特別企画

iPhoneやテレビ、多くのオーディオ機器に拡大する!立体音響技術「Dolby Atmos」を解説

左右計2本のスピーカーによるステレオ再生はオーディオリスニングの体験を大きく変えました。昨今では視聴者の周囲360度を音が包み込むイマーシブオーディオ、つまり立体音響の先端技術が脚光を浴びています。今回は数あるイマーシブオーディオ技術の中から、ホームシアターからテレビ、モバイル機器まで対応機器が充実する「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」にスポットを当てて解説します。ドルビーラボラトリーズの日本法人社長である大沢幸弘氏にも最新情報を取材しました。

ドルビーラボラトリーズの創始者レイ・ドルビー氏。社名の由来はもちろんドルビー氏の名前です※Dolby、ドルビー、Dolby Vision、Dolby Atmos、Dolby Cinema、Dolby AudioおよびダブルD記号は、アメリカ合衆国とまたはその他の国におけるドルビーラボラトリーズの商標または登録商標です。その他の商標はそれぞれの合法的権利保有者の所有物です。

ドルビーラボラトリーズの創始者レイ・ドルビー氏。社名の由来はもちろんドルビー氏の名前です
※Dolby、ドルビー、Dolby Vision、Dolby Atmos、Dolby Cinema、Dolby AudioおよびダブルD記号は、アメリカ合衆国とまたはその他の国におけるドルビーラボラトリーズの商標または登録商標です。その他の商標はそれぞれの合法的権利保有者の所有物です。

ドルビーはエンターテインメントの音と映像を革新してきた会社

Dolby Atmosはアメリカのドルビーラボラトリーズによる立体音響技術です。レイ・ドルビー博士が創立したドルビーラボラトリーズは「アートとサイエンスの融合」というアプローチから、自然でリアルな音によるエンターテインメントを劇場や家庭、そしてユーザーが身に着けるモバイルデバイスに届けるため、約60年間にわたる研究・開発を続けています。

ドルビーラボラトリーズ(以下:ドルビー)は音響や映像に関わる独自の技術を、世界中の映画館やハードウェアのメーカーにライセンスするビジネスモデルを展開しています。クリエイター向けの制作ツールも揃っていることから、現在はドルビーの音響技術をサポートするエンターテインメントコンテンツも勢いよく増えています。

Dolby Atmosは2010年代から映画館、ホームシアターに拡大してきたイマーシブオーディオの技術です。その特徴は、音響空間の中に「オブジェクト」として音を自在に配置する仕組みにあります。用意するスピーカーの数やレイアウトによる制約を受けることなく、立体的な音響空間を生み、そこに正確な音の定位とダイナミックな「動き」を再現します。一般に同様の技術は「オブジェクトベースオーディオ」、または「オブジェクトオーディオ」などと呼ばれています。

ドルビーラボラトリーズの日本法人Dolby Japan株式会社には、写真のようにDolby Atmosを含むドルビーの最新技術を体験できる視聴室があります。しかし、天井にスピーカーが付いたホームシアターでなくとも、現在はさまざまな態様でDolby Atmosを楽しめるようになっているのです。Dolby Atmosの効果はこちらのデモサイトなどで体験できます

ドルビーラボラトリーズの日本法人Dolby Japan株式会社には、写真のようにDolby Atmosを含むドルビーの最新技術を体験できる視聴室があります。しかし、天井にスピーカーが付いたホームシアターでなくとも、現在はさまざまな態様でDolby Atmosを楽しめるようになっているのです。Dolby Atmosの効果はこちらのデモサイトなどで体験できます

なお、ドルビーにはDolby Vision(ドルビービジョン)という映像の独自技術もあります。Dolby Visionは「HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)」という、映像の明暗や色の再現を豊かにする高画質化技術のひとつです。アップルのiPhone 8シリーズ以降がDolby Visionに対応したことから、その高画質化技術にも関心が高まっています。

音を「オブジェクト」として記録するDolby Atmos

Dolby Atmosの技術が誕生する以前、コンテンツのオーディオはステレオや5.1/7.1ch(チャンネル)のサラウンドなど、収録されている信号のチャンネル数により定義されていました。

コンテンツには各スピーカーから再生される音が記録されています。たとえば7.1ch対応のコンテンツを再生する場合、ドルビーが提案する最適なレイアウトに合わせて合計8本のスピーカーを用意すると、水平方向に広がるリアルなサラウンド体験が得られます。ドルビーには最大7.1chのオーディオ再生を実現するDolby Audioという独自技術があり、これがホームシアターの機器やブルーレイのパッケージ作品に広く普及しています。Dolby Atmosのような「オブジェクトベースオーディオ」に対して、Dolby Audioは「チャンネルベースオーディオ」の技術に分類されます。

「チャンネルベースオーディオ」とは?

こちらはドルビーのホームシアター向け「Speaker Guide」から抜粋した、7.1chシステム設置のためのセットアップイメージです。7.1chシステムは、「1」のリスニングポイントを中心として「2」の「レフト」「ライト」(またはフロントレフト/フロントライト)スピーカー、「3」の「センター」スピーカー、「4」の「サブウーハー」(またはLFE=Low Frequency Effect)、「5」の「レフトサラウンド」「ライトサラウンド」スピーカー、「6」の「レフトリアサラウンド」「ライトリアサラウンド」(またはレフトサラウンドバック/ライトサラウンドバック)スピーカーで構成されます。なお、サブウーハー(LFE)は低音だけを担当するため、「.1」とカウントされます

こちらはドルビーのホームシアター向け「Speaker Guide」から抜粋した、7.1chシステム設置のためのセットアップイメージです。7.1chシステムは、「1」のリスニングポイントを中心として「2」の「レフト」「ライト」(またはフロントレフト/フロントライト)スピーカー、「3」の「センター」スピーカー、「4」の「サブウーハー」(またはLFE=Low Frequency Effect)、「5」の「レフトサラウンド」「ライトサラウンド」スピーカー、「6」の「レフトリアサラウンド」「ライトリアサラウンド」(またはレフトサラウンドバック/ライトサラウンドバック)スピーカーで構成されます。なお、サブウーハー(LFE)は低音だけを担当するため、「.1」とカウントされます

7.1chのスピーカーシステムは主に水平方向に音を広げます。リスニングポイントから各スピーカーへの距離は等距離が理想ですが、現実的にはそうもいかないでしょう。その場合は、AVアンプでタイミングを調整する(近いスピーカーの音声にディレイをかける)のが一般的です。チャンネルベースのシステムでは、基本的に各ch(チャンネル)から制作時に決められた音だけが出るため、もし理想の音を再生したいならば、制作時と同じスピーカーの配置が求められます

7.1chのスピーカーシステムは主に水平方向に音を広げます。リスニングポイントから各スピーカーへの距離は等距離が理想ですが、現実的にはそうもいかないでしょう。その場合は、AVアンプでタイミングを調整する(近いスピーカーの音声にディレイをかける)のが一般的です。チャンネルベースのシステムでは、基本的に各ch(チャンネル)から制作時に決められた音だけが出るため、もし理想の音を再生したいならば、制作時と同じスピーカーの配置が求められます

「オブジェクトベースオーディオ」とは?

Dolby Atmosの場合、オーディオは音声信号のほかに、オブジェクトとして配置した位置情報なども一緒にメタデータとして記録されます。Dolby Atmosに対応する機器で再生するとこのメタデータが読み込まれ、水平方向だけでなく、高さ(垂直)方向にも広がり豊かな立体音響空間が描かれます。

Dolby Atmosは、スピーカーの本数や位置に応じて、オブジェクトの位置情報をうまく再現してくれます。この最適化処理が「チャンネルベースオーディオ」との大きな違いです。Dolby Atmosを十全に再生するために、図のように頭上方向にスピーカーを設置することが定義されています

Dolby Atmosは、スピーカーの本数や位置に応じて、オブジェクトの位置情報をうまく再現してくれます。この最適化処理が「チャンネルベースオーディオ」との大きな違いです。Dolby Atmosを十全に再生するために、図のように頭上方向にスピーカーを設置することが定義されています

頭上に設置するスピーカーを総称して「オーバーヘッドスピーカー」と呼び、7.1chスピーカーに6本の「オーバーヘッドスピーカー」を追加した場合は図のように「7.1.6」と表します。スピーカーの本数を表す場合などに、「7.1.6ch」と表記する例も見受けられます。頭上の少し前「7」が「レフトトップフロント」「ライトトップフロント」スピーカー、サラウンドスピーカーに近い「8」が「レフトトップミドル」「ライトトップミドル」スピーカー、いちばん後ろの「9」が「レフトトップリア」「ライトトップリア」スピーカーです

頭上に設置するスピーカーを総称して「オーバーヘッドスピーカー」と呼び、7.1chスピーカーに6本の「オーバーヘッドスピーカー」を追加した場合は図のように「7.1.6」と表します。スピーカーの本数を表す場合などに、「7.1.6ch」と表記する例も見受けられます。頭上の少し前「7」が「レフトトップフロント」「ライトトップフロント」スピーカー、サラウンドスピーカーに近い「8」が「レフトトップミドル」「ライトトップミドル」スピーカー、いちばん後ろの「9」が「レフトトップリア」「ライトトップリア」スピーカーです

「オーバーヘッドスピーカー」6本の場合の設置ガイドがこちら。角度に幅がありますが、オーバーヘッドスピーカーをたくさん設置したいマニアは参考にするとよいでしょう。さらにプロフェッショナル向け資料ではありますが、「Dolby Atmos Home Theater Installation Guidelines」や「Dolby Atmos Home Entertainment Studio Technical Guidelines」も公開されています

「オーバーヘッドスピーカー」6本の場合の設置ガイドがこちら。角度に幅がありますが、オーバーヘッドスピーカーをたくさん設置したいマニアは参考にするとよいでしょう。さらにプロフェッショナル向け資料ではありますが、「Dolby Atmos Home Theater Installation Guidelines」「Dolby Atmos Home Entertainment Studio Technical Guidelines」も公開されています

家庭用のDolby Atmosでは、最大「24.1.10」システムが定義されています。なお、図のように「オーバーヘッドスピーカー」を壁際に設置する場合は天井設置の場合と区別して「ハイトスピーカー」と呼びます。部屋前方の「9」は「レフトフロントハイト」「ライトフロントハイト」スピーカー、後方の「10」は「レフトリアハイト」「ライトリアハイト」スピーカーです

家庭用のDolby Atmosでは、最大「24.1.10」システムが定義されています。なお、図のように「オーバーヘッドスピーカー」を壁際に設置する場合は天井設置の場合と区別して「ハイトスピーカー」と呼びます。部屋前方の「9」は「レフトフロントハイト」「ライトフロントハイト」スピーカー、後方の「10」は「レフトリアハイト」「ライトリアハイト」スピーカーです

Dolby Atmosは映画館だけでなくテレビ放送にも拡大中

映画館でDolby Atmosの立体音響体験が味わえる「Dolby Cinema(ドルビーシネマ)」は、2023年4月時点で日本全国に9館あり、4月17日には大阪府門真市の「TOHOシネマズ ららぽーと門真」にDolby Cinemaが導入されたばかりです。

Dolby Cinemaの定義について、ドルビーの大沢氏は「Dolby AtmosとDolby Visionによる高品位な音と映像が再現できることのほかに、洗練されたシアターデザインが求められる」と説明しています。Dolby Cinemaでは毎シーズン数多くの話題作が上映されています。2021年11月にはアーティストの嵐のコンサートを映画化した作品「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM "Record of Memories"」のリアルなイマーシブオーディオ体験が話題を呼び、全国で1年近くにわたるロングラン上映が行われました。

オープンしたばかりの「TOHOシネマズ ららぽーと門真」のDolby Cinema。Dolby Cinemaとは、レーザー光源による2台の4Kプロジェクターを使ったDolby Vision(HDR)映像とDolby Atmosによる立体音響という2つの技術、さらに映画に没頭するための内装などの再生環境までがトータルでパッケージされた映画館のことです

オープンしたばかりの「TOHOシネマズ ららぽーと門真」のDolby Cinema。Dolby Cinemaとは、レーザー光源による2台の4Kプロジェクターを使ったDolby Vision(HDR)映像とDolby Atmosによる立体音響という2つの技術、さらに映画に没頭するための内装などの再生環境までがトータルでパッケージされた映画館のことです

「内装などの再生環境」の一環として、「TOHOシネマズ ららぽーと門真」のDolby Cinemaの入り口には映像の表示される道「AVP(オーディオビジュアルパス)」が設置されています。再生クオリティだけでなく、気分を盛り上げる工夫もDolby Cinemaならではと言えます※三井ショッピングパーク ららぽーと門真、三井アウトレットパーク 大阪門真のグランドオープンに伴い、4/17より「TOHOシネマズららぽーと 門真」内にてご覧いただけます。※本AVP(オーディオビジュアルパス)は、「TOHOシネマズ ららぽーと門真」内のDolby Cinema限定でお楽しみいただけます。

内装などの再生環境の一環として、「TOHOシネマズ ららぽーと門真」のDolby Cinemaの入り口には映像の表示される道「AVP(オーディオビジュアルパス)」が設置されています。再生クオリティだけでなく、気分を盛り上げる工夫もDolby Cinemaならではと言えます
※1 三井ショッピングパーク ららぽーと門真、三井アウトレットパーク 大阪門真のグランドオープンに伴い、4月17日より「TOHOシネマズららぽーと 門真」内にてご覧いただけます。
※2 本AVP(オーディオビジュアルパス)は、「TOHOシネマズ ららぽーと門真」内のDolby Cinema限定でお楽しみいただけます。

ドルビーラボラトリーズの日本法人社長である大沢幸弘氏

ドルビーラボラトリーズの日本法人社長である大沢幸弘氏

Dolby Atmosの立体音響体験はスポーツ中継のコンテンツとも相性が良好です。昨年秋にカタールで開催された2022 FIFAワールドカップのサッカーの試合は、世界の20を超える国と地域でDolby Atmos音声による放送・配信が行われました。Dolby Atmosの迫力ある音声を採用する放送や配信コンテンツも増えています。たとえばイギリスではスポーツ専門チャンネルであるBT Sportが英プレミアリーグ、独ブンデスリーガのサッカーの試合を中心に放送中。またSky SportsもDolby Atmos音声によるクリケットの中継番組を制作しています。

ホームシアター、モバイルのDolby Atmos対応製品も充実

ホームシアターでDolby Atmosの立体音響体験を楽しめる環境も充実しました。

サラウンド対応のAVアンプを中心にマルチチャンネルスピーカー環境を組むだけでなく、サウンドバーと呼ばれるシングル筐体のスリムなスピーカー1本でDolby Atmos再生ができる製品は数多くあります。アップルの「HomePod」やアマゾンの「Echo Studio」もDolby Atmos対応する音声コンテンツの臨場感を1台で再現できるスマートスピーカーです。

「Dolby Atmosはスピーカーの本数やレイアウトの制約に縛られることなく、とてもシンプルにイマーシブオーディオが楽しめる技術。1本のサウンドバーだけで部屋全体が臨場感あふれるサウンドに包まれます。自動音場補正でDolby Atmosによる再生環境を最適化してくれるスマートスピーカーも揃ってきたので、ぜひ気軽に楽しんでほしい」と大沢氏が呼びかけています。

スマートフォンには、たとえばソニー「Xperia」シリーズの上位機種のように、本体に内蔵するスピーカー、または有線・無線のヘッドホン・イヤホンとの組み合わせによりDolby Atmos再生が楽しめる製品があります。モバイルPCの中にも最新のM2チップを搭載する「MacBook Air」「MacBook Pro」を始め、内蔵スピーカーでDolby Atmosの立体音響体験を再現できるマシンが増えました。

上記のホームシアターセッティングのようなスピーカーシステムは、Dolby Atmos再生に必須ではありません。たとえばパナソニックの有機ELテレビ「LZ2000」シリーズでは上や横方向に音が広がるようにスピーカーを配置して、Dolby Atmosを再生します。ドルビーラボラトリーズでは、製品がDolby Atmosの信号処理をできることのほかにも、アコースティック性能についても確認したうえでDolby Atmos対応の認証を行います

上記のホームシアターセッティングのようなスピーカーシステムは、Dolby Atmos再生に必須ではありません。たとえばパナソニックの有機ELテレビ「LZ2000」シリーズでは上や横方向に音が広がるようにスピーカーを配置して、Dolby Atmosを再生します。ドルビーラボラトリーズでは、製品がDolby Atmosの信号処理をできることのほかにも、アコースティック性能についても確認したうえでDolby Atmos対応の認証を行います

「イネーブルドスピーカー」とは?

上記の「LZ2000」シリーズのように上向きスピーカーを「イネーブルドスピーカー」搭載として訴求する製品があります。「イネーブルドスピーカー」の正式名称は「Dolby Atmos-enabled speaker(ドルビーアトモスイネーブルドスピーカー)」。頭上にスピーカーを設置する「オーバーヘッドスピーカー」の代わりに、高さ方向の音を天井反射させることで立体的な音響体験を提供します。


スピーカーが上向きであることに加え、聴覚特性を考慮したフィルター処理を適用した音声信号を出力することで、上方向からの音として知覚される効果を高めています。

ホームシアターシステムに組み込むために、単体の「イネーブルドスピーカー」も販売されています。写真はソニーの「SS-CSE」

ホームシアターシステムに組み込むために、単体の「イネーブルドスピーカー」も販売されています。写真はソニーの「SS-CSE」

イネーブルドスピーカーは、図のようにフロントやサラウンド、サラウンドバックスピーカーの上に載せて使うのが一般的です

イネーブルドスピーカーは、図のようにフロントやサラウンド、サラウンドバックスピーカーの上に載せて使うのが一般的です

Dolby Atmosを使えばどんな環境でもイマーシブオーディオ体験に触れられる

Dolby Atmosに対応するコンテンツの形態もさまざまです。先述の嵐によるコンサートはUltra HDブルーレイディスクに収録されたパッケージ作品にもなっています。Dolby Cinemaで上映される作品が増えるほどに、Dolby Atmosに対応するパッケージ作品のボリュームも拡大しています。

NetflixやAmazonプライム・ビデオ、Disney+、Apple TV+、U-NEXTにビデオマーケット(Video Market)など動画配信プラットフォームもDolby Atmos対応を完了しています。一部のコンテンツはDolby VisionのHDR映像配信も行われています。

また、最近ではAmazon MusicやApple Musicなどが、Dolby Atmosに対応する音楽コンテンツの配信に力を入れています。各社のスマートスピーカーやスマートフォンと一般的なステレオヘッドホン・イヤホンの組み合わせで立体音響体験が楽しめる手軽さが人気を集めています。

Dolby Atmosの技術には「映画館」「ホームシアター」「モバイル」など、デバイスや再生環境による区別がありません。アンプやスピーカーなどハードウェアのクオリティの差が体験に付加価値を与える余地は残されていますが、基本的にはコンテンツのクリエイターが意図したままのサウンドを、対応するさまざまな環境で均等に再現できるところが技術の特徴です。

Dolby Atmosの展開は自動車にも及んでいます。メルセデス・ベンツは高級車を中心にDolby Atmos対応を図ることを発表しています

Dolby Atmosの展開は自動車にも及んでいます。メルセデス・ベンツは高級車を中心にDolby Atmos対応を図ることを発表しています

「ドルビー対応」をうたう製品やコンテンツのクオリティが、ドルビーの求める基準に到達しているか、同社の技術者が入念に確認をしたうえで認証を行うプログラムがあります。クオリティや再生互換を含む「安心感」を、ドルビー対応のエンターテインメントを楽しむユーザーに提供することが認証プログラムの最たる目的です。あらゆる環境でベストなエンターテインメント体験を提供できるグローバルなエコシステムを持つことが、他社のイマーシブオーディオの技術やサービスに対するドルビーの優位性なのだと、大沢氏は強調しています。

次回はDolby Atmosを支える独自の符号化技術を紹介します。

山本 敦

山本 敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。海外は特に欧州の最新エレクトロニクス事情に精通。最近はAppleやGoogle、Amazonのデバイスやサービスまで幅広く取材しています。

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