高画質テレビを高音質で楽しもう!

テレビと相性抜群! スリム&高音質な薄型AVアンプ4選

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「4K/HDR」「有機EL」などのホットトピックで盛り上がりが続く薄型テレビの世界。さて、せっかくテレビが“高画質”になるなら、そこから流れる音声だって“高音質”にしたい。手軽にサウンドバーを設置するのもイイけれど、サウンドの質を徹底的に極めるなら、AVアンプの導入もアリだ。そこで注目したいのが、テレビラックに収まるスリムサイズの“薄型AVアンプ”である。メーカー各社の最新モデル4機種を、AV評論家・鴻池賢三氏がレポートする。

薄型テレビが盛り上がる今こそ、テレビと組み合わせやすいスリムな“薄型AVアンプ”に注目!

薄型テレビが盛り上がる今こそ、テレビと組み合わせやすいスリムな“薄型AVアンプ”に注目!

<目次>
1.そもそもAVアンプとは?
2.AVアンプのトレンド
3.テレビと組み合わせるなら断然“薄型”タイプ!
4.メーカー別・薄型AVアンプ最新モデル4選

1.そもそもAVアンプとは?

今やAVアンプが持つ機能は盛りだくさんだが、その基本は家庭内の音声(Audio)&映像(Visual)をたばねる“センター”という役割である。BDレコーダー、ゲーム機、オーディオプレーヤーなど、ありとあらゆる映像/音声ソース機器をAVアンプに接続しておけば、それらをワンタッチ操作で切り替えて、映像や音声を、接続したテレビやスピーカーから出力できる。つまりAVアンプが1台あれば、そこを中心にして、家の中で映画、ゲーム、音楽など多岐にわたるコンテンツを快適に楽しめるのだ。

リビングにおけるAVアンプの接続イメージ。テレビやサウンドバーなども複数の入力系統を持つが、AVアンプは映像/音声ともより多くの入力端子を備えているケースが多い

内部には高品位なパワーアンプを搭載しており、接続するスピーカーの駆動力もパワフルだ。好みのスピーカーを使ってこだわりの再生環境を構築できる。搭載するパワーアンプの数は5ch〜7ch程度の製品が多く、ユーザーの環境にあわせて2chステレオ〜7.1chといった多チャンネルのアンプとして利用可能。また、コンテンツや好みにあわせて音に演出を加える、多彩な「サラウンドモード」もAVアンプの魅力だ。

さらに近年のAVアンプは、Wi-Fi接続機能を標準搭載し、ネットラジオやネットワークオーディオも手軽に楽しめるようになっている。むしろサラウンド機能をオマケと考え、コストパフォーマンスの高いネットワークプレーヤー/アンプとして利用するユーザーも増えているほどだ。

2. AVアンプのトレンド

AVアンプに搭載される機能は、そのときどきのオーディオ&ビジュアルの時代を反映する鏡のようだ。“入出力インターフェース”に関して言うと、HDMI接続が当たり前になって久しいが、最新モデルは時代の流れを汲んで4K/HDR信号への対応も進んでいる。裏を返せば、型落ちモデルの購入を検討する際は、所望の機能を備えているかどうかの確認が必須だ。

AVアンプのメイン入出力インターフェースがHDMIになって久しいが、伝送スペックもしっかりHDMI規格にあわせて進化しており、最新モデルでは4K/HDR信号のパススルーにも対応する

“ホームシアター用の音声フォーマット”としては、天井にスピーカーを設置し、上方向の音場再現によって立体的なサウンド再生を行う「Dolby Atmos」「DTS:X」が近年話題だ。従来のサラウンド方式(チャンネル式)とは異なる“オブジェクト方式”を採用した最新の音声技術で、これに対応するAVアンプも増えている。製品選びの際は、自身の用途やこれからの拡張性もふまえ、確認しておきたいポイントだ。

ネットワーク経由でのハイレゾ音源再生といった、“音楽再生”も、今やAVアンプが得意とする機能。カジュアルな使い方も可能で、スマホと組み合わせて内部の音楽をAirPlayでワイヤレス再生したり、 Spotifyなどの聴き放題サービスをよりよい音で楽しむこともできる。普段はイヤホンで聴いているスマホ内の音楽を、ワイヤレスでアンプとスピーカーから再生し、大迫力で楽しめるというわけだ。

ひと昔前のAVアンプは多機能ゆえに操作が複雑になりがちだったが、最新モデルのほとんどは、専用のスマホアプリが用意されていて、視認性のよいスマホ画面から簡単に操作が行える。上の画像は、今回フィーチャーしたAVアンプ製品の専用アプリ(左から、オンキヨー「Onkyo Controller」、パイオニア「iControlAV5」、ヤマハ「AV CONTROLLER」、マランツ「Marantz 2016 AVR Remote」)

3. テレビと組み合わせるなら、断然「スリムタイプ」

AVアンプの歴史は、本格的なホームシアターで用いる大型タイプから始まったが、現在では、リビングのテレビとも無理なく組み合わせられるコンパクトモデルが登場している。特に縦のサイズが10cm前後のスリムタイプが人気だ。テレビラックにもスッキリ収められるのがうれしい。

テレビラックに無理なく収納できるコンパクトサイズで、リビングにぴったりな薄型AVアンプ(画像はヤマハの製品ページより:http://jp.yamaha.com/products/audio-visual/av-amplifiers/rx-s601__j/?mode=model)

過去、スリムな薄型AVアンプは、筐体を薄くするために音質やパワーが犠牲になるケースも多かった。しかし現在は、各社が注力するカテゴリーだけあり、音質も飛躍的に進化している。大型タイプに引けを取らない音質と機能を凝縮したタイプ、あるいは高効率なデジタルアンプの採用によって小型軽量化を達成したモデルなど、ユーザーの用途や好みに応じて選択することができる。AVアンプを一般家庭のリビングに置くなら、断然スリムタイプがおすすめだ。

4.メーカー別・薄型AVアンプ最新モデル4選

ということで、今回はオーディオ機器メーカーが手がける薄型AVアンプの最新4モデルをピックアップ。テレビを使ったホームシアター用途はもちろん、リビングでオーディオを楽しむ場合も想定し、映画鑑賞と音楽鑑賞の両面からクオリティをレビューしていこう。スピーカーにはKEF「Qシリーズ」を使用した。個性のある4台、あなたの家のリビングにピッタリなのはどのモデル?

オンキヨー「TX-L50」(左上)、パイオニア「VSX-S520」(右上)、ヤマハ「RX-S601」(左下)、マランツ「NR1608」(右下)

上から、オンキヨー「TX-L50」、パイオニア「VSX-S520」、ヤマハ「RX-S601」、マランツ「NR1608」。TX-L50とVSX-S520はとにかく7cmという薄型ボディが際立つ。RX-S601は縦11cmともっとも高さがあるが、奥行きをかなり縮めているのがわかる。NR1608は奥行きが大きいが、高さはRX-S601より小さい10cm程度を実現

4-1.独自音場補正「AccuEQ」搭載のスタイリッシュ機! オンキヨー「TX-L50」

「TX-L50」は、後述するパイオニア「VSX-S520」と共通点が多いモデル。内部にデジタルアンプを採用することで、本体の高さを7cmまで薄型化している。このデジタルアンプは6ch分を内蔵しており、5chサラウンドスピーカーにパッシブ型のサブウーハーを加えて5.1chシステムが構築できるようになっている。パッシブ型のサブウーハーはアクティブ型に比べると選択肢は狭まるが、比較的安価なのがうれしいポイント。限られた予算でサブウーハー付きの5.1ch環境を実現するなら、AVアンプの本体価格に加え、こうした部分にも注目するとよいだろう。ちなみに、別途サブウーハー用のプリアウト端子も備えているので、アクティブ型のサブウーファーも接続できる。

オンキヨーオリジナルの音場補正技術「AccuEQ」や、人間の聴覚原理に基づく解析から自然なサラウンド音場を生成するという独自の「Theater-Demensional」技術を採用していることも特徴。薄型の本体ながら、リビングにおいても高品位なサラウンド再生が行えるように工夫されている。そのほか、小音量時の音声クオリティを高める「オプティマムゲイン・ボリューム」、小さなレベルの音を自動補正する「レイトナイト機能」など、リビングなどの大音量が出しにくい環境でも豊かな音質を再現できる機能を搭載する。

定格出力80W/ch(4Ω、1kHz、THD+N 1%以下)の5.1ch出力モデル。HDMI端子は4K/HDR/HDCP2.2に準拠し、Dolby AtmosとDTS:Xにもアップデートで対応する。Wi-Fiも内蔵しており、ネットワーク経由でのハイレゾ再生にも対応。radiko.jp、TuneIn、AirPlayなどの再生が行えるほか、アップデートでChromecastにも対応する

まずはテレビとの相性を確認すべく、録画番組をあれこれ視聴してみた。音楽番組を再生すると、テレビの内蔵スピーカーはもちろん、サウンドバーとも格の違いを感じる。本機なら、音楽が持つ情緒的な部分まで引き出すことができるのだ。2ch再生でも重厚かつパワフルな低域が象徴的で、浮かび上がってくるグルーヴ感に心がおどる。普通のテレビ放送がここまで楽しめることを知ったら、もう元に戻ることはできないだろう。Amazon Fire TV Stickでの動画再生も同じで、スマホの内蔵スピーカーやイヤホンなどではできないサウンド表現の領域に踏み込んで音を聴かせてくれるので、コンテンツが高音質だったことにおどろく。同時に、俳優やアーティストとの距離もぐっと近づいたように感じられる。

ネットワーク経由によるハイレゾ再生の音質も上々。パワフルなので、大きめのスピーカーもしっかりドライブできるのが特徴だ。たとえば、ポール・マッカートニーの「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」を再生すると、ベースが重厚かつ音階表現も豊かで絶品である。

4-2. 独自技術「MCACC」を搭載する小型軽量機! パイオニア「VSX-S520」

上述のオンキヨー「TX-L50」と、この「VSX-S520」は、同時期に発表・発売されたいわば“姉妹機”の関係である。本機も6chのデジタルアンプを内蔵する5.1ch出力モデル。パッシブ型のサブウーハーを接続でき、加えて通常のサブウーハー用プリアウト出力も備えている点など、TX-L50と共通している。本体の高さもTX-L50と同サイズの7cmで、非常にスリム。ただ本機のほうは、シルバーの筐体にダイヤル式のインプットセレクターを採用するフロントパネルのデザインとすることで、よりオーディオ的な雰囲気が備わっている。

パイオニア独自の位相も含めた高度な音場補正機能「MCACC」が利用できることも特徴で、フロントとリアで異なるキャラクターのスピーカーを組み合わせても、音色を近づけやすい。また、サラウンド再生で課題になりやすいサブウーハーの低域遅れ(位相ズレ)を補正する「フェーズコントロール」技術にも対応している。同社のフルサイズAVアンプに搭載されていて、効果にも定評のあるオリジナリティの高い技術だ。

定格出力80W/ch(4Ω、1kHz、THD+N 1%以下)の5.1ch出力モデル。HDMI端子は4K/HDR/HDCP2.2に準拠し、Dolby AtmosとDTS:Xにもアップデートで対応する。Wi-Fiも内蔵しており、ネットワーク経由でのハイレゾ再生にも対応。radiko.jp、TuneInなどの再生が行えるほか、アップデートでChromecastやSpotifyにも対応する。AirPlay再生も可能

上述のオンキヨー製「TX-L50」は、スタイル重視で“機器を目立たせたくない派”にぴったりだが、対する本機はオーディオに興味があって本格的なサラウンド再生も追求するユーザー、“機器の主張を楽しみたい派”に向いていると言える。

基本の音質はTX-L50と同じく良好。デジタルアンプで弱点になりがちな低域の表現は、厚みがしっかりと確保され、音楽性豊かに楽しめる。マルチチャンネル派にとって非常に魅力的な機能であるMCACCの効果も高く感じられる。特にフェーズコントロールは筆者もお気に入り。

B.B.Kingの BD「Live」は、同機能のオンとオフで空間表現がガラリと変わる。オフでは、音がスピーカーの内側に集まって、時には塊のように感じることがあるのだが、オンにした途端に開放的になって、低域に空間性が感じられるようになる。特に、フロントスピーカーから前方奥へと音が伸びる感覚は、部屋が広くなったような錯覚を覚えるほど。狭小住宅でも、本機があればライブハウスのような“非日常”を体感できること請け合いだ。

4-3.クオリティと使いやすさを両立したシンプル機! ヤマハ「RX-S601」

「RX-S601」は、ディスクリート構成のアナログパワーアンプを搭載する5.1ch出力モデル。本体の高さは10cmをわずかに超える11.1cmだが、奥行きは32.7cmと今回取り上げた4機種の中でもっともコンパクト。シンプルに機能性と音質クオリティを求めるユーザーに好適な1台だ。

また、ヤマハのAVアンプといえば、コンテンツにあわせて音に演出を加える「サラウンドモード」の先駆けとなった独自の音場創生技術「シネマDSP」が有名だ。本機にも「シネマDSP<3Dモード>」や、5.1ch環境で仮想の7.1ch環境を作り出す「バーチャル・プレゼンススピーカー」機能をしっかり装備。薄型モデルでも、同社のフルサイズAVアンプと同等の音場創生テクノロジーを搭載している。

定格出力95W/ch(6Ω、1kHz、THD+N 0.9%)の5.1ch出力モデル。HDMI端子は4K対応だが、6系統のうち1つだけHDCP2.2に準拠する。Wi-Fiも内蔵しており、ネットワーク経由でのハイレゾ再生にも対応。Spotify、vTunerなどのサービスや、AirPlay再生にも対応する

マルチチャンネル再生の音質は、BD「Tony Bennett An American Classic」から「Because of you」を再生してチェック。男性ボーカルの表現はアンプの質が問われる要素で、システムによっては硬く耳ざわりになりがちだ。ところが本機は、やわらかく深みのある響きで聞かせてくれる。歌い手の魅力を引き出す能力を持っているのだ。k.d.langが高く歌い上げるシーンも、非常に伸びやかで余裕がある。

オーディオ再生も、一聴してヤマハらしい繊細で潤いを感じる美音であった。ケイコ・リーの「Don't Let Me Be Lonely Tonight」(CD音源)を鳴らすと、アコースティックギターの解像度が高く、立ち上がりも鋭くとらえられていて、音色に奥行きが感じられる。弦の質感まで見えるかのようだ。余韻は透明感が豊かで、消え際もスムーズ。空間の広がりを的確につかめる。ボーカルの抜けのよさ、そこから引き出されるテクスチャ感も豊かで、心地よく音楽に浸ることができた。

そのほかにも、音量を上げなくても低域の量感が豊かに感じられる「Extra Bass」機能に注目したい。本機能をオンにすると、コンパクトなスピーカーを使ったり、サブウーハーなしのスピーカー構成だったりしても、リッチな低域が楽しめるのだ。周囲への音漏れが気になりがちな集合住宅やリビング環境にもピッタリの好機能であろう。

4-4.マニアも満足の本格仕様機! マランツ「NR1608」

今回ご紹介した4機種の中でもっとも新しいモデルである「NR1608」は、4K/HDR信号のパススルーに準拠し、最新のホームシアター用音声フォーマットであるDolby Atmos/DTS:Xにも標準対応する高機能モデルだ。定格出力50W/ch(8Ω、20Hz〜20kHz、THD+N 0.08%)の7.1ch出力に対応し、4Ωスピーカーも駆動可能なハイパワーを誇る。本体高さは10.5cm。内部は音質を最優先としたアナログフルディスクリート構成としている。

加えて、バナナプラグ対応のスピーカーターミナルや、8系統のHDMI入力を備える点など、スリムタイプとは思えない本格仕様も目を引く。省スペース性を気にかけつつも、クオリティや高い機能性を諦めたくないユーザーにとって貴重な選択肢になるモデルだ。

定格出力50W/ch(8Ω、20Hz〜20kHz、THD+N 0.08%)の7.1ch(5.1.2ch)出力モデル。HDMI端子は4K/HDR/HDCP2.2に準拠し、Dolby AtmosとDTS:Xにも対応する。Wi-Fiも内蔵しており、ネットワーク経由でのハイレゾ再生にも対応。AWA、Spotifyなどのストリーミングサービスや、AirPlay再生にも対応する

マルチチャンネル再生の音質は、Dolby Atmos収録のBD映画「Chicago」で確認した。本機は、高度な音場補正技術として定評のある「Audyssey MultEQ」を採用しており、距離や音量に加えて、部屋の環境や視聴位置に左右される周波数特性の乱れを補正してくれる。実際に使用してみるとその効果は高く、簡単にサラウンドサウンドの神髄を最大限引き出せるのがうれしい。

たとえば、「Chicago」の冒頭「All That Jazz」のシーンでは、高さ方向を含む舞台のサイズ感、周囲を取り巻く観客の熱気などの空気感を、よりリアルに感じることができる。効果音の位置関係や移動も明瞭で、アンプの素性のよさと、音場補正の相乗効果を実感できるのだ。

オーディオ再生能力も高く、その音質は、マランツが熟成を重ねてきたアナログアンプの温かみを感じさせるもの。今回は筆者がリファレンスのひとつとしているJane Monheitの「Too Late Now」(CD音源)を再生したのだが、うっとりしてしまうほどにやさしく美しく響かせてくれた。空間が広く開放的で、その中で1つひとつの音が明瞭に主張する。ベースの弾むような表現力が心に響いてくる。マルチチャンネル再生、オーディオ再生とも、クオリティや発展性を求めるAVマニアが満足できるであろう実力を備えている。

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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2017.12.9 更新
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