防災意識の高まりから、自宅に防災グッズや非常食を常備している家も増えているんじゃないでしょうか。
非常食にとって一番重要なのは保存できる期間。味は重視されていないケースが多いかと思いますが、非常時であっても、どうせならおいしいものを食べたい!
……ということで見つけたのがこちら!
吉野家の「缶飯」シリーズ
牛丼でおなじみの吉野家が作った缶詰! 非常時に、お店のあの味が楽しめたらメチャクチャうれしいですけど……。
ちなみにこちら、丼の“具”が入っているのではなく、“牛丼そのもの”が缶詰になっています。つまりごはん入り。ごはんって缶詰で保存できるの? 常温で食べてもおいしいの? そして味の再現度は?
いろいろと気になるところです。
では、「缶飯」全6種類を実食してみましょう。
まずはスタンダードな「牛丼」から!
フタを開けると……確かに牛丼が詰め込まれています
ただ、常温なので脂が固まっちゃってるんですよね。この状態だとお世辞にもおいしそうには見えません
ただ、見た目はともかく香りはかなり近いですね。吉野家のあのニオイです!
ほぐしたら、もうちょっと牛丼っぽいビジュアルになるかな!?と思ったのですが……まあ缶詰っぽさが強いですね
それでは肝心の味は?
あ、意外とイケる!
口に入れると、吉野家牛丼の「つゆ」の味がフワッと広がり……。味自体はだいぶ吉野家!
ただ、食感がボソボソしていて、お店の牛丼を再現しているかと問われれば「別物」でしょう。とはいえ、非常時にこのレベルの味が食べられたらうれしい!
固まった脂も口の中ですぐに溶けるため、ほとんど気になりませんでした。
中身をお皿に出してみるとこんな感じ
「ごはんを缶詰で長期保存したら原型をとどめないくらいグチャグチャになってしまうのでは……!?」と思っていましたが、それなりに「ごはん感」も残っているようです。
その秘密がコレ!
普通の白米ではなく、玄米を使っているんですよね。そういえば、ごはんを噛むとプチプチ感がありました。
玄米を使うことによって「ごはん感」を残しつつも、缶詰の中でガッツリ「つゆ」につけ込まれているため、玄米特有の硬さやクセの強さは薄まっています。
玄米は栄養価も高いため、栄養不足になりがちな非常時の食料としても重宝しそうですね。
「缶飯」をお店の牛丼と比べると明らかに小さいです
量は、お店の牛丼並盛りが約340gのところ、「飯缶」の中身は160gということで、明らかに少ない。これじゃ物足りないのでは……と思いますが、玄米のおかげで意外と腹持ちはよさそうでした。
まずは常温で食べてみましたが、コレを温めてみたらどうなるんでしょうか?
中身をレンジで温めてみると……トロットロになった!
常温で食べてもそこそこイケましたが、温めたものと比べちゃうと……。やっぱり温かいほうが圧倒的においしいですね。
非常時にぜいたくは言ってられませんが、可能ならば温めることをおすすめします!
ただ、温めたところで「お店の牛丼っぽくなった」わけではなく、“超つゆだくな牛丼味リゾット”といった感じに。
牛丼とは別物ではありますが、プチプチした玄米の不思議食感もあいまって、コレはコレでかなりアリです!
今回は缶を開けてから温めたので電子レンジを使いましたが、開ける前なら湯煎でオッケー!
さて、この「缶飯」シリーズ、スタンダードな「牛丼」意外にもいろいろあるんですよね。
吉野家店頭では見たことないものも……
どんどん食べていきましょう!
「牛焼肉丼」
「牛焼肉」とはいうものの、おそらく「牛丼」の味付けを変えたバージョン。肉を焼いてはいないと思われます。
甘辛い焼肉のたれがごはんにまでガッツリ染みこんでいて、「牛丼」以上に濃厚な味わいで食が進む!
これも、温めると明らかに数段階おいしさがアップします。
「豚丼」
こちらはお店でもスタンダード。「牛丼」よりもあっさり味でさっぱりと食べられます。
ただ、常温だと豚肉の脂が少々気になって……。温めて食べることをおすすめします!
「豚生姜焼丼」
こちらも「焼き」とはいうものの焼いた感はない、「豚丼」の生姜味ですね。
かなりしっかりと生姜の味が効いていて食欲をそそります。ただ、やはり豚肉は温めて食べたほうが……という感じです。
「焼鶏丼」
この辺から、吉野家では見かけないタイプの丼になってきます。
とはいえ焼き鳥は缶詰の定番。ごはんと一緒に缶詰にしてもおいしい! 焼き鳥の「たれ」が玄米ごはんに染みこんで、炊き込みごはん風になっています。
ゴロッと大きめな鶏肉が入っているため、実はコレが一番肉感が強いんですよね。脂少なめなので、常温でもそこそこおいしく食べられます。
「焼塩さば丼」
名前だけ聞くとなんじゃこりゃ感の強い「焼塩さば丼」。食べてみるとコレが意外とおいしい!
炊き込みごはん+焼塩さばの定食といった感じ。ザ・和風のあっさり味なので、胃腸が弱っているときにもいけそうです。
そしてこちらも、常温でもそれなりにおいしさをキープしています。
というわけで6種類の「缶飯」を全部食べてきました。
常温時には若干、肉の脂や玄米のボソボソ感が気になりますが、それでも非常時に食べると考えれば、だいぶおいしい部類。
そして湯煎などで温めることができれば、かなり満足できるレベルの味になります!
すべて、温めたほうが明らかにおいしくなりますが、鶏肉、魚は常温でもそこそこおいしく、牛肉、豚肉はできれば温めたほうがベター……という感じですね。
ちなみに「缶飯」シリーズの賞味期限は約3年間
非常食は、実際に非常時に食べることよりも、賞味期限切れ前に新しいものと入れ替えて食べる……というケースのほうが多いかと思います。
おいしくない非常食を非常時でもないのに食べるのは苦痛ですが、温めた「缶飯」なら、普段の食事として食べても楽しめますよ! ローリングストックとして、アリだと思います。
藤子・F・不二雄先生に憧れすぎているライター&イラストレーター。「デイリーポータルZ」「サイゾー」「エキサイトレビュー」他で連載中。