年々暑さが厳しくなっていると言われる日本。この酷暑を背景に、画期的なカップ麺がデビューしました。
それは、2024年7月8日に発売された「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」。「日清ラ王」史上初の冷やしラーメンであり、氷を入れて食べることもポイントです。
「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」。希望小売価格は、307円(税込)なり
確かに、これだけ暑いと熱湯を注いで作るカップ麺は避けたくなりがち。今夏はエースコックの「リンガーハットの冷やしちゃんぽん」など、他社からも「冷やし中華系」ではない汁ありの冷やしカップ麺が登場しており、今後夏の定番として広がっていくのかもと予想できます。
ラーメン店における冷やしラーメンは珍しくないですし、「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」の味もある程度は想像できますが、はたして完成度はいかがなものでしょうか。そこで、実際に作って食べるとともに、比較対象として定番「ラ王」の塩味である「日清ラ王 とろまろ塩」を氷で冷やしてみて、食べ比べた感想もレポートします。
左の「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」と、右の「日清ラ王 とろまろ塩」を、同じ調理法で食べ比べます
まずはスペックから比較。「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」は、内容量102g(麺70g)あたり311kcalで、脂質4.8g、炭水化物58.7g。対する「日清ラ王 とろまろ塩」は、内容量112g(麺75g)あたり443kcalで、脂質17.0g、炭水化物60.4g。特に、脂質に大きな差があることがわかります。
「日清ラ王 とろまろ塩」のほうがこってり系で、全体的に量も少し多め。脂質に関しては、「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」の3倍以上!
とはいえ、「日清ラ王 とろまろ塩」は乳化したスープが特徴でもあるので、とろみを出すために脂の量を多くしているはず。それに、動物性の脂は冷えると固まってラードのようになり、食べにくさにもつながります。
そのため、脂の量に関しては「日清ラ王 とろまろ塩」が多いと言うよりは、「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」が少なく設計されていると言えるでしょう。次は中身をチェックしてみました。
左の「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」は「先入れかやく」と「液体スープ」のみ。右の「日清ラ王 とろまろ塩」は、「かやく」「鶏チャーシュー」「粉末スープ」「液体スープ」と充実しています
「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」の肉系具材はほぐされた蒸し鶏で、「先入れかやく」の中にネギとともに入っていました。そして、次は麺をじっくり比べます。
左が「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」、右が「日清ラ王 とろまろ塩」。麺は、色はほぼ一緒ながら、太さがかなり異なります
どちらの麺も、生風食感をうたう「日清ラ王」らしいノンフライ。ちぢれはほぼないストレートで、「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」は細麺、「日清ラ王 とろまろ塩」は中太麺です。
「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」は、熱湯6分という調理時間の長さもポイント。湯切りして冷やし、氷を入れる工程にも興味がわきます
この時点で気になったのは、冷やした脂がどのような影響をおよぼすのかということ。特に「日清ラ王 とろまろ塩」のほうは、しっかり調理できるのか心配な部分もありますが、何はともあれ作ってみることに。
「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」の熱湯6分に対し、「日清ラ王 とろまろ塩」は5分。時間差を考慮しつつ、並行して調理していきます。なお、「日清ラ王 とろまろ塩」のほうは当然ながら湯切り用の穴がないので、ザルを使って仕上げます。
「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」は、カップ焼きそばなどと同じ要領で湯切り
湯切りをしたら、熱が十分下がるまで何度か冷水を入れて水を切って、という所作を繰り返します。そして、しっかり締めたら氷と「液体スープ」を入れ、内側の線まで冷水を入れて混ぜれば完成。氷も必要ですし、これは自宅などの環境が整った場所でないと作るのは難しいかもしれません。
冷水で締めたばかりの状態。ここから氷を投入し、スープを作れば完成です
と、ここで問題となるのが、「日清ラ王 とろまろ塩」の「粉末スープ」をどうするかです。おそらく、冷水にはうまく混ざらないので、少量の熱湯で「粉末スープ」をよく溶かし、そこに「液体スープ」もブレンド。氷8個の目安は約150gとのことで、その分を逆算して冷水を注ぎます。
レシピで推奨されている氷は8個。「日清ラ王 とろまろ塩」のほうも、見た目はなんとかうまくできた予感
ということで、味見開始。「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」のほうは、想像以上にあっさりとした淡麗系。オイリー感はあるものの、温かいカップ麺に比べれば抑え目で、冷たさとも相まってすっきりした口当たりです。ダシ感は、鶏のコクだけでなく魚介の旨味も豊か。そのうえ塩味もしっかりしているので、どこか薄口醤油のスープを思わせるふくよかさを感じます。
淡麗スープは具材の蒸し鶏との親和性が高く、さりげなく香る柚子もナイスな清涼感。爽やかなニュアンスが、すっきりした印象をさらに高めます
麺は冷水で締めたことで、持ち前の細さがいっそうシュッとしたタッチに。加水率も比較的に少なめで、パツッとした食感があっさりした冷たいスープとマッチします。
冷たいので、ズルズルッと前のめりに箸が進むスマートな食べ心地。酷暑にはもってこいです
そして冷たく魔改造した、問題の「日清ラ王 とろまろ塩」。予想どおり、固まった脂が浮いて食べにくいのが難点ですが、この脂さえ避ければそこまで違和感なく味わえそうな気も。
動物系の脂が、冷たくなることでラードのように固まってべっとりと。ところどころに見える粒はゴマです
そんななか、まずはスープから味わってみると、不安をかき消すウマさにびっくり! 乳化されるはずの脂が水分と分離するので、とろみはありませんが、それでもクリーミーなニュアンスはあって、口当たりは良好です。コク深い塩味とニンニクの香りもマッチし、味はさすがの「日清ラ王」クオリティー。
ジャガイモの冷製ポタージュ「ヴィシソワーズ」や、豆乳スープを思わせるようなシルキー感。ニンニクがきいているので上品さはないですが、味としてはハイレベルです
そして、無理やり冷水で締めた麺もいい感じ。平打ち系の中太タイプで、スープに本来のとろみはないものの、十分マッチ。冷水で締めているのでややタイトなタッチですが、噛み応えはもっちりしていてチュルッと味わえます。
ラード調の脂がじゃまなところ以外は、違和感なし。試す価値はあるかもしれません
「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」とはかなり異なるアプローチですが、この味はこれで悪くないはず。かなり手間にはなりますが、スープを別の器で作って脂をしっかり除去すれば、スムーズにおいしく食べられる気がします。
熱湯で戻す時間が長く、お湯を捨てたり冷水で締めたり氷を入れたりという手間があるものの、「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」は暑い日にラーメンを食べたい人にとっての救世主となるでしょう。サラリと冷たいスープや、あっさり爽やかな味は、食欲がわかない日にもおすすめの軽やかさです。
手間がかかるとはいえ、冷やし中華やそうめんなどを自炊するよりは手軽。氷入り冷やしカップ麺の、今後の展開にも注目です
いっぽう、今回は「日清ラ王 とろまろ塩」を強引な冷製レシピで味わいましたが、こちらもアリ。本来はウリであるはずの脂を除去するのは本末転倒ですが、その分ヘルシーになりますし、ストックしているカップ麺を暑い日に楽しみたいときなど、試す価値はあると思いました。「日清氷撃ラ王 柚子鶏塩」の売れ行きによると思いますが、氷入りで楽しむ日清食品の次回作にも期待です。