自動車ライターのマリオ高野です。
いよいよ「けん引ロープが大活躍!」の季節の到来ですね!
スバル・インプレッサという雪道に強い常時全輪駆動車に乗るワタシにとって、冬は「プチけん引の季節」なのです!
愛車の全輪駆動車が本領を発揮する季節の到来にドヤ顔となる筆者
雪の積もった山間部でスタック(雪やぬかるみにタイヤをとられて動けなくなった状態)により身動きできなくなった二輪駆動車をけん引ロープで引っ張り、スタック状態から救出することが楽しくてしょーがない季節なんですよ!(笑)
けん引するといっても、せいぜい数メートルから十数メートル程度の緊急処置的なけん引のこと。クルマが故障した場合などに例外的に許される、けん引免許が不要な範囲に収まるけん引行為のことです。
原則として、けん引装置のない普通のクルマ(およびけん引免許のないドライバー)はほかのクルマをけん引して運転することは禁止されているので、その点は誤解されないようご注意ください。
最近のスタッドレスタイヤは性能がいいので、雪が降っても都市部なら二輪駆動車で十分普通に走れますが、山間部の豪雪地域や、急勾配での登り坂などではスタッドレスタイヤが必要不可欠。スタッドレスタイヤを履いていても走行不能に陥る、または走行安定性が著しく悪化することも多々あります。
雪道に強い常時全輪駆動車に乗っていると、二輪駆動車をけん引してスタック状態から救出してあげることができるので、山中で動けなくなっている二輪駆動車を見つけると助けたくてたまらないという衝動にかられるのです!
二輪駆動車でも経験豊富なドライバーならめったにスタックしませんが、それでもパワーのあるFR車は比較的雪道に弱いので、スタックするリスクが高くなります
おせっかいながら、これも常時全輪駆動車に乗る醍醐味(だいごみ)のひとつなんですよね〜(笑)
積雪地域でも、大きなスキー場や温泉宿の周辺はしっかり除雪されるものですが、ちょっと奥地にあるマニアックな温泉宿などの場合は、急勾配の細い道からアクセスしなければならないこともあり、そんな場所では二輪駆動車ではスタックするリスクが高まります。
よほどひどくないかぎり、自分の愛車(全輪駆動車)とけん引ロープさえあればスタック状態から簡単に救出できるので、全輪駆動車にお乗りの皆さんはけん引ロープを常備することをおすすめします!
ロードサービス網が充実した昨今、余計なお世話かと思うこともありますが、経験上、スタック状態から助けてあげると100%感謝されますし、自分の愛車の駆動性能に酔いしれるヨロコビも得られますので!
スタックして途方に暮れる妙齢女子ドライバーを難なく救いだし、それがきっかけでロマンスが始まるかも…などと毎年期待しながらスタックしているクルマを探して走っております(笑)
スバル・レガシィB4(常時全輪駆動車)が、急勾配の登り坂を登れなくなったトヨタ・レジアス(FR車)を救出
けん引されるクルマのほうが大きくて重い場合でも、ほとんどの場合難なく救出可能です
そこで今回ご紹介したいのが、大橋産業の「No.1623 けん引伸縮ベルト 3トン」です。
普通の路面で事故や故障などで動けなくなったクルマのけん引にも使えますが、今回おすすめするお話は「雪上スタック車の救出」での使用を想定したもの。3トンまで対応するので、ほとんどの乗用車をけん引可能です。また、二輪駆動車ユーザーであっても、これがあれば有事の際に“引っ張ってもらえる”可能性が高まると思います。
ウインタードライブをアクティブに楽しむ人にはゼヒ搭載してほしいアイテム。浜辺など砂地でのスタック車や脱輪車の救出にも役立ちます
ワイヤータイプよりも値段は張りますが、このように伸縮性のあるタイプのほうが圧倒的にけん引しやすくて扱いやすいです
廉価なワイヤータイプでもけん引は可能ですが、最初から突っ張った状態なので技術的なコツがいりますし、車体への負担が大きくなるという難点があります
まずは、けん引ロープを引っ掛けるけん引フックを車体に付けます。前後バンパーに四角いフタ状のけん引フック挿し込み口を開けてフックをねじ込みます。
古いタイプのクルマでは、前後バンパーの下あたりにリング状のフックが最初から付いています。
車載のけん引フックを取り付けた状態。四角いフタ状の口は指だけで開く場合もありますが、指で開かない場合はマイナスドライバーがあれば便利です。バンパーを傷つけないよう、マイナスドライバーを布で包んだりしながらやさしく開けましょう
車載のけん引フックは、トランクの底などにあります。モータースポーツ用のカッコいいデザインの社外品にするのもオシャレですね
けん引フックにけん引ロープを引っ掛けて装着した状態です。装着の仕方を間違うと非常に危険なので、製品パッケージに記載されている注意事項をよく読みましょう
旧タイプのクルマでは、このようなリング状のフックが最初から付いています。カギ型のフックでも使えますが、古めのクルマはサビてもろくなっている場合もあるのでご注意ください
旧タイプのフックに取り付けた状態です。もし、引っ張ったときにロープがバンパーに干渉するようなら、ロープにタオルを巻くなど、バンパーが傷つかないように対処しましょう。このクルマは25年落ちでやや古く、フックに多少サビが出ていますが、この程度なら緊急的なけん引には十分耐えられます
救出される側のクルマにも必ずドライバーが乗り、ハンドルやブレーキ、アクセル操作を行う必要があります。けん引したまま公道を数キロ以上走る場合は、ロープに30センチ四方の白い布を付ける必要があります。念のため、けん引ロープと一緒に白い布も携行しましょう
このような状態から、前のクルマ(引っ張る側のクルマ)はゆっくりと発進。もちろん急発進は禁物です。うしろのクルマは、前のクルマの動き出しと同調するようにアクセル操作をして脱出を試みます
ロープが限界まで伸びてもなお、前のクルマはアクセルを踏み続けて引っ張る力を与え続けます。多くの場合、スタックしたクルマは数メートルも動かせば駆動力を回復します
製品のパッケージ裏には、さまざまな注意事項がわかりやすく書かれているので、必ずご一読ください
雪上スタック車救出の際には、以下のポイントをご注意ください。
・どちらのクルマも、トラクションコントロール(TCR)や横滑り防止装置(VDC、ESPなど)はOFFにしましょう。
・引っ張ってもすぐに救出できない場合は、早々に諦めてJAFなどプロの救援を待つようにしてください。決して無理をしない、が鉄則です。
・登り坂の途中でスタックしたクルマを助ける場合は、できるだけ平たんな場所に移動してからロープを取り付けて引っ張るようにしてください。移動できない場合は、ロープ取り付けの作業時などに引っ張る側のクルマが滑って坂を下り落ちたりしないようご注意ください。
凍結路では、停車中のクルマが滑り落ちることもありえます。
このけん引ロープは、砂地でのスタック車の救出や、脱輪からの救出などでも応用できます。雪が積もると、側溝が見えなくなって全輪駆動車でも脱輪するリスクも高まるので、トランクに常備しておくと、そういう有事の際に役立ちます。