レビュー
オーディオマザーボードを交換できるギミックも搭載

マークIIだが中身は別モノ! Cayinの多機能DAP「N6ii DAP/A01」レビュー

マークIIだが中身は別モノのDAP登場

1993年に中国で創業したCayin(カイン)というオーディオメーカーは、ピュアオーディオの世界では知る人ぞ知る存在。真空管アンプ「A-55TP」などハイエンド指向のオーディオ機器を生み出し、2013年にポータブル分野へ参入。その後、「N5」や「N6」のDAPで快進撃を続けていることは、ポータブルオーディオファンにも知られているところだ。

そのCayinが発売した「N6ii DAP/A01」は、N6の名を継ぎつつ内容を一新したデジタルオーディオプレイヤー。DACチップには旭化成エレクトロニクス製「AK4497」を採用、PCMは最大384kHz/64bit(WAV再生時)、DSDは最大11.2MHzのネイティブ再生に対応する。

システムにはAndroid 8.1/Oreoのカスタマイズ版を採用。4.2型/768×1,280ピクセルのIPS液晶タッチパネルで操作できる。Androidスマートフォンと同じ感覚で利用できるが、音楽再生専用機らしく本体側面に用意された再生コントロール付きボリュームダイヤルで操作してもいい。

電源ボタンを兼ねるボリュームノブ。近くにはプレイヤー用のボタンが配置される

電源ボタンを兼ねるボリュームノブ。近くにはプレイヤー用のボタンが配置される

N6iiの背面。マットな塗装が施され質感が高い

N6iiの背面。マットな塗装が施され質感が高い

本機はGMS認証(Google Mobile Service Certification)を得ており、アプリストア「Google Play」を利用できるところがポイントだ。だから、SpotifyやAmazon Music、radikoといった馴染みのアプリも特別な作業なしに利用できる。ノイズキャンセリングなど特殊機能を持つヘッドホン/イヤホン向けには、設定用の専用アプリが提供されていることも多く、これを利用できることは他のDAPに対してのアドバンテージといえるだろう。

デジタルトランスポートとしても活用できる

N6iiの音楽ソースは多彩のひと言。64GBの本体内蔵ストレージ(うち約9GBをシステムが使用)とmicroSDメモリーカードによるファイル再生、Spotifyなどアプリを利用したストリーミング再生、付属のアプリを利用すればネットワーク再生(UPnP/DLNA)も可能だ。Google Play経由で入手したアプリによる拡張性もあり、これで終わらないところが頼もしい。

側面にはmicroSDカードスロットが1基用意される

側面にはmicroSDカードスロットが1基用意される

DAPの基本機能といえるファイル再生は、付属のプレイヤーアプリ「Cayin Music」を利用する。このアプリは「HiBy Music」のCayin向けカスタマイズ版で、UIに多少の違いがあるほか、ネットワーク再生機能も取り除かれているが、対応フォーマットなど基本機能はHiBy Musicと同一のようだ。なお、N6iiにはHiBy Musicも同梱されており、どちらを利用してもいいというスタンスらしい。

N6iiのホーム画面。「HiBy Music」が2つ収録されているが、右側の「C」ロゴがあしらわれたものがCayin版

N6iiのホーム画面。「HiBy Music」が2つ収録されているが、右側の「C」ロゴがあしらわれたものがCayin版

Cayin版「HiBy Music」の画面。再生時にはステータスバーに現在のデシベルやサンプリングレートが表示される

DSD 11.2MHzのネイティブ再生も可能

DSD 11.2MHzのネイティブ再生も可能

スキンを変更すれば、再生/停止ボタンなどの模様替えが可能

スキンを変更すれば、再生/停止ボタンなどの模様替えが可能

オリジナル版「HiBy Music」には、ネットワーク再生機能も用意されている

オリジナル版「HiBy Music」には、ネットワーク再生機能も用意されている

オーディオ関連ソフトウェア開発で著名なHiByは、「HiBy Link」というスマートフォンアプリを利用した遠隔操作機能を提供しており、Cayin Music/HiBy Musicでも利用できる。画面上部のレコード状アイコンをタップすると、「HiBy Linkサーバー」というスイッチが現れるので、それをONにすればOKだ。これで、iPhoneやAndroid端末にインストールした「HiBy Link」というアプリからN6iiを(正確にはそこで動作するCayin Musicを)操作できる。

N6iiはBluetoothもサポートしている。しかもコーデックはSBCとAACに加えaptX、さらにはLDACもサポート。今後のアップデートではBluetoothレシーバーモードの追加が予定されており、他のスマートフォンなどで再生した音を受信することもできるようになる。

デジタルトランスポートとしての活用を意識した設計もうれしい。デジタル出力端子にはUSBのほか「I2S」(Inter-IC Sound、チップ間でデジタルオーディオ信号を伝送するための伝送フォーマット)まで用意されている。端子の形状としてはHDMIマイクロであり、信号を受ける側のデバイスにはHDMIケーブルを用いたI2S接続に対応したオーディオ機器(ex. PS Audio)が必要となるが、そのような環境を構築済であれば非常に魅力的なフィーチャーと映るはずだ。

底面にはデジタル出力端子としてHDMIマイクロ(I2S)とUSB-Cが用意される

底面にはデジタル出力端子としてHDMIマイクロ(I2S)とUSB-Cが用意される

4.4mmバランス接続で試聴してみた

ネットワーク再生にBluetoothにと多機能なN6iiだが、やはりメインはDAPとしての利用。microSDメモリーカードまたは内蔵ストレージに保存した楽曲をイヤホン/ヘッドホンで聴く、というスタイルが典型的な使い方となるはずだ。

N6iiの上部には4.4mmバランス、3.5mmシングルエンド、3.5mmラインアウトという3基のプラグがあり、自由に選択できるが、やはり4.4mmバランスを選びたいところ。4.4/2.5mm変換プラグも付属するが、L字型のうえやや大ぶりなため、取り回しに難が出る。4.4mm端子を標準装備するか、4.4mm端子にリケーブルするほうが現実的だろう。

オーディオ出力端子には4.4mmバランス、3.5mmシングルエンド、3.5mmラインアウトが用意される。4.4mm端子はライン出力も兼ねる

付属の2.5mmバランス変換プラグを装着したところ

付属の2.5mmバランス変換プラグを装着したところ

そこで用意したのがRose「BR5Mk2」。5BAドライバを搭載した快活な音調に定評あるカナル型イヤホンだが、MMCX端子採用によりケーブル選択の自由度が高いところもポイント。MMCX-4.4mmバランスプラグと1芯19本の銀コートOCCを採用したリケーブルSoundsGood「White Snake WS-M4B」を入手、BR5Mk2と組み合わせることにした。

試聴に利用したRose  BR5Mk2と4.4mmリケーブルSoundsGood White Snake WS-M4B

試聴に利用したRose BR5Mk2と4.4mmリケーブルSoundsGood White Snake WS-M4B

高橋アキ/ピアノ・ソナタ第18番『幻想』(FLAC 192kHz/24bit)を再生したところ、一聴してピアノの再現性の高さがわかる。ベーゼンドルファー独特の深みと柔らかみを感じさせる音は、再生環境を選びがちだが、微妙なニュアンスまでしっかり伝わる。

Sleely Dan/Two Against Nature(FLAC 96kHz/24bit)も好印象。スネアのアタック/リリースの迅速さもさりながら、緻密に描かれるベースの輪郭がリアリティを感じさせるとともに、忠実な再生を実感させる。

その再生能力の高さは、N6iiに採用されたDACチップ「AK4497」やオペアンプ「OPA1622」4基が並列配置されるなどパーツ選定/回路設計の効果も大だが、N6iiに導入された「ダイレクト・トランスポートオーディオ(DTA)」の存在も無視できない。DTAはいわばダイレクト再生モードで、Android OS標準のオーディオシステム(AudioFlinger)をバイパスする。サンプリングレート変換などの"加工"を経ずに音声出力されるため、N6iiならではの再現性を実現できるというわけだ。

ところで、N6iiは「オーディオマザーボード」を交換できる設計を採用している。今回試した製品のモデル名は「N6ii DAP/A01」だが、そのうち「A01」はそのオーディオマザーボードのリビジョンを意味する。Cayinでは、交換用ボードの投入を計画しているそうで、夏頃にはなんらかの情報が発表されるという。交換すれば音も機能も一変するはずなので、その楽しみに"投資"する妙味もある。奇抜なアイデアにも映るが、現時点におけるA01の完成度を体感すれば、ポータブルオーディオファンの心をくすぐるギミックと考えを変えるに違いない。

N6iiは「オーディオマザーボード」を交換できる設計を採用している

N6iiは「オーディオマザーボード」を交換できる設計を採用している

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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