選び方・特集

省エネなのに冷房も暖房も効く! 最新エアコン買い替えガイド

Part3 メーカーごとに見るエアコンの特徴&ラインアップ

どれも同じような見た目のエアコンだが、メーカーごとに特色がある。期間消費電力量などの省エネ性能を比べるのはもちろんだが、センサーの働きや気流の違いもチェックし、自分が快適と感じる空間が作れるかを考慮しよう。ここでは、省エネ性能に優れるフラグシップモデルを紹介するとともに、それぞれのメーカーがラインアップしているシリーズの違いにもふれておく。

ダイキン「うるさら7 Rシリーズ」

サーキュレーターのように空気が回る冷暖房

ムラのない冷暖房ができるサーキュレーション気流

一般的なエアコンが天面に設置している吸い込み口を下面にも装備することで、まるでサーキュレーターを併用しているかのような循環する気流を実現。これにより、室内の温度ムラが軽減されるほか、部屋が設定温度に達するまでの時間が従来の約1/2になった。

加湿機能でうるおう&快適&節電

加湿機能をエアコンに搭載しているのは、「うるさら7 Rシリーズ」のみ。保湿効果で肌や髪の毛がうるおうだけでなく、同じ温度でも湿度が上がると温かく感じる“体感”を利用したエコ運転ができるようになっており、“控えめ”の温度設定でも暖かを実現。もちろん、給水いらずで加湿できるので手間もかからない。

湿度と温度を併用した快適な“体感温度”を追求しているダイキンは、冷房時は「除湿冷房&ゆらぎ気流」で設定温度28℃でも涼しく感じるエコ運転を完備。もちろん、宅外からエアコンをスマートフォンで操作できる遠隔操作にも対応するほか、酸化分解力の高い「ストリーマ」がフィルターに捕らえたカビや花粉などに効用する機能も備えている。また、「うるさら7 Rシリーズ」だけでなく、下記で紹介している全シリーズに「R32」を搭載。

パナソニック「Xシリーズ」

スピード暖房も節電もエアコンにおまかせ

エアコンが学習するから朝もすぐに温風が出る

他メーカーのエアコンでも暖房時に温風がすぐに出る機能があるが、その仕組みは、起床時間を設定しておくことで先に霜取りをさせるというもの。つまり、“予約”しておく必要がある。パナソニック「Xシリーズ」は、よく利用される朝の時間帯をエアコンが2つまで記憶し、その時間帯の前に予熱運転を開始するという“学習”機能を完備。さらに暖房運転中は、霜取り運転のタイミングの前に室内を暖めておくことで、霜取り運転に切り替わっても体感温度が下がらない快適暖房を実現している。

遠隔操作だけでなく家の様子もチェック可能

主要メーカーの大半のモデルがスマートフォンで遠隔操作できるが、パナソニック「Xシリーズ」は外出先から操作するだけでなく、センサーで人の動きを検知することで、部屋にいる人の様子もチェック可能。子供の帰宅状況や離れて暮らす家族の様子などを、さりげなく確認するのにも役立つ。また、リモコンからスマートフォンに定型メールを返信できる機能も備える。

新冷媒「R32」を採用するにあたり、吸い込み口や風回路などの設計を一新することでさらなる効率化を実現。熱と動きを分析し、人の居る場所や間取り、日射に合わせて気流や温度を調整する「エコナビ」も搭載しており、節電もバッチリ。保湿や脱臭にも効果がある「ナノイー」は放出できるだけでなく、エアコン内部の菌やカビの繁殖も抑える。また、フィルターの自動お掃除機能は、除去したホコリは自動で屋外に排出されるので「○年に一度手動で破棄する」といった手間もない。

三菱電機「霧ヶ峰 Zシリーズ」

頭から足元まで“心地いい”を「ムーブアイ」が実現

手足の先まで測れる&狙えるセンサー

人の居る場所と人の温度を同時に測定できるのが、「ムーブアイ」の強み。「霧ヶ峰 Zシリーズ」は、3,008エリアを検知するサーモカメラで体の部位まで判断し、温度をチェックしてくれる。0.1度単位で体の表面温度を測ることができるので、暖房時ならば、冷えやすい手足をピンポイントで温めることが可能。加えて、間取りや日射熱など部屋全体を感知して体感温度を分析しているので、きめ細やかな快適さが得られる。

ハイブリッド運転で節電しながら快適

冷房時は送風と冷房を体感温度に合わせて自動で切り替え、暖房時は天井付近に暖気がたまったタイミングで「サーキュレーターモード」に切り替えて熱を再利用するハイブリッド運転を搭載。冷房時の送風は約15Wという消費電力なので、快適と節電を両立したい人にはうれしい機能だ。

フラップが2つに分かれた仕様となっているため、2つのエリアをそれぞれに快適な体感温度で冷暖房できるのも三菱電機のエアコンならでは(下位モデルは除く)。体感温度の違う家族が同じ部屋で使用する時に、重宝する。さらに熱交換器や通風路など、エアコン内部の汚れを軽減する特殊コーディングやPM2.5に対応する帯電ミクロフィルターなど、空気の“キレイ”も追求。スマートフォンでの遠隔操作も可能だ。

日立「ステンレス・クリーン 白くまくん Zシリーズ」

温度と人を見る2台のカメラでムダなく快適

部屋全体も人の動きもキャッチする2つのカメラ

人の位置や活動量を見る「画像カメラ」に加え、人の周囲温度を感知する「温度カメラ」を搭載。2つのカメラで「人数」「熱源」「距離」を細かくセンシングし、ムダのない冷暖房が行える。さらに、部屋の形や大きさに適したスイング幅と風量を放出できる「間取りサーチ」機能を利用すれば、間仕切りを変更しても最適な空調が可能。

キレイな空気を放出するステンレスのチカラ

従来から徹底しているのが、エアコン内部の清潔。通風路やフィルターにステンレスを使っているが、「ステンレス・クリーン 白くまくん Zシリーズ」ではフラップにもステンレスを採用した。ステンレスは帯電しにくいためホコリが付きにくく、さらにステンレスに含まれる金属イオンが菌に接触すると菌を抑制できる効果がある。掃除がなかなかできない内部を清潔に保つことで、キレイな風を提供。

暖房運転では、床面温度を約30℃で暖めるモードを搭載。床暖房のように足元から温まるため、頭寒足熱を実現できるという。さらに、約55度の高温風でのスピード暖房や、時間を予約しておくと約30秒で温風が吹き出すモードも完備。エアコンをスマートフォンで操作する機能も備えている。

東芝「大清快 GDRシリーズ」

いち早くPM2.5に対応した電気集じん方式エアコン

PM2.5を捕まえて自動で外に排出

空気中の汚れを帯電させる「プラズマ空清」の集じん部を従来の約2倍に拡大したことで、集じん性能も倍増。電気集じん方式で、ウイルスやカビ菌を99%抑制するだけでなく、花粉やPM2.5も捕獲し、屋外に排出する。また、脱臭、肌や髪への潤い効果のある「ピコイオン」を同時に発生させることも可能。

1時間約1円の冷暖房ができる

冷房時、暖房時ともに能力(kW)の最小値が「0.2」となっており、今回紹介した7モデルの中で一番小さな数値となった。能力の最小値が小さいほど細やかな運転ができることを示しているのだが、それを実現できたのは東芝独自の技術「デュアルコンプレッサー」にある。コンプレッサーの内部に2つのシリンダーを搭載しており、大きな能力が必要な時は2つ、小さな能力でいい時には1つと使い分けることで、ムダな電力を使わず温度変化の少ない運転を実現。この働きを利用し、消費電力約55Wで冷房や暖房ができる「涼風運転」「保温運転」も備えている。ただし、控えめに冷やすor暖める程度なので、外気温が低めの夏の日や春先の肌寒い時期に役立つモードと言えるだろう。

節電につながるセンサーは、人の位置・動きを検知する「人サーチセンサー」と「日あたりセンサー」を搭載。ecoモードに設定すれば、これらのセンサーが作動し、ムダのない冷暖房を行ってくれる。使用時間を設定しておけば、暖房運転開始約1分後に約40度の温風が吹き出る「ダッシュ暖房」も完備。スマートフォンによる遠隔操作にも対応する。

シャープ「プラズマクラスターエアコン D-SXシリーズ」

包み込む気流で健康を考えた快適空間

ロングパネルと床温度を検知するセンサー

冷房時と暖房時で開き方が変わる「ロングパネル」を搭載。冷房時はロングパネルが上向きに開くことで天井や壁面に沿うように部屋を冷やし、暖房時は下向きにロングパネルを開くことで足元に温風を届ける。さらに、床面を64分割して温度を検知する「足冷えまセンサー」を利用すれば、冷房時は足元の冷え過ぎを抑え、暖房時は冷えているエリアを優先的に暖めることが可能。直接体に当てずに包み込むような風を生み出すことで、快適で健康的な空調を提案している。

空気も洗濯物もプラズマクラスターでクリーン

シャープの家電ではおなじみの「プラズマクラスター」をエアコンにも搭載。ウイルス、カビ菌、アレル物質といった汚れを浄化してくれるだけでなく、家具や部屋に染み付いたにおいを分解・除去する効果もあり。プラズマクラスターを放出しながら、暖房と除湿で洗濯物を乾燥させる「部屋干しモード」も完備。

ほかにも注目したい機能が、低めの温度で暖房する「15℃暖房運転」。電気代が1時間約5円と低ランニングコストなうえに乾燥を防ぎ、部屋を暖め過ぎないので就寝時などにピッタリ。また、同じ温度でも季節で体感温度が異なることに着目し、外気温の変化に加えて季節に適した設定で運転するエコモードも備えている。暖房運転と同時に霜取りを行う「ノンストップ暖房」もあり、暖房を多用する人には心強い。運転状況や有効なエアコンの使い方などを音声でアドバイスする「ココロエンジン」や、スマートフォン連携機能も備える。

富士通ゼネラル「nocria Xシリーズ」

サイドからの送風を組み合わせた世界初の冷暖房

異なる2つの気流が放出される新感覚空間

センターと両サイドに吹き出し口を搭載し、それぞれから異なる温度の気流を放出する新機構を採用。センターの吹き出し口からは通常のエアコンと同様に「冷暖気流」が放出され、サイドからは部屋の温度と同じ「室温気流」が放出される。この2種類の気流で空気が循環されることにより、冷房時は温度ムラ・冷やし過ぎが軽減され、暖房時は暖気を足元に届けることが可能に。さらに、扇風機やサーキュレーターを併用した時のような控えめ運転での冷暖房ができるので、節電にもつながる。

居る場所を測って快適エコ

温度センサーがリモコンとエアコンに内蔵されており、人の居る場所と天井付近の温度から計測して冷やし過ぎや暖め過ぎを発見すると運転をセーブするエコモードを完備。さらに、エアコンには人感センサーが搭載されているので、人の有無で控えめ運転に切り替えたり、運転の停止もしてくれる。

暖房運転を続けたまま霜取り運転を行う「あったかキープ暖房」を新搭載。室温が低下しにくいので、エアコン暖房だけでも快適に過ごすことができる。また、新冷媒「R32」を採用し、従来よりも高出力・高性能な熱交換器やインバーターを搭載することにより、省エネ性能を向上。1つリモコンに「nocria」シリーズを5台まで登録することができるので、別室のエアコンを1つのリモコンで操作することも可能だ。スマートフォンとエアコンをリンクさせて操作もできる。

中村真由美(編集部)
Writer / Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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