生クリーム、お好きですか? 「どちらかといえば好きだが、そこまで食べるわけではない」という方が多いのではないでしょうか。その理由として、そもそも生クリームを泡立てるのが大変なのですよね。結果的に、生クリームを食べる機会が少ないということに……。私もそうだったのですが、先日「生クリッチ」なる機械を発見。なんと“生クリームを泡立てるためだけの機械”とのこと。あまりにもニッチすぎませんか?
こちらが「生クリッチ」
「生クリッチ」は、爪切りや刃物で有名なメーカー、貝印の製品です。生クリームが好きすぎる貝印社員の小林さんが、生クリームへの熱い想いによって商品化にこぎつけた……というから尋常ではありません。
本体一式と、充電用のUSB Type-Cケーブルが同梱されています。本体サイズは87(幅)×196(高さ)×87(奥行)mmで、重量は390g
「生クリッチ」が生まれた背景は、前述のとおり、生クリームを泡立てるのが大変だということ。生クリームを泡立てたい場合、泡立て器やハンドミキサーを使用する必要がありますが、両手がふさがるし洗い物も多いしコードがじゃまだし……と、結構な手間です。容器を冷やしておく必要があったり、生クリームが飛び散ったりすることもあり、できれば避けたい作業かも。
そんな手間を解消してくれるのが「生クリッチ」です。コンセプトは、「ボタン一つで誰でも手軽に生クリームを泡立てることができる」こと。生クリームを入れてボタンを押すだけで、泡立て具合を検知して自動でホイップしてくれるとのこと。コードレスで、容器内で完結するために飛び散る心配もなく、かなりお手軽そうです。
シンプルな構造
構造はシンプルで、本体(いちばん上の電動部分)、中間パーツ、ウィスク(中間パーツに取り付けます)、カップの4つのパーツで構成されています。本体以外は洗えて、食洗器も使用可能です。
さっそく、「生クリッチ」で生クリームを泡立ててみましょう。まずは充電が必要なのですが、ここで重要なのがフル充電の状態で使用すること。充電式の家電の中には、フル充電でなくともOKなものも多いですが、「生クリッチ」はフル充電にしておくのが上手に泡立つポイントということで、使用する前に3時間しっかり充電しておきます。なお、3時間のフル充電で約10回使用可能です(自動モードで、生クリームの使用量は100mL/回を想定)。
充電が完了したら、本体と中間パーツを取り外し、カップの目盛り線まで生クリームを入れます。1回で100mL泡立て可能。市販の生クリームは200mLパックのものが多いので、ちょうど2回分ですね。注意点としては、脂肪分率30%以上の生クリームを4〜8度に冷やして使用すること。
多すぎても少なすぎてもうまく泡立たないので、キッチリ入れましょう
ここで、お好みによりグラニュー糖を最大10g程度入れてもいいそうです。
生クリームを入れたら、ウィスクが正しくアダプターに固定されているかを確認しつつ、中間パーツをカップに乗せます。
中間パーツはカップにカチッと取り付けられるようにはなっておらず、乗せているだけなのは注意が必要
そして中間パーツに本体を取り付けます。本体もカチっと固定されずに乗せているだけの状態なので、正しい位置になっているか確認しましょう。
本体を乗せる
後はボタンを押すだけなのですが、「生クリッチ」には「自動モード」と「手動モード」の2種類のモードが搭載されています。ボタンを長押しして起動させると、デフォルトでは「自動モード」になっています。
「自動モード」の状態(「AUTO」が点灯)
もう1度ボタンを長押しするとウィスクが回転し始め、生クリームがほどよく泡立つと自動で停止してくれます。クリームの種類や温度によって異なりますが、1〜4分で回転が停止します。
本当に手を離しても勝手に泡立ててくれる……これはラク!
自動モード終了後
生クリームがほどよく泡立つと自動で停止するのが不思議ですが、公式サイトよると、「生クリームが液状のときはモーターへの負荷は低く、モーター電流値が低いのですが、生クリームが泡立って固くなると負荷が大きくなりモーター電流値が高くなります。この原理を応用したアルゴリズムを用いています」とのこと。
使用シーンを動画で撮ってみました。中間パーツと本体は“乗せているだけ”というのが伝わるでしょうか。もし泡立て中に何かの拍子で倒れた場合、回転は自動で停止する仕組みです。
さて、気になるのは、生クリームのホイップがどのくらいの硬さに仕上がるのかということですよね。「自動モード」のみで泡立てた生クリームは、ヨーグルトくらいのやわらかさでした。
とろっとしていてヨーグルトくらいのやわらかさ
ボタンを押せば、後は手放しで泡立てられるので、その間にシフォンケーキを用意してみました。泡立てた生クリームをかけると、リッチなおやつのできあがり。
シフォンケーキやディップにはこのくらいの硬さがちょうどいいですね
今回はもう少し硬めにしたいので、さらに数分「手動モード」でホイップしていきましょう。
「手動モード」は、ボタンを押している間だけウィスクが回転します。
「手動モード」(「MANUAL」が点灯)
想像以上にどんどん硬くなるので、様子を見ながら少しずつがおすすめ
「手動モード」で2分ほどさらに泡立てると、かなり硬めのホイップに仕上がりました!
クリームチーズくらいの硬さに!
スプーンですくって傾けても落ちないほど硬い
ケーキのデコレーションにまで使える硬さになりました!
まずは「自動モード」で生クリームを泡立て、その後、好みの泡立ち具合になるまで手動で調整するのがいいと思います。硬さを自由に調節できるので、いろいろなシーンに使えそうですね。
ここまで読んでくださった方の中には、「確かに便利かもしれないけど、そこまで生クリームを食べる機会はないし……」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。筆者もそこまで甘いものが好きなわけでもないため、「1年に何回、生クリームを泡立てることがあるかしら」と思ったものです。
しかし、生クリーム愛好家が開発しただけあって、公式サイトにはかなりの数の生クリームアレンジレシピが掲載されています。
プリンやコーヒーはわかるけど、豆腐やすき焼きに生クリームって!?
すき焼きは、「卵ではなく生クリームにつけて頂くことでコクが増して洋風の味わいになります」と書かれていました……それはちょっと勇気がいります。
ただ、いくつか気になるアレンジレシピもあったので、その中から2つ作ってみましょう。
まずは、ポテトフライに合わせる「カレー生クリームホイップソース」。生クリームとカレー粉の組み合わせが意外で、試してみたいと思いました。
作り方は、生クリームを泡立てる際に、カレー粉小さじ1とコンソメ顆粒3gを入れるだけ。仕上がりの味を見ながら塩適量を入れて調整します。基本的に、「生クリッチ」で泡立てるホイップに味を付けたい場合、粉末は攪拌前に、液体調味料は攪拌後に加えるのが鉄則です。
生クリームにカレー粉を入れる瞬間はなぜか少し罪悪感が……
できあがると不思議……! カレーの香りがふわっと香る、おいしそうなディップになりました
ジャガイモを素揚げしたものに添えるだけで、スペシャルなおつまみになりました。もちろん、ファーストフードなどで市販のフライドポテトを買ってくればさらに手軽です。
おしゃれなバーで出てきそうなスペシャルおつまみができました
ポテトに付けて食べてみると、しっかりカレー味なのにホイップがふわふわで軽いからか、ポテトの油っこさを軽減してくれます。普通のディップソースよりも主張しすぎないので、ポテトの食感がより感じられるのもいいですね!
続いては「明太子生クリームホイップ冷ややっこ」。情報量が多すぎて理解が追い付かないのですが、明太子と生クリーム、そして生クリームと冷ややっこが合うのか気になるところ。
作り方は、「生クリッチ」で泡立てた生クリームに、ほぐした明太子60g、8mmほどの角切りにしたアボカド1/4個、レモン果汁小さじ2を混ぜ、冷ややっこの上に乗せます。
ホイップと明太子&アボカドは合うのか……?
最後に、小口切りにした青ネギ、きざみ海苔をトッピングして完成です。
できあがりのビジュアルはおいしそう!
恐る恐る食べてみると……かなりおいしい! 明太子とアボカドの味がしっかりしつつ、ホイップの軽さが冷ややっこのさっぱり感と相性抜群でした。
アレンジレシピはいずれも生クリームに砂糖を加えないものでしたが、甘くないホイップはさまざまな料理に使えるんだなと新しい発見がありました。
こういった泡立て器系の家電はお手入れが面倒なイメージがありますが、「生クリッチ」はお手入れもお手軽。前述のとおり、本体以外の中間パーツ、ウィスク、カップは洗えて、食洗器も使用可能です。
中間パーツもここまでバラバラになります
通常、生クリームを泡立てたらボウルなどの洗い物がたくさん発生するので、「生クリッチ」だけ洗えば済むというのもいいですね。密閉状態で泡立てられるため、周りも汚れません。
今回「生クリッチ」を使ってみて感じたのは、本当に手軽に生クリームを泡立てられるので、“生クリームのある生活”がこれまでよりも身近になるということです。コンパクトかつコードレスなので場所も選びませんし、ボタンを押せば後はほったらかしでOKなので、ホイップを用意するハードルが下がりました。これは結構革新的だと思います。
最初はニッチすぎないか? とも思いましたが、気軽にホイップを作れるので、「こんなアレンジをしてみよう」「これと混ぜて料理に使うとおいしいかも」と、どんどん生クリームの活用法が広がるのを感じました! 生クリームで、いつものおやつタイムや料理、そしておつまみをちょっとリッチにしてみませんか?