レビュー

音質ガチ勢も納得! PCスピーカーの新定番「Creative XF1」で音楽・映画・ゲームの没入度が変わる

アンプやUSB DAC機能を搭載したPCスピーカー「Creative XF1」をレビュー。PCと直結すれば、音楽再生やネット動画再生がより充実するはずだ

アンプやUSB DAC機能を搭載したPCスピーカー「Creative XF1」をレビュー。PCと直結すれば、音楽再生やネット動画再生がより充実するはずだ

デスクの上のスピーカーというジャンルで、久々の注目モデルが登場した。「Creative XF1」だ。特に注目したいのは「価格.com限定モデル」で、中身は通常モデルとまったく同一。価格.com経由でのみお得に購入できる

製品レビューの前に、少しだけ前提の話をさせてほしい。

デスクの上で使うPCスピーカーを取り巻く状況は、正直なところ現代の生活実態に追いついていないと思う。いま我々がPCの前でやっていることを思い返してみると、音楽配信を聴き、NetflixやYouTubeの映像を見て、ゲームをプレイし、その合間に仕事をしている。つまりPCは、家の中で最も長時間“音”に触れる可能性が高いデバイスなのだ。

にもかかわらず、PCから音を出すのは内蔵スピーカーであったり、専用スピーカーを購入しても数千円程度という人も多いだろう。しかし、リスニング時間が長い場所ほど、機器のグレード(音質)を上げたときのリターンは大きい。オーディオ機器への投資という観点で見れば、PCスピーカーはかなり「効率のいい」買い物なのだ。

そんな実用性を重視したうえで製品を俯瞰すると、候補として浮上してくるPCスピーカーが「Creative XF1」だ。

「Creative XF1」は音質志向でUSB DACなどの機能も充実

「Creative XF1」はクリエイティブメディアの製品だ。1981年にシンガポールで創業し、Sound BlasterブランドでPCオーディオの歴史を作ってきたメーカーである。同社のPCスピーカーには、球のような形の「Pebble」「Pebble Nova」といった大ヒットモデルもあるが、これらはゲーミングカルチャーの影響も受けた変化球タイプ。

これに対して「Creative XF1」は、方向性が明確に異なるスピーカーだ。

四角い箱型、フロントに2ウェイユニット、背面にバスレフポート。装飾もイルミネーションもない。要するに、小さなハイファイオーディオや音楽制作向けブックシェルフ型スピーカーの佇まいなのだ。

「Creative XF1」はスタンダードな2ウェイ(ツイーター+ウーハー)構成の小型スピーカー。写真のデスクトップ用スタンドが付属する。本体のカラーはブラックとホワイトの2色

「Creative XF1」はスタンダードな2ウェイ(ツイーター+ウーハー)構成の小型スピーカー。写真のデスクトップ用スタンドが付属する。本体のカラーはブラックとホワイトの2色

サイズはW99.7×H191×D155mm。一般的なオーディオ向けのブックシェルフ型スピーカーよりはひとまわり以上小さく、PCの脇に置くスピーカーとしては大きめという程度。重量は左1.29kg、右1.36kg。右側がわずかに重いのは、アンプやDSP、入出力端子といった電気回路が集約されているためだ。右側と左側は付属の専用ケーブル(約2m)で接続する。

設計はしっかり音質志向。搭載ユニットは0.75インチ(約20mm)ツイーターと3インチ(約76mm)ウーハー。どちらも有限要素解析(FEA=コンピューターによるシミュレーション)を用いて設計された専用設計品で、それぞれのユニットが独立したアンプで駆動(バイアンプ駆動)される。

帯域分割をアンプの手前(本機の場合はデジタル領域)で行う完全アクティブ設計は、本来スタジオモニター(スピーカー)の作法。ここが本機の設計上のポイントだ。

0.75インチ(約20mm)ツイーター(高域再生用ユニット)と3インチ(約76mm)ウーハー(低域再生用ユニット)を搭載。これらのユニットをそれぞれ10Wと26Wの独立したアンプで駆動する。音質的に有利な設計だと言える

0.75インチ(約20mm)ツイーター(高域再生用ユニット)と3インチ(約76mm)ウーハー(低域再生用ユニット)を搭載。これらのユニットをそれぞれ10Wと26Wの独立したアンプで駆動する。音質的に有利な設計だと言える

音質優先のUSB接続と手軽さ優先のBluetooth接続を利用できる

「Creative XF1」は、接続性も充実している。

まずPC接続向けには、USB DAC機能を搭載。USB Type-C端子経由で最大96kHz/24bitのデジタル音声信号を受けられる。アナログ音声入力は3.5mmステレオ端子。さらに3.5mmモノラルのサブウーハー用アナログ音声出力を備える。Bluetoothのバージョンは 6.0で、対応コーデックはSBC、AAC、LDAC。

右側のスピーカーに端子類が集約されている。USBからは96kHz/24bitのデジタル音声を入力可能だ

右側のスピーカーに端子類が集約されている。USBからは96kHz/24bitのデジタル音声を入力可能だ

操作は右側スピーカーのフロントにあるマルチファンクションノブひとつで行う。回せば音量、押せば電源と入力切替。電源LEDは白がUSB、青がBluetoothと、ステータス表示も兼ねている。

操作は右側スピーカーのフロントに備えられたノブに一本化されている。音量、入力切替、電源のオン/オフが可能だ

操作は右側スピーカーのフロントに備えられたノブに一本化されている。音量、入力切替、電源のオン/オフが可能だ

付属品では着脱式のコルクスタンドに触れておきたい。これは底面のゴム製インシュレーターと組み合わせて本体を斜め上向きに固定するもので、デスク天板への振動伝達を抑えつつ、リスナーの耳に向けて音響軸を合わせる効果もある。小さな付属品と思うかもしれないが、デスクトップ環境ではこの軸合わせは音質向上のための重要なテクニック。汎用品では代用しにくいので、製品に付属することがとても重要なのだ。

付属のコルクスタンドで本体を上向きにできる。多くの場合、机の天面は耳よりも下の位置にあるはず。そこで、スピーカー(ユニット)を耳のほうへ向け、よりよい状態で耳に届くようにするのがよい音を聴くための重要なポイントだ

付属のコルクスタンドで本体を上向きにできる。多くの場合、机の天面は耳よりも下の位置にあるはず。そこで、スピーカー(ユニット)を耳のほうへ向け、よりよい状態で耳に届くようにするのがよい音を聴くための重要なポイントだ

一聴でわかる“ガチ”な音のよさ

USBケーブルでPCと接続。「Creative XF1」の主要な使い方と思われる方法で試聴を始めた

USBケーブルでPCと接続。「Creative XF1」の主要な使い方と思われる方法で試聴を始めた

まずは「Creative XF1」を付属のUSBケーブルでWindows PCと接続し、YouTubeでトーク系の動画を流しながらセッティングをしていたのだが……実際の音を流した瞬間にわかる。このスピーカーは“音質ガチ”な方面の製品だ

PCの左右から音が鳴っている状態でYouTubeを見ていると、スピーカーの存在が消える。中央の空間に、ステレオとして音像が浮かぶのだ。ハイファイオーディオとして当然の事なのだが、安価なPCスピーカーでは意外とこれができない。音が耳の横に回ってくるような臨場感系のサウンドではなく、真面目な音だ。

Apple MusicでZICO × Lilas 「DUET」を聴いてみると、空間に浮かぶ音の質感豊かなステレオ空間、明確な音の定位、そしてゴリゴリと引き締まったベースは、モニター系スピーカーを彷彿とさせる鳴り。米津玄師「IRIS OUT」でも、音数の多さをものともせず音がしっかりと分離している。

なお、音質については、Windows PC/スマホ向けに提供される「Creative Nexus」アプリでカスタマイズも可能だ。サウンドモードの初期設定は「音楽」で、これは音のキレやメリハリを強調する方向の設定だ。

「Creative Nexus」アプリによるEQ設定画面

「Creative Nexus」アプリによるEQ設定画面

ダイアナ・クラールの「夢のカリフォルニア」は「ジャズ」の設定で聴いてみたが、思った方向性とは違うので、どんな設定があるか探してみると……「クラシック」「EDM」など音楽ジャンル別の設定をはじめとしたモードが多数。プリセットされたモードは実に120種類以上とのことなので、とりあえずいろいろ聴いてみるのが正解だ。

プリセットモードの活用シーンとしてあげられるのは、たとえば深夜のリスニング。小音量で聴くことも多くなるが、そんな場合は「バス ブースト」のプリセットを使うと、小音量でも重厚感ある低音を再生できる。また10バンドのパラメトリックEQで各周波数帯のゲインやQ値まで追い込めるので、こだわるならサウンドバランスも作り込み放題だ。

小音量リスニングには「バスブースト」が扱いやすい

小音量リスニングには「バスブースト」が扱いやすい

映像作品でよくわかるのは引き締まった低音の再現性

ドラマやアニメなどの映像コンテンツも再生してみる

ドラマやアニメなどの映像コンテンツも再生してみる

次に、映像コンテンツを視聴してみた。Netflixでドラマ「VIVANT」、アニメ「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」と視聴してみる。プリセットモードは「音楽」のままでも問題ないが、ここでは「映画」に切り替えている。

ドラマ・アニメなど映像作品の基本はセリフだ。その声の質感が非常によく、スピーカー中央の空間奥に定位して、感情豊かに伝わってくる。基本的な音質も空間再現性もすぐれているので、ノートPCの画面サイズには不釣り合いなほどの贅沢な再生環境となった。

ここで意外だったのは「映画」モードの性格だ。エンタメ志向のドンシャリではなく、むしろフラット志向のバランスで引き締まったベースが心地よい。声の質感から環境音まで、まんべんなく再現する方向に振れる。BGMも奥行き方向の空間を広く使い、情報量豊かに鳴らす。改めて「音楽」に戻して比べると、こちらのほうがセリフのクリアーさは出る。ただしここは好みの範疇だろう。

そして予算が潤沢な映画並みのサラウンドを提供するNetflixドラマ「三体」を見ると……BGMとサスペンスフルな演出から、予想外に低音が伸びることに気付いた。ここが「Creative XF1」のすばらしいポイントで、本気を出せばこのサイズの筐体でも空気が振動するようなサウンドまでカバーするのだ。

なお、わかりやすく重低音のパワー感やエンタメ志向を求めるならプリセットモードは「ゲーム」が扱いやすい。変わったところでは、映画「スター・ウォーズ」向け、さらには「Apex Legends」「原神」といったゲームの個別タイトル向けまであるので、お好みで選んでみても面白いだろう。

手軽なBluetooth接続で「Nintendo Switch 2」ともつなぎたい

「Creative XF1」はBluetoothによる無線接続にも対応。スマホでより手軽に音楽を聴ける

「Creative XF1」はBluetoothによる無線接続にも対応。スマホでより手軽に音楽を聴ける

「Creative XF1」は高音質志向のBluetoothコーデックLDACに対応しているので、Androidスマホからの音楽リスニングを試みた。LDACでの接続は「Creative Nexus」アプリのデバイス設定から有効化する必要がある点に注意したい。

結論から言うと、LDACを利用したとはいえ、Bluetooth接続ではUSBでの有線接続と比べると若干情報量の落ち込みがある。それでも、見通しのよさ、定位の明確さは、きちんと維持されている。デスクから離れた場所に置いて広い空間で鳴らすと、「Creative XF1」の音場の広さがより素直に出る。なお、EQのプリセットモードは入力別に登録されているので、Bluetooth接続時は専用のEQを改めて検討してほしい。

「Nintendo Switch 2」と接続すれば、ゲーム体験の質が引き上げられる。ただし、無線接続では遅延が発生することには注意したい

「Nintendo Switch 2」と接続すれば、ゲーム体験の質が引き上げられる。ただし、無線接続では遅延が発生することには注意したい

Bluetooth接続できるということは、Nintendo Switch 2ともつながるということだ。ちょうど「ELDEN RING Tarnished Edition」をプレイ中だったので、試してみた。

狭間の地での環境音の広がり、遠くの敵の気配、そして戦闘時の打撃音の質感……音質の向上により、「Nintendo Switch 2」の本体スピーカーとは次元が違う体験になる。特に音の定位がよいと、囲まれたときの方向性の把握にも有用なので、恩恵は大きい。

ただし、Bluetooth接続にはどうしても若干の遅延が生じる。プレイ上支障のあるレベルではないものの、対人要素を本気でやるなら、3.5mmのアナログ音声入力を使って有線接続したほうが確実だろう。この点はFPSや格闘ゲームでも同様だ。

【まとめ】「Creative XF1」はPCスピーカーの新定番になる!

「Creative XF1」を使い込んでみると、価格.comでの人気(2026年9月15日時点の「PCスピーカー・アクティブスピーカー 人気売れ筋ランキング」2位)も納得の高音質だった。だが、売れている理由はそれだけではないだろう。

この価格でハイレゾ対応のUSB DAC搭載、LDACによる高品質Bluetooth伝送、そして10バンドパラメトリックEQまでオールインワンになっているのは非常にありがたい。フラットな素性を持ちながら、EQで好きに音質を追い込めるという組み合わせは、オーディオ好きにとっても面白い。

デスクの上という限られた空間で、音楽を真面目に聴き、映画も見て、ゲームもやりたい。それでいて主張の強すぎないデザインがいいーーそういう人にとって、「Creative XF1」は貴重な選択肢だと言える。初めての“ちゃんとしたステレオ”としてもよい選択だろう。PCスピーカーというジャンルに登場した新定番モデルとして、ぜひ手にとってほしい。

折原一也
Writer
折原一也
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家。「オリチャンネル」主催。IT系出版の編集者出身で、2004年に独立後はモノ雑誌やオーディオ・ビジュアル専門誌で活動。2009年より音元出版主催のVGP審査員。画質・音質にこだわるAV評論家ではあるが、ライフスタイルになじむ製品、コスパにすぐれた製品を評価する庶民派。2022年に立ち上げたYouTubeチャンネル「オリチャンネル」では、取材メディアの人間として一次情報の発信、検証と測定データに基づくレビューなど独自の発信も行っている。最近のマイブームはAI全般。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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