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見た目はレトロ、機能は最新! ワイヤレスヘッドホン注目モデルをチェック

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令和になって、「Y2K」がZ世代から注目を集めている。Y2Kは「Year2000」の略で、1990年代なかばから2000年代に流行ったファッションを指して「Y2Kファッション」などと呼ばれる。いわゆる“平成レトロ”も、このY2Kに含まれる年代だ。

そのブームはヘッドホンにも広がり、昭和世代には懐かしいと感じるレトロなデザインのモデルが次々に登場している。今回は、そのなかからデザインは懐かしいけれど使い勝手は新しい、KOSS「Porta Pro Wireless 2.0」を紹介しよう。

KOSS「Porta Pro Wireless 2.0」

KOSS「Porta Pro Wireless 2.0」。ティアックストアでの直販価格は15,180円(税込)

見た目はレトロ、使い勝手は現代的

さて、懐かしいデザインの“レトロヘッドホン”には、大きく3つのパターンが考えられる。

まず1つ目は、オリジナルモデルがそのまま現代でも売れ続けているロングセラーモデル。2つ目は、オリジナルモデルのデザインや仕様を大きく変えていない後継機。そして3つ目が、オリジナルモデルのデザインは踏襲しながら機能を最新化したモデルだ。

1つ目と2つ目のパターンは、デザインだけでなく機能性も当時を再現しているのが、現代の使用シーンにおいてはネックだ。つまり、有線接続になっていることが多い。レトロを追求するなら有線接続もこだわりが見えてオシャレだと思うが、そもそもスマートフォンにイヤホン端子がなくなってきている。セットでウォークマンやiPodなどポータブルプレーヤーを用意する必要があるため、気軽に使うには少しハードルが高い。

そこで注目したいのが、3つ目の「デザインは当時のものだけど、中身は最新になっているモデル」だ。ここでの最新というのは、ワイヤレス化を指す。つまりBluetooth接続に対応していることを条件としたい。

条件に該当するモデルはいくつかあるが、そのなかから目を付けたのが、「Porta Pro Wireless 2.0」だ。オリジナルモデルの「Porta Pro」が発売されたのは1984年のこと。Y2Kの時代には、耳にちょこんとのせるようなポータブルタイプのイヤホン・ヘッドホンが流行ったが、このモデルはまさにドンピシャのデザインをしている。

細部に変更はあるが、基本デザインはほぼ初代から引き継いでいる

細部に変更はあるが、基本デザインはほぼ初代から引き継いでいる

見た目の印象は、率直に言っておもちゃ感がある。でも、これは決して悪い意味ではないのだ。筆者は「Porta Pro Wireless 2.0」を見て、「小学生のとき心をつかまれたハイテク筆箱」と同じワクワク感を覚えた。また、「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」に登場するアイテムのような、「あのころに想像した未来のガジェット」感もある。ノスタルジーともエモいとも言える、これぞレトロデザインの醍醐味ではないだろうか。

本体はとても軽く、手のひらにのるサイズ感だ

本体はとても軽く、手のひらにのるサイズ感だ

デザイン面の特徴としては、非常にコンパクトな“手のひらサイズ”であることもあげられる。本体は折りたたみ可能で、持ち運び用のセミハードケースが付属。ポータブルヘッドホンにはカバンに収納するのに苦労するモデルも多いが、「Porta Pro Wireless 2.0」なら小型のボディバッグにも収まるだろう。

セミハードケースはコンパクトで、ウェストポーチなどに入れて持ち運ぶこともできる

セミハードケースはコンパクトで、ウェストポーチなどに入れて持ち運ぶこともできる

本体はかなり小さく折りたためる

本体はかなり小さく折りたためる

ファッションアイテムとしてもグッド

「Porta Pro Wireless 2.0」の装着イメージ

「Porta Pro Wireless 2.0」の装着イメージ

装着性だが、とにかく軽いのひと言。ヘッドホンではなく、ちょっと重めの完全ワイヤレスイヤホンを着けているくらいの感覚だ。また、頭にのせるというよりは、バンド部のバネで左右から挟み込んで固定するため、少し側圧が強く感じる。

ただ、この締め付け具合は、本体の「Comfort Zone」スライダーをデフォルトの「FIRM」から「LIGHT」側に調整することで緩和される。「LIGHT」にすると本体の軽さも相まって、落ちないか若干心配になるくらいの着け心地になるが、頭をブンブン振ってもズレないくらいフィットしていた。

「Comfort Zone」機能によって、側圧を3段階で調整可能だ

「Comfort Zone」機能によって、側圧を3段階で調整可能だ

ファッション的には、ヘッドホンを外した後に髪の毛が潰れていないことも大きなメリットだ。もうひとつ、筆者は頭がデカいのでヘッドホンを着けるといつも頭頂部が痛くなるのだが、「Porta Pro Wireless 2.0」はまったく痛くなかったことを付け加えておきたい。

ヘッドバンドは長さ調整が行えるが、その調整幅は予想より広かった

ヘッドバンドは長さ調整が行えるが、その調整幅は予想より広かった

そのほか、フル充電すれば最大20時間以上の再生が可能だし、内蔵マイクによるハンズフリー通話にも対応。側面の操作ボタンから音量調整や曲送り/戻し、一時停止/再生といったコントロールが行える。

付属のUSB Type-C→3.5mmケーブルで有線接続すれば、遅延なく動画やゲームを楽しむこともできる。マルチポイント接続などの機能までは備えていないが、普通に音楽を聴くには十分な性能と言ってよいだろう。

右チャンネル側のハウジングに操作ボタンやUSB Type-C端子を備える

右チャンネル側のハウジングに操作ボタンやUSB Type-C端子を備える

付属のUSB Type-C→3.5mmケーブルで有線接続も可能

付属のUSB Type-C→3.5mmケーブルで有線接続も可能

ノリのよいサウンドでエモい雰囲気を堪能できる

さて、「Porta Pro Wireless 2.0」のサウンドだが、そのスリムなルックスからは想像できないパンチのある低域と濃厚な中域が特徴的だ。高域は、低中域よりは目立たないがオープン型らしい軽やかさがある。高解像度でシビアに聴き込むのではなく、パワフルサウンドをノリよく楽しむタイプだ。

スマートフォンとBluetooth接続してサウンドチェック

スマートフォンとBluetooth接続してサウンドチェック

こっちのけんと「はいよろこんで」のようなリズミカルな楽曲とは相性がよい。唸るようなベースやパーカッションがボリューミーに響き、自然と身体が縦に揺れてしまう。ボーカル帯域に厚みがあって、歌声がストレートに耳に飛び込んでくるのも聴いていて楽しい。

輪郭にほんのり丸みがあり、全体的に柔らかさが感じられるサウンドは、シティ・ポップや往年の洋楽ロックにもよくマッチする。Y2Kのヒットチャートと相性がよいように感じられるのは、流石にデザインに引っ張られているかもしれない。

ただ、「このデザインのヘッドホンで聴いている」という付加価値が気分を高めてくれるのは確かだ。AKASAKI「Bunny Girl」の歌謡曲を彷彿とさせるサウンドや、ROSE(Eはアキュート・アクセント付きが正式表記)& Bruno Mars「APT.」のようなどこか懐かしさを感じさせるキャッチーなメロディも、その雰囲気をよりいっそう際立たせてくれる。

なお、「Porta Pro Wireless 2.0」はある程度のボリュームで鳴らしてあげないと、上述したようなサウンドは楽しめない。ただし、どうしても音漏れは避けられないので、使用する際には周囲に注意しよう。

オンイヤーかつオープンタイプのヘッドホンなので、必ず音漏れはする

オンイヤーかつオープンタイプのヘッドホンなので、必ず音漏れはする

まだまだある! 最新レトロヘッドホンたち

ここでは「Porta Pro Wireless 2.0」を取り上げたが、これ以外のレトロデザインBluetoothヘッドホンについても紹介しよう。はじめに紹介したレトロヘッドホンのパターン以外にも、新興メーカーによるレトロデザインの新製品も登場している。

●MONDO by defunc「MONDO Freestyle」

レトロポップなデザインが特徴のオンイヤーヘッドホン。カラーバリエーションはブラック、グレージュ、ピンクに加えて、ハウジングがスケルトンになっている“トランスペアレント”(写真)もラインアップする。

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2024/03/14 21:00

●Marshall「Major V」

男女問わずオシャレな若者から支持され、SNSなどでも見かけることの多いヘッドホン。Marshallが手掛けるモデルだけあって、そのデザインはギター・ベースアンプにルーツがあり、どこかクラシックな印象を受ける。

●オーディオテクニカ「ATH-M50xBT2」

スタジオでも使用されるモニターヘッドホンのロングセラー「ATH-M50x」をベースに、ワイヤレス化を果たしたモデルの第2世代機。プロユースらしい無骨なルックスからは、ガシガシ使えるタフさも伝わってくる。

●JLab「Rewind Wireless Retro Headphones」

型番に「レトロ」を冠する、初代ウォークマンの付属ヘッドホンを思い出させるデザインとカラーリングが採用されたヘッドホン。57gという超軽量設計と、手ごろな価格設定にも注目。

小岩井 博
Writer
小岩井 博
カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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