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雑誌の付録とは思えない本格派

実売5千円! 「DigiFi」付録のバランス駆動対応ヘッドホンアンプを使ってみた

雑誌の付録にヘッドホンアンプが付いてくる! その雑誌は「DigiFi」(デジファイ)。オーディオ・ビジュアルの専門誌「Stereo Sound」や「HiVi」で有名な、ステレオサウンドが出版する季刊のオーディオ誌だ。そんな「DigiFi」の最新号(5月30日発売、No.22)に付録として付いてくる「バランス駆動対応イヤホン&ヘッドホンアンプ」を、スマートフォンやタブレットにつないで聴いてみたところ、直接つなげるよりもイイ感じの音で楽しめてしまったのだ。

これが「DigiFi」の付録「バランス駆動対応イヤホン&ヘッドホンアンプ」。基板むきだしではあるが、れっきとした東和電子(Olasonic)製だ

「またまた……そうは言うけど、結局は付録でしょ?」という人もいるだろうが、そこは安心してほしい。そもそも本製品が付いている「DigiFi」最新号の販売価格は5,500円(税込)。高い安いはひとまず置いておいて、これを手掛けているのは、あの卵型スピーカーで好評を博した「Olasonic」ブランドを展開する、日本のオーディオメーカー「東和電子」だからだ。

しかもこの製品、オペアンプが交換できたり、バランス駆動に対応していたりと、付録ではあるがマニア向けのこだわり仕様。知らない人にしてみたらチンプンカンプンだが、逆にそんなエントリーユーザーが聴いても、音の違いを楽しめる面白い製品になっているのだ。

今回は、そんな「バランス駆動対応イヤホン&ヘッドホンアンプ」を早速ゲットできたので、実際に使ってみた様子をお届けしよう。

基板むきだしだが音に妥協なし。セットアップも簡単

本題に入る前に、そもそもヘッドホンアンプとは何かを簡単に説明しておこう。ヘッドホンアンプとは端的に言えば、音声信号の増幅器のこと。たとえば、ポータブルオーディオプレーヤーにヘッドホンを接続して聴いているときに、音に迫力がなかったり音量が物足りなく聴こえたことはないだろうか。こうした場合、多くは、ヘッドホンのドライバーを動かすのに必要なパワーが足りず、性能を発揮できていない。このパワー不足を補うのが、ヘッドホンアンプの大きな役目だ。また信号を増幅すると不要なノイズも大きくしてしまったり、元の信号を歪ませたりすることもある。これらを上手に処理し、必要な音だけを増幅させるのがヘッドホンアンプの役目なのだ。

今回登場した「バランス駆動対応イヤホン&ヘッドホンアンプ」も、そんなヘッドホンアンプの一種。ただ驚くことに本体はむき出しの基板1枚だけ。基板サイズは75(幅)×29(高さ)×75(奥行)mmの手のひらサイズであるものの、ケースもなければ、電源スイッチや電源アダプターもなく、ボリューム調整はついているがノブ(つまみ)がないという、基板に必要な部品を取り付けただけの完成品となっている。しかし、この見た目でありながら、1万円クラスのヘッドホンアンプにも見劣りしない音が楽しめてしまうのだ。

基板上に必要なパーツを実装しただけの本体。コンパクトにまとめられており、本体サイズは75(幅)×29(高さ)×75(奥行)mmと、まさに手のひらサイズだ

ちなみに、本製品用のケースやノブはステレオサウンドの通販ページで別途購入することができる。アクリルケースやメタルケースなど種類もそれなりに用意されている。自作するのもよし、用意されているものを使うもよし、好きなほうをチョイスできるのはありがたい。

実際に使うときには、基板をそのまま置くのを避けるため、付属のスペーサー(支柱)を基板の四隅にネジ止めする。電源はmicroUSBポートになっており、ケーブルなどは自分で用意する必要がある。駆動に必要な電源は5V/500mAというUSB 2.0の標準仕様なので、パソコンのUSBポートから給電できるほか、スマートフォン用の電源アダプターでも代用可能だ(高速充電対応のものは出力が高いため注意)。なお、先述の通り、電源スイッチがないため、給電と同時に電源が入るような仕組みとなっている。セットアップはこれで終了だ。

脚(長めのスペーサー)を基板の四隅にネジ止めする

脚(長めのスペーサー)を基板の四隅にネジ止めする

バランス駆動対応のアナログヘッドホンアンプ。オペアンプも交換可能

本製品の音声入出力端子はアナログのみで、いわゆる、アナログのヘッドホンアンプとなる。アナログと聞くと残念に思うかもしれないが、いっぽうでいろいろな機器と接続しやすいのは、アナログならではのメリット。スマホやタブレットだけでなく、3.5mmステレオミニジャックを設けたパソコンや、ポータブルオーディオプレーヤーとも組み合わせることが可能だ。インターフェイスは、入力側に3.5mmステレオミニジャックとRCA端子が、出力側には3.5mmステレオミニジャックと3ピンXLR端子が搭載される。なお、ボリューム調整ができるのは3.5mmステレオミニ入力時のみ。RCA入力時はプレーヤーやプリアンプ側で調整する必要がある。

インターフェイスは、上段が左から順に、電源用のmicroUSBポート、ボリューム調整(RCA入力時はボリューム調整不可)、入力用の3.5mmステレオミニジャックとステレオRCA端子。下段は音声出力になっており、3.5mmステレオミニジャックと3ピンXLR端子が並ぶ

出力側の3ピンXLR端子は、伝送時の音質劣化を防ぐことでより高音質で楽しめるバランス駆動用のもの。このサイズと価格ながらバランス駆動に対応しているのも、本製品の大きな魅力だ。しかも、3ピンXLR端子しかバランス駆動ができないかと思いきや、実は4種類のバランス出力を備えた専用の拡張基板「マルチ変換基板」も同時発売。これをつなげることで、ヘッドホン/イヤホンで主要なバランス端子をほぼカバーできるようになっている。こちらの搭載端子は、2.5mm4極、4ピンのXLR端子×2、3.5mm3極ミニ端子×2、IRIS端子となる。

さらに市販品でも対応しているものが少ない、オペアンプの交換ができるのも大きなメリットで、オペアンプを交換することで簡単に音色を変えられる。雑誌の付録でありながらオペアンプの交換を楽しめてしまうのには、東和電子ならではのこだわりを感じる。

オペアンプは8ピンのDIPタイプ。バランス駆動用と3.5mmステレオジャック用で、それぞれソケットを分けて搭載しているのも見どころ。標準搭載のオペアンプはバーブラウンの「OPA2134PA」で、3.5mmステレオミニジャック側のソケットに装着されている。なお、バランス駆動用のソケットにはオペアンプが搭載されていないため、利用する場合、別途2つ用意する必要がある。

5種類のバランス出力を備えた専用の拡張基板。2.5mm4極をはじめ、4ピンのXLR端子、3.5mm3極ミニ端子×2、IRIS端子も備えている

交換可能なオペアンプ。ラジオペンチや専用の引き抜き工具を使用することで、簡単に外せる

交換可能なオペアンプ。ラジオペンチや専用の引き抜き工具を使用することで、簡単に外せる

付録とは思えない、力強く歪みのないサウンド

ひと通りのセットアップが終わったところで、いよいよソニーモバイルのファブレット「Xperia Z Ultra」とAKGのヘッドホン「Q701」を3.5mmステレオミニジャックで接続し、鳴らしてみた。まずは、音のボリューム感と厚みにビックリ。ベースの力強いサウンドを強く感じられたほか、高音域の小さな電子音でもはっきり聴こえてくるようになった。基板内部で13Vに昇圧駆動しているだけあって、その恩恵は大型のヘッドホンでも十分体験できる印象だ。また、標準で搭載されているオペアンプにより、歪みやノイズがしっかり抑えられており、きれいに音が増幅されていることがわかる。今回、ケーブルが用意できなかったためバランス駆動は試せなかったが、アンバランス接続時でもヘッドホンアンプの効果は十分に堪能できた。

まとめ

本製品は基板むき出しという見た目に一瞬不安を覚えるものの、基板内部で昇圧駆動をさせたり、オペアンプも交換できたり、加えてバランス駆動にも対応できるなど、実質5,000円という価格を考えれば十分過ぎるほどの仕上がりとなっている。もちろん、基板むき出しのため操作性はよくないが、オプションパーツを購入することで、この点もだいぶ改善できる。さらに、別売の拡張基板を組み合わせれば、機能をアップグレードできるなど、遊び心も満載だ。雑誌の付録ということで品質もイマイチだろうと言うのは大きな間違いで、音も機能も価格以上の価値があるように思える。ヘッドホンアンプの入門モデルとして、またちょっとした電子工作的なお遊びグッズとして、購入してみるのも悪くないだろう。

そうは言ってもやっぱり自分で一度試してみたい、という方は6月10日から12日に東京・神田のスペース カイマンにて開催される試聴体験イベントで、現物をチェックできる。興味のある方は立ち寄ってみてはいかがだろうか。
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2016/05/19/46370.html

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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