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ありそうでなかなかない“ガチ”なデスクトップスピーカー「KS-55HG」

クリプトンが、デスクトップに最適なアクティブスピーカー「KS-55HG」を2024年5月下旬に発売する。メーカー希望小売価格はペアで142,780円(税込)

「KS-55HG」は左のゴールド・メタリックと右のシルバー・メタリックの2色で展開される

「KS-55HG」は左のゴールド・メタリックと右のシルバー・メタリックの2色で展開される

クリプトンは日本のオーディオメーカーであり、その主力製品はこだわりの密閉型パッシブスピーカー。最新製品「KX-0.5P II」の紹介をしたばかりだが、それとは毛色の異なるアクティブスピーカー「KS-55HG」の発売がアナウンスされた。

109(幅)×203.4(奥行)×159.5(高さ)mmというコンパクトなキャビネットにアンプやD/Aコンバーター回路を内蔵したスピーカーのため、PCと組み合わせて使えば、それだけで音楽や映画を楽しむためのAVシステムが完成する

接続端子はアナログ(3.5mmステレオミニ)からデジタル(光、USB Type-B)、Bluetoothなど多彩。デスクトップスピーカーとしてはPCとUSBでつなぐのが本道と思われるが、BluetoohスピーカーとしてLDAC、aptX Adaptiveで96kHz/24bitの再生にも対応する

接続端子はアナログ(3.5oステレオミニ)からデジタル(光、USB Type-B)、Bluetoothなど多彩。デスクトップスピーカーとしてはPCとUSBでつなぐのが本道と思われるが、BluetoohスピーカーとしてLDAC、aptX Adaptiveで96kHz/24bitの再生にも対応する

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2024/04/28 07:00

小型エンクロージャーにオーディオメーカーのこだわりが詰まっている

「KS-55HG」は小型のデスクトップ向けスピーカーとしてはかなり高価だ。その理由は音質の向上に“ガチ”で取り組んだからにほかならない。パッシブスピーカーではエンクロージャーを密閉型とすることへのこだわりを貫いた結果、独自の魅力を持った製品展開に成功しているが、こちらも同じようにこだわりが詰まっている。

本体がかなり小さいため、さすがに密閉型ではなくバスレフ型だが、「小さくて音のよいスピーカー」をオーディオメーカーが真剣に作った結果、こちらもまたほかにない魅力を持った製品に仕上がっているのだ。

30mmリング型ツイーターと63.5mmコーン型ウーハーによるシンプルな2ウェイシステム。ユニットはどちらもデンマークのTymphany(ティンファニー)製。ツイーターの形状は高域再生時の特性が乱れることを防ぐためのもの。「KX-0.5P II」のツイーター形状と同じコンセプトだ

30mmリング型ツイーターと63.5mmコーン型ウーハーによるシンプルな2ウェイシステム。ユニットはどちらもデンマークのTymphany(ティンファニー)製。ツイーターの形状は高域再生時の特性が乱れることを防ぐためのもの。「KX-0.5P II」のツイーター形状と同じコンセプトだ

ごくシンプルな2ウェイシステムであることは見てのとおりだが。手に取ると意外にもずっしりとした重量感がある。1本あたりの重量は約2kg(右側)。これはボディが厚みのあるアルミ製だから。もちろん剛性を稼ぐためで、バッフル面や背面もアルミ製。特にデスクトップで使うとなれば、スピーカーと試聴者との距離は近くなりがち。キャビネットが“鳴かない”強度が必要なのだ。

また、丸いオーバル・ラウンドフォルムには理由がある。スピーカー内部の定在波(特定帯域の共鳴)を低減すること、回折効果(音の回り込み)による悪影響を防ぐことを目的とした理にかなった形状だという。

本体裏側にバスレフポートがある。このポートの音道は内部で折りたたむようにして距離を稼いでいて、少ない容積で低音を強化できるよう工夫されている。なお、端子は片側に集中するタイプのため、もう片側のスピーカーへは専用の付属ケーブル(3m)で接続する

本体裏側にバスレフポートがある。このポートの音道は内部で折りたたむようにして距離を稼いでいて、少ない容積で低音を強化できるよう工夫されている。なお、端子は片側に集中するタイプのため、もう片側のスピーカーへは専用の付属ケーブル(3m)で接続する

底面にはオリジナルのインシュレーター(脚)が3点ずつ付いている。クリプトンが「ネオフェード・カーボンマトリクス三層材」と呼ぶ制震効果のある素材を使う、基本的にはノーケアでデスクトップに直置きできる配慮はうれしい限り

底面にはオリジナルのインシュレーター(脚)が3点ずつ付いている。クリプトンが「ネオフェード・カーボンマトリクス三層材」と呼ぶ制震効果のある素材を使う、基本的にはノーケアでデスクトップに直置きできる配慮はうれしい限り

内部はフルデジタル伝送&アクティブバイアンプ方式

2ウェイのユニットは個別のクラスDアンプ(35W+35W)で駆動されるアクティブバイアンプ方式。すべての入力信号は1度デジタル信号に変換され、その後は再生までデジタルのまま伝送される。デジタル→アナログの変換回数を抑え、ロスを最小限にするシステムだと言える。

フルデジタル伝送が売りのシステムとあって、デジタル信号の再生スペックも充実している。USB Type-B経由では最大192kHz/24bit(PCM)のほか、5.6MHzのDSD信号にも対応する。さらに本機ならではの特徴は、Bluetooth接続時、「LDAC」と「aptX Adaptive」に対応すること。どちらも96kHz/24bit再生が可能だ。

実は、2023年末に製品が発表された際は「aptX Adaptive」は48kHz/24bit対応とされていたところ、最新のチップを搭載してスペックアップを果たした。

左が140mmウーハーを搭載する「KX-0.5P II」。「KS-55HG」の小ささがわかっていただけるだろう

左が140mmウーハーを搭載する「KX-0.5P II」。「KS-55HG」の小ささがわかっていただけるだろう

「小さいからこそ」の空間再現性

試聴を実施したのはクリプトンラボ。「KX-0.5P II」と並べて聴いたところ……

試聴を実施したのはクリプトンラボ。「KX-0.5P II」と並べて聴いたところ……

と、ここまでで「KS-55HG」がいちいちこだわったアクティブスピーカーであることをおわかりいただけたと思う。最後にクリプトンラボで試聴する機会を得たので、そのインプレッションをお伝えする。

クリプトンの「KS」シリーズに共通した特徴なのだが、小型だからこそ、と思わせるシャープなセンター音像、小型であることを意識させない音場の広さはさすが。「小さくても音がよい」というよりは、このサイズだからこその魅力がある。こういうちゃんとしたステレオ効果は、「何が」とか「どこが」という単一の理由ではなく、すべてにおいてケアされた結果なのだろうと思わされる。

サイズも方式も違うので比較対象にはならないが、「KX-0.5P II」のような広い帯域にわたっての厳しさはない。そのいっぽうでボーカルなどのシャープな音像、スピーカーの存在を感じさせない広がり方、というポイントで言えば「KX-0.5P II」よりも……と感じる部分もあるくらいだ。

購入検討者が心配するのは低域の再現性だろう。サイズから想像する以上の量感がありながら、あくまで緩まない、ほどよい低域再現性だと思う。

まとめ:ちょっとマニアックだけどほかに代えがたい魅力がある

この日の試聴は写真のように広い空間に置いているため、ある種理想に近いと言える。実際のところ、デスクトップで使う場合は音場再現にしろ低域再現にしろ、なかなかこうはいかないとは思う。しかし、ポテンシャルで考えれば決してコストパフォーマンスは悪くない。

大きめのスピーカーよりも設置性は厳しくないはずで、このクオリティがデスクトップで手に入るとすれば、ほかに代えがたい魅力があると思う。

似たようなシステムとしてはAIRPULSE(エアパルス)のアクティブスピーカー「A80」などが人気だが、こちらのサイズは140(幅)×220(奥行)×250(高さ)mm。どうしてもやや大きくなってしまうわけで、絶対的に小さいスピーカーが必要な人には「KS-55HG」に注目していただきたい。

柿沼良輔(編集部)
Writer / Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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