筆者の家には、ママチャリやロードバイクやマウンテンバイクなど計7台の自転車があります。それらのタイヤに手動で空気を入れるのはかなり大変なので電動空気入れを探しているものの、なかなかいいものに出会えなかったのですが……、ようやく納得できる製品を発見! それが、ボッシュのコードレスエアポンプ「EasyPump(イージーポンプ)」です。
<ボッシュ「イージーポンプ」のいいところ>
・ロードバイクの高圧なタイヤにも対応
・設定した空気圧に正確に充填できる
・コンパクトサイズ
「イージーポンプ」は自転車全般だけでなく、浮き輪やボールなどの遊具にも使えるので、小型の電動空気入れ(電動ポンプ、エアポンプなど呼び方はいろいろ)が欲しい人はチェックしてみて!
自転車のタイヤにはそれぞれ適した空気圧(適正空気圧)が設定されており、その空気圧にしておくほうが快適に走れるうえ、パンクも防げます。そのため、定期的な空気圧の管理(チェック&補充)が重要。これは、ロードバイクやクロスバイクといったスポーツタイプの自転車だけの話ではなく、いわゆる“ママチャリ”にも言えること。スポーツタイプは1週間に1回(少なくとも2週間に1回)、ママチャリ(シティサイクルタイプ)は1か月に1回は空気圧を管理するのがいいと言われています。
タイヤの空気圧を適正に保っておけば、パンクの9割は防げるそう
電動空気入れの多くは、空気圧の数値を設定してスイッチを入れれば空気が注入され、設定した数値に到達すると自動で運転が止まります。しかし、筆者が過去に使った製品の中には設定した数値を超えても止まらないものがありました。さらに、スポーツタイプの自転車に対応しないものも。スポーツタイプのタイヤは高圧なので、そこまで空気が入れられないものがあるのです。
タイヤの側面に記載されている「PSI」や「BAR」の数値が適正空気圧です。写真のロードバイクタイヤの場合、「80PSI/5.5BAR」が上限なので、この数値近くまで空気を入れるのが望ましいということ。なお、適正空気圧の上限値と下限値の両方が記されているタイヤもあります
その点、「イージーポンプ」は最大圧力150PSI(10.3BAR)なので、高圧のタイヤにも対応します。
ディスプレイに表示されている上の数値が設定した空気圧で、下が現在の空気圧。なお、空気圧の単位は「PSI」のほか、「BAR」「KPS」に切り替え可能です
筆者所有のロードバイクの適正空気圧「80PSI」を設定し、「START」ボタンを押して運転スタート。すぐに空気入れが始まります。下の動画は近い位置で撮影していますが、電動空気入れの中では割と静かなほうではないでしょうか。とはいえ、それなりに音はするので使用する時間や場所には配慮が必要かもしれません。
地面や床に置いた状態で使用してもかまいませんが、運転中は本体が小刻みに振動するので、使用する場所によっては、本体が傷つかないように手で持っておいたほういいでしょう
設定した「80PSI」に到達すると、自動で運転が停止しました。高圧まで安定していましたし、設定した数値でピタリと止まりますし、なかなか性能はよさそう
「イージーポンプ」が1分間に吐出する空気の量は10Lとのこと。今回、空気を入れたタイヤは700×45Cという太めのもので、20PSIくらいまで空気圧が落ちていたこともあり、80PSIに達するのに約4分の時間がかかりました。筆者が過去に使った小型の電動空気入れと比べると、早いほうだと思います。
こまめに空気圧をチェックし、空気入れしていれば、もっと短い時間で完了します
ちょっとびっくりしたのは、バッテリーの減り具合。今回試したタイヤの空気圧が適正空気圧の1/4まで落ちていたこともありますが、タイヤ1本に空気を入れただけで半分くらい減っていました。かなり空気が減っている場合、ロードバイク1台分でバッテリーが切れるということになります。
ただ、それは想像がつくので、残りのバッテリーでママチャリのタイヤに空気を入れてみることにしました。
筆者所有のママチャリのタイヤの適正空気圧は43PSI。高圧ではありません
バッテリー残量1/2の状態から、ママチャリのタイヤ4本に空気が入れられました。ママチャリのタイヤは4本すべて半分以下に空気圧が落ちており、適正空気圧に達するまでの時間は1本あたり2分前後。カタログには連続使用時間約20分(使用条件によって異なる)と記載されていますが、ママチャリのタイヤなどそれほど高圧でないものならスペック値に近い時間使えそう。
ちなみに、ママチャリのタイヤに空気を入れている写真のディスプレイ上部に、設定した空気圧が表示されていないのは、空気圧を設定せずに手動で止める方法で入れたため。空気圧を設定する方法と手動で止める方法が選べます
「イージーポンプ」の重量は430gと、小型&軽量をウリとした製品と比べるとサイズや重量は大きめ。ただ、本体サイズが小さくなるとバッテリー容量やポンプも小さくなるため、パワーが落ち、高圧まで充填できない可能性が高くなります。そうした性能を考慮すると、「イージーポンプ」のサイズは十分コンパクト。重量も持ち運びできる許容範囲でしょう。
本体サイズは49(幅)×106(奥行)×215(高さ)mm(ホース部含まない)で、重量は430g
空気を入れる対象に適合するアダプターをホースの先端に装着して使うのですが、それらを本体に収納できるのも気が利いています。米式バルブ用アダプター、英・仏式バルブ用アダプター、ボール用ニードルアダプター、遊具用テーパーアダプターが付属
ある程度、サイズと重量はありますが、サイクルジャージ背面に付いているのポケットに入るように設計されているので、自転車ツーリングに軽装で出掛ける場合も持ち運び可能
携帯する用途はなくても、コンパクトなほうが収納の場所を取りません。「イージーポンプ」は家で使う電動空気入れとしても選択の候補になるでしょう。
「イージーポンプ」よりも小型で軽量な電動空気入れはたくさんあります。筆者も携帯しやすさに惹かれて試したことがありますが、多くはパワー不足で、高圧タイヤの適正空気圧まで充填できませんでした。しかも、安い製品の中には、「高圧タイヤにも対応」すると記されていても途中で止まってしまうものも……。というか、適正空気圧まで入るときと入らないときがあるのです。
そうしたことを経験してきたため、高圧タイヤに対応し、かつ、性能が安定しているかをしっかりチェックしました。結果、「イージーポンプ」は合格! 12,540円(税込)というメーカー希望小売価格も、性能の高さと使いやすさ、浮き輪などにも対応するマルチさを考慮すると妥当だと思います。
ビーチボールもご覧のとおり! 5分ほどかかりましたが、電動なので手間には感じません
バッテリー残量が少なくなったら、付属のUSBケーブルを使って充電しましょう。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約3時間かかります
ちなみに、メーカーは推奨していませんが、バイクと自動車のタイヤに試してみたところ、ちゃんと空気が入れられました。充填後、専用の空気圧計で確認しましたが、「イージーポンプ」で設定した空気圧と同じだったので大丈夫そう。
「KPA」表記の最適空気圧を「PSI」に換算すると、バイクの220KPAは約31PSI、自動車の350KPAは約50PSIと、ロードバイクのタイヤより低いので、バッテリー消費も少なかったです