レビュー

まるでグランピングのような快適さ! 日産「キャラバン MYROOM」で車中泊してみた

日産が提案する新しいくつろぎの空間として登場した特装車「キャラバン MYROOM」。どのような車中泊が体験できるのか試してみた。
※2024年10月に車中泊しています

メーカーが手掛ける車中泊モデルだからこその魅力

「キャラバン」はキャンピングカーや車中泊カーのベースモデルとして長年使われている車種なので、車中泊仕様であることは珍しくないが、車両メーカーが手掛けているのがポイント。キャンピングカーを購入するには架装メーカーに発注し、製造を待つ必要があり、購入できる販売店も限られている。いっぽう、「キャラバンMYROOM」は全国の日産ディーラーで購入可能。旅行先で車体にトラブルが起きたようなときに、ディーラー店舗に持ち込めるのも車両メーカー製だからこそだ。

グレードは「GRAND プレミアムGX」と「プレミアムGX」が用意されており、どちらも2.0Lのガソリンエンジンと2.4Lのディーゼルエンジンを選択可能。元は商用車だが、「MYROOM」シリーズはフロントにブラックグリルを採用するなど、商用車っぽいイメージをうまく排除している。

今回試乗したのは、2.4Lディーゼルエンジンを搭載した「GRAND プレミアムGX」ベースのモデル。車両本体価格は6,552,700円(税込)。試乗車は2トーンカラーなどのメーカー・ディーラーオプションを多数装備している

今回試乗したのは、2.4Lディーゼルエンジンを搭載した「GRAND プレミアムGX」ベースのモデル。車両本体価格は6,552,700円(税込)。試乗車は2トーンカラーなどのメーカー・ディーラーオプションを多数装備している

フロントグリルのほか、ドアハンドルもブラックとし、全体の雰囲気を高める

フロントグリルのほか、ドアハンドルもブラックとし、全体の雰囲気を高める

ホイールはスチールタイプのブラックカラーを採用。古くは「鉄チン」と呼ばれたクラシックなイメージのデザインだ

ホイールはスチールタイプのブラックカラーを採用。古くは「鉄チン」と呼ばれたクラシックなイメージのデザインだ

ディーラーオプションの「MYROOM」ステッカーも貼られている

ディーラーオプションの「MYROOM」ステッカーも貼られている

細かい部分にまで配慮した高品位な内装

最大の注目ポイントは、やはり内装。運転席は通常のバージョンと変わらないものの、セカンドシートと荷室スペースには木目をふんだんに使い、デザイナーズホテルのような雰囲気に仕上げている。装備されているインテリアも高品質な家具のよう。なお、車内カーテンやウッドブラインド、後部のロールスクリーンはセットで用意されているオプションだ(価格は269,500円/税込)。

セカンドシートを走行中に使用する場合は、荷室との間にバーを装着することが法規で定められている

セカンドシートを走行中に使用する場合は、荷室との間にバーを装着することが法規で定められている

停車中にくつろぐ際には、そのバーを取り外して快適なスペースを確保するが、バーを取り外したときに接続部を木目の板で隠せるようになっている

停車中にくつろぐ際には、そのバーを取り外して快適なスペースを確保するが、バーを取り外したときに接続部を木目の板で隠せるようになっている

しかも、バーの接続部を隠す用の板はしっかり固定できるようにマグネットを装備。車両メーカーが手掛けているだけあり、細かい点にも配慮が感じられる

しかも、バーの接続部を隠す用の板はしっかり固定できるようにマグネットを装備。車両メーカーが手掛けているだけあり、細かい点にも配慮が感じられる

荷室には作り付け家具のような収納スペースを配置。ここに座ることもできる

荷室には作り付け家具のような収納スペースを配置。ここに座ることもできる

収納スペースはそれほど広くはないが、小物をまとめておけるのはありがたい。ドア付きなので、走行中に転がり出す心配もない

収納スペースはそれほど広くはないが、小物をまとめておけるのはありがたい。ドア付きなので、走行中に転がり出す心配もない

床面も木目できれいなため、土足で入るのは気が引ける……と思っていたら、ステップ部分にちょうど靴を置いておけるスペースを発見

床面も木目できれいなため、土足で入るのは気が引ける……と思っていたら、ステップ部分にちょうど靴を置いておけるスペースを発見

車中泊仕様なのでドライブモード、リビングルームモード、ベッドルームモードと用途に合わせてアレンジできる。展開する細部にまでこだわり、ていねいに作られているのも高く評価されるところだ。

ヘッドレストを取り外し、ドライブモード時には背もたれだった面が座る面になるように展開するとリビングルームモードになる

ヘッドレストを取り外し、ドライブモード時には背もたれだった面が座る面になるように展開するとリビングルームモードになる

ドライブモードとリビングルームモードでは座る面の硬さが異なる。リビングルームモードのほうがやわらかく、ソファーに近い印象。なお、ベッドルームモードではリビングモードで座る面に寝る状態となる

ドライブモードとリビングルームモードでは座る面の硬さが異なる。リビングルームモードのほうがやわらかく、ソファーに近い印象。なお、ベッドルームモードではリビングモードで座る面に寝る状態となる

テーブルが標準装備されており、リビングルームモードにしたシートで使いやすい位置にセットできる

テーブルが標準装備されており、リビングルームモードにしたシートで使いやすい位置にセットできる

テーブルを載せるところにはレールがあり、レール上を前後にスライド可能。使用したい位置にあわせて動かせる。また、数か所に固定できるポイント(白い○印の部分)を用意。固定できるポイントにセットした後、テーブル下にある金具を留めれば、がっちり固定されるのでテーブルを横断させた状態で走行できる

テーブルを載せるところにはレールがあり、レール上を前後にスライド可能。使用したい位置にあわせて動かせる。また、数か所に固定できるポイント(白い○印の部分)を用意。固定できるポイントにセットした後、テーブル下にある金具を留めれば、がっちり固定されるのでテーブルを横断させた状態で走行できる

車中泊用のベッドは、複数枚のボードを並べてベッドに展開する「折りたたみ式」と、車体壁面に装備された1枚のボードを展開するだけで完成する「跳ね上げ式」を選択できる。

試乗車に装着されていたのは跳ね上げ式。ベッドのシート部になるボードが、側面に沿うようにたたんで収納さている

試乗車に装着されていたのは跳ね上げ式。ベッドのシート部になるボードが、側面に沿うようにたたんで収納さている

壁面に固定しているベルトを外すだけでベッドが展開できる。折りたたみ式より、短時間で準備や撤収が可能。使わないときに場所を取らないのもメリットだ

壁面に固定しているベルトを外すだけでベッドが展開できる。折りたたみ式より、短時間で準備や撤収が可能。使わないときに場所を取らないのもメリットだ

セカンドシートを展開すると、ベッドスペースが完成。ベッド面の広さは1,204(幅)×2,192(長さ)mmもある

セカンドシートを展開すると、ベッドスペースが完成。ベッド面の広さは1,204(幅)×2,192(長さ)mmもある

身長175cmの筆者が横になった様子。長さが2mm以上あるので余裕がある。ベッド面から天井までのスペースも970mmあるので、きゅうくつさは感じない

身長175cmの筆者が横になった様子。長さが2mm以上あるので余裕がある。ベッド面から天井までのスペースも970mmあるので、きゅうくつさは感じない

ちなみに、ベッドを展開した状態でもサイドシートを起こしてソファーのように使える。ベッド下の高さは258mmあるので、就寝時にじゃまになる荷物はこのスペースに置いておけばいい

ちなみに、ベッドを展開した状態でもサイドシートを起こしてソファーのように使える。ベッド下の高さは258mmあるので、就寝時にじゃまになる荷物はこのスペースに置いておけばいい

車中泊してみよう!

ほかにも気配りを感じるこだわりポイントがあるが、それは、実際に車中泊する様子のなかで紹介していこう。

今回、車中泊をするにあたり、ポータブル電源も用意した。なお、天井のライトや間接照明などは車体のバッテリーから給電されるため、ポータブル電源がなくても大丈夫だが、ポータブル電源を接続しておけば車内の照明への給電もポータブル電源でまかなえるため、車体のバッテリー上がりを心配せずに済む。また、車内にあるAC100Vコンセントはポータブル電源や外部電源から給電しないと使えない。

オプションの「ポータブルバッテリー from LEAF」(価格は170,500円/税込)を使用。車体に接続するだけで給電できる。容量は633Wh(42.2Ah/15.0V)で、AC出力は2つ用意されており、1口600Wまで使用可能。サイズは370(幅)×282(奥行)×205(高さ)mmと比較的コンパクトなので、ベッド下に収納できる

オプションの「ポータブルバッテリー from LEAF」(価格は170,500円/税込)を使用。車体に接続するだけで給電できる。容量は633Wh(42.2Ah/15.0V)で、AC出力は2つ用意されており、1口600Wまで使用可能。サイズは370(幅)×282(奥行)×205(高さ)mmと比較的コンパクトなので、ベッド下に収納できる

いよいよ車中泊スタート。快適に寝るためには遮光は重要だ。試乗車にはオプションのカーテンやブラインドが装備されていたのでシェードを準備する必要はなかった。

左右のカーテンを中央で留めるスナップのほか、車体側にもスナップがあり、端を固定できる。細かい部分だが、結構ありがたい

左右のカーテンを中央で留めるスナップのほか、車体側にもスナップがあり、端を固定できる。細かい部分だが、結構ありがたい

かなり使い勝手がよかったのが、サイドウインドウに装備されていた「ウッドブラインド」

かなり使い勝手がよかったのが、サイドウインドウに装備されていた「ウッドブラインド」

レバーを回すだけで開閉できる。シェードを取り付けると、これほど簡単には外を確認できない

レバーを回すだけで開閉できる。シェードを取り付けると、これほど簡単には外を確認できない

リアウインドウには「ロールスクリーン」を使用

リアウインドウには「ロールスクリーン」を使用

「ロールスクリーン」は遮光に役立つだけでなく、プロジェクターを映すスクリーンにもなる

「ロールスクリーン」は遮光に役立つだけでなく、プロジェクターを映すスクリーンにもなる

夜間に外から見た様子。車内のライトは点いているが、明かりはほとんど外にもれていない。これなら迷惑にはならないだろう

夜間に外から見た様子。車内のライトは点いているが、明かりはほとんど外にもれていない。これなら迷惑にはならないだろう

次は、寝床の準備。いつもは寝袋を使っているが、今回は布団で寝たい気分だ。「キャラバンMYROOM」は布団を持ち込んで泊まれるので、そうしよう。

遮光対策をし、ベッドルームモードにした状態。ホテルの一室を思わせる雰囲気だ

遮光対策をし、ベッドルームモードにした状態。ホテルの一室を思わせる雰囲気だ

家で使っている布団を敷いてみた。これは、まさに部屋。クルマの中とは思えない!

家で使っている布団を敷いてみた。これは、まさに部屋。クルマの中とは思えない!

寝ようと思ったが、まだ時間が早いので少しだけ仕事をしよう。セカンドシートが2つに分かれているので、1つだけ起こしてソファーのように腰掛けられる。テーブルを手前に持ってきたら、仕事スペースが完成だ。

サイドシートの片方を座れる状態にしたままにしておき、その片側のベッド展開しているほうで寝てもOK。シングルサイズくらいの広さで寝ることになるが、それでもきゅうくつさは感じない

サイドシートの片方を座れる状態にしたままにしておき、その片側のベッド展開しているほうで寝てもOK。シングルサイズくらいの広さで寝ることになるが、それでもきゅうくつさは感じない

ポータブル電源を用意したおかげで、車内のAC100Vコンセントにパソコンを接続し、給電しながら使えたのもよかった

ポータブル電源を用意したおかげで、車内のAC100Vコンセントにパソコンを接続し、給電しながら使えたのもよかった

仕事を済ませた後、就寝。今回はサイドシートを完全に展開し、広々したスペースで寝ることにした。

寝袋とは違い、体が自由に動かせるので快適。家で使っている布団ということもあり、部屋で寝る感覚に近い

寝袋とは違い、体が自由に動かせるので快適。家で使っている布団ということもあり、部屋で寝る感覚に近い

夜中にトイレに行ったとき、装着されているカーテンのよさを実感。ドアを開けても車内が見えず、全開しなくても出入りしやすいなど、使い勝手が非常にいい長さだ

夜中にトイレに行ったとき、装着されているカーテンのよさを実感。ドアを開けても車内が見えず、全開しなくても出入りしやすいなど、使い勝手が非常にいい長さだ

筆者はこれまでいろいろなクルマで車中泊しているが、そのなかでも「キャラバンMYROOM」の寝心地のよさは圧倒的。敷布団は使わなかったが、クッションの硬さがちょうどよく、変な隙間もできないのでとても寝やすく、6時間くらい寝てしまった。

外が明るくなるとブラインドの隙間から太陽の光がほんのり射し込む。強い光ではないので睡眠をじゃますることはない。むしろ、明るさで自然と目が覚められるので気分がいい

外が明るくなるとブラインドの隙間から太陽の光がほんのり射し込む。強い光ではないので睡眠をじゃますることはない。むしろ、明るさで自然と目が覚められるので気分がいい

外の天気が気になったので、ブラインドを開けてみる。雨予報だったが、降ってないようだ

外の天気が気になったので、ブラインドを開けてみる。雨予報だったが、降ってないようだ

車中泊した場所は、山中湖湖畔。この日は残念ながら富士山は拝めなかったが、眺めのいいところで泊まれるのも車中泊の魅力だ

車中泊した場所は、山中湖湖畔。この日は残念ながら富士山は拝めなかったが、眺めのいいところで泊まれるのも車中泊の魅力だ

せっかくなので、テールゲートを開けて朝食をとる。この位置までテーブルが動かせるので、テーブルの準備に手間取ることはない。テラスで食事をしている感じで、気持ちいい

せっかくなので、テールゲートを開けて朝食をとる。この位置までテーブルが動かせるので、テーブルの準備に手間取ることはない。テラスで食事をしている感じで、気持ちいい

この後、雨が降ってきたのでテールゲートを閉めたが、開放感がある。この状態で過ごすのも快適だ

この後、雨が降ってきたのでテールゲートを閉めたが、開放感がある。この状態で過ごすのも快適だ

【まとめ】

内装に使用されている素材が上質で、設計もよく、車内での過ごしやすさが段違いにいい。カーテンなどを閉めると車内にいるとは思えないほどだった。実は、今回車中泊したポイントは、以前、ホンダ「フリード+」で泊まったところ。「フリード+」での車中泊も快適だったが、「キャラバンMYROOM」は内装の雰囲気も相まって、気分が違ってくる。普通のクルマでの車中泊がキャンプ、「キャラバンMYROOM」で泊まるのはグランピングやホテル泊といった印象だ。

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2020/01/24 07:00

ベッドに展開した際の隙間や凹凸の少なさ、クッション性、リビングのように過ごす際のテーブルの展開やソファーの座り心地、展開・撤収の容易さも重要だが、実際に使っているときに感じる細かい部分が結構快適さを左右する。「キャラバンMYROOM」はそうしたところまでしっかり配慮されているので、ちょっとしたことで起こるストレスがほぼない感じだ。

また、車両メーカーが手掛けているので、出かけた先にもディーラーが多くある安心感も魅力。車中泊カーを検討するなら、「キャラバンMYROOM」は加えておいて間違いない。同コンセプトの「NV200バネット」をベース車とした「NV200バネット MYROOM」もリリースされている。「キャラバンMYROOM」より狭くなるが、日常でも使いやすいサイズがいいなら「NV200バネット MYROOM」をチェックしてみてほしい。

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2024/10/01 14:00
増谷茂樹
Writer
増谷茂樹
カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。
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中村真由美(編集部)
Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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