レビュー

今人気のエントリー向けハイレゾプレーヤー「PLENUE D」レビュー

最長4日も持つという連続再生時間。胸ポケットにもスポッリ収まるコンパクトなサイズ。192kHz/24bit PCMをサポートしつつも約3万円で購入できる手ごろさ。これらすべてを満たすのが、COWON(コウォン)のポータブルオーディオプレーヤー「PLENUE D」だ。昨年の12月中旬に発売されたばかりの新製品だが、価格.comの「デジタルオーディオプレーヤー」カテゴリーの売れ筋ランキングで1位(2016年2月5日時点)を獲得。今回は、この人気製品をくわしくレビューしよう。

手のひらに収まるサイズのPLENUE D

手のひらに収まるサイズのPLENUE D

高級DAP「PLENUE」シリーズの低価格なエントリーモデル

PLENUE Dは、ハイレゾ対応のポータブルプレーヤーで、COWONが展開している高級ポータブルプレーヤー「PLENUE」シリーズの低価格モデル。価格は価格.com最安価格で29,000円程度(2016年2月5日時点)となっている。

同シリーズの上位モデル2製品はいずれも高価で、最上位の「PLENUE 1」が12万円、その下位モデルの「PLENUE M」でも8万円。それらと比べればPLENUE Dはリーズナブルといえるだろう。また、ハイレゾ対応プレーヤーの入門機の市場をみると、そのボリュームゾーンは6万円前後に集中しており、3万円という価格は低価格な部類となる。

COWONといえば、古くからデジタルオーディオプレーヤー市場に参入している韓国の電子メーカーであり、国内ではiAUDIOシリーズなどの安価なMP3プレーヤーも人気。そういうノウハウもあって、低価格なモデルでも音質は評価されている。

再生時間の長さが大きな特徴

PLENUE Dで特徴的なのが連続再生時間だ。ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーで高音質音源を再生し続けると、急激にバッテリーが減っていくことがある。聴きたいときに電池切れで聴けない、なんてこともある。

PLENUE Dの大きな利点は、バッテリーの減りが緩やかなことだ。公称値を見ると、96kHz/24bitのFLACファイルで最大51時間も再生できるとしており、これがMP3ファイルなら100時間となる。スペック上は、このクラスでもっともバッテリー持ちのよいプレーヤーだ。試しに、イヤホンを接続して1日中(24時間連続で)ハイレゾ音源やCD音源を混ぜながら再生してみたがバッテリー切れにはならなかった。3万円台のハイレゾプレーヤーとしては、想像していた以上にバッテリーの持ちがよい。そのうえで、くわしくは後述の音質インプレッションでレポートするが、同価格帯の製品に引けを取らない音質も実現している。

主な仕様は、S/N比が123dB、THD+Nが0.004%(24bit、48kHz)、ステレオクロストークが-105dB、出力が1Vrms、出力インピーダンスが0.5オーム、ボリュームが100段階。バッテリーは内蔵リチウムポリマー充電池で、充電はマイクロUSB。内蔵ストレージは32GB。microSDXCカードにも対応する。

初代AK100並みのコンパクトボディ。前面にタッチディスプレイを採用

PLENUE Dのボディサイズは53.1(幅)×77.2(高さ)×14.9(奥行)mmで、昔のAK100と同じようなルックスだ。胸ポケットに入れたとき厚みが少し気になるものの、横幅が広く厚みもあるため、手で持ったときにホールドしやすい。

最近では、ソニーの「WALKMAN Aシリーズ」やAstell & Kernの「AK Jr」のように、エントリーモデルでは細長い長方形状のものが多く、AK100のような形をした製品が国内ではお目にかからなくなったので、こういう形状の新製品がひさしぶりに登場したのはうれしいポイントといえるのではないだろうか。

大きさ比較。PLENUE D 、AK100、NW-A25、AK Jr

大きさ比較。PLENUE D 、AK100、NW-A25、AK Jr

次に操作性をチェックしていこう。本体正面に2.8型の静電式タッチパネル液晶(解像度240×320)を搭載。画面サイズは正面全体を覆っているほどで、本体サイズから考えれば十分すぎる大きさだ。操作はタッチパネルと物理キーを併用するタイプで、選曲や本体設定などはタッチパネルから可能。物理キーは電源とボリューム調整のほか、再生/一時停止や楽曲の送り/戻しも用意されている。

電源ボタンの周りにはLEDで発光するギミックを備える

電源ボタンの周りにはLEDで発光するギミックを備える

音量調整、再生/一時停止、次曲/前曲のボタンが搭載されている本体側面

音量調整、再生/一時停止、次曲/前曲のボタンが搭載されている本体側面

背面はヘアライン調のデザイン

背面はヘアライン調のデザイン

音質インプレッション

試聴は、1964EARSの6ドライバー搭載のカスタムインイヤーモニター「V6 Stage」(標準ケーブル)を使用して行った。

PLENUE Dのよさを端的に言うと、自然なまとまり感のある音だと思えること。聴きはじめは地味な印象を受けるが、長時間聴き続けていくとその聴き疲れしにくいニュートラルなトーンバランスがいい。解像度感も悪くないし、聴感上のS/Nもそんなに低くない。派手な印象はないが、普通にいい音と評したくなるモデルだ。

ただ、高級なハイレゾ対応デジタルプレーヤーと比較してしまうと、プロポーションにメリハリがないのや、音の鮮度感がもの足りないと感じてしまうのは事実。そういうときは音響効果を変えるCOWON独自のイコライザー機能「JetEffect」を利用するのが手だ。40種類以上用意されたプリセット変えることで、印象をガラリと変えることができる。特にBBEは使ってみてほしい。音がクリアに聴こえてきたり、ボーカルがより際立つように変わる。聴くジャンルが決まっているなら、設定を探り固定で運用するのもいいだろう。

ただ、色々なジャンルを満遍なく聴く場合はノーマルのほうが無難だと感じた。また、ノーマル運用で聴くとき、クリアさがもの足りない場合は、シャープな音がするイヤホンやヘッドホンを組み合せてみてほしい。

まとめ

PLENUE Dは、3万円程度のハイレゾプレーヤーの中では、音質、操作性、携帯性など、どれもバランスよくまとめられている製品だ。ハイレゾを楽しみたいユーザーだけでなく、MP3音源を大量(16000ファイル・8000フォルダ未満が推奨)に持ち運ぶ人にも注目できる。また、バッテリーの持ちがいいので、頻繁に充電する必要もない。

さらに32bit WAVファイルの再生に対応しており、192kHzを超える音源やDSD以外の形式なら、ひと通り再生できるようになっているのも大きな魅力だ。WAVファイルにタグを埋め込んだWAVタグをサポートし、埋め込んだアートワークを表示できる。ここら辺は玄人に歓迎されるところかもしれない。

注意点としては拡張性が低いこと。たとえば、最近では標準搭載されているBluetoothがなく、ワイヤレスでは音楽を楽しめない。また、出力はステレオミニ1系統とシンプルだ。

同価格帯のライバルには、ソニーのWALKMAN AシリーズやFiio X3 2ndがある。その中でPLENUE Dの魅力は、コンパクトな本体サイズ、タッチパネルを採用した操作性、連続再生時間の長さだ。また、EQを変えられるプリセットの多さも見逃せない。初めて購入するハイレゾ対応ポータブルプレーヤーとしては、十分な性能を備えたモデルといえるだろう。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
ページトップへ戻る