イベントレポート

パイオニアのAVアンプ「VSX-LX305」で「Advanced MCACC」と「Dirac Live」の違いを聞いてきた

去る2023年1月、パイオニアのAVアンプ「VSX-LX305」の体験会がティアック本社のスタジオで実施された。このタイミングで製品の詳細をうかがう機会を得たので、その詳細をお伝えしよう。

オンキヨーのAVアンプ「TX-RZ50」の詳細、そしてパイオニア「VSX-LX305」とオンキヨー「TX-RZ50」AVアンプ比較レビュー記事をすでに公開中なので、こちらもぜひご覧いただきたい。

ホームオーディオブランドとしてのオンキヨー、パイオニアが再スタートを切ったことは上記関連記事のとおり。ごく簡単にまとめれば、商品企画はブランドを保有する米Premium Audio Company(PAC)が行い、その委託を受けて、大阪のオンキヨーテクノロジー(PACとシャープ出資による合弁会社)が設計開発を行う。そしてシャープのマレーシア工場で生産が行われ、日本国内の販売をティアックが担当する。

これはオンキヨー、パイオニアどちらのブランドの製品も共通の流れだ。しかし、両ブランドの製品はあくまで別ブランド。それぞれに音質を決定するエンジニアが存在し、それぞれの「音作り」を行うのだという。

それでは、ここからパイオニア「VSX-LX305」ならではの特徴を紹介しよう。まず、「VSX-LX305」の主要スペックは以下スライドのとおり。

「VSX-LX305」では、パイオニア独自の音場補正技術「Advanced MCACC」とスウェーデンのDirac Research社による音場補正技術「Dirac Live」、2つの補正技術を利用できる。定格出力90W(8 Ω、2ch駆動時)のAB級増幅アンプを9ch搭載。オーバーヘッド(トップ/ハイト)スピーカーの最大数は4。最大で「5.2.4ch」「7.2.2ch」システムの構築が可能だ。「Roon Tested」デバイスであることなどの機能性はオンキヨー「TX-RZ50」と同様だ

「VSX-LX305」では、パイオニア独自の音場補正技術「Advanced MCACC」とスウェーデンのDirac Research社による音場補正技術「Dirac Live」、2つの補正技術を利用できる。定格出力90W(8 Ω、2ch駆動時)のAB級増幅アンプを9ch搭載。オーバーヘッド(トップ/ハイト)スピーカーの最大数は4。最大で「5.2.4ch」「7.2.2ch」システムの構築が可能だ。「Roon Tested」デバイスであることなどの機能性はオンキヨー「TX-RZ50」と同様だ

「VSX-LX305」のリアパネル。兄弟モデルと言えるオンキヨー「TX-RZ50」との大きな違いはプリアウトだろう。「VSX-LX305」のプリアウトはサブウーハー用2系統のみ。拡張性は控えめだ

「VSX-LX305」のリアパネル。兄弟モデルと言えるオンキヨー「TX-RZ50」との大きな違いはプリアウトだろう。「VSX-LX305」のプリアウトはサブウーハー用2系統のみ。拡張性は控えめだ

「マルチチャンネルステレオフォニック」を継承した、新生パイオニアのAVアンプ

パイオニアのAVアンプを語るうえで真っ先に思い出されるのが「マルチチャンネルステレオフォニック」の思想だ。

そもそもステレオフォニックとは現在はステレオと略されることの多い言葉で、いくつかの独立した音源を複数のスピーカーで再生する立体音響のこと。そこから転じて、現在では2chスピーカーでの立体音響再生のことを示すことが多い。左右のスピーカーから音を発しているにもかかわらず、その中央からボーカルが聞こえてくるのは、まさにステレオフォニックの効果ということ。

5.1chなどのサラウンド音源の普及とともにパイオニアが提唱したのが「マルチチャンネルステレオフォニック」。かみ砕いて言えば、サラウンドシステムにおけるすべてのch間でステレオフォニックを実現するという考え方だ。ところが、特に家庭にこの考え方を持ち込むのはなかなか難しい。2chの音響システムにおいて、左右で異なるスピーカーを使う人は基本的にいないが、サラウンドシステムのスピーカーをまったく同一品で揃える人はとても珍しいからだ。

そこでパイオニアが長年取り組んできたのが独自の音場補正機能「MCACC」だった。周波数特性の補正にとどまらず、インパルス応答の補正、定在波制御などを盛り込み、位相管理を徹底。同一品で揃えるのが難しいサラウンドシステムのすべてのスピーカーを、できる限り同条件に近づけるための補正機能だと言っていい。もちろん、その前提として、AVアンプに内蔵されるすべてのアンプの条件が同じであることは言うまでもない。

新生パイオニアのAVアンプでもこの思想は当然に継承されている。だからこそ「MCACC」と「Dirac Live」の共存という方法を採ったのだろう。「Dirac Live」は必ずAVアンプをインターネットに接続する必要があるため、オフラインでも使える「MCACC」を残したという都合もあるかもしれないが。なお、オンキヨーのAVアンプではオフラインで使える機能として以前からの音場補正機能「Accu EQ Room Calibration」が用意されている。

何が言いたいかというと、パイオニアのAVアンプファンは安心して新生パイオニアのAVアンプに乗り換えられそうだということ。「MCACC」の考え方や補正の仕方に共感していたという人は、新製品でも同じような効果を期待できる。

ただし、「VSX-LX305」の「MCACC」は「Advanced MCACC」であることには注意したい。かつてのハイエンドモデルに搭載されていた「MCACC Pro」と呼ばれるバージョンも存在し、こちらには接続スピーカーのユニットごとの位相管理まで行う「フルバンド・フェイズコントロールプラス」などの機能も盛り込まれていた。専用のテストトーンで、文字どおりスピーカーのミリ単位の設置場所調整に活用できる「プレシジョンディスタンス」も「MCACC Pro」ならではの便利な機能だった。これらの搭載は上位モデルの登場と合わせて期待したい。

「VSX-LX305」の3要素:「ダイレクトエナジー思想」「オートフェイズコントロールプラス」「音質調整技術」

改めて「VSX-LX305」の設計哲学としてあげられた要素も紹介しよう。具体的には、「ダイレクトエナジー思想」「オートフェイズコントロールプラス」「音質調整技術」の3つだ。

「ダイレクトエナジー思想」

「ダイレクトエナジー思想」とは、アンプに入ってきた音をダイレクトにスピーカーに伝えるという考え方のこと。そのために徹底した信号経路の短絡化、電源/アナログ/デジタル系回路の分離が施される。

「オートフェイズコントロールプラス」

「オートフェイズコントロールプラス」とは、“コンテンツに含まれる”LFE(サブウーハーch)成分の遅れを自動で補正する機能のこと。「Advanced MCACC」を利用する際に有効になる。


マルチチャンネルの音声制作時、ローパスフィルターをかけてLFE成分をつくるとLFEだけが相対的に遅れてしまい、それがそのまま音源として収録されている場合があるとパイオニアは指摘する。それを再生時にリアルタイムで検出し、全自動で補正する独自の機能だ。他社製AVアンプでもLFEの遅れを補正する機能はあるが、あくまで手動で任意の数値を入れる形なのだ。

「音質調整技術」

もうひとつの要素としてあげられたのが「音質調整技術」。これは特許技術などではないノウハウの部分だと言える。パイオニアもオンキヨーと同じく、スペック(静特性)だけを追い求めず音質を独自にチューニングし、製品として仕上げる。


かつてはイギリスの名門音楽スタジオ「AIR Studios」との協業で音質チューニングを施し、製品に「AIR Studios」のバッジを記していることもあった。今回の製品ではそうしたコラボレーションはされていないが、かつてのノウハウは技術者の継承とともに引き継がれているという。

「VSX-LX305」の主要機能

付属マイクもオプションマイクも使える「Dirac Live」

上記のとおり「Advanced MCACC」はファンにとって重要機能ではあるが、新機能として「Dirac Live」の存在も見逃せないだろう。この日はそうしたユーザーの気持ちを汲んでいただき、2台の「VSX-LX305」で「Advanced MCACC」と「Dirac Live」での補正効果を聞き比べることができた。このインプレッションは後述する。

「Advanced MCACC」と「Dirac Live」は、付属マイクによる自動音場補正機能のこと。部屋の特性を含めた計測で、どちらも周波数特性の補正だけでなくインパルス応答の補正なども行う。「Dirac Live」のオプション扱いである「Bass Control」に非対応であることはオンキヨーの「TX-RZ50」と同様だ

「Advanced MCACC」と「Dirac Live」は、付属マイクによる自動音場補正機能のこと。部屋の特性を含めた計測で、どちらも周波数特性の補正だけでなくインパルス応答の補正なども行う。「Dirac Live」のオプション扱いである「Bass Control」に非対応であることはオンキヨーの「TX-RZ50」と同様だ

「Dirac Live」の操作は無料のアプリ「Pioneer Remote App」(Android/iOS対応)で行う。いっぽうの「Advanced MCACC」はAVアンプのオンスクリーン表示を見ながら操作する。なお、「Dirac Live」の周波数特性の補正カーブは基本的には高域をやや落としたフラットターゲットで、任意に調整可能。「Advanced MCACC」の周波数特性補正も、ターゲットカーブは高域をやや落としたオリジナルのフラットターゲットのみ

「Dirac Live」の操作は無料のアプリ「Pioneer Remote App」(Android/iOS対応)で行う。いっぽうの「Advanced MCACC」はAVアンプのオンスクリーン表示を見ながら操作する。なお、「Dirac Live」の周波数特性の補正カーブは基本的には高域をやや落としたフラットターゲットで、任意に調整可能。「Advanced MCACC」の周波数特性補正も、ターゲットカーブは高域をやや落としたオリジナルのフラットターゲットのみ

パイオニア「VSX-LX305」、オンキヨー「TX-RZ50」での「Dirac Live」は、基本的に付属のマイクを本体に接続し、上記専用アプリ(オンキヨーは「Onkyo Controller」)から操作を行う形。しかし、あえて「Dirac Live」をPCアプリで操作することも可能だという。これはAVアンプ本体とリスニング(計測)ポイントが離れている場合への配慮のようだ。付属の計測用マイクの線が届かない場合に、オプションマイクとPCアプリを使えば本体の設置場所にとらわれない計測が可能だ

パイオニア「VSX-LX305」、オンキヨー「TX-RZ50」での「Dirac Live」は、基本的に付属のマイクを本体に接続し、上記専用アプリ(オンキヨーは「Onkyo Controller」)から操作を行う形。しかし、あえて「Dirac Live」をPCアプリで操作することも可能だという。これはAVアンプ本体とリスニング(計測)ポイントが離れている場合への配慮のようだ。付属の計測用マイクの線が届かない場合に、オプションマイクとPCアプリを使えば本体の設置場所にとらわれない計測が可能だ

「Dirac Live」の測定に推奨されるのはminiDSPの「UMIK-1」。USB接続用のコンデンサーマイクだ

「Dirac Live」の測定に推奨されるのはminiDSPの「UMIK-1」。USB接続用のコンデンサーマイクだ

“いつもの”設定をボタンひとつで呼び出せる「Personal Preset mode」

そのほかの独自機能として「Personal Preset mode」が紹介された。入力切り替えやリスニングモード、音量のほか再生する音楽ストリーミングサービスなども含めてプリセットとして3つ記憶しておける。呼び出しは本体もしくは付属リモコンのボタンを押すだけ。AVアンプとしては珍しいものではないが、オンキヨー「TX-RZ50」にはない便利な機能だ

そのほかの独自機能として「Personal Preset mode」が紹介された。入力切り替えやリスニングモード、音量のほか再生する音楽ストリーミングサービスなども含めてプリセットとして3つ記憶しておける。呼び出しは本体もしくは付属リモコンのボタンを押すだけ。AVアンプとしては珍しいものではないが、オンキヨー「TX-RZ50」にはない便利な機能だ

セリフやボーカルを聞き取りやすくする「Dialogue Enhancement」

「Dialogue Enhancement」とは、5.1chなどのセンターchを含む音源のセンター成分だけをリモコンのダイレクトキーで操作する機能。センタースピーカーを使わない(センターchの音をフロントL/Rにダウンミックスする)場合にも有効で、特に小音量時にセリフが聞き取りづらい場合に役立つだろう。「VSX-LX305」では2ch音源でも仮想的にセンター成分を作り出してセリフの音量を上げることも可能。ぜひ普段使いしたい、地味だがすぐれた機能だ

「Dialogue Enhancement」とは、5.1chなどのセンターchを含む音源のセンター成分だけをリモコンのダイレクトキーで操作する機能。センタースピーカーを使わない(センターchの音をフロントL/Rにダウンミックスする)場合にも有効で、特に小音量時にセリフが聞き取りづらい場合に役立つだろう。「VSX-LX305」では2ch音源でも仮想的にセンター成分を作り出してセリフの音量を上げることも可能。ぜひ普段使いしたい、地味だがすぐれた機能だ

パイオニア独自のジッターレスHDMI伝送「PQLS」

パイオニアAVアンプファンに朗報と言えるのが、「VSX-LX305」は独自のクロック同期機能「PQLS(プレシジョン・クォーツ・ロック・システム」に対応しているということ。「PQLS」に対応したパイオニア製ディスクプレーヤー/AVアンプ間ならば、ジッター(ノイズ)低減に努めたこの機能を利用できる。写真は取材時に使ったUltra HDブルーレイプレーヤー「UDP-LX500」(生産終了品)

パイオニアAVアンプファンに朗報と言えるのが、「VSX-LX305」は独自のクロック同期機能「PQLS(プレシジョン・クォーツ・ロック・システム」に対応しているということ。「PQLS」に対応したパイオニア製ディスクプレーヤー/AVアンプ間ならば、ジッター(ノイズ)低減に努めたこの機能を利用できる。写真は取材時に使ったUltra HDブルーレイプレーヤー「UDP-LX500」(生産終了品)

音の粒立ちが際立つ「Advanced MCACC」、音の広がりが印象的な「Dirac Live」

「Advanced MCACC」と「Dirac Live」は排他での利用となるため、「VSX-LX305」を2台用意。それぞれの機能で自動音場補正をした個体を聞き比べた

「Advanced MCACC」と「Dirac Live」は排他での利用となるため、「VSX-LX305」を2台用意。それぞれの機能で自動音場補正をした個体を聞き比べた

スピーカーは、クリプシュ「RP-6000F II」(フロント/サラウンドバック)、「RP-504C II」(センター)、「RP-502S II」(サラウンド)、「RP-500SA II」(トップフロント)、「R-121SW」(サブウーハー)による「7.1.2ch」システム

スピーカーは、クリプシュ「RP-6000F II」(フロント/サラウンドバック)、「RP-504C II」(センター)、「RP-502S II」(サラウンド)、「RP-500SA II」(トップフロント)、「R-121SW」(サブウーハー)による「7.1.2ch」システム

サラウンドスピーカーの「RP-502S II」(写真左)もトップフロントスピーカーとして使ったイネーブルドスピーカー「RP-500SA II」も大きなスピーカーではないが、「VSX-LX305」のスピーカー判定は「ラージ」。つまり、低域をサブウーハーに振り分けない設定だ。低域を積極的にサブウーハーへ振り分けていくオンキヨー「TX-RZ50」との思想の違いが表れる部分のひとつだ

サラウンドスピーカーの「RP-502S II」(写真左)もトップフロントスピーカーとして使ったイネーブルドスピーカー「RP-500SA II」も大きなスピーカーではないが、「VSX-LX305」のスピーカー判定は「ラージ」。つまり、低域をサブウーハーに振り分けない設定だ。低域を積極的にサブウーハーへ振り分けていくオンキヨー「TX-RZ50」との思想の違いが表れる部分のひとつだ

さて、「VSX-LX305」の音質については関連記事「オンキヨーとパイオニアのAVアンプは何が違うのか? じっくり比較してみた」が詳しいので、そちらをご覧いただきたい。ここでは主に「Advanced MCACC」と「Dirac Live」の効果の違いについて聞いた。

とにかくわかりやすいものを、ということで再生したのはDolby Atmos音声が収録されたDolby謹製のテストディスク。「Amaze」や「Leaf」といった聞き慣れたトレーラーをかけていくと、確かに「Advanced MCACC」と「Dirac Live」では違いがある。急激に音質が変わるというよりも、サラウンドの表現の仕方、聞こえ方が違うのだ。

「Advanced MCACC」のほうは、ひと言で表せばオブジェクトの定位や音の粒立ちが優先される印象だ。「Leaf」で葉っぱが枝から離れる瞬間の音の鋭さ、明確さがあり、誤解を恐れずに言えば、いかにもハイエンドホームシアターっぽいなとも思った。音がリスニングポイントに向けてせり出してくるようで、映画館では得られないような細かな音をしっかりと再現しようという人に向いているのではないかと思う。

「Dirac Live」のほうは、対照的に音の広がりや迫力が優先されるような印象を受けた。「Leaf」で葉っぱが落下するその軌跡はどちらもスムーズだが、「Amaze」での雷雨の表現の包囲感は「Dirac Live」のほうが強い。部屋の容積以上の広さや包囲感を与えるという意味ではより映画館に近いようにも思う。

これは映画を再生した場合にも同じ印象だった。Ultra HDブルーレイ「グレイテスト・ショーマン」からジェニー・リンドのコンサート幕開きでは、主人公P・T・バーナムのアナウンスが場内に響き渡る。ここでの「Advanced MCACC」はその声の芯をとらえて明瞭に伝えるいっぽう、「Dirac Live」は場内に残るアナウンスの余韻をきれいに響かせて臨場感を盛り上げた。

まとめ:趣味のAVの高度化と、懐の深さを感じさせてくれた「VSX-LX305」

今回はイネーブルドスピーカーを2本使った環境だったが、オーバーヘッド(トップ/ハイト)スピーカーをリアルに、しかも4本以上設置した環境であれば、より差が出やすいのではないかと想像する。

ただし、こうした効果の違いはあくまでこの環境下での話になるし、周波数特性の補正具合の差によるところもあるはずだ。最終的なユーザー宅での効果は自身で確かめてもらうしかない。しかし、「Advanced MCACC」と「Dirac Live」の聞き比べをしてみると、AV趣味において、もう映画館が絶対的なリファレンス(基準)というわけでもないんだなあとしみじみ思う。「Advanced MCACC」で聞くようなオブジェクトの明確な定位なんて映画館では望むべくもないが、ユーザーの趣味としては自宅でそこを追求していくこともできるのだから。

Dolby CinemaやIMAXといった「ラージフォーマット」と呼ばれる映画上映スタイルは、AVのひとつの手本になることは間違いないが、ユーザーの自宅をそれらと同じようにはできないし、する必要もない。かといってその自宅の環境が映画館より劣っているというわけでもない。AV趣味の独自性が、とんでもないところまできていると感じさせられる。

「Advanced MCACC」と「Dirac Live」の使い分けはそんなことに共感して、面白いと思える人だけがチャレンジすべきかとは思う。どちらか方向性を定めた後は、周波数特性の補正(EQ)のかけ具合などを個別に検討していくとよさそうだ。

往年のパイオニアAVアンプファンにとって、「Advanced MCACC」は物足りないところもあるはずだが、これまでの思想は間違いなく継承されているわけで、AVアンプだけでない、これからのパイオニアホームオーディオにも注視していきたいと思う。今後「MCACC Pro」を採用した上位機が登場すれば、フロントスピーカーの周波数特性を変更せず、すべてのサラウンドスピーカーの特性をフロントスピーカーに合わせる「Front Align」などを搭載する期待も持てるだろう。

柿沼良輔(編集部)

柿沼良輔(編集部)

AVの専門誌を編集して10年超。「(デカさ以外は)映画館を上回る」を目標にスピーカー総数13本のホームシアターシステムを構築中です。映像と音の出る機械、人が一生懸命つくったモノに反応します。

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