低価格イヤホン“良品”コレクション

実売3,000円台のハイブリッド型低価格イヤホンの代表格、KZ「ZST」を聴く!

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2種類のドライバーを搭載するハイブリッド型ながら、驚きの3,000円台という低価格を実現しているイヤホンがある。それが中国「KZ」ブランドの製品だ。低価格イヤホン良品コレクション・第11回では、低価格なハイブリッド型イヤホンの代表格とも言える、KZブランドの「ZST」を紹介する。

KZ「ZST Pro」

KZ「ZST Pro」

低価格なハイブリッド型イヤホンの代表格 KZ「ZST」

KZ「ZST」は、ドライバーにダイナミック型とBA型の両方を搭載する、ハイブリッドタイプのカナル型イヤホン。中国の電機メーカー「Shenzhen Yuanze Electronics」が手がける自社ブランド「KZ」の製品で、前述のとおり、実勢価格3,000円台という低価格からは想像できない本格さがウリだ。海外では2016年頃より発売されており、当時、日本では一部のネットショップでしか取り扱いがないため、知る人ぞ知るマニア向けだったが、2017年の春ごろから始まった店頭販売をきっかけに、着実にファンを増やしている。

そんな「ZST」だが、現時点では「ZST Pro」と「ZST」の2種類がある。両モデルともパッケージなどに具体的なスペックの違いが書かれておらず、仕様も再生周波数が20〜40000Hz、インピーダンスが10Ω、音圧感度が106dB/mWと共通しているため、ほぼカラーバリエーション扱いになっているのが不思議なところ。今回は「Pro」の冠が付くパープル版の「ZST Pro」を選んだ。

左がパープル版の「ZST Pro」で、右がブラック版の「ZST」。パッケージ記載の製品名は違うが、Amazon.co.jpでは同じ製品として扱われている

両モデルのパッケージ裏面。左が「ZST Pro」、右が「ZST」。パッケージに記載の仕様は共通だ

両モデルのパッケージ裏面。左が「ZST Pro」、右が「ZST」。パッケージに記載の仕様は共通だ

ちなみに、現在、大手の家電量販店で購入できるのは「ZST Pro」のみ。今回購入したのには、伊東屋国際の正規代理店保証シールが貼られていた。ブラックの「ZST」は現時点ではAmazon.co.jpなどの一部ネットショップでしか購入できず、取り扱い代理店も異なるようだ。

大手量販店で購入した「ZST Pro」には、伊東屋国際の正規代理店保証がついていた

大手量販店で購入した「ZST Pro」には、伊東屋国際の正規代理店保証がついていた

見栄えのよいシースルーボディ。リケーブルに対応

「ZST Pro」のボディは大きめのゴツいデザイン。プラスチック的な質感だが、作りは想像以上に丈夫。またZSTと書かれた紫色のプレート部など、カスタムインイヤーモニターを思わせるボディデザインになっている。さらに中が見えるシースルー仕様で見た目も悪くない。ハウジングが大きいため、ほぼノズルとイヤーピースでのみ耳に固定するが、ボディ自体は軽量のため装着感は悪くない。ただ、耳穴が小さい筆者にはノズルが短めに感じて、若干不安定に思えた。

カスタムインイヤーモニターを思わせる大きめのボディ

カスタムインイヤーモニターを思わせる大きめのボディ

ボディの一部にベント(穴)が設けられた構造。赤丸で囲んだところがベントだ

ボディの一部にベント(穴)が設けられた構造。赤丸で囲んだところがベントだ

ドライバーは、ノズル先端部にBA型を、その後ろにダイナミック型を配置している。ケーブルは着脱式で独自の2ピンタイプ。Amazon.co.jpでは専用のリケーブルも販売されている。使えるケーブルの種類は少ないが、後から音質アップを狙えるのはうれしいところだ。

BA型ドライバーはノズル先端部に仕込まれている

BA型ドライバーはノズル先端部に仕込まれている

短めのノズル。先端にはメッシュパネルが付く。ケーブルは着脱式でMMCXコネクターとは異なる独自の2ピンタイプ。抜けにくいようになっており、挿し込むときには若干力がいる

付属のケーブルとイヤーピース

付属のケーブルとイヤーピース

音質インプレッション

それでは「ZTS Pro」の音をチェックしていこう。今回は、プレーヤーにCOWON「PLENEU J」を用いて、CD音源を中心に、ハイレゾ楽曲(96kHz/32bit以下)でも試聴した。

試聴を始めて感じたのは、一般的なドンシャリイヤホンよりもクリアでいて上品だということ。手元にあったダイナミック型イヤホンの定番モデル、Philips「SHE9700」シリーズと聴き比べてみると、ハイブリッド型ならではの持ち味が実感できる。たとえば、弦楽器のベースやドラムの低音はダイナミック型ドライバーによってしっかりとした迫力が出ていると同時に、ピアノやシンバルなどの高域の音もBA型ドライバーによって明るくキレよく鳴り、ダイナミック型イヤホンでは味わえないサウンドが楽しめるのだ。鳴らせる周波数帯域のレンジが広いのは本機の大きな特徴。周波数特性でいえばドンシャリ気味と言えるが、耳障りなうるささがなく上品さも感じられたのが魅力だ。

気になるのは、中域の周波数帯域の音だ。低い音であればダイナミック型ドライバーが、高い音であればBA型ドライバーがうまく鳴らしてくれるが、その中間点、おそらく中高域前後の音になると若干弱く感じられることがあった。たとえばポップスの男性ボーカルであればさほど気にならないが、女性ボーカルになると、声の厚み、生っぽさが薄れ、声の距離感も遠くに感じる。ハイブリッド型の高級機では、音の一体感をよくするためにボディの内部設計や部品でこのあたりもうまくチューニングするが、本機はそうしたところが価格相応という印象がある。

ちなみに、パープルの「ZST Pro」とブラックの「ZST」で音に違いがあるのかというと、答えは「ある」で、クリアさやボーカルの聴きやすさはパープルのほうがやや上だった。ただ、今回試した両モデルでエージング時間などが違うので、最終的には同じ傾向に落ち着くのかもしれない。

まとめ

KZ「ZST」は、ハイブリッド型ならではのメリットとデメリットが共存している。デメリットとしては、低域に強いダイナミック型ドライバーと、高域に強いBA型ドライバーの中間域の音にウィークポイントがあるため、ある特定の周波数帯域では音の一体感が弱くなる傾向があること。逆にメリットは一般的な低価格ダイナミック型イヤホンでは味わえない、迫力ある低域と明るくキレよく鳴る高域が両方とも楽しめることだ。そのため聴く音楽によって本機は好みがハッキリ分かれると思う。ただ、その音は低価格イヤホンの中ではオンリーワンで、3,000円台で買える製品としては間違いなく希少な存在だ。基本的にドンシャリ傾向のサウンドが好きという方ならもちろん、低価格帯で低域も高域もそれなりに鳴るイヤホンを探している方にも、適した製品と言えそうだ。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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2017.12.9 更新
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