レビュー

iFi audio「GO bar」はiPhoneを高音質ハイレゾプレーヤーに変身させる救世主

外付け小型USB/DACでスマホの音が一変

iFi audio「GO bar」

iFi audio「GO bar」

スマホを使って音楽を楽しむスタイルと言えば、Bluetooth対応の完全ワイヤレスイヤホンを使ったお手軽環境が主流である。しかし、音質的に考えれば、音源はハイレゾやMQAを使い、イヤホンは有線接続、できればバランス接続で高音質を追求したい。となると、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)をスマホと別に持ち歩くのが一番簡単な手段なのだが、それはそれで面倒だ。結局、高音質イヤホンやヘッドホンを自宅に置き去りにして、モバイルではワイヤレスイヤホンに甘んじている人も多いはずだ。またiPhoneが、いつまで経ってもハイレゾ対応しないことにヤキモキしている人が私を含めて多数存在するに違いない。

そんな苦境を抜け出す手段として、スティック型USB/DACが各社から発売されている。電源はUSBバスパワーなので接続するだけで、外付けDACがハイレゾ音源をD/A変換してくれる。つまり、接続するスマホがハイレゾ再生未対応でもPCMやDSD音源が聴けるようになるのだ。とはいえ、製品の音質はDACの性能によってピンキリなので選ぶのが難しい。

そこで今回取り上げるのが、iFi audio「GO bar」だ、iFi audioはポータブル機器で音質最優先のこだわりを持つ英国のオーディオブランドで、今回取り上げる「GO bar」はポータブルモデルにもかかわらず左右対称、ツインチャンネルのバランス回路を内蔵、4.4mmバランス出力にも対応した野心的な製品だ。

キャリングケース、Lightningケーブル、USB Type-Cケーブル、USB Type-A変換アダプター、説明書が付属する

キャリングケース、Lightningケーブル、USB Type-Cケーブル、USB Type-A変換アダプター、説明書が付属する

φ4.4mmのバランス出力と、φ3.5mmのシングルエンド出力に対応する

φ4.4mmのバランス出力と、φ3.5mmのシングルエンド出力に対応する

付属のUSB Type-A変換アダプターを使うことで、より多くの機器に対応できる

付属のUSB Type-A変換アダプターを使うことで、より多くの機器に対応できる

iFi audioのお家芸、「XBass+」と「XSpace」も搭載。デジタルフィルター切り替えも

「GO bar」はサイドに3個のボタンとスイッチがあるだけのシンプルなインターフェイスだが、好みの音を追求するための機能が充実している。まず、同社独自の「XBass+」、中高域に悪影響を与えずに低域の厚みを増強するモードである。そして、「XSpace」は奥行きを含めた空間を拡大する音場補正で、音色を変えずに広々とした空間を感じさせてくれる。

さらにデジタルフィルターなしを含む4種類のカスタムデジタルフィルター設定によって、楽曲のジャンルや音色の好みに合わせた設定が選べるのだ。またイヤホンやヘッドホンの感度に合わせたゲイン切り替えが搭載されており、高感度なカスタムIMEもS/Nのよい状態で楽しめる。またよりパワーが必要なヘッドホンにもゲイン+6dBで対応することが可能だ。

基本操作はボタンを押すだけのシンプルなインターフェイス

基本操作はボタンを押すだけのシンプルなインターフェイス

LEDの点灯でサンプリング周波数とビット深度、「XBass+」や「XSpace」のON/OFFなどを確認できる

LEDの点灯でサンプリング周波数とビット深度、「XBass+」や「XSpace」のON/OFFなどを確認できる

バランス出力のメリットを引き出す実力

それではさっそく、ハイレゾ音源のTony Bennett, Diana Krall「Love Is Here To Stay/'S Wonderful」(96kHz/24bit)を聴いてみよう。まずは、アップル「Mac mini」に接続した状態でテスト。再生アプリには「Audiravana 3.5」を使用、組み合わせたイヤホンはハイブリッドタイプのFitEar「Air2」だ。

3.5mmのシングルエンドでデジタルフィルターを切り替えてみると、GTOと呼ばれる352/384kHzにアップサンプリングするモードの音がいい、全体的な情報量が増えて音が緻密で厚みがあり、女性ボーカルも艶やかで色気がある。低音の量感も十分なので「XBass+」を使う必要は感じられなかった。4.4mmバランス接続に変えると、ボーカルの音像が小さくシャープにまとまり、左右の空間が広くなった。差が出なかったらどうしようと思ったのだが、「GO Bar」はきっちりバランス出力のよさを聴かせてくれた。

続いて、「Mac mini」から「iPhone11 Pro」に切り替えてみたのだが、音の差は非常に少ない。iPhoneの音はハイレゾ音源が再生できないことを差し引いても、カマボコ型の特性で、音は丸く、粒立ちが悪く、BGM向きの音だった。それが「GO Bar」を接続することで、別物に変身する。実際、iPhoneはハイレゾデータを保存するHDDのような役割を果たしているだけで、D/A変換とヘッドホンアンプは「GO Bar」が担当しているので別物になって当然と言えば当然である。

DAPとスマホの2台持ちの必要がなく、バランス接続にも対応、DSDネイティブ対応、MQAフルデコードで高音質、スティック型USB/DACの選択で迷ったら「GO Bar」は有力な選択肢のひとつになるはずだ。

ゴン川野

ゴン川野

カメラとオーディオが専門のライター。モノクロフィルムの現像、カラーのプリントを経て、デジカメ時代に突入。現在は仕事もプライベートもミラーレスOLYMPUS OM-D E-M1MK2を愛用。「阿佐ヶ谷レンズ研究所」にて掲載記事をまとめて発信中。

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