価格.comのアイロン 人気売れ筋ランキングで1位に輝くパナソニックの衣類スチーマー(NI-FS360)の新モデル「NI-FS470」が発売された(2016年4月13日現在)。NI-FS470の外観は従来と同じなので大きな進化はなさそうに見えるが、劇的に性能と操作性が向上している。そのヒミツと実際に使った前モデルとの相違をお伝えしよう。
ハンガーに衣類を吊るしたままシワを伸ばせる衣類スチーマーにおいて、スチームの出具合は仕上がりの大きな差となる。従来はタンクから水を吸い上げる部分が前方に固定されていたため、ハンガーにかかった衣類にアイロンをかけようと垂直にするとアイロンの傾きや水量の減りとともに水が吸い上げられなくなり、スチームが出にくくなることがあった。そこで、NI-FS470は給水部分を可動式にし、どの角度にアイロンを向けても給水部が水に届くように改良。さらに、スチームを放出する際に押すボタンの高さを増大することで、操作性を高めた。
ほぼ同じデザインの新旧モデルは、サイズも両機とも70(幅)×140(高さ)×150(長さ)mm。給水部の仕様が改良されたためか、重量はNI-FS470のほうが10g重い690gとなっている
給水の仕組みは視認できないので、図版でチェック。従来は前方に給水部があったため水が届かない時には吸い上げられなかったが、NI-FS470ではチューブ+おもりでアイロンの傾きにあわせて給水部が動くようになり、360°どの角度に傾けてもスチームが出る
ボタンを押している間だけスチームが出る仕様なため、ハンドル部分にボタンを装備。前モデルより2mm高くなっただけだが、使いやすさが違うという
その他の仕様は同様だが、おさらいの意味も込めて紹介しておこう。準備は水を入れて電源をONにするだけ。温度調整はできない
アイロン面も従来どおりフラットな形状で、5つの穴から出たスチームが広がるように溝が設けられている
見た目にはわずかな違いしかない新旧モデルだが、実際にアイロンがけして使い勝手がどれほど異なるのかをチェックしてみよう。まずは、付属のカップいっぱいの水を入れて、スチームの放出具合の変化を調べてみた。
付属のカップの満水である50mlの水を注入。取扱説明書によると、約4分間スチームが放出できるそう
立ち上がりの早さもパナソニックの衣類スチーマーの魅力。両機とも、約30秒で準備OKの状態となった
アイロンを少し生地から離し、スチームだけでシワを伸ばしていく。生地を少し引っぱりながら行うとやりやすい
1分ほどでYシャツの前側の片面のシワが伸ばせた。正直、シワののび具合には新旧モデルで差はない印象だ
ボタンの高さが増した操作性については、若干人差し指の力の込め具合がNI-FS470のほうが少なくて済むように感じた。出っ張りが大きくなったぶん指がかけやすくなったことが、力の低減につながったのかも
Yシャツの前側すべてのシワを伸ばしたあたりで、前モデルのスチームが出にくくなった。水の残量を見てみると、半分も残っている!
スチームが出なくともアイロン面を生地に当ててシワを伸ばすこともできるが、約2分でスチームが出にくくなる前モデルは少々不便。アイロンを垂直にした状態で、NI-FS470のほうが1分以上長くスチームを放出することが確認できた
ハンガーにかけた衣類のシワを伸ばす際には、非常に改良が価値があると確認できたが、普通のアイロンがけではどうだろうか。パナソニックの衣類スチーマーにはかけ面があるので、アイロン台を利用したアイロンがけにも対応する。
普通のアイロンがけもスチームがあったほうがシワの伸びがいいので、放出のためのボタンは押したまま操作。だが、このスタイルではボタンの高さが増したメリットは感じず。給水部分がどちらも同様に水に届くので、仕上がりの差はなかった
アイロン面がフラットなので、プレス処理もバッチリ。アイロンの重量は軽いが、めいっぱい力を込めなくても、きっちり折り目をつけることができた
使用開始から終了時まで安定したスチームの供給ができるようになったことが実証できたので、ガンコなシワや女性物の衣類にも問題なく対応できるのかを検証してみた。
生地が熱と圧力でテカらないようにアイロン面を当てずにスチームだけで行ったが、スーツの肘の部分に付いた深いシワは視認できないレベルで伸ばすことができた
プリーツがゆるんでしまったスカートだが、タグが付いていないため生地の種類がわからず。万一のことを考え、スチームのみで折り目をつけてみたところ、しっかりとしたひだが復活!
ちなみに、スチームで脱臭もできる。メーカーによると、飲食臭やタバコ、汗、防虫剤のニオイが約90%除去できるという。試しに、冬の間一度も洗濯していないショールにスチームを当ててみたところ、付着臭がしなくなったような気がした
シワを伸ばし始めた段階では新旧の差を感じることはなかったが、途中からは歴然の差を実感した。前モデルでは約2分後にスチームの出が悪くなったため、ボタンを何度も押し直したり、アイロンを振ってみたり、アイロンの傾きを変えたり悪戦苦闘。給水すれば問題は解決するものの、水が半分も残っているのに「なぜ、スチームが出ないのか?」とイラッとすることもあったが、給水部が水に届いていなかったとは……。今回の改良で得られた快適さは、前モデルを使っていた身からするともっとも不満だったことが解消された大きな進化である。2016年4月13日現在の価格.comの最安値を見てみるとNI-FS470は前モデルよりも約4,000円高いが、その差額以上の価値があるのは間違いない。
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。