自動車ライターのマリオ高野です。
夏の長距離ドライブは、とにかくクルマが汚れやすいもの。特に夜の高速道路では、クルマのライトめがけて大量の虫が突撃してくるので、フロントまわりは虫の死骸でベットリと汚れます。拭き取り掃除用のケミカルなどでは対処できず、きれいにするには水洗いするしかありません。
クルマのフロント部分にこびりついた虫の死骸たち。初期段階なら洗剤を使わない水洗いで十分洗い流せます
虫の死骸や鳥のフンなど、動物性の汚れは放置するとクルマの塗装面に侵食してシミや傷の元になりますし、フロントガラスに大量の虫の死骸がつくと視界が遮られて安全面に支障をきたすので、なるべく早い段階で洗い流す必要があります。ただし、ボディの場合はそのまま拭き取ったりすると塗装面を傷つける可能性が高くなりますし、ガラス面の虫の汚れも拭くだけでは落ちないので、どうしても一定の量の水が必要となります。
長年にわたりその対処法に悩み続けてきましたが、「出先で水洗いが可能」な ポータブル式のシャワーを使うという、有効的な解決策が見つかりました。
個人的にオススメしたいのが、コチラの「マルハチ産業・畜圧式ポータブルシャワー」です。手動で簡単に加圧できるので、電源や電池は不要。7リットルという水量は、本格的な洗車には物足りないものの、どうしても気になる部分の汚れをサッと流すには十分だと判断して選びました。
マリンスポーツや釣り、アウトドアレジャー、園芸など、多くの場面で活躍するとうたう商品です
使い方は、本当に超簡単。容器に水を入れ、ハンドルを上下させて加圧するだけ。水圧はマックスでも小さなジョウロ程度ながら、軽めの洗車には十分だと感じました。洗車の基本として、なるべく塗装面を守りながら洗車をするには、水をかけながら洗うのが理想なので、たとえ水圧が弱くても、水をかけながら洗えるというのは純粋に気持ちがいいものです。バケツに汲んだ水で洗うより効果的でしょう。
満水状態ではタンク内の空気の量が少ないので、連続して水が出せるのは30秒ほどになりますが、タンク内の水の量が半分ほどになると空気の量が増えるせいか、連続して3分ほど使えるようになります。水が弱くなったらハンドルを数回上下して加圧をしますが、加圧する作業をわずらわしいと感じるほどではありません。
シャワーはプラスチッキーで華奢な作りですが、特に問題はありません
使用後は、減圧キャップ(シャワー用ホースの反対側にあるノズル)で内部の圧を抜いておきましょう
7リットルという水量も悪くありません。乗用車1台をしっかり洗うには物足りませんが、「虫の死骸だらけになったフロント部分をきれいにする」などといった局部的な洗車には十分。軽自動車ならなんとか1台丸洗いできるでしょう。持ち運びにも難儀しない量ですし、満水状態でクルマのトランクに積んでおいても、あまり気にならない重さです。
また、アウトドア現場での簡易シャワーとして使った場合、やはり水圧の弱さが物足りないながらも、真夏の大汗や、海水などによるベトつきを洗い流すには十分。大人2人と子供1人程度なら簡易シャワーとしても有効です。水を別途タンクなどで用意しておけば、海辺や山奥のキャンプ地などでのシャワーとして十分使えるでしょう。
シャワーは手動による断続、固定による連続の2段階で使えます。タンク内の圧が高まると、シャワー部分から多少の水漏れが見られますが、屋外で使う分には問題ないでしょう。ただし、シャワー部分の耐久性は気になります
スチーム洗車機のように「水圧で汚れを飛ばす」ようなことはできませんが、ボディを常にぬらしながら洗うと、シャンプーなしでもそこそこきれいに洗えます
水圧はマックスでこんな感じ。真上に向けて40cmほどの噴水になる程度ですが、簡易的な洗車やシャワーには悪くないと感じました
愛車も人間も、ベトベトに汚れたまま遊んだり休んだりするより、たとえ勢いは弱めでもシャワーを浴びれば快適度が圧倒的に増すので、ロングドライブやアウトドアを楽しむ際には、携帯しておいて損はありません。出先でちょっとしたシャワーが使えるというのは、大変心強いです。
洗車の場合、どこで行うかモラルが問われるところですが、広い駐車場などで、排水口が近くにあるような場所で短時間にサッと行う程度なら、怪訝(けげん)な目で見られることもないでしょう。夏なら流した水もすぐ乾きますし。混雑時や狭い駐車場では避ける、現場の管理人さんなどにひと声かけて行う、などの配慮はすべきかと思いますが。
製品の取り扱い説明についてはWebサイトに上がっているので、コチラもご参照ください。
1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。3台の愛車はいずれもスバルのMT車。