2016年9月16日に発売されたアップルの新型スマートフォン「iPhone 7」。さまざまなトピックがある本製品だが、そのうちのひとつに「イヤホン端子の廃止」があげられる。アップルとしては、イヤホンはワイヤレスに移行すべきという考えのもと、今回の決断に至ったと言われているが、この「iPhone 7」の発売を受けて、ワイヤレスヘッドホン・イヤホンの注目度もじわりと上がってきている。
図1:「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける人気ランキングベスト5(2016年10月12日時点)
図1は、価格.comの「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける人気ランキングベスト5を示したものだ。このうち、一番左側の売れ筋ランキングでは、現在1位の、Bose「SoundSport wireless headphones」、2位のJBL「EVEREST 100」、4位のONKYO「W800BT」の3製品がワイヤレス製品となっており、中央の注目ランキングでは、1位から5位のすべてがワイヤレス製品で占められている。ワイヤレスイヤホンやヘッドホンは、これまでも一定の人気があったが、ここまで注目度が高まったことはかつてなく、イヤホン端子を廃した「iPhone 7」発売の影響が大きく寄与しているものと思われる。
図2:「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける注目ランキング・ベスト5製品のランキング推移(過去3か月)
図2は、上記注目ランキングにてベスト5に入ったワイヤレスイヤホン・ヘッドホン5製品のランキング推移を、「価格.comトレンドサーチ」で示したもの。これを見ると、1位をキープし続けているBose「SoundSport wireless headphones」、現状5位のBose「QuietComfort 35 wireless headphones」、現状4位のソニー「h.ear on Wireless NC MDR-100ABN」は、安定的な人気を得ているいっぽうで、現状3位のJBL「EVEREST 100」は8月下旬から、そして現状2位のONKYO「W800BT」は9月12日以降、徐々にランクを上げてきていることがわかる。特に、ONKYO「W800BT」は、10月上旬に発売されたばかりの新製品で、日本国内メーカー初の本格的完全ワイヤレスイヤホンとして、注目を集めている。
図3:「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける注目ランキング・ベスト5製品の最安価格推移(過去3か月)
図3は、「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける注目ランキング・ベスト5製品の最安価格推移を示したもの。これを見ると、一概に「ワイヤレス」と言っても、その価格はまちまちで、1万円ちょっとで買えるJBL「EVEREST 100」のような製品もあれば、4万円近くするBose「QuietComfort 35 wireless headphones」のような製品もある。もちろん、この価格差には、搭載されるドライバーの種類や、ノイズキャンセリングなどの付加機能の有無などが大きく影響しているので、これも一概には言えないが、一般的に言って、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの人気モデルは、1万〜3万円くらいが人気の価格帯と言っていいだろう。もちろん、通常のワイヤード製品よりも、人気製品の価格レンジは高めとなる。
図4:「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける注目ランキング・ベスト5製品の満足度推移(過去3か月)
このように、ここ2か月ほどで一気に注目度を増してきたワイヤレスイヤホン・ヘッドホンだが、その満足度はどうなのだろうか。一般に、Bluetoothを使ったワイヤレス接続では、音質が劣化すると言われているだけに気になるところだ。図4は、上記の「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける注目ランキング・ベスト5製品の満足度推移を示したもの。こちらも製品によって評価はまちまちだが、なかでも、Bose「QuietComfort 35 wireless headphones」と、ソニー「h.ear on Wireless NC MDR-100ABN」の、ノイズキャンセリング機能付きヘッドホンが、カテゴリー平均である4.27以上の評価をつけており、おおむね高評価。イヤホンでは、JBL「EVEREST 100」の評価が高い。ちなみに、ノイズキャンセリング機能付きの2製品は、最安価格でも3万円以上する高価格帯製品であるが、ユーザーの満足度は高い。いっぽう、JBL「EVEREST 100」は1万円ちょっとで買える、ワイヤレスイヤホンとしては低価格な製品であり、そのコストパフォーマンスが評価されたものと考えられる。
Bose「QuietComfort 35 wireless headphones」
まず、4.58と、この中ではもっとも高い満足度を持つBose「QuietComfort 35 wireless headphones」であるが、ユーザーレビューを見てみると、ノイズキャンセリングに関係する「外音遮断性」や「音漏れ防止」「フィット感」などの項目の評価がいずれもほぼ4.5以上と高い。いっぽうで「音質」の評価はいずれも3.7を割り込んでおりカテゴリー平均以下となっている。
ソニー「h.ear on Wireless NC MDR-100ABN」
逆に、満足度では4.33と、ライバルの「QuietComfort 35 wireless headphones」に負けているソニー「h.ear on Wireless NC MDR-100ABN」だが、ユーザーレビューを見てみると、音質面は高音・低音ともカテゴリー平均以上の評価。その他の評価もまんべんなく高ポイントで、「フィット感」と「携帯性」だけがカテゴリー平均以下の3点台という結果になっている。
また、ワイヤレスイヤホンとしては高い、4.53の満足度を持つJBL「EVEREST 100」であるが、こちらも音質は高音・低音ともカテゴリー平均以上。「フィット感」のみカテゴリー平均を下回るという結果だ。
JBL「EVEREST 100」
Bluetooth経由で音声データを受け渡すワイヤレスイヤホン・ヘッドホンは、とかく音質面での劣化が気になるところであるが、少なくとも、ソニー「h.ear on Wireless NC MDR-100ABN」やJBL「EVEREST 100」については、その心配はなさそうだ。なお、Bose「QuietComfort 35 wireless headphones」の音質評価についても、ユーザーレビューの内容を見る限り、Bluetooth由来のものではなく、本製品独自の音の味付けの部分に対しての好き嫌いが分かれた結果になっており、ワイヤレスだからダメという性質のものではなさそうだ。
ONKYO「W800BT」
やや気になるのは、10月上旬に発売されたばかりのONKYO「W800BT」のユーザー満足度が、3.25とかなり低いこと。各評価項目を見ても、すべての項目がカテゴリー平均を下回っており、注目度に対して、出来のよさという点では正直少し疑問が残る出だしとなっている。特に評価を下げているのは、付属の充電機能付きケースの出来。「ケース兼バッテリーは、もう試作品か?というデキですね。遠からずプラスチックの蓋が割れるか、ヒンジが壊れるかなと思っています」「充電もできる携帯ケースが驚くほどのデカさ。完全ワイヤレスイヤホンとしては「EARIN」という非常にコンパクトかつ優れたデザインの商品があったのに、そこから全く学んでいないんだろうか?」「音はいいのですが毎日通勤で使うとなると、ケースの出来に不満が出てきます」など、「音はいいのに残念」という声が多く聞かれる結果となっている。