低価格イヤホン“良品”コレクション

ハイレゾ入門に適した人気イヤホン、エレコム「EHP-CH1000」レビュー

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コストパフォーマンスにすぐれる低価格なイヤホンを紹介する連載記事「低価格イヤホン“良品”コレクション」。第2回は、エレコムの人気イヤホン「EHP-CH1000」を取り上げる。ハイレゾというと高価な機材が当たり前というイメージもあるが、それを払拭する低価格なハイレゾ対応イヤホンだ。

エレコムの人気イヤホン「EHP-CH1000」

エレコムの人気イヤホン「EHP-CH1000」

キャッチコピーは“意外にいい音、エレコム。”
ハイレゾ対応をうたうイヤホンとして最廉価な製品のひとつ

エレコムというメーカーに対してどんなイメージをお持ちだろうか? パソコンにくわしい方であればご存知だとは思うが、エレコムは、国内大手のPC周辺機器メーカーのひとつだ。キーボードやマウスなどのサプライ品・OA用品に加えて、ネットワーク機器やストレージ製品の販売も手がけており、取り扱う製品のジャンルは広い。家電量販店に行くと、パソコン用品売り場において、エレコムの製品が多数陳列されているのを見かけるはずだ。

ただ、エレコムが、音響機器系のデバイスでこれまでリリースしてきたのは、PC用やテレビ用などの小型スピーカーのほか、スマホ用のヘッドセットといった音声チャットデバイスなどが中心で、音にフォーカスした製品よりも利便性を高める音響機器が多かった。そんなエレコムだが、最近になって、ハイレゾ対応製品など、音にこだわったイヤホンをいくつかリリースし始めている。それらの製品に対するキャッチコピーは、「意外にいい音、エレコム。」。メーカーのコピーとしては「意外に」というのが斬新だが、実際に試聴してみると、確かに、PC周辺機器メーカーとしての印象の強いエレコムが作ったイヤホンとして見ると、やや失礼だとは思うが「意外にいい音」という印象を受ける。全体的にコストパフォーマンスが高いのが特徴だ。

エレコムは、ハイレゾ対応イヤホンとして、計3モデルを用意している。その第1弾として登場したのが、今回取り上げるEHP-CH1000と、その上位モデルにあたる「EHP-CH2000」だ。これら2モデルは2014年11月にリリースされている。さらに、2015年4月には、ハイレゾ対応イヤホンの最上位となる「EHP-CH3000」が登場している。

EHP-CH1000は、エレコムのハイレゾ対応イヤホンの中ではもっとも下位に位置づけられたエントリーモデルだ。その最大の魅力は、日本オーディオ協会が定めるハイレゾ基準をクリアしながらも、価格が安いこと。2015年8月4日時点の価格.com最安価格は4,800円程度で、ハイレゾ対応をうたうイヤホンの中ではトップクラスに安い製品となっている。人気も高く、何と、価格.com「ヘッドホン・イヤホン」カテゴリーでは、2015年8月4日時点で、売れ筋ランキングと注目ランキングの両方で1位に位置している。

特徴

まず、EHP-CH1000の外観からチェックしていこう。メタルハウジングを採用し、材質は剛性の高い真鍮(黄銅)製だ。重量は約9g(コード含まず)で、ハウジングを手に持つと確かな重みを感じることができる。この金属ならではの重みと強度が、余計な振動を抑え、共振を防ぐというのだ。ハウジングの真ん中にはリング状の樹脂素材があり、そこでハウジングのノズル側と背面側がつながっているような構造になっている。

ドライバーは9.8mm口径で、この価格帯の製品としては標準サイズだ。振動板には剛性を高めるためにラジアル構造(≒放射状)のリブを採用。振動膜の変形や分割振動、ローリングなどの異常振動を防ぐとされている。再生周波数帯域は5Hz〜40,000Hzと広範囲だが、歪みの少ない音にしているという。また、新開発の音孔構造「Magnetic Turbo Axial Port」により、低域から高域までスムーズなレスポンスを実現しているとのことだ。

カラーバリエーションはゴールドとシルバーの2色。スマートフォン向けとしてマイク付きでボリューム調整も可能なモデル「EHP-CH1000S」も用意されている。

ハウジングの真ん中にはリング状の樹脂素材。そこでハウジングのノズル側と背面側がつながっているような構造になっている

ノズルの内径は実測で約4mm。ノズルの先まで真鍮製でできている

ノズルの内径は実測で約4mm。ノズルの先まで真鍮製でできている

装着感&ケーブル周りをチェック

前述の通り、EHP-CH1000は、低価格イヤホンの中では重めのハウジングだが、それに反して大きさはやや小ぶり。そのため、実際に装着してみると、重心の偏りが小さく、耳へのおさまりがよいと感じた。重さのわりに長時間着けていても疲れることはないと思う。フィット感と密閉性を高めるために、イヤーキャップの硬さを内外で変えるなどの工夫により、着け心地自体も良好だ。イヤーキャップはS/M/Lの3種類。いずれもラバータイプだ。

ケーブルは細めで、表面にウェーブ状の加工を施している。手触りはさらさらで、タッチノイズや衣服に擦れたときに伝わる音はあまり目立たない。ただし、ケーブルをまとめると、そのあとクセが少し残りやすいため、絡まりやすい印象が少しばかりある。耐久性については標準的な範囲だろう。コネクタはL型で断線防止用の保護も付いている。

プラグはL字型で、ケーブル断線防止の保護加工付き。ハウジング合わせた色がついており、エレコムのメーカー名入り

表面にウェーブ状の加工が施されたケーブル。直径(実測)は、Y字分岐より前が2mm程、後が1mm前後とやや細め

付属のイヤーキャップはS/M/Lの3種類

付属のイヤーキャップはS/M/Lの3種類

持ち運び用の小型ポーチが付属している

持ち運び用の小型ポーチが付属している

音質インプレッション

1万円を超えるような高級イヤホンまたはヘッドホンで音楽を聴くと、解像感高さやS/Nのよさに圧倒されることがある。EHP-CH1000は、それに匹敵するほどのクオリティがあるかというと、そういうわけではない。高級機と聴き比べると細かいディテールの表現は甘いところがあるが、曲全体の輪郭はしっかり描写してくれる。このイヤホンのポイントは、低価格タイプでありがちな、「高音が刺さる」や「低音がボンボン出る」といったような、極端な強調がないことだ。「多少盛っている」と感じるところもあるが、「ここを超えると表現が過ぎる」というラインをギリギリ超えない程度にバランスよく仕上げている印象だ。奥行き感もあって、この価格帯の中では、ハイレゾ対応イヤホンとして、十分に健闘していると言えよう。

たとえば、音が立体的に配置されていて、低音のバリエーションが豊富な、Mount Kimbieの「Carbonated」を聴いてみると、空間表現はややスケールダウンする印象はあるが、音が平面的にならず、立体的なアウトラインをしっかりと描いてくれる。音の余韻や低音の表現は欲を言えばもっと欲しいが、価格を考えると妥当かもしれない気もする。

また、「ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズ 〜アニメ・スタンダード Vol.1〜」の星間飛行(「マクロスFrontier」より)を聴いた限りでは、冒頭のサックスのパートが、低音に迫力があってノリのよい感じになった。シンバルの響きはつぶれている感じがなく、広がりがある。ピアノの音色は通りがよい。非常に、耳当たりのよいサウンドになっていると感じた。

まとめ

EHP-CH1000の音を実際に聴いてみると、PC周辺機器メーカーとしての印象が強いエレコムのイメージを覆すほどの高音質を実現していることがわかった。キャッチコピーには「意外にいい音」と書かれているが、4,800円程度(2015年8月4日時点での価格.com最安価格)という価格を踏まえれば、かなりいい音と言えるのは間違いない。低価格イヤホンでよくある、極端な特徴を持たせるタイプではないので、幅広いジャンルの楽曲を楽しめるはずだ。その中でも、特に生楽器を中心とした曲(ボーカル含む)で相性がよいと感じた。高級イヤホンと比較すると全体的にはクオリティに差があるのは事実だが、それに近い雰囲気が楽しめるのも確かで、そういう意味では、ハイレゾ音源を楽しむうえでの「入門向けイヤホン」に適していると思う。

銭袋秀明(編集部)
Writer
銭袋秀明(編集部)
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!
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