低価格イヤホン“良品”コレクション
低価格イヤホン“良品”コレクション

コンビニイヤホンメーカーが手がけた、本気のハイレゾイヤホンを聴いてみた!

1,000円前後のコンビニイヤホンを作るメーカーが、ハイレゾ対応イヤホンを開発した。しかもハイレゾ対応ながら実勢価格は3,500円とお手ごろ。自社設計・製造で品質にもこだわっている。低価格イヤホン良品コレクション・最終回では、多摩電子工業のカナル型イヤホン「TSH-HR500」を紹介する。

多摩電子工業のカナル型イヤホン「TSH-HR500」

多摩電子工業のカナル型イヤホン「TSH-HR500」

高すぎない価格で良質なイヤホンをそろえる「fineEars」

多摩電子工業は、今年で創業32年を迎える老舗メーカーで、創業当時は自動車の車載アクセサリーを中心に開発していたが、平成9年に乾電池式の携帯電話用充電器の特許を国内で初めて取得。それをきっかけに、現在では、携帯電話・スマートフォン関連の充電機器などを年間800万台出荷し、コンビニ向けのスマホ周辺機器ではトップクラスのシェアを誇る。その名前を初めて聞いたという方でも、もしかしたら、これまでに1度くらいはお世話になったことがあるはずのメーカーなのだ。

多摩電子工業のスマートフォン向けの充電機器(一部)。既存ブランドには、「tama’s」(2017年まであった「tama」と統一)や「AXiNG」などがある。大手コンビニエンスストアのセブン‐イレブンやファミリーマートなどでも販売されている

充電機器以外にも、ハンズフリー通話に対応したマイク付きイヤホンのほか、イヤーチップ単品もラインアップしている。こうした細かい製品においても自社工場にてチェック・パッキングが行われているという

また、多摩電子工業はコンビニで買える1,000〜2,000円ほどのイヤホンも昔から手がけており、安いのに音がイイとユーザーからの評判も上々。今回取り上げるカナル型イヤホン「TSH-HR500」は、そんな同社が新しく立ち上げたイヤホン・オーディオブランド「fineEars」にラインアップされる第1弾製品だ。同社の既存のコンビニイヤホンよりグレードの高いブランドとなるが、多摩電子工業らしい“高すぎない価格”と“良質な性能”がウリだ。

上位モデルと同じドライバーを搭載

2017年10月に登場した「fineEars」にラインアップされているカナル型イヤホン3製品。左からハイレゾ対応の上位モデル「TSH-HR1000K」、本稿で取り上げるハイレゾ対応のエントリーモデル「TSH-HR500」、マイク付きのスタンダードモデル「TSH-MG1」となる

「fineEars」には現在、3モデルがラインアップされている。どれもカナル型イヤホンだが、2製品はハイレゾロゴの認証を取得しており、もう1製品はハイレゾロゴがないマイク付きのスタンダードモデルとなる。その中で、「TSH-HR500」は、ハイレゾロゴ認証を取得したエントリーイヤホンという位置づけで、価格.comの最安価格は2018年3月6日時点で3,580円(税込)と、かなりお求めやすい。

2年の開発期間を経て発売された多摩電子工業「TSH-HR500K」。カラーバリエーションとして、ブラック、ホワイト、レッドがラインアップされている

また、エントリーモデルではあるが、上位モデル「TSH-HR1000K」と同じ、9.2mm径のダイナミックドライバーを搭載するのも大きな特徴。このドライバーの振動板には、低価格帯のイヤホンでは珍しい、剛性が高く軽量なチタン素材を採用。ノイズの原因となる歪みを抑えている。再生周波数帯域は20〜40kHz。

また、最後まで改良を重ねたというボディは、2種類の素材が組み合わされている。ノズル部にアルミを、反対側に樹脂を使用。本体の形状は、直線的なたる型ではなく、全体的にゆるくカーブしたデザインで、耳への着け心地もよく、見た目も悪くない。作りもていねいでチープさは感じられない。

ゆるやかにカーブした筐体デザイン。着け心地もよく好印象だ

ゆるやかにカーブした筐体デザイン。着け心地もよく好印象だ

ケーブルは細めで表面にスリットを設けたセレーションタイプ。からみにくくなっているものの、からまないわけではない。ややクセがつきやすいのも少し気になった。ケーブルの線材は99.999%のOFCリッツ線を銀コーティングしたものとなっている。ケーブル長は1.2mでプラグはストレート型のステレオミニピンとなる。

ケーブル表面に細かいスリットが設けられたセレーションケーブルにより、からみにくくなっている

ケーブル表面に細かいスリットが設けられたセレーションケーブルにより、からみにくくなっている

本体に標準で装着されているシリコンイヤーチップはMサイズ。筆者は耳穴が狭いほうなので、標準のMサイズでは人によってはやや小さめに思うかもしれない。イヤーチップはほかにLとSサイズが付属する。

付属のシリコンイヤーチップ。サイズはS/M/Lの3種類

付属のシリコンイヤーチップ。サイズはS/M/Lの3種類

なお、上位モデルは、筐体デザイン(素材はフルアルミ削り出し)が異なるほか、MMCXリケーブル対応、耳掛け式ケーブル、COMPLY製イヤーチップの同梱といった点も異なる。

音質インプレッション

それでは「TSH-HR500」の音をチェックしていこう。Astell&Kernのハイレゾポータブルプレーヤー「AK380」を用いて、ハイレゾ楽曲(96kHz/32bit以下)中心に、CD音源でも聴いた。

試聴を始めてまず感じたのは、存在感のある低域だ。ハイレゾ対応をうたった低価格イヤホンの多くは、高域を強めに出すいっぽう、低域の解像感が低く単調なモデルも少なくない。「TSH-HR500」では、その低域の表現力がスゴい。ドラムスやベースの音を聴いてみると、音の深みや厚み、弾みの強弱がでており、それでいて、音の立ち上がりも早い。低域がしっかり支えられることにより、迫力と安定感が一層強く感じられた。こうしたところは、ダイヤフラムに硬くて軽いチタン素材が使われているからであろう。楽器の音を忠実に再現しているわけではないが、聴いていて気持ちのよくなる音色だ。

高域に関しては、ハイレゾ音源のワイドレンジさがわかるものの、音の伸びや滑らかさが若干足りないように思えた。ハイハットを叩いたような音はいいが、ストリングスやベルなどの高い音の響きはあまり広がりを実感できなかった。この点は価格相応という印象だ。

そのため、トーンバランスで言えば「ドンシャリ」寄りだが、低音の表現力がしっかりしているため、わりとどんな楽曲でもそれなりに鳴らしてくれる。ただ、アニメソングのように一度に多くの音が鳴り、その上にボーカルがあるような楽曲だと、ボーカルの距離感が離れていくような傾向があった。これは特徴的なトーンバランスによるところなのかもしれない。

まとめ

多摩電子工業が初めて手がけたハイレゾイヤホンは、想像以上にコストパフォーマンスにすぐれていた製品だ。5,000円以下のハイレゾイヤホンはライバルも多く激戦区だが、その中で、しっかりとした存在感のある低音を楽しめるのは、「TSH-HR500」の大きな魅力と言えるだろう。低音の質感にこだわりつつ、コスパのいいイヤホンを探している方には、かなり注目できるイヤホンだ。

ちなみに、まだ始まったばかりの「fineEars」だが、今後は、ハイブリッドイヤホンや完全ワイヤレスイヤホンを含めたワイヤレスイヤホン、専用リケーブルなども企画中という。今後の展開からも目が離せない。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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