スマホで本格ポータブルオーディオ計画
スマホで本格ポータブルオーディオ計画

iPhoneでハイレゾをお手軽&高音質に楽しむ方法を高橋敦が伝授!

初回のエントリークラスイヤホンに続くステップとして、今回はイヤホンとスマートフォンの間に入って音質を向上する「高音質再生アプリ」と「DAC付きポータブルヘッドホンアンプ」を紹介する。これらは、ハイレゾプレーヤーがないスマートフォンメインのポータブルオーディオ環境下で、ハイレゾ音源の豊富な情報量を引き出すうえで欠かせないアイテムだ。今回の製品紹介はiPhoneなどのiOS向けに進めるが、大まかな話はAndroidを含めてほかのスマートフォンでも共通している。

iPhoneでハイレゾ音源を満喫するには対応の再生アプリが必要

まずは高音質再生アプリについて解説しよう。

実は高音質再生アプリといっても、iPhone標準の「ミュージック」アプリと同じ音楽ファイルを再生した場合に、基本的な再生音質に明快な違いがあるわけではない。では何が違うのかというと、大きいのは「ハイレゾ音源の再生」への対応だ。

CDには44.1kHz/16bitというスペックでデジタルデータ化された音声データが収録されている。対してハイレゾ音源の多くは96kHz/24bit以上というスペックだ。この違いは、たとえば「1000万画素のデジカメより2000万画素のデジカメのほうが写真はきれい」「DVDよりBlu-rayのほうが映像はきれい」というのと同じように、CDよりもハイレゾのほうが「スペック的にはより高音質」なのだと理解しておいてほしい。

その「ハイレゾ」の音源ファイルは「ハイレゾ配信サイト」と呼ばれるいくつかのサイトで販売されている。しかし、iPhoneは、標準の状態ではハイレゾ音源ファイルを再生できない。

まず、iTunesがハイレゾの標準的なファイル形式であるFLAC形式に対応していない。そしてファイル形式はPC側のアプリで変換したとしても、大半のハイレゾファイルはiTunesからiPhoneに同期できないのだ。

そこで必要となるのがハイレゾ対応高音質再生アプリだ。iPhoneにインストールすればハイレゾ音源をiPhoneに転送し、そのアプリ上で再生できるようになる。

iPhoneにハイレゾ再生アプリをインストールするとiTunesからそのアプリに「ファイル共有」でハイレゾ音源を転送できるようになる

任意のハイレゾ音源をファイル指定して転送

任意のハイレゾ音源をファイル指定して転送

押さえておきたいハイレゾ対応の高音質再生アプリ3選

続いて、ハイレゾ対応の高音質再生アプリの代表的な製品をいくつか紹介していこう。

定番中の定番となるのが、オンキヨーの「HF Player」。早くから開発が進められており、動作の安定性といった面で一日の長がある。アプリ自体の価格は無料だが、ハイレゾ音源を再生するのには別途、有料のHDプレイヤーパックが必要。そちらは1,200円

Radiusの「Ne Player」。現在のiOSにフィットするいわゆるフラット系のデザイン。価格は1,800円

Radiusの「Ne Player」。現在のiOSにフィットするいわゆるフラット系のデザイン。価格は1,800円

KORGの「iAudioGate」。DSDを得意とするPC用再生アプリのiOS版といった位置付けで、価格は2,400円

KORGの「iAudioGate」。DSDを得意とするPC用再生アプリのiOS版といった位置付けで、価格は2,400円

見ての通りデザインテイストはそれぞれ個性的。しかし、インターフェイス設計や操作方法はどれも標準の「ミュージック」アプリのガイドから極端に外れているわけではないので、さほど迷わずに使いこなせるだろう。

またこれらのアプリは、アプリごとに転送したハイレゾ音源のほかに、iTunesから自動同期される音楽ライブラリにもアクセスして再生できる。なので、ローカルの音楽再生についていえば、これらのアプリは標準アプリの代替としてメインの音楽再生環境にもできる。ちなみに、定額ストリーミングサービスの配信楽曲(そこでダウンロードした曲含む)は他のソフトでは再生できないため、ハイレゾ音源と配信音源どちらも楽しみたいときはそれぞれ対応したソフトが必要になってくる。

ただし、アプリのみでハイレゾ音源の再生自体は可能だが、ハイレゾ本来のスペックを生かした再生はできない。というのも、デジタル音声データをアナログ音声信号に変換する「DAコンバーター」という回路が、iPhone内蔵のものは限定的にしかハイレゾに対応できていないためだ。CDに近いスペックにダウンコンバート(下位変換)された状態でしかiPhoneのイヤホン端子からは出力されない。

そこで、次に押さえておきたいアイテムとなるのが、ハイレゾ対応の「DAC付きポータブルヘッドホンアンプ(ポタアン)」だ。ポタアンは、iPhoneのLightning端子に接続することで、ハイレゾのデジタルデータをiPhoneから受信し、ハイレゾのままDA変換できる。その先のイヤホン駆動用のアンプ回路もiPhone内蔵のものよりハイクオリティなので、ハイレゾ音源の高音質をしっかりと引き出せるのだ。

高音質再生アプリとポタアンを組み合わせて使う場合の注意点

ポタアンは現在のポータブルオーディオの世界では注目アイテムで、製品数も豊富だ。いろいろなタイプの製品があって、その分、購入前に知っておきたい注意点もいくつかある。

まず、iPhoneとの接続方法だ。Lightning端子を搭載したiPhoneと直結できるタイプであれば問題ないがほかの製品では、ポタアンとiOSデバイスの間にApple純正のオプションケーブル「カメラコネクションキット」を使用する必要がある。

さらに、高音質再生アプリとポタアンには相性があることにも要注意。使いたいポタアンがある場合は、動作確認の取れたアプリを使うのが無難だ。基本的に、ポタアンメーカーは動作確認済みの高音質再生アプリをアナウンスしているので、そこをチェックしてほしい。また、使用する高音質再生アプリによっては、ハイレゾ音源をスペックどおり送り出せなかったりすることもある。これは本体端末やiOSのバージョンによって提供機能が異なるためで、これらはアプリの公式ページで確認してほしい。公式には対応をうたっていない場合でも、ユーザーが独自に動作を報告しているケースもあるので、十分に調べてから買うようにしよう。

以下、数あるポタアンの中から代表的なモデルを3つ紹介しよう。エントリー/スタンダード/ハイエンドで各1機種をピックアップしてみた。いずれも、Lightning接続に対応するモデルだ。

エントリークラス
リモコンとしても機能する超小型タイプのロジテック「LHP-AHR192」

単体写真でもLightning端子との比較でその小ささがわかるはず。金属筐体の仕上げもきれい

単体写真でもLightning端子との比較でその小ささがわかるはず。金属筐体の仕上げもきれい

接続やサイズ感もこういった具合にシンプルでコンパクトだ

接続やサイズ感もこういった具合にシンプルでコンパクトだ

見ての通り「ちょっと大きめのリモコン?」といったようなサイズ感やルックスのポタアンだ。実際にリモコンとしても機能するので便利。Lightningからの電源供給で動作するので、充電の手間や心配がいらないというのも使いやすさのポイントだ。また、衣服に付けるときに役立つクリップを裏面に備えているうえ、クリップは360度回転可能なので、とても付けやすくなっている。

さらりと書いた「リモコンとしても機能する」という部分だが、意外と大切。実はポタアンを挟んでiPhone→ポタアン→リモコン付きイヤホンと接続すると大半の場合、配線の関係でイヤホンのリモコンは動作しなくなる。リモコンの便利さは手放せない!という人はこのモデルのようなリモコンタイプを選んでおこう。

音質的には、シンバルの金属質のシャープな手触り感や、ボーカルの息遣いを強めに出してくれることが特徴だ。価格は価格.com最安価格で14,553円。

スタンダードクラス
大柄な分だけ高性能。音質やコストパフォーマンスに秀でたオンキヨー「DAC-HA200」

こちらは単体写真だと大きさがわかりにくいが……

こちらは単体写真だと大きさがわかりにくいが……

システム一式の接続やサイズ感はこういった具合。厚みが少し目立つが、カバンのポケットやポーチをうまく利用してまとめよう

iPhone 5やSEを3枚重ねたくらいの大きさのポタアン。もっと大きめの製品だとiPhone 6を3枚重ねたみたいな感じになるものもあるが、このあたりがハイレゾ対応ポタアンの「よくあるスタンダードなサイズ感」だ。

大柄な分、より高性能(だが大型の)パーツを利用できたり、無理な省電力化はしなくてよかったりするので、一般論としてはリモコンタイプなどの小型モデルよりも音質やコストパフォーマンスでは優位。またリモコンタイプはLightning専用の場合も多いが、スタンダードタイプはUSBでMacやPCにも接続可能で、デスクトップでのハイレゾ再生にも使えることが普通。幅広く活用できる。

このモデルは、音質的には、余裕のアンプパワーでイヤホンをしっかり制御し、ベースやドラムスの低音にまで速さやキレを与えてくれることがポイントだ。

価格.com最安価格は、21,380円(2016年3月23日時点)。こちらは価格.comプロダクトアワード2014のAV家電カテゴリー「ヘッドホンアンプ・DAC」部門にて銅賞に輝いている

ハイパフォーマンスクラス
革張り手帳に見間違えるスマートタイプのOPPO「HA-2」

こちらは単体写真でもその薄さが伝わるかと思う

こちらは単体写真でもその薄さが伝わるかと思う

さすがにiPhone 6よりは厚いが、重ね合わせてもこの程度。革のおかげでカメラの出っ張りも吸収され、重なりのフィット感もよい

HA-2のような、ハイレゾ対応のポタアンの中でも比較的高価格帯の製品は、PCM 384kHz やDSD 11.2MHzといった音源をダウンコンバートなしでネイティブ再生に対応できるなど、さらにハイスペックな仕様となる。もちろん、ハイスペックなだけではなく基本的な音質も底上げされるので、普通スペックのハイレゾやハイレゾではない音源もよりよい音質で楽しめる。

また、このモデルは見ての通り薄型で、アルミ合金と本革による美しいデザインもポイントだ。さらに、自身を駆動する内蔵バッテリーをスマホ充電用のモバイルバッテリーとしても利用できる機能を搭載。ポタアンとして薄くてじゃまにならないうえに、これを持っていればモバイルバッテリーを持ち歩かなくてよくなる。二重にスマートな製品だ。

こちらのモデルは音質的には、派手な変化ではなく堅実な向上をもたらしてくれる。しかしシンバルやボーカルの高音はきれいにほぐし、低音はベーススイッチでいい感じにブースト可能と、正統派+技ありな音作りになっている。

価格.com最安価格は、39,800円(2016年3月23日時点)。こちらは昨年の価格.comプロダクトアワード2015のオーディオ部門「 ヘッドホンアンプ・DAC」カテゴリーにて金賞に輝いている。

初回のイヤホンに続いて、今回はiPhoneにアプリとポタアンを足すことで高音質化とハイレゾ対応を実現する方法を紹介させていただいた。次回以降も引き続き、スマートフォンでのオーディオ体験を向上させていく!

高橋敦

高橋敦

オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。

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