車のフロントガラスは、走行中の飛び石で小さなキズやヒビが入ってしまうことがまれにあります。私も数年前に一度経験し、業者に修理してもらったのですが、2万円以上かかった記憶があります。その修理費が惜しいからといってキズを放置すると、走行中の風圧などでどんどん広がってしまうそう。そうなると、ガラス自体を交換することになってもっとお金がかかります。とはいえ今はお金がないしどうしよう…という方にうってつけな、小さなキズやヒビなら自分で応急処置できる商品があることを知ったので、ご紹介します。
車のフロントガラス専用のキズ・ヒビ補修キットです。商品が届いてからわかったことですが、2個以上のキズがつながってできたキズや、直径8mm以上のキズ、打撲のようなキズなどには使用できないと書かれていました。見極めが難しい場合は業者に頼りましょう。
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箱の中には見慣れないものが並んでいました |
ちょうど、知り合いのハイヤー会社が所有する車に飛び石でのキズがあるということで、その車で試してみようと思います。
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今回修復を試みるキズです |
よく見ると非常に複雑なキズです。2個の飛び石キズがつながってできているような感じです。しかも、下のキズは直径1cm以上。上のキズは少し打撲キズっぽい感じにも見受けられます。この商品を使用できない例に当てはまるところが多いのですが…上の小さいほうのキズなら修復できるかもしれないと思い、挑戦してみました。
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上のこのキズを修復したいと思います |
さっそくチャレンジします。キズやヒビが目立たないよう、またこれ以上広がらないように、透明な樹脂を流し込んで固めるという仕組み。作業内容自体は、業者も同じことをやっているようです。
まずはキズ部分を十分に掃除した後、UVレジン液(樹脂)を染み込みやすくするために付属のピンで穴の中心を少し広げます。差し込みすぎると、合わせガラスの間にあるフィルムが傷ついてしまうのでご注意を。
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UVレジン液を染み込みやすくするため、付属のピンで穴の中心を少し広げます |
次に、クリア板を吸盤で取り付けます。クリア板の中央にある穴に、キズの中心が重なるように慎重に取り付けます。取り付けられたら、UVレジン液を流し込むためのインジェクターを差し込み、キズ部分に触れるよう半回転ほどねじ込みます。
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付属の吸盤板をガラスに取り付けます |
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車内から見た写真です |
穴が本当にキズの中心にあるかどうか、車内からも確認するといいと思います。ではいよいよUVレジン液を注入していきます。その名のとおり、紫外線を浴びることで固まる液なので、必ず日陰で作業してください。
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UVレジン液を半分ほど入れ、ピストンをゆっくりと締め込みます |
ピストンを締め込み、抵抗を感じたら1〜2分待ち、その後ピストンを緩めてまた1〜2分待ちます。この作業を繰り返し、締めても緩めてもキズやヒビが見えなくなればUVレジン液が浸透した合図です。液を入れすぎると外に液が漏れてしまいますので、入れ過ぎないように調整が必要です。
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注入作業が完了したら、先程のセットをすべて外します |
いよいよ乾かす作業に入ります。UVレジン液は紫外線を当てることで硬化するため、日が直接当たる場所に移動してください。キズの上にUVレジン液を1滴垂らし、その部分を覆うようにクリアフィルムを貼ります。2〜3分後、フィルムをはがしてもう一度レジン液を垂らし、再びフィルムを貼ります。この状態で夏場なら15分程度、冬場なら30分以上放置して乾くまで待ちます。今回1滴の量が多かったせいか、乾くまでに1時間以上かかりました。
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フィルムを剥がしましたが、ぱっと見た感じ微妙です |
付属のカミソリを使い、固まった余分なUVレジン液をキレイに剥がします。以上で全工程完了です!
結果は…。
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写真がわかりにくく、申し訳ございません |
予想以上にキズが目立たなくなりました。つながっていたキズの間が塞がり、亀裂が少なくなりました。下の大きなキズのほうもUVレジン液が染み込んだ影響で少し修復できたようです。立ち会ってくれたハイヤー会社の皆さんも「キズの種類によってはまったく目立たなくすることができそうだね〜」と好感触でした。ただ、今回のキズは2つつながっていたため、素人の作業では完全にきれいにはなりませんでしたし、あくまで応急処置として使うのがいいかもしれませんね。自分では上手にできそうにない場合やキズが大きい場合は、プロの手を借りるのが一番だと思います。