レビュー

それぞれ個性が違う! FiiOの最新ポータブルDAPをじっくり聴き比べてみた

X5 3rd gen

X5 3rd gen

X5 3rd gen

続いて取り上げるのは、FiiO「X5 3rd gen」だ。こちらは、今回紹介する他の2モデルに先行する形で、2017年6月に発売開始となったモデル。ミドルハイクラスのポータブルDAP「X5」の第3世代に当たるモデルだが、先代とはまったく異なる、上位機種と同じAndroid OS採用モデルへと生まれ変わったのが大きな特徴。操作系も5ボタン&スクロール・ホイールを廃止、タッチパネルによる直感的な操作系になったこともポイントとなっている。

また、Android OSに2つの動作モード、「Pure Musicモード」と「Androidモード」を用意。より高音質な「Pure Musicモード」とGoogle Play Storeアプリを利用可能な汎用性の高い「Androidモード」を使い分けることで、自分好みの音楽再生プレーヤーを利用するなど、自由度の高い活用が可能となっている。さらに、WiFi接続機能やapt-X対応のBluetooth接続機能も搭載。手軽なワイヤレス再生なども楽しむことができる。

「Pure Musicモード」と「Androidモード」は、本体上部のプルダウンメニューに用意されたアイコンからすぐに切り替え可能だ

音質に関しても、先代から大きくリニューアルされている。まず、音質の要となるDACには旭化成エレクトロニクス製の「AK4490」をLR独立で搭載。最大384kHz/32bitのリニアPCM、および5.6MHzまでのDSD再生に対応している。

また、ヘッドホン出力は一般的な3.5mmに加えて、人気の高い2.5mmバランス出力端子も搭載。バランス出力ならではの良音質サウンドを楽しめるようになった。このほか、同軸デジタル出力やUSB DAC機能などが用意されいる点は「X3 Mark III」と同じだ。内蔵メモリーは32GBだが、最大512GB対応のmicroSDカードスロットを2基搭載しているため、トータルで1TBを超える容量を確保することができる。先々、まったくといっていいほど困ることのない充分以上の容量確保だ。

3.5mmアンバランス、2.5mmバランス、同軸デジタルといった出力端子は本体底面部に集約されている

3.5mmアンバランス、2.5mmバランス、同軸デジタルといった出力端子は本体底面部に集約されている

2基のmicroSDメモリーカードスロットはプッシュピンタイプのトレイ式

2基のmicroSDメモリーカードスロットはプッシュピンタイプのトレイ式

カラーバリエーションは、ブラック、チタン、レッドの3色を用意。同梱アクセサリーとして、専用レザーケースが標準で付属する。また、ここまでの大幅なブラッシュアップがあったにもかかわらず、価格的には先代と大差ないばかりか、逆に安くなっているのは嬉しいかぎりだ。

実際の製品を手に取ると、ミニ「X7 Mark II」と呼びたくなるくらいデザインが共通している。先代「X5」とまったくの別物に生まれ変わっていると言っていいだろう

さて、肝心のサウンドを聴いてみよう。一聴して感じるのが、「X5」の名に恥じない上質なサウンドを確保していることだ。いきなりの表現になってしまったが、実はFiiO製DAPのなかでも特に「X5」は根強い人気のあるモデルだったりする。特に第2世代は、骨格のしっかりしたピュア志向のサウンドが特徴で、筆者も一時期愛用していた。「X7」という好例があったものの、Android OSへの変更は不安に思っていたのだが、それを吹き飛ばす上質なサウンドを聴かせてくれたのだ。とにかく、抑揚表現が丁寧だ。フロアノイズレベルがほどよく抑えられているのか、ニュアンス表現も細やか。おかげで、女性ボーカルは生き生きとした、肉感のある歌声を聴かせてくれる。ベースの音も柔らかめだが、フォーカス感もちゃんと確保されている。

もう少し広がり感があると嬉しいが、そのあたりを求めるのであれば「X7 Mark II」を買えばいい、そういうことだろう。「X5」としての存在感はやや薄くなったが、「X7 Mark II」の弟モデルという、絶妙なポジションを与えられたモデルとなったのは確かだ。

X7 Mark II

X7 Mark II

X7 Mark II

「X7 Mark II」は、FiiO製ポータブルDAPのフラッグシップモデル。同社で初めてAndroid OSを採用した初代「X7」のブラッシュアップモデルで、外観上は本体左側にダイヤル式のボリュームコントロールが採用されているのが大きな違いとなっている。また、先代「X7」最大の特徴となっていたアンプモジュール、交換可能なヘッドホンアンプ部分も踏襲され、初代と同じ交換アンプモジュールが採用されている。多少なり外観デザインが変わっているのにもかかわらず、同じモジュールが活用できるのは嬉しいかぎりだ。ちなみに、標準では2.5mmバランス出力端子を搭載した新アンプモジュール「AM3A」が付属されている。

さすがにフラッグシップモデルというだけあり、手に取るとしっかりと重みを感じられる。外観は「X5 3rd gen」に比べてアンプモジュール分さらに縦が長くなっているが、共通している部分も多い

ボリュームダイアルのデザインは「X3 Mark III」とまったく同じだ

ボリュームダイアルのデザインは「X3 Mark III」とまったく同じだ

アンプモジュールは本体底面部に取り付ける形。専用のドライバーを使って別売りのアンプモジュールに交換することも可能だ

いっぽう、内蔵DACは同じESS社製ながらも最新の「ES9028PRO」へと変更された。最大384kHz/32bitのリニアPCM、11.2MHz(DSD256)までのDSDネイティブ再生に対応したほか、129dBを誇るSN比など基本スペックを向上。さらに、Androidのネイティブオーディオリサンプリング(ASRC)機能のバイパス、徹底的に見直されノイズ対策された内部設計などとも合わせ、音質的グレードアップを実現したとメーカーは誇る。また、7種類のデジタルフィルター切り替え機能により音質を調整できる点や、OSモード切替機能によりTIDAL、Spotify、iTunes、AWA等、音楽ストリーミングサービスなどさまざまなアプリを利用できる点も嬉しいポイントだ。加えて、WiFiやapt-X対応のBluetooth機能、光/同軸デジタル兼用出力端子、2.7倍高速となった急速充電機能など、音質だけでなく利便性においても大きく向上しているのが、先代に対してのアドバンテージといえるだろう。

ヘッドホン出力はアンプモジュール側に搭載。付属の「AM3A」は、3.5mmアンバランスと2.5mmバランス出力の2系統が用意されている

同軸デジタル出力は本体上部に設けられている

同軸デジタル出力は本体上部に設けられている

内蔵メモリーは「X5 3rd gen」に対して倍増の64GBを内蔵する。同様に最大512GB対応のmicroSDメモリーカードスロットを2基搭載されているため、こちらも充分以上容量が確保されている。

内蔵メモリーは64GB。最大512GBまで対応した2基のmicroSDメモリーカードスロットとあわせれば、最大1088GBまでメモリー容量を確保できる

さて、こちらもサウンドを聴いてみよう。アンプモジュールは、標準添付の「AM3A」のまま、2.5mmバランス出力端子で接続して試聴している。

シルキーで丁寧な表現のサウンドはそのままに、さらにフロアーノイズレベルを抑え、歪み感を払拭するなど、丁寧なチューニングを行った結果、ピュアが際立つ良質なサウンドを聴かせてくれるようになった。ピアノの音を聴くと、とてものびのびとしていて、倍音の整った素直な音が広がっていく。分解能も高く、空間の描き方も良質なため、バンド演奏などは各パートの配置が見えやすい。いっぽうで、これは「AM3A」アンプモジュールの特徴だろう、明瞭感の高い、エッジのハッキリした鮮明な音がするが、このあたりは好みに応じてモジュールを交換するのがベストだろう。より自然な、生き生きとした歌声を楽しみたい人は「AM5」あたりがオススメだ。

まとめ

このように、Fiio製のポータブルDAPは、丁寧で緻密な表現を追求しつつ、それぞれの個性が光るサウンドを巧みに作り上げているのが特徴といえる。また、価格に対して内容が充実している点、いわゆるコストパフォーマンスの高さも見逃せない。どのモデルを手にとっても間違いのない、良質な製品たちといえる。スマートフォンからのステップアップを検討しているオーディオ初心者から、音にこだわるオーディオ上級者まで、ぜひ注目してほしいところだ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。

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