低価格イヤホン“良品”コレクション
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実勢3千円の国産ハイレゾイヤホン、SATOLEX「Tubomi DH298-A1」レビュー

実勢3千円で買える格安なハイレゾイヤホンが発売されている。しかもこの価格帯のイヤホンではきわめて珍しい日本製だ。今回は、そんな割安ながら、性能と品質に強いこだわりが感じられる、SATOLEXのハイレゾ対応カナル型イヤホン「Tubomi DH298-A1」をレビューする。

SATOLEXのカナル型イヤホン「Tubomi DH298-A1」

SATOLEXのカナル型イヤホン「Tubomi DH298-A1」

大阪の大手電子部品メーカーの自社ブランド「SATOLEX」

そもそもSATOLEXは、大阪の総合電子部品メーカー「HOSIDEN」(ホシデン)がコンシューマー向け音響機器などを展開する際に使う自社ブランド。SATOLEXと聞くと、最近になってイヤホンやヘッドホンに注力し始めたブランドという印象を持つかもしれないが、実はホシデン自体は1954年頃より音響機器を手がけており、大手メーカーにも製品を提供している老舗メーカーなのだ。

そんなホシデンの特徴は、国内外の自社工場にて設計開発から生産まで一貫した体制での製品作りを行っている点。特に主力の電子部品はゲーム機やスマートデバイスにも採用されるほど。そのホシデンの高い技術力を元に作られているハイレゾイヤホンが、今回取り上げる「Tubomi DH298-A1」だ。

3千円台というリーズナブルな価格の、日本製ハイレゾイヤホン

「Tubomi DH298-A1」は、9mm径のダイナミック型ドライバーを採用したカナル型イヤホン。最大の特徴は、ハイレゾロゴを取得したれっきとしたハイレゾ対応イヤホンながら、実勢価格が3,000円台と圧倒的に安いこと。価格.com最安価格は3,180円(2016年8月9日時点)で、10,000円前後するのが当り前のハイレゾイヤホンの中では、最安クラスの部類だ。また、割安なイヤホンは海外製のものが多い中、本機は日本製を掲げているのもポイント。前述のとおり、国内メーカーのホシデンにて企画から製造まで行われているので、品質についても抜かりがないのだ。

そんなハイレゾイヤホン「Tubomi」シリーズには、今回取り上げた樹脂筺体を採用する廉価モデル「Tubomi DH298-A1」のほかに、同時に発売されたアルミ筺体の「DH299-A1Si」(実勢販売価格:9,000円台)と、今後発売が予定されている真鍮製筺体の「DH302-A1」の計3モデルがラインアップされている。筺体の素材によって価格は大きく異なるが、実は見た目の形状や搭載されるドライバーユニットについてはどのモデルも共通になっており、筺体の材質の種類で音色の違いを楽しめるようになっているのだ。

一般的なイヤホンのシリーズラインアップでは、ドライバーを変えたり内部のレイアウトを見直したりするものだが、本機は同一のドライバーユニットをシリーズで共通して使用しているのが特徴となっている。

パッケージ表面にプリントされているハイレゾロゴ。その隣には「MADE IN JAPAN」のロゴも記されている

パッケージ表面にプリントされているハイレゾロゴ。その隣には「MADE IN JAPAN」のロゴも記されている

筺体デザインは丸みのあるフォルムで、「Tubomi」という名前のとおり花のつぼみに似た形状。ケーブルの根元付近を大胆にカットしたデザインが特徴的で、本体の大きさは小指の第1関節ほどくらいしかない。樹脂製のため重さも10gと軽量だ。表面は光沢感のあるブラックで仕上げられており、ハウジング側面には、L/Rのチャンネルがプリントされている。ノズルはストレートで、先端には目の細かいスクリーンが備え付けてあった。5,000円以下のイヤホンではスクリーンの処理が雑なのも多いが、本製品はとてもていねいに作られていると感じた。

標準で装着されているイヤーチップはMサイズで、ほかにXS/S/Lの各サイズが付属している。素材は樹脂。遮音性はさほど高くないが、装着感は悪くない。Mサイズはやや大きめで、低音が誇張されている雰囲気がある。気になる人はワンサイズ下のSを選ぶといいだろう。

ハウジング側面。チャンネルの表示がハウジング側面に書かれているためわかりやすい

ハウジング側面。チャンネルの表示がハウジング側面に書かれているためわかりやすい

ハウジング後方を大胆にカットしたデザイン。断面部を赤色に変えているほか、ケーブルの付け根にバスポートが搭載されている

ノズル先端部。目の細かいスクリーンが備え付けられている。エッジの処理もていねいだ

ノズル先端部。目の細かいスクリーンが備え付けられている。エッジの処理もていねいだ

付属の樹脂製イヤーチップ。XS/S/M/Lの4サイズで、標準でMサイズが装着されている。一般的なMサイズのイヤーチップと比べると、やや大きめで低音が誇張気味の印象。ボリュームを落としたいときはワンサイズ下のSを選ぶといいだろう

基本仕様は、再生周波数帯域が20Hz〜45,000Hz、音圧感度が104dB/mW、最大入力が100mW、インピーダンスが32Ω。ケーブル長は約1.2mで、表面に微細な溝を設けることでからまりにくくなっている。プラグはステレオミニプラグで、金メッキ加工が施されている。

ケーブル長は約1.2m。L/Rの分岐はY型で、ケーブル表面に微細な溝を設けることでからまりにくくなっている。プラグはストレートのステレオミニ

音質インプレッション

「Tubomi DH298-A1」の音質であるが、思い切った仕様にすることで個性を打ち出す低価格イヤホンにありがちな、妙なクセがほとんどなく低域から高域まで自然な感じでまとめられている。長時間聴いても心地よく聴けるのは、本機がフルレンジのダイナミック型ドライバー1基という構成であることに加えて、音のバランスがよいことも大きく影響しているだろう。また、バランスのよさが解像感の高さにもつながっており、特定の帯域が大きくマスクされることもない。

低音はキレやタイトさよりも量感が特徴的。ベースやキックなどの力強い低音はよりボリュームが上がる。ズシリとくる重い低音ではなく、ボワ付きの少ないしなやかな低音だ。これは樹脂製ボディならではの音響効果のように思うが、コントラバスのような低めで繊細な低音は単調に聴こえるものの、存在感はしっかり出ている。ボーカルはぐいぐい前にせり出してくるタイプではないが距離感は比較的近く、変な調整をしない素直なサウンドという印象を受けた。高音は比較的クッキリハッキリめに仕上がっている。主張が強すぎる感じがなかったのは好印象で、ヌケやきらびやかさに物足りなさを感じる人もいるかもしれないが、その分、低価格イヤホンにありがちなチープなドンシャリでないのは大きなポイントだろう。

ハイレゾ対応ということで、ChouChoの「Starlog」(96kHz/24bit)のハイレゾ音源を試聴してみた。ハイレゾ音源での強いヌケや広がりはさすがに高級イヤホンに比べるまでもないが、それでもこの価格帯の中ではかなり“ハイレゾらしさ”を堪能できるた。試しにCD音源も聴いてみたが、精細感はやはりハイレゾのほうが上だ。

なお、iPhone SEでiTunesからダウンロードした「Mastered for iTunes」版の宇多田ヒカル「FirstLove」も聴いてみたが、こちらは迫力ある低音が特徴的だった。

まとめ

「Tubomi DH298-A1」は、バランスのとれたハイレゾイヤホンだ。再生周波数帯域は20Hz〜45,000Hzとワイドレンジで、音のチューニングも低域から高域まで割と素直なバランスに仕上がっているように思う。やや中低音寄りのきらいはあるが、それで高域がマスクされることもない。3,000円台という価格を踏まえれば、必要十分な性能を実現している。もう少しデザインが洗練されていれば所有感をさらに満たしてくれたことだろう。手ごろな予算でハイレゾイヤホンを探しているなら、いろいろなジャンルの音楽を幅広く楽しめる本製品は、有力な選択肢となるだろう。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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