レビュー

どこが違う? ヤマハとデノンのHDMI端子搭載プリメインアンプを比べてみた

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近年、HDMI端子やネットワークオーディオ機能を装備したD/Aコンバーター内蔵ステレオプリメインアンプが増えてきた。ここでは、このジャンルの新製品であるデノン「DRA-900H」とヤマハ「R-N1000A」についてレビューしてみたい

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待望のデノン製HDMI入出力付きプリメインアンプ「DRA-900H」
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待望のデノン製HDMI入出力付きプリメインアンプ「DRA-900H」
デノンの「DRA-900H」はHDMI入出力を持ったフルサイズのプリメインアンプ。ゲームもネット動画も手軽に再生できる接続性と音質へのこだわりが魅力です。
2023/09/26 11:00

従来は、リビングルームで映像コンテンツをよい音で聴きたいと考えたとき、HDMI端子を備えたサウンドバーかAVアンプを選ぶのが通例だった。ブルーレイプレーヤーやレコーダー、さまざまなVOD(Video on Demand)が楽しめるAmazon「Fire TV」や「Apple TV 4K」のようなコンポーネントを含め、現在のAVソース機器の音声出力がほぼHDMIに限られるようになってしまったからだ。

現在のAVソース機器はHDMI端子を前提にしていると言ってよい。そこで俄然フィーチャーされるのが、HDMI端子を搭載したプリメインアンプの存在だ。AVアンプよりもシンプルに使えて音質にも期待できる

現在のAVソース機器はHDMI端子を前提にしていると言ってよい。そこで俄然フィーチャーされるのが、HDMI端子を搭載したプリメインアンプの存在だ。AVアンプよりもシンプルに使えて音質にも期待できる

しかしながら、すべてのユーザーがサウンドバーやAVアンプを欲しているわけではない。テレビの下に置かれるサウンドバーは、映像と音像の垂直方向の乖離(かいり)が大きく、画面に映し出された人物が実際にしゃべっている、歌っているという実感が得られにくい。また、筆者は現行サウンドバーのほとんどを聴いているが、価格に見合った音質を聴かせてくれる製品は、残念ながらきわめて少ないと言わざるを得ない。

いっぽうで、リビングルームにサラウンドスピーカーなど置きたくない、いわんやDolby Atmos用トップスピーカーを天井に取り付けるなんて絶対無理。加えて見た目がいかつくて巨大なAVアンプをリビングルームに置きたくないという人も多いことだろう。

シンプル&スマートに音質強化できる、HDMI端子&ネットワークオーディオ対応プリメインアンプ

リビングルームに置いた、長年親しんできた2ch(ステレオ)システムに映像機器をスマートに組み込みたい。そして、Amazon Music Unlimitedのようなハイレゾ対応の高音質音楽ストリーミングサービスをよい音で楽しみたい。そう考えたときにクローズアップされるのが、近年その数が増えてきたHDMI端子&ネットワークオーディオ対応プリメインアンプなのである。

なぜプリメインアンプにHDMI「入力」が必要なのか?

近年増えてきた該当アンプはHDMI端子のうちARC対応のHDMI端子のみを備えた製品がほとんどだ。ARCは"Audio Return Channel"の頭文字を取った技術名称で、アンプなどのARC対応「出力」端子をテレビのARC対応「入力」端子に接続すると、音声信号がテレビからアンプへ”戻ってくる”という伝送規格だ。つまりブルーレイレコーダーや「Apple TV 4K」のようなソース(「出力」)機器とアンプのARC対応HDMI(「出力」)端子を直接つないでも音声信号を伝送できないのである。

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また、受け手(HDMI「入力」端子)側は「映像」信号の処理機能が必須となるいっぽうで、ARC対応のHDMI(「出力」)端子はテレビから“戻ってくる”デジタル音声信号を受けるだけ。HDMIである以上、映像信号を取り扱ってはいるものの、スケーリングなど映像信号の細かな処理機能は必要ない。つまり回路面、コスト面で有利となるので、ARC対応端子限定でHDMI端子を搭載しようというプリメインアンプが増えているわけである。

ここで紹介するデノン「DRA-900H」は、ARC対応のHDMI出力端子のみならずHDMI入力端子を6入力用意したHDMIセレクターが装備されている。この意義はとても大きい。

デノン「DRA-900H」はHDMI「入力」6系統とARC対応のHDMI「出力」を1系統備える。いっぽうのヤマハ「R-N1000A」はARC対応のHDMI端子のみ。このARC対応端子はテレビなどのARC対応ディスプレイとつなぐためだけの用途に限定される

デノン「DRA-900H」はHDMI「入力」6系統とARC対応のHDMI「出力」を1系統備える。いっぽうのヤマハ「R-N1000A」はARC対応のHDMI端子のみ。このARC対応端子はテレビなどのARC対応ディスプレイとつなぐためだけの用途に限定される

上記のとおり、ARC対応HDMI端子付きプリメインアンプは必ずテレビから“戻ってきた”音をHDMI端子で受ける。その場合に96kHz/24bit、192kHz/24bitなどのハイレゾスペックの信号を再生したとしても、現行の多くのテレビではその音声処理回路の限界によって48kHz/16bitにダウンコンバートされることになる。

しかしながら、本機のようにHDMI入力端子を備えた製品ならば、96kHz/24bit、192kHz/24bitなどのハイレゾスペックの信号をそのまま受け入れることができるのである。詳細は後述するが、ハイレゾスペックの音源をそのまま再生できるHDMI入力端子と48kHz/16bitにダウンコンバートされたARC対応HDMI端子の音を比較すると、断然前者が好ましかった。ARC対応端子以外にHDMI入力端子を持つ意義はとても大きいのである。

ARC対応のHDMI端子だけを持ったプリメインアンプの場合、接続方法は図の左側のようになり、テレビがセレクターの役割を果たす。このとき、青の破線で示したテレビからアンプへ送られる音声信号はダウンコンバート処理されることが多い。ところがHDMI入力を持った「DRA-900H」では右の接続方法も可能だ。この場合、青の実線で示された音声/映像信号はダウンコンバートされず、直接「DRA-900H」に送り込まれるのだ

ARC対応のHDMI端子だけを持ったプリメインアンプの場合、接続方法は図の左側のようになり、テレビがセレクターの役割を果たす。このとき、青の破線で示したテレビからアンプへ送られる音声信号はダウンコンバート処理されることが多い。ところがHDMI入力を持った「DRA-900H」では右の接続方法も可能だ。この場合、青の実線で示された音声/映像信号はダウンコンバートされず、直接「DRA-900H」に送り込まれるのだ

ちなみにHDMI伝送においては、CEC(Consumer Electronics Control)という機器連動用信号が内包されることがほとんどで本機「DRA-900H」も例外ではない。この機能によって接続されたテレビのリモコンでアンプの音量がコントロールできるほか、電源のオン/オフ連動も可能になる。しかしこれがわりとクセモノで、製品の組み合わせによってはうまく働かないケースも散見される。

本機の外観デザインは同社製AVアンプそのまま。AVアンプからサラウンドデコーダーを取り除き、パワーアンプを2chに絞った製品という見方もできるかもしれない。

カスタム仕様の大型EIコアトランスを用いたアナログリニア電源回路とAB級増幅回路を搭載したオーソドックスなプリメインアンプで、同社が長年培ってきた高音質メソッドが随所に盛り込まれている。

D/A変換回路にはL/Rchそれぞれに2chチップを充てて2段の差動合成でSN比を向上させている。また、音質を決定づけるコンデンサーや抵抗などもサウンドマスター(音質決定の責任者)が厳選したものが使われているという。

デノン「DRA-900H」はミッドレンジの充実した厚みのあるサウンド

視聴は自室で行った。サブシステムの65型有機ELテレビREGZA「65X9400」と「DRA-900H」をHDMIケーブルで接続し、エラックのスピーカー「330 CE」を鳴らしてみた。ちなみに本機にはスピーカー端子が2系統あるのでA+B設定(A端子とB端子どちらからも出力される設定)とし、「330 CE」をバイワイヤリング接続にて駆動した。

ARCの音質を確認するため、65V型有機ELテレビと接続。さらにAmazon Music Unlimitedでハイレゾ音源の再生も行った

ARCの音質を確認するため、65V型有機ELテレビと接続。さらにAmazon Music Unlimitedでハイレゾ音源の再生も行った

多くの機器との接続性を重視されたリアパネル。Amazon「Fire TV Stick」などに給電できるUSB Type-A端子やアクティブスピーカーの接続に便利なL/Rch用プリアウトの搭載が特徴と言える。フォノ入力はMM対応だ

多くの機器との接続性を重視されたリアパネル。Amazon「Fire TV Stick」などに給電できるUSB Type-A端子やアクティブスピーカーの接続に便利なL/Rch用プリアウトの搭載が特徴と言える。フォノ入力はMM対応だ

まず本機のネットワークオーディオ機能「HEOS(ヒオス)」を用いて、Amazon Music Unlimitedの音源をいくつか聴いてみた。「HEOS」アプリをインストールしたスマホをコントローラーに、本機をレンダラーにしての再生である。

ザ・ドゥービー・ブラザーズの「Living on the Fault Line」(192kHz/24bit/FLAC)の再生がすばらしかった。ミッドレンジが充実したサウンドでボーカルが生々しく、ギターカッティングのクリスプな響きも爽快。サウンドステージの広がりも見事で、強烈にグルーヴするリズム・セクションの腰の据わったアタック音に心を動かされた。

CDスペック(44.1kHz/16bit/FLAC)のボニー・レイットの「Nick of Time」でも、印象深いのは中低域から低域の厚みのある表現。艶のあるボーカルや味わい深いスライドギターがサウンドステージにぽっかりと浮かび上がり、そのステレオマジックに陶然となった。

Android/iOS用のアプリ「HEOS」を使い、Amazon Music Unlimitedのハイレゾ音源を再生。この日はコントローラーとして「iPhone 13 mini」を使用した

Android/iOS用のアプリ「HEOS」を使い、Amazon Music Unlimitedのハイレゾ音源を再生。この日はコントローラーとして「iPhone 13 mini」を使用した

ごく一般的なバータイプのリモコンが付属。ARCとCEC機能を中心とした使い方ならば、このリモコンを触らずに運用も可能だ

ごく一般的なバータイプのリモコンが付属。ARCとCEC機能を中心とした使い方ならば、このリモコンを触らずに運用も可能だ

次に再生したのはブルーレイの「アメリカン・ユートピア」。デヴィット・バーン一座のすばらしいステージを収録したこの作品の音声はリニアPCM7.1ch(48kHz/24bit)。

まずはあえて一度プレーヤーからの音声をテレビに入力し、ARC端子で「DRA-900H」へ2ch音声を受けてエラック「330 CE」を鳴らしてみた。するとリズミックな表現にすぐれ、音楽を楽しく聴かせるところがこのアンプの美点であることがわかった。音声データをダウンコンバートしたという音の欠落感もあまり感じさせない。

しかし、本機にはハイレゾの音声データをそのまま受け取れるHDMIセレクターがある。次に、その音を聴いてみよう。

音質を求めるディスク派はARCよりもHDMI「入力」を使ってほしい

僕の部屋のメインシステムを構成するブルーレイレコーダーのパナソニック「DMR-ZR1」(この部屋ではUltra HDブルーレイプレーヤーとして使用)の音声専用HDMI出力端子を「DRA-900H」のHDMI入力端子と接続、15インチウーハー搭載の大型スピーカーJBL「Project K2 S9900」を鳴らしてみた。

スピーカーをJBL「Project K2 S9900」につなぎ、HDMI「入力」経由の音質も確認

スピーカーをJBL「Project K2 S9900」につなぎ、HDMI「入力」経由の音質も確認

再生したのは「Ryuichi Sakamoto Playing the Orchestra 2014」というブルーレイ。サントリーホールで、坂本龍一が東京フィルハーモニックオーケストラを弾き振りしたこのライブ作品は、192kHz/24bit/2ch/リニアPCM音声が収められている。

この音声データを「DRA-900H」へHDMI入力したサウンドはとてもすばらしかった。テレビ音声処理回路を通ってダウンコンバートされた音(ARCを使って聴いた音)に比べると、オーケストラのスケール感やホールプレゼンスの生々しさで圧倒的な違いを感じさせるのである。このHDMI入力端子(セレクター)を搭載したところに本機「DRA-900H」のかけがえのない魅力があると実感させられた次第。

ちなみに本機とREGZA「65X9400」のテレビ間ではCECが的確に働いていて、テレビ用リモコンを用いて音量のコントロールがスムーズに可能だった。オーディオ機器の操作に不慣れな家族でも簡単に使える点も、HDMIのARCを活用するメリットだろう。

自動音場補正機能「YPAO」がヤマハ「R-N1000A」使いこなしのポイント

ではヤマハ「R-N1000A」のレビューに移ろう。精悍なブラックフェイスの本機は、兄機「R-N2000A」に続いて発売されたネットワークオーディオ機能&ARC対応HDMI端子搭載プリメインアンプだ。

ヤマハ「R-N1000A」についても、まずはテレビとHDMIケーブルで接続。スピーカーにエラック「330 CE」を使って音質を確認した

ヤマハ「R-N1000A」についても、まずはテレビとHDMIケーブルで接続。スピーカーにエラック「330 CE」を使って音質を確認した

「DRA-900H」よりもすっきりとした「R-N1000A」のリアパネル。HDMIはARC対応端子のみ。プリアウトはL/Rchとサブウーハー用2.1ch分用意されているので、拡張性は十分。PCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHz再生可能なUSB DAC機能を持つことが本機ならではの特徴だろう。MM対応のフォノ入力も備える

「DRA-900H」よりもすっきりとした「R-N1000A」のリアパネル。HDMIはARC対応端子のみ。プリアウトはL/Rchとサブウーハー用2.1ch分用意されているので、拡張性は十分。PCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHz再生可能なUSB DAC機能を持つことが本機ならではの特徴だろう。MM対応のフォノ入力も備える

「R-N2000A」のフロントパネルにあったVU/ピーク切り替えレベルメーターはないが、美しいノブやツマミの下に有機ELパネルを用いた視認性のよい表示スペースを配したヤマハ伝統の洗練された意匠で仕上げられている。

随所に音質にこだわったデバイスやパーツを投入したヤマハ流ハイファイメソッドに則った、アナログリニア電源回路とAB級増幅回路を採用したオーソドックスな回路設計が採られているが、機能面で興味深いのは同社独自の自動音場補正機能「YPAO(Yamaha Parametric room Acoustic Optimizer)」が搭載されていること。

プリメインアンプの本機で試してみたいのは、部屋の音響特性込みでトータルの周波数特性を整えてくれるパラメトリック・イコライザーのオン/オフの聴感上の違いだ。

また本機は独自のネットワークオーディオ機能「MusicCast」を搭載しており、デノン「DRA-900H」同様サブスクの音楽ストリーミングサービスAmazon Music Unlimitedでハイレゾファイルも簡単に再生できる。

「YPAO」の詳細設定や「MusicCast」の操作には専用アプリ「MusicCast CONTROLLER」(Android/iOS対応)を使用する。「YPAO」使用時にはイコライザーのオン/オフだけでなくスピーカーの距離(ディレイ)や左右の音量差などを微調整できる。サブウーハー使用時にはクロスオーバー周波数の設定も可能など非常に多彩だ

「YPAO」の詳細設定や「MusicCast」の操作には専用アプリ「MusicCast CONTROLLER」(Android/iOS対応)を使用する。「YPAO」使用時にはイコライザーのオン/オフだけでなくスピーカーの距離(ディレイ)や左右の音量差などを微調整できる。サブウーハー使用時にはクロスオーバー周波数の設定も可能など非常に多彩だ

「MusicCast CONTROLLER」で各種サブスク音楽ストリーミングにアクセスできるほか、「TIDAL Connecct」にも対応。「TIDAL」(日本未サービスイン)のアプリから楽曲を選択し、「R-N1000A」本体で再生もできる。選曲のしやすさで言えば、断然こちらのほうが便利だ

「MusicCast CONTROLLER」で各種サブスク音楽ストリーミングにアクセスできるほか、「TIDAL Connecct」にも対応。「TIDAL」(日本未サービスイン)のアプリから楽曲を選択し、「R-N1000A」本体で再生もできる。選曲のしやすさで言えば、断然こちらのほうが便利だ

音場がすっきりと明瞭になる「YPAO」は狭小空間で生きるはず

「DRA-900H」のテスト時と同様に、まずはわが家のサブシステムで視聴した。65V型有機ELテレビREGZA「65X9400」と本機をHDMI接続、エラック「330 CE」を鳴らしてみた。本機もスピーカー端子が2系統あるのでA+B出力設定とし、バイワイヤリング接続でスピーカーを駆動した。

まず付属マイクを本機に差し、テストトーンを発生させて「YPAO」のための測定を行う。その時間わずか数十秒。驚くほど速い。

付属する「YPAO」専用マイク(左)とリモコン

付属する「YPAO」専用マイク(左)とリモコン

そしてリスニングモードを「Pure Direct」に設定し(このとき、「YPAO」のイコライザーはオフになる)、「MusicCast」をインストールしたスマホをコントローラーに用いてAmazon Music Unlimitedでザ・ドゥービー・ブラザーズの「Living on the Fault Line」(192kHz/24bit/FLAC)を聴いてみた。

デノン「DRA-900H」で聴いたこのハイレゾファイルも先述のようにとてもよかったが、本機で聴くこの楽曲はよりいっそうワイドレンジで力感に満ちていた。加えてリバーブの質が上がったかのように聞こえ、音のキメがとても細かい。「DRA-900H」と本機には約8万円の価格差があるが、それが正直に音質に反映されていると思った次第。

次に「Pure Direct」機能をオフにして、「YPAO」のイコライザーによる音の違いを確認してみた。このイコライザーのターゲットカーブ(補正後の周波数特性)がどのように設定されているのかはわからないが、オンにすると音場がすっきりと澄明(ちょうめい)になる効果が実感できた。ただし、僕の部屋で聴く限り、オフのほうが音像の張り出しや力感で上回る印象だった。

「Living on the Fault Line」のようなすぐれた録音音源を聴くときは、僕ならイコライザーがオフになる「Pure Direct」モードを常用する。低音の伝送特性に問題を抱えた(=低音が聴こえづらかったり盛り上がりすぎたりする)狭小空間では、「YPAO」はより威力を発揮するはずだ。

高価格製品の好ライバルとなる、突き抜けた音質が「R-N1000A」の魅力!

スピーカーをJBL「Project K2 S9900」に変更。こちらでもその実力を遺憾なく発揮してくれた。「R-N1000A」はHDMI入力を持たないため、ここではアナログ音声出力を持ったブルーレイプレーヤーを使用した。すぐれたアナログ音声出力を持ったブルーレイプレーヤーとの組み合わせを優先したいなら、ARC対応HDMI端子のみを持った「R-N1000A」の仕様は必要十分とも言える

スピーカーをJBL「Project K2 S9900」に変更。こちらでもその実力を遺憾なく発揮してくれた。「R-N1000A」はHDMI入力を持たないため、ここではアナログ音声出力を持ったブルーレイプレーヤーを使用した。すぐれたアナログ音声出力を持ったブルーレイプレーヤーとの組み合わせを優先する前提ならば、ARC対応HDMI端子のみを持った「R-N1000A」の仕様は必要十分とも言える

残念ながら本機は「DRA-900H」のようにHDMI入力端子を持っていない。しかしながら、本機の本格的なハイファイサウンドの魅力をもっと引き出したいと考え、アナログ音声出力を持つパナソニックのUltra HDブルーレイプレーヤー「DP-UB9000(Japan Limited)」とアナログ接続、メインシステムのスピーカーJBL「Project K2 S9900」を鳴らしてみた。聴いたのは先述したブルーレイ「Ryuichi Sakamoto Playing the Orchestra 2014」(192kHz/24bit/2ch/リニアPCM)だ。

この音は見事だった。扇状に広がるオーケストラ・イメージが得られ、弦5部のハーモニーの美しさ、金管セクションの輝かしい響き、ホールプレゼンスの豊かさなどに陶然になって聴き入った次第。

まあいずれにしても、「R-N1000A」の198,000円(税込)というメーカー希望小売価格を考えると本機の音質面の魅力は突き抜けているように思う。同220,000円(税込)のテクニクス「SU-GX70」、同286,000円(税込)のマランツ「MODEL 40n」の好ライバル出現との思いを抱いた試聴体験だった。

山本浩司
Writer
山本浩司
AV専門誌「HiVi」「ホームシアター」の編集長を経てオーディオビジュアル(AV)評論家へ。JBL「K2 S9900」と110インチスクリーンを核としたホームシアターシステムで、最高の画質・音質で楽しむAVを追い続けている。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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