいが楽しめるだろう

ミル、ドリップの使い勝手をチェック

驚くほど簡単に焙煎できることがわかったところで、続いてはミル、ドリップを試してみることにしよう。ポイントとなるのは、ミル刃に臼式を採用していること。一般的な家庭用全自動コーヒーメーカーの多くは安価なプロペラ式のミルを採用しているのだが、プロペラ式のミルは構造的に微粉が発生しやすく、その結果雑味も出やすくなってしまう。その点、豆をすり潰して挽く臼式は粒度(コーヒー粉の粒の大きさ)の均一性が高く、作動音も比較的静か。このあたりもコーヒー愛好家のツボをきっちり押さえている。

まずはドリッパーに紙フィルターをセット。一般的な紙フィルター(カリタ102相当品)なら問題なく使用できる

次に、サーバーを保温プレートの上に置く。サーバーはでき上がりの量がひと目で確認できるガラス製

次に、サーバーを保温プレートの上に置く。サーバーはでき上がりの量がひと目で確認できるガラス製

水タンクは着脱式。容量は650mlで、一度にコーヒーカップ5杯分までドリップできる。着脱式なうえ、ホット、アイス用にそれぞれ目盛りが記されているので給水しやすかった

ドリップする量を2/3/4/5杯から選択。「ドリップ」ボタンを押せばドリップが始まる。ドリップについては、一般的な全自動コーヒーメーカーと同様の手順、手軽さだ

ガガガガという豆挽きの音が聞こえてからまもなく、コーヒー液がサーバーに溜まり始める。最適な湯温、スピードで抽出が進み、5分15秒でドリップ完了。ドリップ後は自動で1時間保温される

煎りたてのコーヒーはやっぱり“新鮮”!

できあがったコーヒーをカップに注ぎ、早速ひと口。飲んだ瞬間に感じたのは、強く豊かな香りと、雑味の少なさだ。自宅焙煎ならではの「新鮮さ」が芳醇な香りを生み出すととともに、「ダブル焙煎方式」によって均一に焼き上げるため、味にまろやかさや丸みがあるのだ。そしてなんと言っても、自宅で、自分で焙煎したという満足感はなにものにも代え難い。このワクワクするような楽しさを得られるだけでも、「カフェプロ503」を使ってみる価値は大いにあるのではないだろうか?

「浅め」「深め」で焙煎した豆もドリップしてみたが、いずれも雑味が少なく、コーヒー本来の香りや旨みをしっかり味わうことができた

メンテナンスも簡単。焙煎後は生豆の薄皮が溜まる「チャフ取りケース」の中身を捨て、ドリップ後にはドリッパー、サーバー、水タンクをジャブジャブ水洗いするだけでOKだ

まとめ

どんなに高価な豆を買ってきても、どんなにドリップ方法にこだわっても、そもそも豆が新鮮でなければその風味を最大限に味わうことはできない。とはいえ、「生豆」、「焙煎」と聞くといかにも難解そうで、手が出しづらいもの。奮起して挑戦してみたものの、求められる技術の繊細さにあえなく挫折した人も多いことだろう。その点「カフェプロ503」なら、ボタンをポチっと押すだけでいい。特別な技術も経験も要らず均一に豆を焼き上げることができ、焙煎度合いも狙い通り。新鮮で香り豊かなコーヒーをいつでも淹れられるのだ。自宅で気軽に焙煎ができ、コーヒーの魅力をよりディープに楽しめる「カフェプロ503」。コーヒー通を自負する人にはぜひともチェックしてもらいたい。

【関連リンク】
《2018年》全自動もミル付きも!タイプ別のおすすめコーヒーメーカー12選

雪か企画
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雪か企画
カルチャー、旅、家電、グルメ、ビジネスなどが大好物の制作会社。代官山にて、少数精鋭で営業中。
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