発売前の製品を一定数のユーザーに使用してもらい、フィードバックされた感想を今後の開発やマーケティングに生かす、パナソニックの先行体験プログラム「Future Star Program」の第1弾として登場した自動計量IH炊飯器「SR-AX1」が2023年7月上旬に一般発売されます。先行体験の応募期間は2022年11月15日〜2022年12月25日で、台数は200台でしたが、約1万件の応募があったとのこと。先行体験といっても無料ではなく46,000円(税込)必要だったにもかかわらず、予定していた枠の約50倍にあたる応募があったことから、この製品のコンセプトに対するニーズが高かったと言えそうです。
一般的な炊飯器は、洗米した米と水を入れた内釜をセットしますが、「SR-AX1」は本体に搭載された「米びつ」に米を、「水タンク」に水を入れておけば、炊飯したい量の米とその合数に適した水が自動で計量され、炊飯が始まります。水タンクの水は炊飯のたびに交換しなければなりませんが、米は最大2kg(13合分)セットしておけるので、都度、米びつに入れる必要はありません。つまり、水さえ準備すれば、後は「SR-AX1」におまかせ! スマートフォンと連携させてスマホアプリ「KitchenPocket」で操作できるので、外出先から炊飯を始めたり、予約した炊き上がり時間などをスマホアプリで変更したりできます。なお、遠隔操作で炊き上がり時間を変えられるので、保温機能は非搭載。洗米機能も搭載していないため、使用できるのは無洗米のみです。
炊飯容量は0.5〜2合で、サイズは176(幅)×336(奥行)×336(高さ)mm。消費電力は470Wです。市場想定価格は46,000円(税込)
スリムなデザインなので、設置場所を取らないのもいいところ。同社のパーソナル食洗機「SOLOTA」と並べても、コンパクト!
本体上部に米びつを内蔵。最大2kg(13合分)の無洗米が入れられます
本体後方には、水タンクを配置しています。容量は、最大炊飯量の2合分(600mL)。ふたを開けて水を注ぎ入れるか、水タンクを取り外して水道で直接補充するかを選べます
内釜は、本体前側の下部にあるおひつの中にあります
おひつを開けると、内釜が出てきます。おひつのふたの中央にある穴から米と水が投入される仕組み
おひつ(内釜)の下にはIHコイルと重量センサーを搭載
炊飯が始まると水と米が内釜に投入されますが、一気に投入するのではなく、正確な量を計量するため、水と米を少量ずつ交互に投入していくのがポイント。重量センサーを使い、最適な加水比(炊飯量に応じた米に対する水の割合)になるように、リアルタイムでフィードバック補正しながら投入量を自動調整します。そして、水と米の投入が完了すると、設定した炊飯コースで炊飯がスタート。
おひつの上部にはすき間がありますが、水や米を投入する際には「投入ノズル」が出てきておひつの天面にある穴とつながります。投入が終わると、「投入ノズル」は格納。炊飯中に出る蒸気は本体にある蒸気通路を通り、本体後方の蒸気口から排出されます
搭載されている炊飯コースは「銀シャリ(ふつう・かため・やわらか)」「早炊き」「カレー」「おかゆ」ですが、全コースを選べるのはアプリからのみ。本体では「銀シャリ ふつう」と「早炊き」の2種類しか選べません。また、炊飯量も本体で選べるのは0.5合、1合、1.5合、2合ですが、アプリを使えば0.25合刻みで設定可能。予約炊飯もアプリからのみ設定できる機能となります。
操作は本体とスマホアプリ「KitchenPocket」のどちらからでも行えますが、スマホアプリを使ったほうが炊飯コースや炊飯量を細かく設定できます。食感や予約炊飯の設定もスマホアプリでないと行えません
マホアプリを使えば細かく設定できるだけでなく、外出先から操作できるのがいいところ。炊飯器に保温機能は搭載されていませんが、帰宅時間に合わせて炊き上がるように炊飯をスタートすれば問題なし。予約しておいても炊飯が始まる前に時間を変更すれば、帰宅したタイミングで炊きたてを味わえます
なお、米の量は重量センサーで計量するので、内釜に投入された後となります。そのため、設定した炊飯量より米の残量が足りなかった場合、米の残量に合わせた炊飯切り替わり、アプリにその通知が届き、米の残量に合わせた炊飯をする/しないを選択することに。米びつのふたには窓があるので、定期的に残量を確認しておきましょう。ちなみに、内釜に投入する前の段階で米の残量を確認できるように、今後、アプリのアップデートで対応していく予定とのこと
自動計量機能は、ただ手間が減るということだけがメリットではありません。一般的な炊飯器は、浸し工程の後、沸騰にいたるまでの時間から炊飯量を推測して火力を調整していますが、「SR-AX1」は自動計量なので、最初から炊飯量を把握できます。そのため、沸騰に向けて温度を上げていく段階から炊飯量に合わせた炊飯プログラムを実行可能。炊飯量が変わっても、安定した炊き上がりが期待できるといいます。
炊飯プログラムは、無洗米に合わせた専用のものを開発。ごはんの甘みを出すためには60度付近にするといいのですが、無洗米は中まで均一に吸水させるのが難しいのと、すっきりとした味を出すことを考慮して、前炊き温度を低め、時間を長めに設定したといいます。また、炊き上げの沸騰時には、最適な火力で沸騰を維持して米の中まで糊化するようにしているとのこと
今回開催されたメディア向けセミナーでは、「SR-AX1」で炊いたごはんを試食することができました。「銀シャリ ふつう」の炊飯時間は52〜60分です。
ごはんが炊き上がったら、おひつを引き出します。おひつは熱くならないので、素手で持つことが可能。また、おひつの底面は2重底になっており、そのすき間に風を通すことで高温にならないようにしているため、そのままテーブルに置けます
おひつのふたを取ると、ツヤツヤのごはんが! おいしそうー
食べてみると、もっちりしていながら粒立ちのある食感。近年のトレンドに合わせて、通常の炊飯器よりもしゃっきりとした炊き上がりになるようにしているといいます。計量から炊き上がりまで自動で、この炊き上がりなら大満足!
空になった内釜はおひつから取り出し、おひつのふたと一緒に洗いましょう。おひつの下の部分は汚れないので毎回洗わなくてもいいそうです。つまり、炊飯のたびに洗うのは内釜とおひつのふたの2点のみ。水タンクの水を入れ替える必要はありますが、準備や片付けが楽ですし、炊飯器の近くにいなくてもごはんを食べるタイミングに合わせて炊飯を始められるのは魅力的です
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。