レビュー

“そのまんま味”ってどんな味? 謎の「ハイチュウ」を食のプロがチェック!

コンセプトはかなり攻めている。でも、味の主張は控えめな印象――。

そんな「ハイチュウ」が、2024年3月18日にAmazon限定で発売されました。商品名は「ハイチュウ<そのまんま味>」。「そのまんま味」ってなんだ? というのが第一印象であり、とにかく気になるじゃないですか! ならば食べてみようということで、徹底チェックします。

「ハイチュウ<そのまんま味>」。販路を極力絞ったAmazon限定発売ということは、ある種のチャレンジなのでしょう

「ハイチュウ<そのまんま味>」。販路を極力絞ったAmazon限定発売ということは、ある種のチャレンジなのでしょう

カロリーなどは定番ハイチュウとほぼ同じ

前段として、実は「ハイチュウ<そのまんま味>」のようなコンセプトの商品が、近年増えています。代表例は、ローソンで限定発売された「味のしない?飴」「味のしない?ガム」や、湖池屋の「ポテトの素顔」「湖池屋プライドポテト GOLD STYLE 食塩不使用」など。

「なるほど、その手の類か〜」と思ったのですが、購入した「ハイチュウ<そのまんま味>」をよく見てみると、「味がない」わけではないようでした。というのも、パッケージ裏面の原材料名には「水あめ」や「砂糖」といった表記が。え、甘さがあるの?

1粒19kcalで炭水化物3.8g。後述しますが、通常と変わらないスペックで、しっかり味付けされていることが判明

1粒19kcalで炭水化物3.8g。後述しますが、通常と変わらないスペックで、しっかり味付けされていることが判明

プレスリリースによると、「『ハイチュウ』が昔も今も大切にしている「独自食感」をお楽しみいただきたいという思いから、ハイチュウの特長の一つであるフルーツのジューシーな味わいをあえてなくし、味もできるだけシンプルにして、食感に集中いただける「ハイチュウ<そのまんま味>」の開発に至りました」とのこと。

通常の「ハイチュウ」と比べると、「グレープ」や「マンゴー味」も同じく、1粒19kcalで炭水化物3.8g。「青りんご味」は、1粒20kcalで炭水化物4.2gでした。スペック的にはフルーティーなタイプと変わりません

通常の「ハイチュウ」と比べると、「グレープ」や「マンゴー味」も同じく、1粒19kcalで炭水化物3.8g。「青りんご味」は、1粒20kcalで炭水化物4.2gでした。スペック的にはフルーティーなタイプと変わりません

うーん。「味もできるだけシンプル」とのことですが、抽象的すぎてよくわかりません。でも、食感に集中させたいなら、いっそのこと完全な無味にしたほうがいいのでは? という思いも。もしかすると、商品情報の曖昧さも、購買意欲をかきたてたいという作戦なのかもしれません。ということで、いざ試食!

「水あめ」の味に最も近いかも

パッケージを開けると、中身はオフホワイトな色。真っ白ではなく、少しだけ暖色が足された、クリーム的なカラーです。

「ハイチュウ」でいちばん人気の味という「グレープ」との比較。「グレープ」内部の白と比べると、「そのまんま味」がオフホワイトなのがよくわかります

「ハイチュウ」でいちばん人気の味という「グレープ」との比較。「グレープ」内部の白と比べると、「そのまんま味」がオフホワイトなのがよくわかります

そして香りは、どこかカンロ飴や黒飴を思わせる、ほんのり甘そうなレトロ調のフレーバー。いっぽうの「グレープ」は、こってりジューシーな果実風味がぷんぷんです。

ということで、いよいよ「ハイチュウ<そのまんま味>」の味はどうなのかをチェック。

ん? 甘さは、ぼんやりとしたレベルで主張し、噛むたびにジュワッときます。

表現が難しく、すごく不思議な味。どこか和のニュアンスを感じるのも面白いところ

表現が難しく、すごく不思議な味。どこか和のニュアンスを感じるのも面白いところ

たとえるなら、原材料として使われている、水あめの味が最も近いかもしれません。カンロ飴っぽさに関しては、香りこそあったものの、あそこまで塩味はないので、飴で言うなら黒飴でしょうか。黒飴といえば、黒糖を思わせるコクもあり、麩菓子や昔ながらの牛乳パンのような、焼いた小麦粉生地のニュアンスも見え隠れします。

不二家「ミルキー」をもう少しやわらかくし、甘さとミルク感を下げたら近くなるかも。そんな味にも思えます

不二家「ミルキー」をもう少しやわらかくし、甘さとミルク感を下げたら近くなるかも。そんな味にも思えます

いっぽうで果実味はもちろん、酸味自体がなく、ひたすらまろやか。だからか、すっきりとした後味にならず、どこかもっさり、ぬんまりとした味の印象が続きます。そして、硬さはほかのハイチュウと変わりません。

【まとめ】期待以上のユニークさがあった!

結論として、おいしいとは思えませんでしたが、かといっておいしくないとも言いきれません。ただ、筆者はフルーティーな「ハイチュウ」のほうが好きです。

“かむほど幸せ食感”を楽しめるかどうかは、食べた人次第です!

“かむほど幸せ食感”を楽しめるかどうかは、食べた人次第です!

また、ひとつ気になったのは、メーカー側が抱く“「独自食感」をお楽しみいただきたいという思い”が、そこまで伝わらないのではないかということです。味に強い主張はないものの、意外性があるので、「これは何の味だろ?」という不思議さが気になって食感に集中できないような……。とはいえ、ユニークでありネタとしても十分な話題性がある本商品。試してみてはいかがでしょう。

中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
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しえる(編集部)
Editor
しえる(編集部)
生活雑貨・食品に加え、ウォーターサーバーなど、サービス系商品の記事をメインに担当している2児の母。自称「ポテチマスター」。ポテトチップスを中心に1日3袋のスナック菓子をたいらげるお菓子狂です。
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