レビュー
手持ちの有線イヤホン・ヘッドホンを高音質でワイヤレス化

2.5mmバランス出力も搭載! 小さくてもパワフルなSHANLINGの小型Bluetoothレシーバー「UP4」

Bluetoothレシーバー選びのポイント

国内外でBluetoothレシーバーが人気だ。手持ちの有線イヤホンを活用し、ワイヤレス化できることが魅力の製品ジャンルだが、スマートフォンのバッテリーを可能な限りアプリやデータ通信用に残しておける、複数のスマートフォン/タブレットで使い回せるといったメリットもあり、1台あると便利なデバイスであることは間違いない。

そんなBluetoothレシーバーだが、製品選びのポイントは「アンプ」にあるべき、というのが個人的な意見だ。確かに、搭載されるBluetooth SoCや対応コーデックの種類も重要だが、アンプに駆動力があれば低インピーダンスのヘッドホンを鳴らすという野望(?)も視野に入る。Bluetoothイヤホン(特に完全ワイヤレスタイプ)のサイズでは実現困難な駆動力あってこそ、という製品ジャンルなのではないか。

ここに取り上げる「UP4」は、SHANLINGが送り出すBluetoothレシーバーの第2弾。先代の「UP2」が発売されてから1年足らずでの新製品投入になるが、必ずしも後継機種という位置付けではない。日本でもスマッシュヒットしたDAP「M0」のメーカーということもあり、"小粒でピリリと辛い"製品開発はお手のもの、目を引くフィーチャーが目白押しだ。

SHANLINGの新Bluetoothレシーバー「UP4」

SHANLINGの新Bluetoothレシーバー「UP4」

樹脂製クリップケースとUSB Type A-Cケーブルが付属する

樹脂製クリップケースとUSB Type A-Cケーブルが付属する

最大の違いは、イヤホン端子に2.5mm4極バランスと3.5mmシングルエンドの2系統を備えること。先代UP2に限らず、Bluetoothレシーバー(特にポータブル型)は3.5mmシングルエンド1系統のみがほとんどで、2.5mm4極バランスの装備は新味がある。

今回取り上げるUP4(写真左)。2019年発売のUP2(写真右)よりやや大きめ

今回取り上げるUP4(写真左)。2019年発売のUP2(写真右)よりやや大きめ

3.5mmシングルエンドに加え、2.5mmバランスを装備(写真下はUP2)

3.5mmシングルエンドに加え、2.5mmバランスを装備(写真下はUP2)

ESS製DACチップ「Sabre ES9218P」をデュアル搭載することも特長だ。ES9218PはPCM 384kHz/DSD 256対応DACとしての機能に加え、最大出力電圧2.0Vrmsとパワフルなヘッドホンアンプも内蔵する。3.5mmシングルエンド出力時が91mW、2.5mmバランス出力時が160mW(いずれも32Ω負荷)というUP4の余裕ぶりは、このチップに負うところが大きい。

もうひとつ、UP4の特長には「デュアルDACモード」があげられる。DACチップを2基搭載するDAPなどのデジタルプレーヤーは、シングルエンド接続時に片方を止める方式(ツインDAC)も少なくないが、UP4はバランス出力のみならずシングルエンド出力であっても2基のDACで駆動できる。だからバランス出力時に限らず高出力を、ひいては高音質を狙えるというわけだ。

推しは「デュアルDACモード」

試聴に利用したのは、Androidスマートフォン「Motorola moto g6」と、NF Audioのカナル型イヤホン「NA1」。前者はLDACに対応、ハイレゾ対応ストリーミングサービス「Amazon Music HD」を使えば良質な音楽ソース(残念ながらAndroid OSの仕様でハイレゾ音源は44.1kHz/24bitにダウンサンプリングされてしまうが)を聴き放題のため、UP4というデバイスに適しているからだ。後者はカスタムIEMで実績豊富なNF Audioによるユニバーサルモデルで、磁束1テスラ以上のネオジムマグネットを2つ搭載する「デュアル磁気回路設計」に基づいたダイナミックドライバーを採用。モニターライクな繊細さがありつつも聴き疲れが少なく、個人的に現在ワイヤレス化して使いたいイヤホンの筆頭ということでチョイスしている。

Android OSの制約で48kHz/24bitにダウンサンプリングされるものの、Amazon Music HDをワイヤレスで楽しめる利点は大きい

ペアリングを完了すると、UP4前面のNFCロゴ上に緑色のLEDが点滅する。これはLDACで接続中という意味で、AACは水色、aptX/aptX LLは紫色となる。あとはスマートフォン側でアーティストやアルバム、プレイリストを選び再生を開始すればOK、UP4はBluetoothレシーバーとしての機能を果たしてくれる。

NF Audio「NA1」との組み合わせで試聴した(LDACで接続しているためLEDは緑)

NF Audio「NA1」との組み合わせで試聴した(LDACで接続しているためLEDは緑)

一度再生を始めれば、あとの操作はUP4側で完結できる。側面のマルチファンクションボタンは回せば音量調整、ワンクリックで再生/停止、ダブルクリックで次の曲、トリプルクリックで前の曲へ移るので、プレイリストやアルバムの再生が終わるまでスマートフォンに触れずに済む点がうれしい。音量調整は64段階ときめ細かく、16段階が一般的なスマートフォンとは比べようもない。

その音は滑らかかつ硬質な印象。LDACで接続していることも手伝ってか、低域は量感がありつつも引き締まり、高域の情報量もしっかり感じられる。試聴に利用したイヤホン「NA1」はコネクターにカスタムIEM 2ピン(0.78mm)を採用するため、2.5mmバランスケーブルと交換してみると、同様の音傾向を感じつつも左右のセパレーションが明確になり、見通しが改善された。

利用したプレーヤーが一般的なAndroid端末のため、OSの制限により48kHz/24bitにダウンサンプリングされてはいるものの、ロッシー音源(Amazon Musicの場合Opus)との差は歴然。中高域の空気、余韻といった部分の質感がまるで違う。48kHz/24bit以上の「ULTRA HD」より44.1kHz/16bitの「HD」が多いAmazon Music HDの現状を鑑みれば、LDACもしくはaptX HD対応のスマートフォンでも十分納得の水準に到達できる。

UP4ならではの部分でいえば、やはり出力段の余裕だろうか。MODEボタンをダブルクリックすると切り替わるゲインはLow(LEDは青)とHigh(LEDは緑)の2段階、高インピーダンスのヘッドホンもドライブできる。3.5mmと2.5mmへの同時出力も可能だから、2人で同じ曲を楽しむことも可能だ。

3.5mmシングルエンド出力時にゲインを切り替えると、Highの次の段階(LEDは黄)がある。それがデュアルDACモード(付属のマニュアルでは「Boost mode」)で、シングルエンド出力であっても2基のDACチップを駆動するというもの。実際に聴くと、これがかなりいい。

デュアルモードに切り替えると、音量がやや上がるとともに、低域がぐっと沈みドライブ感が増す。中高域の情報量や解像度に変化は感じられないが、駆動力が増したからだろう、再生に余裕が出てベースやバスドラといった楽器の「圧」が増し、サウンドステージ全体の重心が下がる印象だ。MODEボタンにはデジタルフィルターを切り替える機能もあるが(3秒間長押し)、その音質変化よりもデュアルモードに大きな可能性を感じた。2.5mmバランスへリケーブルする余地のないイヤホン/ヘッドホンのユーザにとっては、かなり魅力的なフィーチャーになるはず。

ところで、UP4にはUSB DACとして活用する道もあるが、今回のレビュー時点では最大48kHz/16bitの出力に留まる(WindowsとMacで確認)。ES9218PはPCM 384kHz/DSD 256対応のDACであり、ファームウェアアップデートで解決してほしいところだが、こればかりは開発元の努力に期待するしかない。USB DAC使用時にPCM 384kHz/DSD 256が再生できるとなれば、ワイヤレスもワイヤードも"イケる"かなりのハイ・コストパフォーマンス機になるだけに、大いに期待したいところだ。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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