USB DACにも、USBトランスポートにも対応する高い拡張性が魅力

高コスパで、約60gの超小型プレーヤーSHANLING「M1」を聴いてみた!

このエントリーをはてなブックマークに追加

重量約60gの小型軽量なハイレゾ対応DAP(デジタルオーディオプレーヤー)が登場した。コンパクトながらDSD音源の再生に対応し、Bluetoothでの高音質な伝送を可能にする「aptX」もサポート。さらに、USB Audioデジタル出力やUSB DACモードも備え、実勢価格は15,000円とコストパフォーマンスにすぐれている。今回は、そんなSHANLINGのハイレゾ入門向けDAP「M1」の機能と音質についてくわしくレビューしていく。

最軽量クラスのハイレゾ対応DAP「M1」

50(幅)×60(高さ)×12.8(厚さ)mmのコンパクトボディに、2.35型液晶パネルを搭載する

50(幅)×60(高さ)×12.8(厚さ)mmのコンパクトボディに、2.35型液晶パネルを搭載する

1988年より据え置き型のステレオアンプを手がけているSHANLINGは、中国の深センに本拠を置く音響機器メーカー。自社で設計から生産まで行う実績のあるメーカーで、据え置き用のアンプやCDプレーヤー、スピーカーを中心に、最近ではポータブル機器向けのDAPやアンプにも力を入れている。ここで紹介する「M1」は、同社のポータブル製品にラインアップされているDAPのエントリーモデルだ。

「M1」は、解像度350×400ドットの2.35型液晶パネルを全面に搭載した超小型モデルだ。本体サイズは50(幅)×60(高さ)×12.8(厚さ)mmで重量が約60g。「M1」は、COWON「PLENUE D」と似たスクエア状の本体デザインになっているが、「PLENUE D」よりひと回り小さい。コンパクトなDAPとして価格.comでも人気があった、ソニーのウォークマン「NW-Aシリーズ」の前モデル「NW-A20」の本体サイズは約44.4(幅)×約109.1(高さ)×約9.1(厚さ)mmで重量が約66gだったので、「M1」の小ささがおわかりいただけると思う。液晶を搭載するハイレゾ音源が再生可能なプレーヤーの中では、最軽量クラスと呼べるほど小さくなっているのが特徴だ。

厚さ12.8mmのボディ。メタル素材で頑丈そうな作りになっている。本体右側には電源ボタンが搭載されている

厚さ12.8mmのボディ。メタル素材で頑丈そうな作りになっている。本体右側には電源ボタンが搭載されている

コンパクトな半面、気になるのが操作系。全面に備えた液晶パネルからはタッチ操作なのかという印象を受けるが、実は本機はボタン操作のみ。ボタンは、本体右側に電源ボタンが、左側に「戻る」「前曲」「次曲」の各ボタンが備わるほか、背面にノブを備える。このノブは、クルクルと回しすることで選曲や音量調整が行えるほか、押しこむことで「決定」ボタンとしても機能する。最初は操作にとまどったが、選曲するときは基本的にノブしか使わないので慣れれば楽だ。ただ、少しばかり気になるのは、ヘッドホン端子が底面側に設けられていること。ポケットに入れるときにはノブが下側になるので、ボリュームが勝手に動いてしまうことがあった。ロック機能があればよかったと思う。

背面に備えられたノブは、クルクルと回して選曲や音量調整が行えるほか、押しこむことで「決定」ボタンとしても機能するようになっている。クリック感はしっかりあり操作しやすい

上から順に「戻る」「前曲」「次曲」の各ボタンが配置されている

上から順に「戻る」「前曲」「次曲」の各ボタンが配置されている

その他のスペックは、対応の音声ファイルは192kHz/24bitまでのPCM音源、5.6MHz DSD音源(DSDはPCM変換となる)。音声信号を処理するD/Aコンバーターに旭化成エレクトロニクス製の「AK4452」を、アンプ部にはマキシム・インテグレーテッド製の「MAX97220」を採用。ヘッドホン端子は1系統(バランス出力は非搭載)で、出力は35mW@32Ω。周波数特性は20Hz~20kHz、SN比が105dB、THD+N(ひずみ率)が0.006%、ダイナミックレンジが105dBとなっている。内蔵ストレージはなく、microSDカードスロット(最大容量256GB)を装備。容量950mAhのリチウムバッテリーを内蔵し、3〜4時間の充電で9〜10時間動作できる。

ブランドロゴがあしらわれた背面。透明のフィルム(ハードタイプ)が貼り付けられている

ブランドロゴがあしらわれた背面。透明のフィルム(ハードタイプ)が貼り付けられている

インターフェイスは、左からmicroSDカードスロット、USB Type-Cポート、ヘッドホン端子で、いずれも底面にまとめられている。なお、本製品にはUBS Type-C用ケーブルがしっかりと付いている

各種操作を行うホームメニュー。中国メーカー製の低価格帯のDAPではよくあるデザインで、しっかり日本語化されている

再生中の画面。アートワークが全画面で表示される。なお、アートワークの容量は100KB以下が推奨されている

再生中の画面。アートワークが全画面で表示される。なお、アートワークの容量は100KB以下が推奨されている

Bluetooth受信機能、USBトランスポート、USB DACモードにも対応する高い拡張性

そのままでも携帯性にすぐれたプレーヤーとして活躍する「M1」だが、拡張性も大きな魅力だ。使い込める便利な機能がいくつか搭載されており、なかでもトピックとなるのが「Bluetooth受信機能」「USBトランスポート」「USB DACモード」の3つとなる。

・Bluetooth受信機能

「M1」はBluetoothに対応し、高音質な伝送が可能な「aptX」をサポートしている(iPhone向けのAACは非対応)。ワイヤレスでもクオリティの高い音を楽しめるのだが、「M1」では送信に対応しているのはもちろん、受信もできるようになっているがユニーク。これを使えば有線イヤホンを無線化できるBluetoothオーディオアダプターとしても活用できる。

ソニーのファブレット「Xperia Ultra Z」と「M1」をペアリング。これで「M1」がBluetoothオーディオレシーバーとして使用できるようになった

たとえば、スマートフォンで再生している定額音楽配信サービスの曲を、Bluetooth経由で「M1」に飛ばし、お気に入りのイヤホンで楽しむという使い方が可能だ。こうしたBluetoothオーディオアダプターは、実勢価格3,000円〜5,000円で販売されているが、「M1」はこれらの代わりにもなる。さらに、アダプターとして使用している間は、「M1」自体がスマートフォンのリモコンとしても機能し、再生/一時停止、「次曲」「前曲」といった操作も行えるため、わざわざスマートフォンを取り出して操作する手間もない(iPhone SEでもリモコン機能が使えた)。2秒弱程度のタイムラグはあるが、使い勝手は悪くなかった。

・USBトランスポート

「USBトランスポート」は、USBポートから音声データをデジタル出力できる機能。高級なUSB DACを使えば、その音を楽しめるというのが大きな特徴だ。「M1」の場合、本体でDSD音源を再生すると 88.2kHzに変換されてしまうが、この機能を使用することでネイティブ再生できる。

「M1」とAudioQuestのUSB DAC「DragonFly Black」を、アップルの「USB-C to USB Adapter」を介して接続。USBトランスポート機能は、接続すればすぐ使用できる

今回は、AudioQuestのUSB DAC「DragonFly Black」で同機能を試してみた。ただ、接続するにあたって注意点がある。接続するUSB DACによって別途ケーブルが必要になってくるのだ。「DragonFly Black」はUSB Type-Aポートにそのまま接続できるスティック型のUSB DACなので、アップルから発売されている「USB-C to USB Adapter」を使って、一度Type-Aポートに変換してから接続するようにした。アップル純正アクセサリーのため動かなくても自己責任だが、今回はこれで動作している。

接続すると自動で認識されるため、基本的に設定作業はない。認識されたあとは通常と同じように選曲すれば再生できる。ちなみに、同時出力は非対応なので、ヘッドホン端子とUSBポートの両方に機器を接続した場合は本体のヘッドホン端子が優先されるようになっている。

・USB DACモード

パソコンに接続してDACとして使う「USB DACモード」も問題なく使えた。パソコンと接続してDACとして使うときは、メインメニューのシステム設定からUSBモードの選択をオンにすればいい。Macであればドライバーなしで使えるが、WindowsはSHANLINGの公式ページからドライバーをダウンロードし、インストールする必要がある。スペック通り、192kHz/24bitまでのハイレゾ音源は問題なく再生できた。

USB DACモードにし、Windows 10搭載パソコンに接続した。定番のプレーヤーアプリ「Foobar2000」では問題なく使えた

音質インプレッション 入門DAPとしては必要十分な音質でコストパフォーマンスは抜群

さて気になる音質だが、今回は、DSD音源のほか、ハイレゾ音源(192kHz/24bit、96/24bit、48kHz/24bit)とリッピングしたCD音源などを用いて試聴した。インピーダンスの違いで差があるかを検証するため、使用したイヤホンは1964EARSの「V6-Stage」で、ゼンハイザーのヘッドホン「HD-25 1-II」(イヤーパッドのみYAXI製に交換)でも確認している。

「M1」のいいところは、低価格帯のDAPでありがちな、ドンドンする低音やキンキンする高音といった妙なクセがない帯域バランスのよさだ。どんな音楽を聴いていても違和感なく聴け、ジャンルを問わず楽しめる。サウンドの傾向としては、ややタイトなチューニングが特徴的。全体的にスピード感があり、粒立ちがいい。高域は硬さもあるが抜け良く聴こえる。低域はボワつきも少なくタイトな印象だ。ボーカルのフォーカスもあっており、低めの声よりやや高めの声のほうが抜け良く聴こえている気がする。

また、ヘッドホンと接続した場合、ボリュームをかなり上げても、音がひずむことがなく聴けたのは好印象。試しにAKGの「Q701」でも聴いてみたが、適切なボリュームで鳴らせていた。コンパクトながら駆動力はなかなかなものがある。

ただ、気になるのは残留ノイズ。感度の高いイヤホンで聴くと無音時にうっすらとノイズ(サー音)があることがわかる。気になるレベルではないものの残念に思えた。とはいえ、それは高価格帯のDAPに比べての話しで、スマートフォン以上の音質を実現しているのは確かだ。

まとめ 携帯性だけでない拡張性の高さも注目できるコスパ抜群のDAP

「M1」は、音質に関してはずば抜けて高いところはないものの、低価格帯ながらクセがない自然な感じの音が印象的だ。スマートフォンと比べても音質は十分高く、音楽は専用プレーヤーで楽しみたいという用途にも十分応えられる。また、携帯性にすぐれるだけでなく、ワイヤレスでの高音質な再生に加えて、USBトランスポートやUSB DACモードを備えるなど拡張性もあり、使い込んでいける要素も見逃せない。ハイレゾ対応のDAPを初めて購入する方だけでなく、USBトランスポートとして自分の好みのDACと組み合わせて使うようなパワーユーザーでも遊べるモデルとなっている。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
レビュー最新記事
レビュー記事一覧
2017.6.26 更新
ページトップへ戻る