2026年に発売されたハイセンスの液晶テレビを総覧。なかでも高コスパと言えるモデルは……
ハイセンスの液晶テレビは、mini LEDバックライトを搭載したモデルを中心に価格.comでも人気を博している。それでは、2026年モデルのなかで高コスパと言える製品はどれなのか。川崎のハイセンスジャパンにうかがい、実機を体験してきたレポートをお届けする。
2026年のハイセンス製テレビでは、主なラインアップが大きく3つに分類される。高級機から順に、RGB mini LEDバックライトを搭載した「RGB UXS」「RGB U9S」、mini LEDバックライトを搭載した「U8S」「U7S」、スタンダードモデルである「A6S」「A4S」シリーズだ
ハイセンスは、液晶テレビを自社開発・生産できる世界屈指のメーカー。2025年にお届けしたレポートの際には、日本では液晶テレビに特化し、高画質化と大型化を推進するという方針を聞いた。そこで目の当たりにしたのは、発光効率を上げたmini LEDバックライトと独自の光漏れ抑制技術による、有機ELに劣らない精細な表現力だった。
2026年も液晶テレビに特化したラインアップであることに変更はない。新たに前面に押し出してきたのは、色の表現性だ。
特に注目すべきは、自社開発のRGB mini LEDバックライトを搭載した最上位モデル「RGB UXS」シリーズ。赤・緑・青(RGB)各色のmini LEDが独立したバックライトを採用することで、より豊かで正確な色調表現が可能となり、人が認識できる最大とされる色域BT.2020を100%カバー。発光効率も従来のmini LEDよりもさらに向上させるなど、液晶テレビの画質を根底から底上げした。また、ブルーライトを従来モデル比で約50%カットできたので目にやさしいとしている。
見落としてならないのが、映像を透過させつつ映り込みを防止する、表面の反射防止(AR)フィルムだ。カメラでPLフィルターを使ったことがある人ならピンとくるだろうが、透過率を高めつつ、外光の映り込みを防ぎ、発色やコントラストにも影響する。多くのモデルで低反射の工夫がされていることが新製品でのポイントのひとつ。ただし、その内容はシリーズごとに異なる。各項目にて効果の違いを参照されたい。
音質については、上位モデルでフランスのオーディオメーカーDevialet(デビアレ)との協業が行われていることが特徴と言える。「RGB UXS」シリーズの85V型と100V型ではハードウェアから共同開発を行い、同75V型、65V型および「RGB U9S」「U8S」シリーズではデビアレが音響チューニングを担当している。
2026年ハイセンスの液晶テレビ主なラインアップとスペックは表のとおり
上記のとおり、ハイセンスの2026年テレビラインアップを見ると、自社開発・自社生産のRGB mini LEDテレビ、特に「RGB UXS」シリーズが目玉だろう。
そして「U8S」シリーズ以下は、従来モデルの正統進化と言える内容で、全体的な底上げが図られたイメージだ。バックライト、映像処理エンジン、パネル表面処理を組み合わせた映像も、従来のとおり、これ見よがしなベタ塗りではなく、クリアーで正確な描写だ。それがトップモデルからエントリーモデルまで一貫しており、予算に応じてどれを買っても価格以上の満足感が得られるだろう。また、ここで紹介するすべてのモデルでネット動画再生などに対応(スマートテレビ化)しているのもよい。
そうした観点で言うと、どれを買っても間違いはないが、以下の理由から個人的な「推し」シリーズは3つ。各シリーズのレビューは後述するので、詳細はそちらをご覧いただきたい。
最大サイズの100V型は自宅に招きにくいとしても、85V型以下なら“超大画面”テレビの候補にしたい。デビアレと共同開発したサウンドシステムとRGB Mini LEDバックライトを組み合わせた最先端テレビを楽しめる点でオンリーワンの選択肢。75V型以下のサウンドシステムは、デビアレが「チューニング」を担当。価格はグッと下がる。
量子ドット技術+mini LEDバックライトに「ARコート低反射広視野角パネルPro」の掛け合わせという2025年の上位モデルに匹敵するスペックを実現するハイコストパフォーマンスモデル。ただし、2026年モデルはVAパネルを採用していることは留意しておきたい(従来モデルは主に視野角の広いADSパネルを採用していた)。ハイコントラストな映像と広視野角が若干トレードオフな印象はある。
小型(特に32V型)フルHDの最右翼は2026年モデルでも健在(24V型のみHD解像度仕様)。上位モデルの画質テイストがエントリーモデルでも通底しており、パネル自体の体力向上も絵作りの洗練も抜かりなし。ネット動画もこれ1台で楽しめるスマートな小型テレビシリーズと言える。他社を見回してもこれほど充実した小型テレビはなかなかない。
今回視聴したのは「推し」としてあげた「RGB UXS」「U8S」「A4S」シリーズに加え、「U7S」「A6S」シリーズ。以下に各シリーズのインプレッションを紹介する。
「RGB UXS」シリーズのなかでも、100V型と85V型のみ「Devialet|Opéra de Paris」を搭載。フランスのデビアレと共同開発したウーハーを備える
今回の取材でいちばん時間を割いて視聴したのが、RGB mini LEDモデルの「RGB UXS」シリーズだ。主に100V型と85V型、他モデルとの比較では75V型を視聴した。
2025年に見たソニーのRGB mini LEDテレビでは赤の印象が強烈だったのに対し、「RGB UXS」では同じぐらいブルーもクッキリ見える。そして、赤とオレンジの違いもしっかり描き分けた。これは、RGBの3色がどれも勝ちすぎることなくバランスよく出ていることの表れだろう。
また、図柄が回転しても、色ムラは見受けられなかった。開発担当によると、mini LEDモジュールの方向をあえてランダムにしているという。もちろん、新しいパネルを「広視野角シートPro」搭載の「黒曜石パネル」と謳っているので、新しいARフィルムが、低反射&広視野角のみならず画質(正面からの見え方)にも奏功し、色にじみやモアレを抑えた仕上がりにつながっているのだろうとは思う。
一般的に外光の映り込みを防ぐ低反射パネルといえば、PCモニターを想起すればわかるように、表面をマット(ノングレア)に仕立てる。しかし、このパネルの表面はツルツルしている(グレアタイプ)。なのに映り込みが少ない。明るい部屋で映像を見ている間、照明の丸い光源自体が映り込むことはあっても、その周辺が霞んでぼんやり広がったり、周囲の家具の映り込みが気になったりすることはなかった。これは、同様にツルツルした表面処理の2025年高級モデルよりさらに進化している重要なポイントだ。
クリアーでくっきりしたデモ映像を堪能した後、部屋を暗くして映像モードを「映画」に変更し、Ultra HDブルーレイ「落下の王国」を委細に見ていく。すると一転、なんともやわらかい表現に驚いた。登場人物による肌の色や質感の差が明らかなうえ、横顔の影のコントラスト階調が滑らかなのだ。キメを精細に表現するのにエッジが立つことはなく、まるで上質なプロジェクターかのようだ。
NHK BSで録画した「秘仏開帳」のBD-Rを再生すると、お堂の暗闇でろうそくの炎が霞むことなく力強くはためくいっぽうで、曼荼羅の緻密な図柄をクッキリ見せた。RGBバックライトのよさと、エリア分割の細かさを如実に表した部分だ。
ここで85V型モデルで聴いたデビアレとの共同開発「Devialet|Opéra de Paris」サウンドについて触れておく。「RGB UXS」シリーズの100V型と85V型モデルでは、デビアレの「Phantom」スピーカーをリファレンスに、ハードウェアから共同開発した「6.2.2」サウンドシステムが搭載されている。画面下側にフロントch(チャンネル)のほか、両サイドと上側にスピーカーがあるほか、最大の特徴は背面にある「0.2」chを司るサブウーハーだ。ユニットは3つ配置されているが、3連の外側2発が同相、真ん中が逆相で駆動して、対向位置に配置した場合と同等の振動排除をもたらすという。
2chのデジタルファイルを「6.2.2」に拡張した音声を聞かせてもらったが、いかにもバーチャルな包囲感をもたせるような位相乱れもなく、スッキリした淡麗辛口スパークリングワインのような味わいだ。ライブ会場の演奏シーンでは、熱狂する歓声がパアっと広がり、キレのあるドラムセクションとクリアーなヴォーカルがきちんとフロントに定位して曖昧さがない。派手な重低音は控えめなものの、クリーン&クリアーな低音域の表現は、確かにデビアレだった。
ハイセンス2026年モデルのなかで、唯一165Hz駆動に対応しているのが「U8S」シリーズ
「U8S」シリーズは、2025年の人気シリーズ「U8R」シリーズの進化版。本シリーズも量子ドット+mini LEDバックライト仕様の高コスパモデルとして人気を得るだろう。2025年の高級モデル「U9R」シリーズ同等の低反射パネル「ARコート低反射広視野角パネルPro」を採用。それを駆動する映像処理エンジンは、最上級モデル「RGB UXS」と同じ最新エンジンだ(もっとも、「RGB UXS」のようにRGB駆動する必要がない分、エンジンは1個)。
なお、ゲーマーが注目したい「U8S」シリーズだけの特徴は165Hzの可変リフレッシュレート対応パネルを採用していること。また、「U8S」シリーズ以上の高級モデルの特徴として、「AIボイスアシスタント」を扱える。自然言語で検索や指示出しができる「会話できるテレビ」でもあるのだ。サウンドシステムは上述のとおり、デビアレによるチューニングが施されている。
取材日に確認したのは75V型と65V型で、主に75V型を見た。ディスプレイ表面はツルツルなのに、明るい部屋でも映り込みで見づらいことはなく、隣に並べた「RGB UXS」と大きな落差はない。もっとも、真正面から大きく上下左右にズレた場所から視聴すると、色が浅く見えてしまう。「ARコート低反射広視野角パネルPro」を採用しているとはいえ、VAパネルを採用していることが原因かもしれない。
ただし、横並びで正面から見た場合、「RGB UXS」と“倍の差”(※)があるかと言われれば疑問。この価格で、この完成度はやはりベストバイである。「RGB UXS」シリーズと比べたうえであえて気になった点をあげるなら、赤とオレンジの区別がやや曖昧なのと、石などの素材に当たる光のテカリ具合(ハイライトの伸び)が足りないぐらいである。
(※65V型、75V型の2026年9月2日時点の価格.com最安価格を参照すると、「RGB UXS」シリーズの価格は「U8S」シリーズのおよそ倍)
リビングの明るい環境で、映り込みが少なく、にじみのない映像を縦横無尽に楽しむという使い方なら、検索機能も充実した「U8S」シリーズがやはり買いやすいだろう。ただ、高画質を余すことなく堪能するならば、できるだけテレビの正面で視聴したい。
エントリーモデルも共通して「VIDAA OS」を搭載する。プリインストールされた各種アプリでさまざまな動画を楽しめる
「A4S」シリーズは、HD解像度のエントリーモデル。フルHD(1920×1080)解像度の40V型、32V型と、HD(1366×768)解像度の24V型をラインアップし、32V型のみ「広視野角パネル」を採用する(40と24V型は「高コントラストパネル」)。
この日視聴したのは32V型。ごく一般的な(等速パネルの)直下型LEDバックライトテレビという仕様からみれば平凡とも思えるが、実際に対面すると、なかなか侮れない仕上がり。ハイライトがしっかりと出ているし、明暗の描き分けもすぐれている。
聞けば従来モデルよりも輝度がアップしたそうで、基礎体力が上がっているのだ。そのあたりの余裕からか、黒い石の表面の質感や水に濡れた部分のテカりが自然だ。また、ピントの合っている部分とぼやけている部分(前ボケ、背景ボケ)がきちんと区別できるため、小さい画面の中でも立体感を表現できている。このあたりは映像処理エンジンのチューニングも進んだのだと思うが、こうしたエントリーモデルまで手抜かりなく進化させているのは実に立派だと感じ入った。
ちなみに、取材では視聴しなかったが、「32A5S」という32V型&白筐体限定のフルHDテレビがある。「32A5S」の基本的な画質に関わるスペックはほぼ「A4S」シリーズと同等。デザイン志向のため、脚部が一体型になっているほか、背面に端子が集約されていて、光デジタル入力やヘッドホン出力が省略されている。白い小型テレビが欲しい方はこちらもチェックするとよいだろう。
脚部一体型のホワイトモデル「32A5S」。基本スペックは32V型の「32A4S」と同じだ
以下に視聴した「U7S」「A6S」シリーズのインプレッションも記しておこう。mini LEDバックライト搭載のスタンダードモデル「U7S」、等速仕様の4Kエントリーモデル「A6S」、どちらも基礎体力のしっかりした製品だ。
「U7S」シリーズは、2025年モデル「U7R」シリーズの後継機。mini LEDバックライトを搭載しながらコストパフォーマンスを追求した内容で、サイズ展開は100、85、75、65、55V型と豊富だ。このうち取材では「RGB UXS」「U8S」シリーズと横並びで75V型を視聴した。
「U7S」は55V型以外で「広視野角パネル」を採用している(55V型は「高コントラストパネル」)。マットな質感で光を拡散させ、映り込みを抑制するタイプだ。よって映像の見栄えも「U8S」シリーズと比べると若干くすみがちではある。
しかし、部屋を暗くして「映画」モードでUltra HDブルーレイやBS放送の録画番組などを見ていくと、実直で正確な特徴が如実に表れる。ハイセンスは実直な再現を目指していることがしっかりとうかがえ、それが全シリーズを通じて一貫していることが、このスタンダードモデルからもわかるのだ。
「A6S」シリーズはmini LEDバックライトを搭載しない4Kテレビ。直下型LEDで倍速駆動でもない(60Hz等速仕様の)スタンダードモデルだ。
そしてその通販サイト専用モデルが「C55S」シリーズ。両者は基本的に同じ内容だが、サイズ展開が異なり、「A6S」シリーズは43V型から75V型までなのに対し、「C55S」シリーズは43V型から85V型までといった違いがある。取材日には、「65C55S」(65V型)と「50A6S」(50V型)の2モデルを見た。
「65C55S」は「広視野角パネル」を謳うが、「U7S」シリーズ以上に採用される低反射処理はされていないからか、部屋の家具の映り込みを感じた。もっとも、映像自体は素直できれい。上位のmini LEDバックライト搭載モデルのような凄みはないものの、素材を生かしてオーソドックスに手堅くまとめた印象だ。動画がギクシャクしたり、本来滑らかであるはずの階調に不自然な縞模様(バンディング)が生じたりすることもない。低解像度のネット動画でもそつなくこなせるよう、パネルと共に映像処理エンジン「Hi-View エンジン S」も調整されていると感じる。
「50A6S」は「広視野角パネル」ではなく「高コントラストパネル」を搭載。それでも、特に視野角の狭さは感じさせない。スッキリとしたノイズレスな映像が印象的で、動物の毛並みの再現あたりには4Kテレビらしい精細感が感じられたし、水滴が水面に跳ねるようなシーンではもやついたり(モスキートノイズが露見したり)カクカクしたり(ブロックノイズが発生したり)することなくしっとり滑らかに表現した。
繰り返しになるが、ハイセンス製テレビの画質コンセプトはトップモデルからエントリーモデルまで一貫している。さらにどの製品もネット動画再生などに対応するいわゆるスマートテレビであるため、求めるサイズ、画質・音質、そして予算に応じて製品選びをすれば、満足度の高い買い物ができるはず。特にmini LEDバックライトを搭載した「U8S」シリーズなどは高コスパモデルとして従来モデル同様の人気になりそうだ。
ただし、ハイセンスのテレビは、似たような中身ながら流通経路によって異なる型番が振り分けられているモデルもある。本稿で紹介した以外の2026年モデルも存在するのだが、「似た型番なので同じ内容かと思ったら、映像処理エンジンまで違う」ということもあるようなので安易に同じと決めつけないほうがいい。この点だけには注意したい。