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国内主要メーカーからも続々発表。 有機ELテレビはテレビ市場の救世主になるか?

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ソニー「BRAVIA KJ-55A1」

ソニー「BRAVIA KJ-55A1」

今年2017年は、「有機ELテレビ」の本格普及元年となりそうだ。これまでは、韓国・LGエレクトロニクスの製品だけが国内でも先行販売されていた形だが、国内の主要メーカーからも、すでに3月に製品を発売している東芝をはじめ、5月の連休明けには、ソニー、パナソニックからも相次いで有機ELテレビの新モデルが発表された。これら新モデルも6月には発売される予定で、今夏のボーナス商戦にはなんとか間に合いそうな状況となっている。このように、急激に製品の選択肢が増え始めた有機ELテレビだが、はたして、低迷が続く国内のテレビ市場の救世主になり得るのか。「価格.comトレンドサーチ」のデータを基に考察してみた。

相次いで発表された国内メーカー製有機ELテレビ。各メーカーの人気動向は?

図1:「薄型テレビ」カテゴリーのアクセス数推移(過去6か月)

図1:「薄型テレビ」カテゴリーのアクセス数推移(過去6か月)

この連休明けからにわかに騒がしくなってきた、有機ELテレビまわりの状況であるが、価格.com上ではどれくらいのインパクトをもって迎えられているのか。まずは見てみよう。図1は、過去6か月における「薄型テレビ」カテゴリーのアクセス数推移を。「価格.comトレンドサーチ」で示したものだが、これを見ると、長期にわたって凋落傾向にあったアクセス数が、4月末を境に下げ止まっており、5月に入った頃にわずかではあるが、上昇に転じていることがわかる。この動きは、上記の国内メーカーによる有機ELテレビ新製品発表のタイミングと合致しており、このニュースが、薄型テレビ市場に若干のインパクトを与えていると言ってよさそうだ。ただ、その盛り上がりはまださほど大きくはなっておらず、低迷が続く国内の薄型テレビ市場に対するカンフル剤になると言えるほどではない。実際のインパクトに関しては、これらの新モデルが発売される6月のアクセス状況を確認する必要がありそうだ。

図2:「薄型テレビ」カテゴリーの主要5メーカー別のアクセス数推移(過去6か月)

図2:「薄型テレビ」カテゴリーの主要5メーカー別のアクセス数推移(過去6か月)

図2は、「薄型テレビ」カテゴリーにおける主要5メーカー別のアクセス数推移を示したもの。これを見ると、人気トップは東芝で変わっていないが、この半年でもっとも下落が激しい。1月11日に、国内メーカーとしてはもっとも早く、有機ELテレビの市場投入をアナウンスした東芝だが、その時点ではある程度注目度を高めたものの、その後は大きくアクセスを減らしている。製品が発売された3月上旬にもアクセスは下落を続けており、現状そこまで東芝の有機ELテレビが注目を集めているとは言いがたい。むしろ、このアクセス下落の背景には、東芝本体の経営状況の不安定さなどが大きく作用していそうだ。

続く2位グループは、ソニー、パナソニック、シャープの3つ巴状態となっているが、直近の2週間くらいでソニーが他の2社を引き離し、首位の東芝に迫る勢いとなっている。アクセスが上昇したタイミングは、ソニーが有機ELテレビの新製品を発表した5月8日前後からとなっており、明らかに有機ELテレビの発表がソニーのアクセス状況に大きな影響を与えていることがわかる。なお、5月10日に初となる有機ELテレビを発表したパナソニックに関しては、アクセスにさほどの影響は出ていない。ほぼ同時期に、有機ELテレビの新製品を発表した両者だが、注目度という点では明暗が分かれた形となっている。

なお、有機ELテレビの開発では、一歩先を行くLGエレクトロニクスであるが、有機ELという分野ではそれなりの存在感を国内市場でも示しているものの、液晶テレビも含めた総合ラインアップでは、まだ国内メーカーには届かないといったところ。しかしながら、同社も3月中旬に、有機ELテレビの新ラインアップを発表しており、4月上旬より販売を開始している。その人気という点では、まだまだ動きは弱いものの、今後国内の有機ELテレビ市場全体が活気づいてくれば、一気に2位グループに追いつく可能性もあり、予断を許さない。

最新モデルでの注目度No.1は、ソニー「BRAVIA KJ-55A1」。他モデルの動きは鈍い

図3:有機ELテレビ・人気5製品のアクセス推移(過去1か月)

図3:有機ELテレビ・人気5製品のアクセス推移(過去1か月)

図3は、この1か月における、有機ELテレビ・人気5製品のアクセス推移を示したものだ。従来から人気のあったモデルとしては、先行するLGエレクトロニクスの「OLED55B6P」がある。この製品は、約1年前に発売された55型の有機ELテレビのエントリーモデルだが、30万円を切る戦略的な価格設定によって、昨年の段階ではほぼ唯一の有機ELテレビの人気モデルとなっていた。その高いコストパフォーマンスによる人気は今でも継続しており、国内メーカー各社による有機ELテレビの新製品発表の波に乗って、直近でも注目度を高めている。また、3月上旬に発売された、東芝「REGZA 55X910」も、この「OLED55B6P」を追いかける展開になっていたが、盛り上がりとしてはやや欠ける部分があり、直近でもさほどのアクセス上昇は見られない。

東芝「REGZA 55X910」

東芝「REGZA 55X910」

これに対して、5月8日の発表以降一気に注目を集めているのが、ソニー「BRAVIA KJ-55A1」だ。現状、注目度の高さでは、1年前に発売された人気モデルるLG「OLED55B6P」を抜いており、「薄型テレビ」カテゴリーにおける注目ランキングでも現在首位となっている。なお、ソニーの65型モデル「BRAVIA KJ-65A1」についても比較的注目度は高めで、サイズの大きな65型としては現状トップの人気となっている。なお、5月10日に発表されたパナソニックの55型モデル「VIERA TH-55EZ950」に関しては、現状ではソニーや東芝ほどの注目度を集めるには至っていない。

図4:有機ELテレビ・人気5製品の最安価格推移(過去1か月)

図4:有機ELテレビ・人気5製品の最安価格推移(過去1か月)

図4は、上記5モデルの最安価格推移を示したもの。LG「OLED55B6P」については、その戦略的な価格設定もあって群を抜いて安く、現状でも22万円台というプライスをつけている。ただし、これはある種特別な例であって、現状の有機ELテレビの相場は、55型で50万円台、65型で60〜70万円台というのが一般的だ。そういう点から見ると、ソニー「BRAVIA KJ-55A1」は発売前の予価でありながら、すでに44万円台のプライスをつけており、相場からしても比較的安いと言うことができる。パナソニック「VIERA TH-55EZ950」も、現状で48万円台のプライスをつけており、おそらく6月の発売以降は、一気に40万円を切ってくる可能性も大きい。そうなると、これまでの有機ELテレビの相場よりはだいぶ安く感じられるので、購入を検討する人も増えてきそうだ。これに対して、先行発売されている東芝「REGZA 55X910」は、実勢価格で56万円台のプライス。もちろん機能性の違いがあるので一概には言えないが、ライバル製品と10万円以上の価格差が開くことになり、やや苦戦を強いられそうだ。

LGエレクトロニクス「OLED55B6P」

LGエレクトロニクス「OLED55B6P」

なお、65型では注目度の高いソニー「BRAVIA KJ-65A1」は、発売前の予価で71万円台のプライス。6月の発売以降は60万円台前半まで価格が下がってくることも予想される。こちらも、65型としては結構割安な部類になってくるため、一気に人気が高まることもあり得そうな展開だ。

このように、今夏のボーナス商戦で大きな注目を集めそうな有機ELテレビであるが、メーカーではソニーの製品が、注目度、価格の両面から、他者を一歩リードしている状況といえる。ソニーについては、4K液晶テレビの発売時にも注目度で他者を一歩リードしてきた実績があり、今回もおそらくそのような展開になるだろう。低迷の続く薄型テレビ市場を大きく盛り返すだけのインパクトは現状ではないが、それでもテレビの画質にこだわるアーリーアダプター層を中心に一定の注目を集めそうだ。

なお、国内各メーカーは現在、大画面テレビ向けの有機ELパネルの生産を行っておらず、有機ELパネル自体の供給は、どのメーカーもほぼすべてLGエレクトロニクスからのものとなると言われている。パネルが同じなら、画質もさほど変わらないのではないかと思われるかもしれないが、実際には、各メーカーの画質チューニングや、高画質技術によって、画質は大きく変わってくるので、ぜひ店頭などで実際の画質を確認しながら、各メーカーの有機ELテレビの違いを感じ取ってほしい。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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2017.12.12 更新
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