「YouTube」に代表される動画投稿サイトの普及により、ピアノやアコースティックギターなどの演奏動画を投稿する人がプロ、アマを問わず増えています。とはいえ、一眼カメラやビデオカメラの内蔵マイクで高音質な演奏動画を収録するのは難しいもの。音質を追求するなら、外部のマイクとレコーダーを組み合わせて撮影する必要があります。
ただし、こうした外部機器を使いこなすには経験が必要です。フランスの音楽院でピアノを専攻し、ピアノ演奏動画の収録歴が長い筆者は、外部機器を使用して高音質な動画を収録する方法を模索してきました。そこで今回は、試行錯誤の結果から行きついた高音質な演奏動画を撮る方法をご紹介します。
なぜ、カメラの内蔵マイクで高音質を目指すのは難しいのでしょうか。それは、音声収録に必要な代表的なパーツ「マイク」「アンプ(マイクプリアンプ)」「ADコンバーター」によるところが大きいと考えられます。
マイクは、音の波を拾って小さな電気信号の波に変換するもの。アンプはその小さな電気信号の波を適切な大きさまで増幅する装置です。そしてADコンバーターは、増幅されたアナログの電気信号の波を特定の精度でデジタル情報へ変換します。マイクの質が低ければ音を適切に電気信号に変換できませんし、アンプの質が低ければ電気信号とともにノイズまで増幅します。そして、ADコンバーターの質が低ければデジタル情報への変換が粗くなります。
いずれのパーツも音質を左右するわけですが、大きさやコストに限界がある一眼カメラやビデオカメラが、これら3つの要素を高次元で満たすのはなかなか難しいのです。
ファインダー上部にステレオマイクを装備。サンプリング周波数は48kHz、量子化ビット数は16bitと、記録フォーマットのスペックは高めですが、このボディに収まる小さな内蔵マイクとアンプでは取り込める音質には限界があります
加えて、カメラの内蔵マイクは、カメラの設置場所でしか集音できないという問題もあります。たとえば、演奏者を遠くから撮影する場合、音も遠くなりますし、演奏者を斜めから撮影する場合は、真正面から集音できません。カメラの内蔵マイクで、音のバランスを最適化するのは困難です。このような事情から、音質やバランスにすぐれた収録を行うには外部の録音機器が欠かせないわけです。
では、カメラのほかにどんな録音機器が必要になるのでしょう。具体的に紹介していきます。
録音機器の主役はマイクです。代表的なマイクの種類には「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」があります。
ダイナミックマイクは、音の波をコイルで電気信号に変換するタイプのマイク。振動や湿気に強いものの、音圧に対する感度は低めです。ボーカルのライブ収録などでよく使用されますが、演奏という繊細な音の収録には向きません。
いっぽう、コンデンサーマイクは、電気を蓄えたり放出したりするコンデンサーの仕組みを使って、音の波を電気信号に変換するタイプのマイクです。振動や湿気に弱いですが、広い周波数帯を高感度で拾えるため、楽器演奏のスタジオ収録などに適しています。今回の記事のテーマとなる、楽器の演奏動画の収録にはぴったりでしょう。
また、マイクの種類は大まかに、周囲360度の音を均一に収音する「無指向性」と、正面の音を収音しやすい「単一指向性」に分けられます。単一指向性のマイクは背後のノイズを拾いにくいため、音源の方向が決まっている演奏の収録に適しています。ただし、ホールなどで収録する場合は、あえて無指向性のマイクを使って背後の残響まで拾うという考え方もあります。
性能面での主なポイントは、収録できる音域の広さを示す「周波数特性」、信号とノイズの比率を示す「S/N比」、音圧に対する出力電圧の高さを示す「感度」の3つ。周波数特性が広いほど拾える音域が広く、S/N比が高いほどノイズが少なく、感度が0に近いほど音を拾いやすくなります。
筆者が行うことの多い繊細なピアノ演奏は音域が広いため、周波数特性が広く、かつS/N比や感度が高いマイクが適していると言えます。ただ、演奏音以外の音やノイズも取り込みやすいので、楽器の音域に合わせて周波数特性を絞ったり、周辺環境に応じて感度を抑えたりしたほうが効果的なこともあります。
今回は、コンデンサーマイクのペアセット、RODE「NT5-MP」を使用します。スタジオやコンサートホールなどでも採用されることの多い高品位マイクです。1本のみのRODE「NT5」も販売されていますが、ステレオ録音する場合は、特性の合った2本が組み合わさったRODE「NT5-MP」を選ぶといいでしょう
メッシュになっている方向が正面となる単一指向性のマイクです。周波数特性が20Hz〜20kHzと広く、ピアノ全体の音域をフラットにカバーできるうえ、S/N比78dB、感度-38dBと音質面も秀逸。アコースティック楽器の演奏の収録で重宝します
なお、コンデンサーマイクは電源供給が必要な点に注意しましょう。カメラの上部に取り付ける外部マイクは電源供給が不要なダイナミックマイクであることが多いのですが、コンデンサーマイクの多くはXLRケーブルという上質なケーブルを使用してレコーダーやオーディオインターフェイスに接続。そこからファンタム電源と呼ばれる電源を供給する必要があります。つまり、カメラとは切り離して使用するのが基本です。
RODE「NT5-MP」の後方にあるXLR端子(オス)。ここにXLRケーブル(メス)を挿し、レコーダーなどと接続します
マイクのほかに、アンプとADコンバーターを兼備したレコーダーも必要です。レコーダーにもピンからキリまでさまざまな製品がありますが、今回のように演奏を収録する場合は、無圧縮録音が可能なリニアPCMレコーダーを選びたいところです。
リニアPCMレコーダーの性能面でポイントは、信号とノイズの比率であるS/N比です。アンプまわりの性能によってS/N比は大きく変わってきますが、マイク同様、S/N比は高ければ高いほどノイズが減っていきます。
そして、ADコンバーターの性能では「サンプリング周波数」と「量子化ビット数」に注目しましょう。サンプリング周波数は、音のアナログ波形をデジタル情報に変換するときの時間軸(横軸)の細かさを、量子化ビット数は振幅(縦軸)の細かさを示します。いずれも高いほどクリアな音になりますが、いわゆるハイレゾの基準となる、サンプリング周波数96kHz、量子化ビット数24bit以上のものが望ましいでしょう。
また、コンデンサーマイクと接続する場合、先述したXLRケーブルとファンタム電源に対応していることも要チェックです。リニアPCMレコーダーにXLR端子が装備されていれば、コンデンサーマイクと接続できるはずですので、購入前にチェックしておきましょう。
今回活用するリニアPCMレコーダーはTASCAM「DR-100MKIII」。100dB超という高いS/N比を誇る上位機種で、サンプリング周波数192kHz、量子化ビット数24bitでのハイレゾ録音が可能です
本体底面にXLR/TRS端子(メス)×2を装備。ここにXLRケーブル(オス)(またはTRSフォーンケーブル)を挿入し、マイクと接続します
このほか、マイクをオーディオインターフェイスに接続し、それをさらにパソコンに接続して収録するという方法もあります。この方法は多くのマイクを使用する場合などに有力な選択肢になりますが、機器が大がかりになるので、2本程度のマイクの場合はやはりリニアPCMレコーダーの使用が適していると言えるでしょう。
コンデンサーマイクを使用する場合、マイクとリニアPCMレコーダーとの接続にはXLRケーブルを使用するのが基本です。このケーブルは、3本の線で信号を伝えるバランス方式と呼ばれるタイプで、ノイズに強いのが特徴。ただし、ケーブルは長ければ長いほどノイズが入りやすいので、必要以上に長いケーブルを使うのは避けましょう。
また、端子のオス/メスの区別にも注意が必要です。コンデンサーマイクのXLR端子はオス、リニアPCMレコーダーのXLR端子はメスであるため、XLRケーブルのいっぽうの端子はメス、もういっぽうはオスである必要があります。両端がオスのケーブルもあるため、間違わないようにしましょう。
今回使用したXLRケーブルは、オーディオテクニカ「ATL458A/3.0」(3.0m オス-メス)。取り回しも考え、3mタイプをチョイスしました
先端に3つの穴が開いている端子がメス。こちらをコンデンサーマイクに接続します
内側に3本のピンがある端子がオス。こちらをリニアPCMレコーダーに接続します
コンデンサーマイクとリニアPCMレコーダーを接続してみました。コンデンサーマイクの着脱は、マイクが故障しないよう、リニアPCMレコーダーのファンタム電源がオフの状態で行いましょう
録音機器が確認できたら、収録本番を想定してマイクをセッティングします。同じ機器でもマイクの位置によって音の響きが変わってくるので、セッティングはとても重要です。特に、2本のマイクを使用するステレオ録音の場合は、セッティングによって大きな違いが出てきます。ここでは、2本のマイクを使用するステレオ録音を例に、典型的なセッティング方法であるAB方式とXY方式の2つを試していきます。
今回音源にするのは、上級アップライトピアノのヤマハ「YUS3-SH2」。プレイヤーズポジション(演奏者の方向)から収録を行います。2本のマイクを使用するステレオ録音では、マイクスタンドの先端に横長のマイクバーを装着して、複数のマイクを設置できるようにします。
楽器のサイズにもよりますが、ソロ演奏の収録なら40cm前後のマイクバーがあれば十分。左右のマイクの距離を大きく取りたい場合や、より自由にマイクを配置したい場合は、マイクバーの代わりにマイクスタンドを2つ使用します。
マイクスタンドのK&M「21020B(ST210/2B)」に、マイクバーのK&M「236」を組み合わせました
K&M「236」には、4つのマイク装着部があります。内側を使用した場合は約17cm、外側を使用した場合は約34.5cmの間隔を確保できます
では、最も基本的なセッティング方式であるAB方式から確認していきましょう。AB方式は、ある程度、距離を置いて左右のマイクをほぼ平行に並べるというシンプルなもの。右のマイクで右方向の音を、左のマイクで左方向の音をキャッチします。たとえばピアノの場合、演奏者から見て左方向に低音の弦、右方向に高音の弦があるため、プレイヤーズポジションから録音すると、低音は左から、高音は右から、とかなりはっきりと分かれます。つまり、音の広がりに長けたステレオ感の強いセッティング方式なのです。
実際にセッティングしてみたところ、左右のマイクを離しすぎると、中央の音源からマイクまでの距離が遠くなって中央の音が弱くなり、かといって左右のマイクの距離を縮めすぎれば、右方向の音と左方向の音が弱くなってしまいました。シンプルでありながら、バランスを取るのが難しい印象です。
AB方式でのセッティング例。ピアノは楽器の幅が広いため、左右のマイクを気持ち開き気味にしました
セッティングが容易だったのは、もうひとつのXY方式でした。この方式では、左のマイクをレコーダーの右(R)側に、右のマイクをレコーダーの左(L)側に接続したうえ、左右のマイクをなるべく近づけながら、ハの字のように内側に大きく傾けます。左のマイクで右方向の音を、右のマイクで左方向の音をキャッチするわけです。
右方向の音と左方向の音を真正面から拾いながら、中央の音も左右のマイク範囲でカバーできるため、バランス感や定位感にすぐれ、初心者でも失敗しにくい方式だと思います。ただし、AB方式のような音の広がりは実現できないため、アンサンブルやオーケストラのような広がりのある演奏には不向きでしょう。
XY方式で左右のマイクを傾けて作る角度は90度がよいと言われますが、私はこの角度が常に正解だとは思いません。マイクの真正面が最も感度が高いことを考えると、音源(楽器)とマイクの距離によって、左右のマイクを向けるべき場所は微妙に変わってくるはずです。
音源とマイクが近い場合は、左右のマイクの角度が90度でも音源が真正面にかかるため、音を拾いやすいですが、音源とマイクが遠い場合は、90度のままでは音源がマイクの真正面から外れて、音を拾いにくくなります。今回セッティングした距離では、左右のマイクの傾きを小さくして、左のマイクで音源の右方向を、右のマイクで音源の左方向を、それぞれしっかりととらえられるようにしたほうがよいと感じました。
XY方式でのセッティング例。左右のマイクの角度を90度よりもやや鋭角にし、左のマイクがピアノの右方向に、右のマイクがピアノの左方向に向かうよう調整しました
音源とマイクの距離について補足があります。音源とマイクの距離が近いと、マイクに届く音が大きくなり、入力レベルを低くしても十分な音をキャッチできるため、ノイズを抑えやすくなります。ただし、マイクに近い部分の音と遠い部分の音の差が大きくなるので、バランスが崩れやすいところがあります。
特にピアノのような大きな楽器の場合は、2本のマイクで至近距離からバランスよく音をとらえるのは至難の業です。加えて、音源とマイクの距離が近いと部屋やホールの響きもとらえにくくなります。好みもありますが、ピアノのような大きな楽器の場合は1m前後、距離を取ったほうが無難かもしれません。
マイクはうまくセッティングできても、リニアPCMレコーダーの入力レベルをしっかりと設定しないと、音が歪んだり、ノイズが大きくなったりします。
「オート」設定で収録したいところかもしれませんが、ちょっと待ってください。オートでは音が小さい部分で入力レベルを上げ、音が大きい部分で入力レベルを下げるようになるため、せっかくの演奏の強弱が台なしになりかねません。ベストな状態で演奏を録音できるよう、ぜひ手動で入力レベルを調節したいところです。
ここで活躍するのが、リニアPCMレコーダーのレベルメーターです。レベルメーターは音量が適切かどうかを示すもので、右端は0dBです。0dBに達すると音が歪んでしまうので、0dBに到達しない程度まで入力レベルを落とす必要があります。そのため、余裕を持たせて、収録中にレベルメーターが-12dB程度を示すように設定するのがよいとされています。
ただ、楽器の演奏は激しい強弱がつきもの。基本的に-12dB程度になるよう設定したとしても、盛り上がる場面で0dBに達して、音が割れてしまった経験が多々あります。筆者としては-12dBを基準に設定することはあまりおすすめできません。
0dBを突発的に超える場面で入力レベルを一時的に落とす「リミッター」機能や、0dBを超える時点から入力レベルを下げたままにする「ピークリダクション」機能も試してみましたが、いずれも演奏途中で入力レベルが変動し、本来の音の強弱が損なわれてしまい、これらを使うのも上策ではありませんでした。
では、適切な入力レベルにするには、どうしたらよいでしょう。たどり着いたのは、ピークリダクション機能をオンにし、入力レベルを最大にした状態で、実際に演奏中の最大音量を出してみることです。すると、最大音量でも音が歪まないところまで入力レベルが下がるので、その状態でピークリダクションをオフにして手動制御に切り替えるのです。そこから念のため入力レベルを若干下げて録音を開始するようにしたところ、うまくいきました。
まずはリニアPCMレコーダーの設定画面で、ピークリダクションをオンにします。そのうえで、ホーム画面の右下に示される入力レベルを最大にします
上記の状態で演奏中の最大音量になる部分を実際に鳴らすと、自動で適切な入力レベルまで下がります。最後に手動に切り替えて、入力レベルを気持ち下げておけば安全です
演奏をうまく収録できても、動画はまだ完成していません。カメラで撮影した映像と、リニアPCMレコーダーで収録した音は、別々のデータとして保存されているからです。最後に、映像と音を動画編集ソフト上でうまく合わせて仕上げる必要があります。
カメラでは、映像と一緒に内蔵マイクで収録した音も記録されています。最終的な動画では、この内蔵マイクの音を削除して、リニアPCMレコーダーで収録した音に差し替える形にするのです。
ただし、この内蔵マイクで収録した音をすぐに削除してはいけません。編集ソフト上のトラックに波形を表示したままにしておき、そのトラックの直下にリニアPCMレコーダーで収録した音の波形を表示し、双方の波形が一致するように合わせていくのです。その後に内蔵マイクの音を削除すれば、ぴたりと映像と音が合うはずです。
「Audio 1」のトラックがカメラの内蔵マイクで収録した音の波形、その下の「Audio 2」のトラックがリニアPCMレコーダーで収録した音の波形です。トラック内の特徴的な波形を探し、上下の波形が一致するように下のトラックの位置を調整すればOK。このとき、波形を十分に拡大してズレを最小限に抑えるのがコツです
このほかにも、リニアPCMレコーダーのライン出力端子とカメラの音声入力端子を接続し、録音開始時や録音終了時にトーン信号を挿入するという方法もあります。こうしておくと、この信号を目印にして位置合わせができて便利です。カメラとリニアPCMレコーダーが接続できる距離にある場合は、この方法を採用するのもひとつの手です。
注意したいのは、映像と音を別の機器で収録している場合、時間の経過とともに映像と音が少しずつズレていきやすいことです。数分程度の動画なら気にならないかもしれませんが、10分を超える場合は、無音のタイミングなどを見計らって数分おきに映像と音を合わせ直すことで、このズレを解消するとよいでしょう。
このような過程で今回作成してみたのが、以下の動画です。音質がわかりやすいよう、C.P.E.バッハの物静かな曲目「ソナタ Wq55-3」をチョイスして、サンプリング周波数192kHz、量子化ビット数24bitで収録しました。一切加工を行っていませんが、ホワイトノイズや音の歪みがほとんどない、クリアな音質で収録できていることがわかるでしょう。また、AB方式とXY方式の双方で収録したので、セッティングの違いによる響きの差もチェックしてみてください。
最後に、今回の検証機器と同様に高音質で収録できる、注目のコンデンサーマイクとリニアPCMレコーダーをいくつか紹介します。コンデンサーマイクでは周波数特性や感度、S/N比などのスペックを、リニアPCMレコーダーではサンプリング周波数や量子化ビット数、S/N比などのスペックを参考にしながら、自分に適した製品を選んでみてください。
広いダイナミックレンジとナチュラルな響きで名高い、大口径の単一指向性マイク。低価格なコンデンサーマイクの中では最高クラスのコストパフォーマンスを誇ります。
広くフラットな周波数特性を備えた、アコースティック楽器の録音に最適なマイク。単一指向性/無指向性を付属カプセルで切り替えることもできます。
高音域の響きがとりわけ評価されている定番の単一指向性マイク。高い音圧でも歪みにくく、シンバルやドラムなどの録音にも適します。
価格と性能のバランスにすぐれたエントリーレコーダー。XLR/TRS端子×4を備え、4本のコンデンサーマイクを同時接続できるのも魅力です。
サンプリング周波数192kHz、量子化ビット数24bitのハイレゾ録音が可能な上級レコーダー。スマートフォンのアプリ経由で録音できるなど、操作性にもすぐれています。
サンプリング周波数192kHz、量子化ビット数32bit floatの高音質を誇る最高クラスのレコーダー。詳細な入力レベル設定をしなくても、最適な音質で収録できます。
上質なコンデンサーマイクと高品位なリニアPCMレコーダーを使用すれば、演奏動画をプロクオリティの高音質なもの引き上げられます。ただ、コンデンサーマイクには指向性や周波数特性、感度などの多様な特性があるうえ、マイクのセッティング方式によっても響きが大きく変わってきます。筆者も試行錯誤してきましたが、手間をかければかけるほど、音質が向上し、理想的な響きに近づいていくのは楽しい体験です。
演奏動画の世界は奥深く、収録の方法にこれだと言い切れる定石はありません。筆者の経験を参考にしつつ、これにとらわれることなく、ぜひ独自の正解を見出してほしいと思います。