糖質制限に手っ取り早く取り組む方法といえば、ごはんなどの炭水化物を控えること。しかし、幼い頃から主食として親しんできた「ごはん」がない生活はさびしいものです。そこで立ち上がってくれたのが、タイガー魔法瓶。このたび、糖質47%カットでごはんの代用となる「とらひめ」と、「とらひめ」専用メニューを備えた調理器「IH炊飯ジャー<炊きたて>とらひめ JPE-A10Z」(以下、JPE-A10Z)を発売しました。「とらひめ」ってどんな味? いろんなアレンジで食べまくりました!
「とらひめ」とは、タピオカ、こんにゃくなどを加工した米粒状加工食品です。通常のごはん(茶碗1杯分約130gの場合)に比べ、糖質は約47%オフで、カロリーは約50%オフ。なのに、食物繊維は約8倍といううれしいスペックです。「とらひめ」をごはんと置き換えることで、「ごはんを食べたい」という欲求を満たしながら、無理なく糖質制限が行えるというわけです。
JPE-A10Zのサイズは、272(幅)×329(奥行)×211(高さ)mm、重さは約4.5kgと、一般的な5合炊き炊飯器と同じくらい。白米なら1度に最大5.5合炊くことが可能。価格は48,000円(税別)です
なお、JPE-A10Zは「とらひめ」メニューだけでなく、「麦めし」「雑穀米」コースといった健康メニューのほか、少ない消費電力で炊飯できる「エコ炊き」や、米の甘みやうまみをより引き出す「極うま」など、白米の炊飯メニューも豊富に用意されています。
1合が約15分で炊ける「少量早炊き」コースも搭載しているので、時間がない時の食事の準備にも活用できます
「とらひめ」は1袋約80gで茶碗2〜2.5杯(1合くらい)を炊くことができます。1セットに10袋入りで、価格は3,800円(税別)なので、お米よりコストは高め。別添の白い粉は仕上げ粉(うるち米などの粉)で、炊いた後に加えることで粘りを出し、よりお米に近い風味を表現できるそうです
粒は平べったい形状で、あまり米には似ていません
さっそく、「とらひめ」を炊いてみます。1度に炊くことができるのは2袋までで、炊飯時間は77分です。ちなみに、「とらひめ」専用メニューでは米を炊く時とは違う火加減を再現するため、ほかのメニューやほかの炊飯器でうまく炊くことはできないそうです。
内なべに「とらひめ」を入れ、水を加えます。水は1袋で300ml、2袋で500ml。米を炊く時の水の量は1合につき200mlなので、水の量は多め
内なべには「とらひめ」コース用の目盛り線はないので、専用の軽量カップで水を計ります。不便に感じるかもしれませんが、研ぐ必要のない「とらひめ」が入った内なべをシンクと炊飯器の間で行き来させる手間がないので楽です
「とらひめ」と水をなじませるように、しっかり混ぜます。研ぐ必要がないので、普通の米を炊くよりも手軽です(無洗米と同レベル?)
「とらひめ」専用メニューを選択し、「炊飯」を押せば、炊飯スタート。炊いている最中はちょっとこんにゃくっぽいにおいがしますが、気になるほどではありません
約77分後、炊き上がったら、すぐに全体をほぐしてから仕上げ粉をまんべんなくふりかけるようにして混ぜます。しかし、水の量は合っているはずなのに、なんだか水っぽいような? なお、仕上げ粉は必ず炊き上がり直後に混ぜます。時間が経ってから入れると、粉っぽくなってしまうことがあるそう
仕上げ粉を混ぜたら、5分ほどむらすことで水分がなくなり、ごはんに近い雰囲気になります。筆者が何度かやってみて得たコツですが、蒸らした後3分ほど本体のふたを開けたままにしておくと、水っぽさが早くなくなる気がします
炊き上がりの粒はこんな感じ。米よりだいぶ透明感がありますが、けっこうごはんに近いですね
ちなみに、とらひめは保温できない(炊飯後に保温状態になりません)ので、炊き上がったものは早めに食べるか、すぐに冷蔵・冷凍保存します。保温を続けてしまうと、水分が飛んで硬くなる傾向があるそう
まずは炊きたての「とらひめ」をそのまま食べてみました。食感は、ごはんよりもクニクニとした弾力があり、粒ばなれがいいです。硬めのごはんが好きな人なら好意的に受け入れられそう。においはほとんどないですが、よくかんでいくと、ほんのりとお米の甘さとこんにゃくの香りを感じます。とはいえ、これまで筆者が味わってきたこんにゃく米とは比べものにならないほど、においは抑えられていると思います。素の「とらひめ」だけを食べて普通のごはんだと勘違いするということはないでしょうが、すっごくあっさりとしたごはんという感じで、いろいろなおかずや味付けとマッチしそうです。
ごはんほどの粘りはないけれど、ちゃんとお箸で食べられます。納豆と一緒に食べてもおいしかった!
さまざまなシーンを想定し、冷凍→解凍したものや、お弁当に詰めたもの、おにぎりにしたものなどを食べてみました。
冷凍保存しておいたものは、普通のごはんと同じ要領であたためて問題ないようです。解凍しても、べちゃっとしてしまうことはありません。ただ、解凍後は、少しこんにゃくの香りが強くなるように感じました。1度冷凍したものは、チャーハンなどにして食べるのがよさそうです
お弁当箱に詰め、5時間後に食べてもおいしかったです。ただ、おかずの水分でふやけた部分がぱらぱらになってお箸でつかみにくいのと、こんにゃくのにおいが強くなるように感じました。気になる場合は、2段のお弁当箱を使用するなど、おかずとは別に詰めたほうがいいかもしれません
炊き立てをおにぎりにしてみたところ、一応形づけることはできましたが・・・・・・
すごくほぐれやすいです。大きく握ったものは、片手で食べるのには向いてないかもしれません
おにぎりにする場合は、ラップなどでひと口大にぎゅっと握っておいたほうがよさそうです
「とらひめ」を、いろいろな「ごはんもの」にアレンジして食べてみました。
TKT(たまごかけ「とらひめ」)
見た目からして完全にTKG(卵かけごはん)に化けているのですが、味も、完全に硬めのごはんで作ったTKG。粒がぱらぱらと舌の上でほぐれる食感まで美味。硬めのご飯が好きな筆者は、こちらのほうが好みです
お茶漬け
ごはんで作るお茶漬けの何が嫌いかって、デンプン質が溶け出てお湯がドロドロになるところ。「とらひめ」を使用すると、お湯がドロドロになりにくいので、本物のごはんで作ったものよりもすっきりさらっと食べられます
炊き込みごはん風
本当は、炊飯時に使用する水を出汁に替えて「炊き込みとらひめ」を作りたかったのですが、そのような使用法は本体の不具合の原因になりかねないとのことで、断念。代わりに、永谷園「松茸の味お吸い物」を混ぜて味付けしてみたところ、ちゃんと炊き込みごはんのようになりました! 少し時間をおくと、味がなじんでよりおいしかったです
カレー
ごはんを「とらひめ」に置き換えるだけで、カレーもあっさり食べられます。濃いめの味のおかずに合うので、レトルトの牛丼の具などをかけても◎
チャーハン風
チャーハンは、期待通りパラパラの仕上がり。夜中に大量に食べてしまったのですが、心なしか、普通のチャーハンより胃もたれしないような気がしました。ちなみに、チャーハンにする場合は、炊飯後に仕上げ粉を混ぜないほうがよりパラパラの仕上がりになります
オムとらひめ
ケチャップで味付けしても、べちょっとすることはありません。ケチャップで炒める&卵で巻くことで、完全にごはん化けしています
「とらひめ」は味もにおいもほとんどなく、食感も変にやわらかすぎたりしないので、NGなアレンジはありませんでした。個人的には、カレーなどの「とらひめ」がそのまま残るアレンジよりも、チャーハンやたまごかけといった、「とらひめ」全体に何らかの味付けをまとわせる調理法のほうが、よりおいしく食べられました。
「とらひめ」を食べまくっていて思ったんです。「これ、アレンジによっては言われなきゃ気づかないんじゃない?」と。そこで、何も知らない姉で検証。食べてもらうのは、卵と混ぜることで視覚情報をもっともかく乱しやすい卵かけです。
「ちょっとこの卵かけごはん食べてみてよ!」と出したところ、勝手に「おいしい卵を使っている卵かけごはんなんだな」と判断したようで、ごはん部分に関してはまったく疑っていません。
「うん、うん。あー、やっぱり卵かけごはんておいしいよね〜」としみじみしたようで、ひと口、ふた口とそのまま箸を進めます
気持ちいいくらい、きれいにだまされてくれました。ちなみに姉は、すごいグルメというわけではないですが、味オンチでもない、ごく一般的な味覚を持った30代です。ネタばらしをしたところ、「えー!? 確かに言われてみれば食感が違うけど、ぜんぜんわかんなかったー!」と驚いた様子。「とらひめ」すごい。
今回、いろいろなアレンジで「とらひめ」を食べてみましたが、アレンジによっては本物のごはんよりも好みの味わいになることもあり、糖質制限中のごはんの代用として、大いにアリだと思いました。
糖質制限や炭水化物抜きダイエットをしたことがある方ならわかるかと思うのですが、ごはんをはじめとした炭水化物は、「おいしい」だけではなく、「便利」なんです。疲れて帰ってきた夜も、「今日は納豆ごはんで済ませよう」とか、ちょっと料理をしたとしても、「チャーハンでいいや」とか、手軽におなかを満たせる点が、炭水化物の「おいしさ」に並ぶ魅力で、多くの人が炭水化物を控えることが難しい理由のひとつなんだと思います。そういった意味でも、「とらひめ」は糖質制限にかなり役立つと言えるでしょう。
気になるのは米よりもコストがかかる点ですが、JPE-A10Zは、「とらひめ」以外の炊飯メニューも豊富に備えているため、「とらひめ」の使用頻度を調整できるので安心。毎日食べるのはもちろん、基本的にごはんを控えたいけれど、どうしてもカレーやチャーハンが食べたい時にだけピンポイントで「とらひめ」を使用するといった、フレキシブルな対応ができます。糖質制限を続けられるかわからないという人でも購入してむだになることはないので、「とらひめ」がすごく気になる! という方なら、思いきって取り入れてみる価値はあるのではないでしょうか。
美容・健康家電を中心に新製品レポートやレビュー記事を担当。時には体を張って製品の実力をチェックします。