レビュー
クセはあるけれど使いこなせば音質は文句なし!

まさかの合体! CHORD「Hugo2」を単体プレーヤー化してくれる「CHORD 2go」の上手な使い方

英国Chord Electronicsから、Wi-Fi対応のデジタルプレーヤーユニット「CHORD 2go」が発売された。

Chord Electronics「CHORD 2go」

Chord Electronics「CHORD 2go」

こちら、DAC内蔵のポータブルヘッドホンアンプ「CHORD Hugo2」のオプションユニットと呼んでもいい存在で、Hugo2と合体させることで、ネットワークプレーヤーとして、さらには単体プレーヤーとしても活用できるようになるというもの。うまく使いこなせばとても便利な、音楽ライフが一変してくれそうな製品となっているが、ネットワークがらみの部分など、機能面で説明がややこしい部分もあるため、ネットワーク関連に詳しいオーディオマニア以外には少々わかりづらいポジションの製品だったりする。

Hugo2と2goを合体させたところ

Hugo2と2goを合体させたところ

とはいえ、とても魅力的な存在であることは確かなので、実際の使いこなし方法なども交えつつ、Hugo2+2goの組み合わせによってどんなことができるようになるか、紹介していこうと思う。

合体すると手軽に持ち運べるとはいえないサイズ感。セッティングに少々クセあるのが難点

まずはHugo2+2goシステムの概要から。

既存のHugo2はとても明快な製品で、先ほども紹介したようにDAC内蔵のポータブルヘッドホンアンプだ。DACに専用チップではなくプログラマブルFPGAを使用していたり、4種類のデジタルフィルターを手軽に切り替えられたり、頭外定位のような音場表現を可能にするクロスフィード機能を搭載していたり、Chord Electronicsらしい洗練されたデザインを採用していたりと、とても特徴的な製品にまとめ上げられている。

いっぽうで、バッテリーを内蔵しているため“ポータブル”可能なヘッドホンアンプではあるものの、DAPなどと有線接続した場合、手軽に持ち運べるとはいえないサイズ感となっている。基本的には、屋外に持ち出してもテーブルの上に置いたりバッグの中に入れて活用するイメージの製品だ。

とはいえ、音質に関しては“ポータブル”製品としては格別のサウンドを聴かせてくれるため、筆者を含めて実際に屋外で活用している人も多く、人気の高い製品でもある。そんなHugo2に、専用のプレーヤーユニットの2goが追加発売され、いよいよ単体で完結するようになってくれた。それが、Hugo2+2goの組み合わせだ。

実は、Chord ElectronicsはDAC内蔵ヘッドホンアンプ+プレーヤーユニットという組み合わせを以前にも商品化している。Hugo2の弟分といえる存在、DAC内蔵のポータブルヘッドホンアンプ「Mojo」と、プレーヤーユニット「Poly」の組み合わせだ。Hugo2+2goはこれに続く第2の組み合わせ提案システムで、音質に定評あるHugo2だけに多くの人が期待していた製品でもある。Mojo+Polyほどコンパクトサイズではないかわりに、音質に関しては大いに期待できるシステム、といっていいだろう(Mojoの良音質にも根強い人気があるが)。

2goの付属品。Hugo2との接続には、写真の下のほうに映っている接続ピンを使用する

2goの付属品。Hugo2との接続には、写真の下のほうに映っている接続ピンを使用する

付属の接続ピンをHugo2に取り付け

付属の接続ピンをHugo2に取り付け

平らなところでHugo2と2goを接続。最後に付属の六角レンチを締めれば完成だ

平らなところでHugo2と2goを接続。最後に付属の六角レンチを締めれば完成だ

バッテリー内蔵でポータブルできるとはいえ、合体した本体サイズはなかなかの大きさだ

バッテリー内蔵でポータブルできるとはいえ、合体した本体サイズはなかなかの大きさだ

また、Hugo2+2goシステムを操作する際、スマートフォンに「Gofigure(ゴーフィギュア)」というアプリをインストールして活用することになるのだが、Mojo+Polyシステム発売時(正確にはPolyが発売されてこのシステムが構築できるようになったタイミング)にはアプリが用意されておらず、アプリがリリースされたのちも使いこなしの難しさから、マニア以外に手の出しづらい製品となってしまっていた。

こういった使い勝手の面で、Hugo2+2goシステムは多少なり改善されている印象だ。はっきりいって、Gofigureはいまだに扱いづらい製品ではある。しかしながら、きちんと取り扱い説明書を読みながら設定をしていけば、ネットワークオーディオに詳しくない人でも使い始めることができるくらいまでイージー化されている。というか、Mojo+Polyシステムを経てChord Electronicsが説明上手になったというか、安定動作してくれる推奨アプリの組み合わせを用意したといった感じだ。

というのも、Hugo2+2goシステムは2基のmicroSDメモリーカードスロットを用意し、スマートフォンのGofigureアプリからカード内のハイレゾ音源再生を操作することができる。しかしながら、これがまたひと筋縄ではいかなかったりするのだ。

2goの側面にはmicroSDメモリーカードスロットが2基用意されており、こちらを楽曲再生に用いるのだが、そのセッティングに少々クセがあった

実は、microSDメモリーカードにただ音楽ファイルを入れただけではGofigureアプリからは認識できず、再生することができない。2goはroon、DLNA、AirPlay、などのネットワークサービスに対応しているが、Gofigureアプリとの組み合わせの際、音楽再生にMPD(Music Player Daemon/Linux等で動作する音楽再生&プレイリスト管理のためのバックグラウンドプログラム)を利用しているため、MPDを管理してくれる、具体的にはプレイリストを作ることができるアプリの併用が必要となっている。2goのサポートページ(https://www.aiuto-jp.co.jp/support/product_2952.php)では、iOS用として「MPDluxe」(有料)を、Android用として「M.A.L.P.」を紹介している。こちらを利用してプレイリストを作ることで、初めてmicroSDメモリーカード内の楽曲が再生できるようになるのだ。

しかも、2go内の楽曲を認識するためには、2goとスマートフォンを(家庭内LANなど)同じネットワーク上に接続(もちろんどちらもWi-FiでOK)し、MPDクライアントアプリで2goのIPアドレスを指定する必要がある。なんと、IPアドレスで指定だ。先ほど、ネットワークオーディオに詳しい人でないと難しかった、と言った理由がこれでわかって貰えただろうか。

Gofigureの設定画面

Gofigureの設定画面

microSDメモリーカードの中身を再生しようと思ったら、プレイリストがないと怒られていきなりつまずいた

microSDメモリーカードの中身を再生しようと思ったら、プレイリストがないと怒られていきなりつまずいた

セットアップ時に有線LAN接続するとエラーが起こる。取り扱い説明書通り、Wi-Fiでセットアップしなければいけないようだ

また、肝心のプレイリストを作るのが面倒だったりもする。今回のレビューではAndroidスマートフォンOPPO「Reno A」を利用したのだが、M.A.L.P.はプレイリスト一括登録のようなお手軽機能は持ち合わせておらず、1曲1曲登録しなくてはならないようで、その手間が面倒だったりする。手慣れてきたのちは、自分にとって扱いやすいMPDクライアントアプリを探すのもよさそうだ。どちらにしても、M.A.L.P.(iOSはMPDluxe)などMPDクライアントアプリでプレイリストを作成し、そののちにGofigureからプレイリストを選択。これでやっと、microSDメモリーカードの楽曲が再生できるようになってくれる。しかしながら、Gofigureではプレイリストを指定することしかできず、楽曲を指定することができなかった。

プレイリストを作成して再生可能となったものの、こんどは楽曲指定ができなくなった

プレイリストを作成して再生可能となったものの、こんどは楽曲指定ができなくなった

実は、M.A.L.P.アプリからは簡単に楽曲指定で音楽再生をすることができる。認識している2go内の楽曲を直接タップすれば再生してくれるからだ。しかしながら、この方法だと何故か音質が変わってしまう現象が起きてしまった。歪みのある、荒れた音となってしまうのだ。音量も変わるし、解像感も異なっているように感じる(DD変換によるビット落ち?)。残念ながら、筆者の環境では原因を推測するばかりで詳しく追求できなかった。とりあえず、Gofigureからプレイリストを選択して再生すると元々の音質になるため、特に問題はないのだが、なかなか歯痒い思いをしてしまうパートであるのも事実。こういった現象の起きない、MPDクライアントアプリを探し出すのが賢明かもしれない。

M.A.L.P.の画面。アプリから楽曲を直接再生できるが、こちらの方法だと音質が変わってしまう現象に見舞われた

屋外に持ち出す前提で色々試そうとすると使い勝手の面でかなりのクセが出てくるが、室内で使う分には至極快適ではある。roonをインストールしたPCを活用すれば、何の不自由もなく簡単に音楽再生できるからだ。AirPlayにも対応しているので、MACからも手軽に再生することができる(音質を気にする人はroonをオススメしたい)。その際は、2goに用意されている有線LANコネクターで接続するのもいいだろう。

PCからの再生なら、有線LANコネクターで接続するのが簡単だ

PCからの再生なら、有線LANコネクターで接続するのが簡単だ

ポータブルとは思えない苦労に見合う極上の音質はやはり魅力的

使うまでのセッティングになかなか苦労するが、そういった苦労を消し飛ばして忘れさせてしまうほど、そのサウンドはすばらしかった。歪み感をまったくといっていいほど感じないとことんピュアな、ダイレクト感の高い、臨場感あふれるサウンドが楽しめるからだ。ピアノの音はどこまでも澄んでいて、とてもきれいな響きだし、チェロの演奏はマイクのクセまで伝わってくるかのようなリアリティとともに、深みのある堂々とした鳴りっぷりを聴かせてくれる。女性ボーカルは、ハスキーでもウォームでもなくとてもニュートラルで、かつ、生き生きとした明朗快活な歌声を聴かせてくれる。あるボーカリストは、一部分の歌い方にほんのちょっと迷っているようなニュアンスまでもがしっかり伝わってきた。こういった印象まで感じられたのはHugo2+2goシステムが初めてのこと。ある意味でアーティスト泣かせな、ファンにとってはとても極上の体験ができるすばらしい表現力の高さだ。

このように、Hugo2+2goの組み合わせは、最初の使いこなしこそクセがあるものの、その苦労にあまりある上質なサウンドを持ち合わせたシステムだと思う。課題もいくつか見つめられたので、できれば購入して、じっくりと使い込んでみたいと気持ちになっている。2製品合わせて35万円ほどにもなる超高級システムだが、専用設計故のスマートな佇まいも含めて、とても魅力的なシステムであることは断言しよう。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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