餃子を焼いたらフライパンに張り付いてしまった……そんな経験はありませんか?
この失敗談は、冷凍餃子売り上げ日本一と言われる、味の素冷凍食品の「ギョーザ」でもしかり。そんななか、同社が「冷凍餃子フライパンチャレンジ」なるプロジェクトをとおして、張り付きを改善したリニューアル品を2024年2月に発売しました。
味の素冷凍食品の「ギョーザ」(上がリニューアル版で下が旧商品)。“ギョーザ売り上げ日本一!”のキャッチも印象的
ただ、進化したとはいえ、その旨が商品パッケージに記載されているわけではなく、多くの消費者は気付かないかもしれません。打ち出さないとは何ともったいない! とも思うのですが、実際どれぐらい張り付かなくなったのかも気になるところ。
そこで、リニューアルの新旧商品を焼き、餃子の羽根や調理後のフライパンの状態などをチェックしてみました。
新旧のパッケージデザインはほぼ同じですが、見分けるポイントは右上のキャッチコピー。「パリッと〜」がリニューアル版の目印です
まずは、「冷凍餃子フライパンチャレンジ」について、簡単に説明しましょう。
こちらは2023年5月、「冷凍餃子がフライパンに張り付いてしまう」という「X」の投稿から始まりました。
そこで、同様の現象が起きたユーザーに原因調査のためフライパンを送ってくださいと呼びかけたところ、計3,520個のフライパンが集結。同年10月からはプロジェクトサイトも立ち上げ、フライパンの分析や「ギョーザ」の改良などが繰り返されていきました。
「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトサイトのトップイメージ(上)と、全国から集まったフライパン(下)
結果としては、フライパンに張り付くメカニズムがひも解かれ、より失敗なく焼くためのヒントを獲得。そこから独自技術で「羽根の素」(後述)を改良し、フライパンからの剥離性を向上させられたのだとか。
プロジェクトサイトのコンテンツ一部。フライパンを1点ごとに3Dモデル化し、スペックや使い込み状況など詳細な情報を、カタログのように表現しています
具体的には、12個入りの「ギョーザ」すべてが張り付いてしまったフライパンでも、改良版で試したところ72%は改善効果が見られたとか。
味の素冷凍食品調べによる、テスト結果の報告
こうして2024年2月に満を持して発売されたのが、最新の「ギョーザ」というわけです。今回のレビューでは、筆者もかなり劣化したフライパンを用意。こちらで新旧の「ギョーザ」を焼いて比較します。
わが家のポンコツフライパン。テフロン加工はかなり衰え、表面には傷も散見されるレベルです
と、その前にチェックしたのが、新旧の「羽根の素」の違い。こちらは水分、油、小麦粉、でんぷんの各配合を変えてバランスを調整したことで、より「羽根の素」が広がりやすくなり、張り付きにくくなったとのこと。
上が新商品で、下が旧商品の裏と表。裏の底面についているのが「羽根の素」ですが、見た目からはその違いはわかりませんでした
ただ、それぞれ「ギョーザ」の中身を取り出して凝視しても、その差はよくわかりませんでした。そこでパッケージ裏面の栄養成分表を見ると、新旧ともに「ギョーザ」1個の重さは23gで同じでしたが、脂質、炭水化物、食塩相当量にごくわずかな違いがありました。
こちらも、上が新商品で下が旧商品のパッケージ裏面
何はともあれ、いよいよここからは、実際に焼いてフライパンへの張り付きをチェック。旧商品から試しました。
20cmと小さめのフライパンなので、今回1度に焼くのは8個
調理方法は、フライパンの上に凍ったままの餃子を並べたら、フタをして底の水気がなくなるまで中火で約5分蒸し焼きに。その後、フタを取って羽根に色が付くまで焼き上げれば完成です。
最近覚えた上手に焼くコツは、ある程度焼けてきた餃子のひだをつかみ、やさしく持ち上げて確認しながら、羽根の縁を少しはがすこと。なお、ヤケドにはご注意を
盛り付けの際は、天地返しの要領でフライパンに皿を押し付けてひっくり返すのも、きれいな羽根付き餃子を焼くコツ。はたして、旧商品ではどうなるのでしょうか。
なんと、旧「ギョーザ」では1個だけ張り付いてしまう結果に
すると、8個焼いたうちの1個だけフライパンに残留。べったり張り付いてはいなかったので、ターナーを使うことで救出できたのですが、それでもおこげのような小さい羽根が残ってしまいました。
そこまで大きくないものの、ガンコなコゲがガッチリと。数年使ったポンコツフライパンなので、仕方ないのかもしれません
では、新タイプではどうなるでしょうか。こちらも同様のやり方と時間で調理していきます。ただ、焼いている間の様子は旧商品と変わりはなく、何がどう違うのかもわかりません。
羽根の色をはじめ、ここまでは旧「ギョーザ」と代り映えしません
しかし、皿を押し付けてひっくり返してみると、何ともスムーズ! 今度はしっかりパカッと、すべての餃子を1度に盛り付けられました。
旧「ギョーザ」では一部がフライパンに張り付いてしまっていましたが、今回はセーフ!
その後のフライパンをじっくりチェックしても、旧商品で張り付いたようなコゲはなく、きれいに焼けたことを確認。これはスゴい!
フライパン表面のコゲ付きはまったくなし。新「ギョーザ」なら、このポンコツでも使い道はあることが判明しました
なお、今回の焼き比べを経て、味の素冷凍食品に2つ質問してみました。
ひとつは、今回の改良は「生姜好きのためのギョーザ」や「黒胡椒にんにく餃子」などは対象に含まれるのかということ。答えは、今回は「ギョーザ」のみとのことでした。ほかのフレーバーは2024年秋以降に順次切り替えを検討しているとのことでした。
左が旧「ギョーザ」、右が新「ギョーザ」。ちなみに、味に関しては変わりなく、安定のおいしさでした
そしてもうひとつは、味の素冷凍食品が掲げる「ギョーザ」の永久改良について。ということは、いつかはフタがなくてもきれいに焼けるようになるのか、ということです。こちらについては、利便性の追求はもちろんであり、フタなしで焼けるようにすることも今後の開発に取り入れていきたいとのことでした。
味の素冷凍食品の資料より。いつか“フタなし調理”が実現する日も来ることでしょう
今回の「ギョーザ」に限らず、「張り付いてしまった」「上手に焼けなかった」という人は多いはず。そして、こうした残念な餃子は味もイマイチになりがちですよね。つまり、餃子の焼き具合のよし悪しは味わいに直結し、ある種今回のリニューアルはおいしく進化したとも言えるでしょう。
きれいな羽根は、見た目のおいしさも左右します。ぜひ本稿を参考に
今まで失敗が多く、焼き餃子の調理が苦手な人でも、この「ギョーザ」なら上手に焼けるはず。ぜひご自宅でも「フライパンチャレンジ」を!