EPH-100と徹底比較試聴!

あのヒットモデルからどう進化した? ヤマハのハイレゾイヤホン「EPH-200」に迫る

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スマートフォンやDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)で好きな楽曲を聴くスタイルが音楽リスニングの大きな柱となっている今、イヤホン・ヘッドホンの世界はバラエティ豊かに広がっている。

人気のBluetoothモデルや話題のGoogleアシスタントに対応するモデルなど、最新機能を備えつつ個性を持った製品が多数登場しているが、ここでは原音を忠実に再生する「ストイックな音質」のイヤホンを紹介したい。筆者はそのモデルを聴いて、「イヤホンにおける高音質再生の本質」を感じた。世界最大級の楽器メーカーであり、同時にAV機器メーカーでもあるヤマハが開発した「EPH-200」だ。

ヤマハ初のハイレゾ認証ロゴ取得イヤホンにして、初のリケーブル対応イヤホンである「EPH-200」。ヤマハらしい「原音忠実再生」の魅力に迫る!

【関連記事】ヤマハで初めてハイレゾ認証を取得したリケーブル対応カナル型イヤホン「EPH-200」

ヒットモデル「EPH-100」を進化させた新フラッグシップ

EPH-200の製品の位置づけとしては、ヤマハのコンシューマー向け有線イヤホンの新しいフラッグシップ機にあたる。そのベースにあるのは、2011年に発売されるやいなや、クセのない音質とジャンルを問わない再生能力で人気を博したヒットモデル「EPH-100」。このEPH-100の特徴を継承しながら、より原音に忠実な高品位再生を狙ったのがEPH-200というわけだ。EPH-100ユーザーにとっては特に興味深い1台だろう。

メタルボディのハウジング部は、ヤマハのスタッフがこだわりぬいて試聴を繰り返し選定したという、2種類の異種素材が組み合わされている。その内部には、20Hz〜40kHzの再生能力(いわゆるハイレゾ対応スペック)を持つ口径6mmの超小型ダイナミックドライバーを搭載。ヤマハ初の「ハイレゾ認証ロゴ取得イヤホン」となる。近年話題のマルチBAドライバーや、ダイナミック型とBA型のハイブリッド構造を採用したイヤホンなどと比べると非常にコンパクトな作りで、こういった部分も逆に新鮮さを感じる。

EPH-200本体のほか、5サイズのイヤーピースと専用のキャリーケースが付属する

EPH-200本体のほか、5サイズのイヤーピースと専用のキャリーケースが付属する

EPH-100から受け継ぐ個性的な小ぶりのハウジング。背面にはヤマハの音叉ロゴを配置している。独自の2ステージイヤピースは遮音性がよく、装着感も良好だ

イヤーピースを外したところ。ノズルは少々太めで、この中に口径6mmのダイナミックドライバーを搭載

イヤーピースを外したところ。ノズルは少々太めで、この中に口径6mmのダイナミックドライバーを搭載

ベースモデルの「EPH-100」(左)と並べてみると、基本的なデザインなどは共通しているのがわかる

ベースモデルの「EPH-100」(左)と並べてみると、基本的なデザインなどは共通しているのがわかる

ドライバーも、2機種とも同じ6mm口径のものを採用。外観は同じだが、チューニングを変えている

ドライバーも、2機種とも同じ6mm口径のものを採用。外観は同じだが、チューニングを変えている

耳にすっぽり挿入できる小型筐体で、鼓膜に音をダイレクトに届けることができるようにする構造もEPH-100から受け継いでいる

EPH-100で指摘されがちだったポイントが改善!

EPH-200の注目ポイントとして、EPH-100で指摘されていた細かい部分が改善されていることがあげられる。まず、EPH-100はケーブルのタッチノイズが指摘されることが多かったが、EPH-200ではケーブルにセレーション加工を施すことでそれを低減している。さらに、EPH-200はケーブルの着脱にも対応。ヤマハ初のリケーブル対応モデルとなり、MMCX端子を採用することで汎用性も高めている。

EPH-100(左)と、EPH-200(右)のケーブル部。EPH-200はセレーション加工を施すことでタッチノイズを抑えた

リケーブルに対応するコンシューマー向けイヤホンは、ヤマハ初。断線してもケーブルだけ交換できるし、サードパーティー製のケーブルに付け替えて音質カスタマイズもできるようになった

独自開発のMMCXケーブルの接合部を工夫することで、いわゆる耳がけ式での装着も可能

独自開発のMMCXケーブルの接合部を工夫することで、いわゆる耳がけ式での装着も可能

また、デザイン上、筐体のL/RがわかりづらかったEPH-100に対して、EPH-200は右側の筐体のケーブル接合部に赤のカラーを配置したことで、L/Rがすぐにわかるようになった。かなり細かい部分にまで、EPH-100のユーザーフィードバックが生かされているのがわかる。

筐体のL/RがわかりやすくなったEPH-200。EPH-100と並べてみるとわかりやすい(写真右)

筐体のL/RがわかりやすくなったEPH-200。EPH-100と並べてみるとわかりやすい(写真右)

音質チェック! EPH-100からどう進化したか?

それではいよいよ、EPH-200の音質をチェックしていこう。EPH-100と比較しながら、その進化ポイントに触れていきたい。プレーヤーとして組み合わせたのは、オンキヨーのハイレゾ対応スマートフォン「GRANBEAT」。Androidスマホというより、DAPにSIMカードスロットを追加してスマホ化させたようなデバイスで、ヘッドホンアンプの性能もとても高い。

まずは女性ボーカルのハイレゾ楽曲、ダイアナ・クラール「ターン・アップ・ザ・クワイエット」(192kHz/24bit FLAC)を聴く。録音品質のよいアルバムとしてオーディオファンに知られる1枚だ。

先にベースモデルであるEPH-100から試聴した。最初に感じるのは、やはりトーンバランスがフラットであるということ。いわゆる低音が強調されていたり、高域が耳に刺さるといったことがない、あくまでも自然な音色だ。発売されたのはもう6年も前だが、さすが評価の高いモデルだと改めて感心した。製品名に「スタジオモニター」「モニター」といった文言は入っていないが、事実上、音楽制作のモニターイヤホンとしても使えるのではないかと感じるくらいだ。これでも十分によい音である。

しかし、同じ楽曲をEPH-200で聴くと、それを上回っている再現性に衝撃を受ける。フラットなトーンバランスをEPH-100から引き継ぎつつ、EPH-200のほうは基本的な情報量が格段に上がっており、1つひとつの音の立体感が大きく向上しているのだ。何よりも驚いたのは、バックミュージックに対するボーカルの位置関係や口元の大きさの表現。まるで、音楽制作スタジオのスピーカーシステムのような「セッティングの取れたバランス」で鳴っている。

続いて、クラシックのハイレゾ音源、アンドリス・ネルソンズ「ブルックナー:交響曲 第3番」(96kHz/24bit FLAC)を聴いたときには、さらに驚かされた。EPH-200は、曲の始まりの暗騒音までしっかり表現する。EPH-100と比較して、音数が格段に多い。これは小レベルの音の再現性がケタ違いに向上していることを意味する。上下の帯域レンジ、SN比、ダイナミックレンジなど、オーディオ的な表現力が大きく上がったことで、楽曲の抑揚表現に対する追従性も高く、原音の持つ音を正しく表現している。これはまさしく、原音再生という部分で「EPH-100の正常進化版」と表現できるサウンドだろう。

EPH-100(左)からEPH-200(右)へ、何よりもそのサウンドが正当進化していた

EPH-100(左)からEPH-200(右)へ、何よりもそのサウンドが正当進化していた

また、EPH-100とEPH-200を聴き比べてみると、同じボリューム位置でも聴こえる音量が異なっていることに気付く。EPH-200のほうが小さいのだ。つまり、EPH-200を駆動するDAPやスマホには、ヘッドホンアンプ部の駆動力が要求されるということ。事実、オーディオ用ではない普通のスマートフォンにEPH-200を接続してみても、うまく駆動しきれず、上記のようなクオリティの高い音質は表現できなかった。イヤホン駆動の能率を犠牲にして原音再生の忠実性を高めることにシフトした、ストイックな仕様と言えるだろう。

ここがスゴい! スタジオモニタースピーカーを彷彿とさせる音像定位

筆者は普段、高価格帯のオーディオ製品の評論をしており、リファレンスとなる自宅のシステムはスピーカー環境が中心だ。また仕事の関係上、音楽スタジオや録音現場でレコーディングやマスタリングなどに立ち会うこともしばしあるのだが、EPH-200が表現する音、特に音像定位については、セッティングの取れたスタジオモニタースピーカーで聴いているような印象を持った。トーンバランスや音調がフラットなイヤホンは多々あれど、ここまで本質的なモニターサウンドを聴かせるイヤホンはそうそうないだろう。EPH-200の大きな魅力だ。

最後に、EPH-200のサウンドは、現在のオーディオ的要求に見合うようにEPH-100を進化させたものとも言える。最新の高性能DACを備えるDAPと接続し、EPH-100が発売された6年前よりも普及してきたハイレゾの再生を前提としたサウンド。それは、ヤマハ技術陣の職人技という言葉がふさわしい原音に忠実な音だ。EPH-100のよさを引き継ぎながら、音質だけでなく使い勝手をブラッシュアップしているのもいい。筆者が2017年に触れたイヤホンの中でも、価値ある製品のひとつだと感じた1台だ。

土方久明

土方久明

ハイレゾやストリーミングなど、最新デジタルオーディオ業界の第一人者。コンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーAVの世界で評論家として活躍中。

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2018.1.17 更新
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