筆者の大好きなものといえば、1にビール、2にオーディオ、3・4はなくて、5にゴルフとなります。ゴルフは社会人になってから始めたので、その歴史はまだ40年になりませんが、オーディオに興味を持ち始めたのは中学生頃なのですでに40年以上、ビールにいたってはほぼ半世紀(?)といった具合でしょうか。そんな筆者ですが、オーディオに関しては、吟味し気に入ったものを購入して長年使い続けることをモットーとしていることもあって、このコーナーではあまりオーディオ関連グッズをご紹介した記憶がありません。しかし、先日このコーナーでも披露できそうなオーディオグッズを購入したので今回ご紹介いたします。
それがこちら。なかなかカッコいいケースに入っています
今回ご紹介するのは、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社が発売したノイズキャンセリングインナーイヤーヘッドホン「RAYZ」。ポイントはiPhoneのLightning接続専用で、ノイズキャンセリング機能を搭載していること。ノイズキャンセリング機能搭載のヘッドホンは、通常は電池などの外部電源が必要ですが、「RAYZ」はLightning接続による本体からの電力供給が可能。そのため、外部電池は必要ありません。また、最大48kHz/24bit対応のDACをリモコン部に搭載。Lightning接続により本体に収録された音楽などはデジタルデータとして出力、リモコン部でアナログに変換され、ヘッドホンで再生されます。
箱をあけると中身はこんな感じ。箱への収納方法もおしゃれですね。全般的にシックで高級感があります
iPhone7になってからイヤホン端子がなくなったため、以前からLightning接続のヘッドホンを探していたこともあり、名だたる音響メーカーが作った「RAYZ」を選びました。なお、筆者が購入した「RAYZ PLUS」ならばケーブルに充電用ポートが装備(世界初)されているので、充電しながら音楽や通話を楽しめます(この機能は「RAYZ PLUS」のみで「RAYZ」にはありません)。
これまで筆者は、ノイズキャンセリングヘッドホンとしてはBOSEの「QC15」を5年ほど、日常用のヘッドホンとしてはインナーイヤータイプのEtymotic Research の「ER4S」を17年ほど愛用しております。今回は、それぞれと比較しながら「RAYZ」の実力をチェックしてみましょう。なお、音質の好みは食べ物と一緒で人によってまったく異なります。今回の記事はあくまで筆者個人の感想であり主観なので、人によっては違う印象を持たれるかもしれません。
筆者が購入したカラーリングは、落ち着いたたたずまいのブロンズ。ほかにも、グラファイト、オニキス、アイスがあります。ちなみに今回はiPhone6 PLUSで試聴しています
ハウジング部分はこんな感じ。イヤホンチップを外した状態と取り付けた状態で撮影しました
プラグ部分も本体同様ブロンズカラーで統一
こちらが充電用のLightningポート。プラグに近い位置にあります
充電するとこんな感じになります
こちらはインラインリモコンで、一番下の大きめのボタンがスマートボタン。最初はノイズキャンセリング機能のオン・オフが設定されていますが、専用アプリをダウンロードすればほかの機能も設定可能(専用アプリをダウンロードしなくても音楽再生は可能です)
最初に、ノイズが消える仕組みを簡単にご説明しておきましょう。まずは本体に設置されたマイクが気になる外部のノイズを検出しノイズの波形を分析します。と同時に、その波形とまったく逆の波形の音を作り出します。それを音声信号にミックスすることで、ノイズの波形と作り出した波形が合体してフラットな波形になり、そのノイズだけが聞こえなくなるわけです。ちなみに、「RAYZ」では本体に6つのマイクが搭載されており、高い効果が期待できそうです。
筆者が愛用しているBOSEの「QC15」は最新機種ではありませんが、搭載されているノイズキャンセリング機能はかなり強力で、スイッチをオンにした瞬間に周りのざわざわ感が消えて静寂の世界に包まれます。これは何度繰り返しても感動的ですらあります。
通常はノイズキャンセリングシステム搭載のヘッドホンには電池が必要です
筆者が過去に使ったことがあるインナーイヤーヘッドホンのノイズキャンセリング能力はチープなものが多く、特にオーバーヘッドタイプのヘッドホンとの差は顕著でした。また、ノイズキャンセリング機能をオンにすると極端に音質が低下してしまい「あまり使い物にならないなあ〜」というのが正直な印象でした。しかし、最新機種だけに「RAYZ」は想像以上にノイズキャンセリング効果が高く、オン・オフ時の音質差もあまり感じません。インナーイヤータイプのヘッドホンにしては高いレベルです。特に電車や飛行機内で聞こえる“ゴー”という雑音はきれいに消えます。しかも、アップル社が提供する第2世代LAM(Lightning to Audio Module)技術を採用しているため低消費電力も実現しているとのこと。
さすがに、BOSEの「QC15」のような静寂とはいきませんが(遮音性能の違いもあるのであくまで実際に使ったときの筆者の印象です)、実用性の高いものでした。ただし、構造上の問題なのか、インナーイヤーヘッドホンにしては、やや音漏れが気になります。大音量で鳴らしたいときは周囲の環境に十分配慮するようにしてください。
ちなみにアナログ端子とLightning端子の両方にヘッドホンを接続した場合は、アナログ端子側は音が出ず、Lightning端子側は使えました
街中の雑踏にはさまざまな雑音があります。全般的に高い能力を発揮するRAYZのノイズキャンセリング機能をオンにすれば、車のクラクションや振動をともなうほどの極端に大きな音は別にして、街中の雑音はかなり抑えられます。話し声や自動車やバイクなどの走行音、音楽や館内放送といった街中にありがちな雑音はあまり気にならないレベルまで抑え込んでくれるので、小さめのボリュームでも音楽に集中できます。
ただし、街中では周りの音が聴こえにくくなることで、思わぬ事故やトラブルに巻き込まれることがあるので、ご注意ください。
電車内の雑音には、線路と車輪が発する走行音やモーター音、車内アナウンス、他人の話し声などがあります。また、地下鉄では独特のゴーっという走行音も気になります。RAYZを装着すれば、こうした雑音はあまり気にならなくなります。特に、ゴーっという一定の音量の雑音には効果を発揮します。逆に、線路のつなぎ目で発するガタゴトをいう音までを抑え込むまでには至りません。
なお、ノイズキャンセリング機能を使えばボリュームを小さくしても音楽を楽しめますが、RAYZは構造上どうしても音漏れがあります。満員電車など人の近くで使用する場合は周りの音を極端に気にする方もいるので、音漏れの程度を確認しておくのがよいでしょう。
最近の自動車内はかなり静かになっていますが、それでもエンジン音やロードノイズはあります。しかし、RAYZがあれば、こうした雑音からはかなり逃れらます。さすがに、車内での会話、路面のつなぎ目や凸凹道でのゴトゴト音は完全に消し去ることはできませんが、音楽を鑑賞するのに充分な環境を提供してくれます。
ただし、運転者が装着することは厳禁ですぞ!
飛行機でのフライト中は、常にエンジンの轟音や機内のエアコンの送風音にさらされています。実はこのRAYZのノイズキャンセリング機能が最も効果を発揮するのは飛行機内での使用だと思われます。100パーセントとはいえませんが、機内特有のゴーっという大きな雑音はかなり軽減されます。音楽はもちろん映画鑑賞でも快適に楽しめます。また、「RAYZ PLUS」であれば、Lightning 端子にRAYZを挿入した状態でも充電できます。長時間続けての利用が可能なので、長距離フライトでの移動が多い方は、「PLUS」を選ぶことをおすすめいたします。
なお、機内での無線タイプのヘッドホンの利用については、航空会社や機材によって対応が異なります。航空会社によっては、一切の電波を発する規格を禁止している場合もあるので、その点からはLightning 端子を利用するRAYZのほうが、無線タイプのヘッドフォンよりも汎用性が高いといえそうです。
筆者愛用の「ER4S」は、原音を忠実に再生するピュアなサウンドが特徴です。解像度が高く、伸びる高音から低音までをきれいに再生します。さらに、遮音性が非常に高いので、ノイズキャンセリングシステムがなくても周囲の音から遮断された状態で音楽に集中できます。欠点は低音がやや弱く感じることと、インナーイヤーヘッドホンに多い、「さ行のささり」があること。
なお、「さ行のささり」とは、「さ・し・す・せ・そ」が「さぁ・しぃ・すぅ・せぇ・そぉ」と強調して聞こえる現象です。また、「ER4S」ではあまり感じませんが、機器によっては「た行」でも同様の現象があります。
「RAYZ」は、全体的に厚みのある力強いサウンドが印象的で、バランス的には中低音が強く感じられます。その分、高音の伸びがやや不足している感じがして、ボーカルが少しこもり気味という印象です。一方で「さ行のささり」や「た行のささり」はほとんど気になりません。このあたりは、さすがオンキヨーとパイオニアという音の開発に生きてきた専業メーカーとしての実力が発揮されているといえそうです。
なお、最近は低音域がドンと鳴る音質を好む方が多いようで、「RAYZ」もこうしたことをふまえてチューニングをしているのではないかと思われます。
耳が痛くなるほど奥まで差し込まないとちゃんとした音質で聞けないため(ほかにも不満はありますが…)、正直使い勝手は相当に悪い「ER4S」ですが、それでも筆者好みのサウンドを奏でてくれるので手放せません
「RAYZ」には、1種類のシリコン製のイヤホンチップが6個付属(S・M・Lが各2個)。そのうち2個は最初から本体に取り付けられています。やわらかめの素材で装着感は悪くありません
専用アプリをインストールすればさまざまな機能が使えるようになります。「RAYZ」を装着した状態でも周囲の音を確認できる“HearThruモード”、「RAYZ」を外すと自動で再生を停止、装着すると自動で再生を再開する「オートポーズ」など魅力的な機能が用意されています。しばらくはエージングも兼ねて「RAYZ」と付き合うことに決めた筆者でした。
無料で提供されるアプリを「RAYZ」と組み合わせれば、こうしたさまざまな機能が便利に使えるようになります
主に東京の湾岸エリアに生息しているが、中国、タイ、インドネシアなどでの発見情報もあり、その実態は定かではない。仲間うちでは「おっちゃん」と呼ばれることも。