会社でも自宅でも、なくてはならない印鑑。その起源はとても古く、5000年ほど前のメソポタミア文明時代にさかのぼると言われています。その後、世界各地に広がり、日本には中国を経て伝えられたようです。西暦57年頃に日本に授与されたとされる「漢委奴国王印」(かんのわのなのこくおういん・いわゆる金印)は、日本最古の印鑑として皆さんもよくご存知ですよね。
金印公園(福岡県福岡市)の「漢委奴国王印」石碑。天明4年(1784)、志賀島の農民甚兵衛が、大石の下から「漢委奴國王」金印を発見したと伝えられるが、出土地や発見者について疑義が出されており、金印出土の謎はいまだ解決されていない(出典:http://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/)
しかし現在、諸外国においてはサインが中心。日常的にさまざまな場面で押印を求められるという習慣が残っているのは日本くらいだそうです。ということで、今回の大集合のテーマは、「印鑑」。あって便利、使って便利、さらにはさりげなく自慢できそうな、素敵な商品をご紹介しますよ♪
日本では、さまざまな種類の印鑑が用途に応じて使い分けられています。主なものには、役所に印鑑登録をした「実印」、銀行口座を開設する時に届け出た「銀行印」、受け取りや申し込みなど多くの場面で使われる「認印」があります。
家庭用では、実印・銀行印・認印の3種類の印鑑を用意するのが一般的
また、ビジネス現場では、書類などの訂正箇所で使う「訂正印」や、会社の請求書や領収書などで使うことが多い「角印(会社印や社判とも)」などがあり、さらに書画に押される「落款(らっかん)」や、印自体の作成や鑑賞を楽しむ「篆刻(てんこく)」なんてものもあります。
今回は、主に認印として使えそうなものを中心にご紹介していきましょう。
注:印鑑の“鑑”には、見分けるや見定めるという意味があり(鑑定という言葉でもよく使いますよね)、もともと印鑑とは印そのものの所有者を特定したり、真偽を確認したりするため、その印影を登録したものを呼ぶ言葉でした。本来、印そのものは印章やハンコなどと呼ぶのが正しいのですが、今では印鑑という言葉が、印そのものやハンコ、印影を表す言葉として使われています。そのため、この記事でもあえて印やハンコ、印章という言葉を使わず、印鑑という表現を採用しております。
筆者が購入したのは直径12mm、長さ60mmのもの
印鑑素材としてよく見かけるのは、木材や角、象牙、合成樹脂、金属など。当然と言えば当然ですが、持ったときの感触や重さなど、素材によって変わります。
筆者が以前から気になっていたのは金属製の印鑑で、なかでも素材にチタンを使ったもの。ゴルフ好きの筆者には、チタンは高級金属というイメージがあったので、これまで、あまりチェックすらしておりませんでしたが、今回改めてネット検索すると、なんと数千円で購入できるではありませんか! ということで、即座に申し込んでみました。
ずっしりとして重厚感を感じます
印名は中島(以下同)、書体は篆書体(てんしょたい)で作ってもらいました
朱肉の付きがよく、印影もきれいです
水洗いして、汚れが落とせるのもいいですね
力を入れても割れたり欠けたりする心配は全くありませんし、火災による焼失や水害による腐食などの心配も少なく、末永く使えそうです。高級感もあり印影もきれいですし、水洗いもできるので、チタンはとても魅力的な印鑑素材ですね。
チタン製の印鑑は、筆者が購入した1000円台のものから1万円近いものまで、価格が大きく異なります。使用しているチタン素材の違いによるものか、文字の彫り方が違うのかなど、理由はよくわかりませんが、個人的には今回購入した商品でも満足度は高いです。ネットでの購入ですが、書体や名前は自由に選べるので(筆者が選んだサイトでは、文字数は3文字まででした)、贈り物としてもよさそうです。
ひとつのシートに12の印影
印鑑自体はそれほど大きくありませんし、専用ケースもあるので、持ち運びはそれほど難儀ではありません。しかし、大事な印鑑を常に持ち歩くというのも心配です。そこで、財布や手帳、名刺入れなどに入れたままで持ち運べる便利な印鑑をご紹介いたしましょう。
まずは、世界最薄、わずか0.34mm厚の「スマート印鑑」。シートタイプの印鑑で、押印したい部分に印影を合わせて、指先で3〜5秒強く押すだけ。印影と紙面が密着し一体化するので、シールのようにこすってもはがれませんし、触っても段差や引っかかりは全く感じません。
白い裏紙とともにミシン目で切り離します
裏紙を外して、押印したい部分に半透明シートの印影を合わせます
半透明シートの上から3〜5秒ほどぐりぐりと強めに押して、シートをゆっくりはがします
印影の直径は9.5mmで、とてもきれいに押印されています
ゴルフボール(注:たこやきではありません♪)のような凸凹面でも使えました
メーカーの調査によれば、押印としての受理率は97.4%とのこと。朱肉式印鑑でないとダメという場合もあるので、認印としてはほぼ使えると考えて差し支えないレベルだと思います。印影もきれいですし、にじみもなく、使い勝手は悪くありません。何より薄いシートなので、財布や手帳などと一緒に持ち歩いても全く邪魔にならないのが良いですね。
また、紙だけでなくガラスや石、プラスチック、金属などの素材にも使えます。ただし、現在用意されているのは266名字(人口カバー率50%)で、オリジナル対応はしていないとのこと。国内の約半分の方が使えないのが残念です……。
クレジットカードよりも少し小さいサイズです
続いてご紹介するのは「カード式印鑑 インカード」。文字通りカード型の印鑑で、大きさは50×80mmとクレジットカードをやや小さくした大きさ。厚みは1.7mm(印面部の最大厚みは4.5mm)で、見た感じではほぼカード2枚ちょっとの厚みです。
ちなみに、国際規格で決められたクレジットカードの大きさは、53.98×85.60mm、厚みは0.76mmとなっております。また、「インカード」の印面にはすでに特殊インクが染みこんでおり、すぐに押印することができるのもポイントですよ。
カラーリングはブラックのみ
印面の部分は少し厚みがあります
押印するときは、このスライドカバーを動かして印面を露出
印面を下にしてこの部分を押します
印影の大きさは約10mm。書体は古印体です
印面部には少し厚みがありますが、財布や名刺入れ、手帳などに入れての持ち歩きには特段の問題はありませんでした。朱肉の必要もなく、すぐに使えるのも高評価です。
また、既製品でも5000種類もの氏名が取り揃えられており、ない場合も特注品として対応してくれます。特注品は、既製品よりも価格がアップしますが、姓名両方やキャラクター、書体などの指定も可能なので、オリジナリティを重視する方は、最初から特注品を選ぶのもありですよ。なお、補充用インクもちゃんと用意されているのでご安心ください。
このおしゃれな印影デザイン、いかがですか
印鑑で使われる書体にはさまざまなものがありますが、認印でよく使われるのは、文字がはっきりと認識できて読みやすい楷書体や、やさしい見た目が印象的な行書体があります。ほかには、法人印でよく見かける隷書体(れいしょたい)、古代中国の時代から使われている篆書体(てんしょたい)、文字としてはほとんど認識できませんが、実印や銀行印として使われることが多い印相体などがあります。
そんな中、ご紹介するのは、近年人気が高まっている、幾何学模様の書体。今回は、オリジナル印章デザインの制作・販売を行っているオンラインストア「OOiNN(オーイン)」で購入してみました。なお、「OOiNN」は印影のデザインを行い、ボディや印の制作は、印鑑で有名なシャチハタやタニエバー(谷川商事)の専門工場で行われています。
今回はオリジナルサイトから購入。文字自体をリデザイン(レタリング)したタイポグラフィ・ハンコ「GRAPH」シリーズから選択。なんの名字がデザインされたものかわかりますか? (左上から時計回りに、桑田、米谷、山田、井上、岡田、竹内、市川、森)
ボディは、タニエバーブランドのSLAT G-NAME(スラットGネーム)。ボディカラーは、シルバー、ブルー、ピンクから選べます。印面は9mmで長さは60mm。同じメーカーのほかのボディやシャチハタのボディも選べます。
キャップを外すと印面が現れます。いわゆる浸透ネーム印なので、朱肉は必要ありません
商品自体は、シャチハタやタニエバーの印鑑なので、使い勝手のよさはもちろん補充インクなどの不安もなく、安心して使えます。気になる印面はさすが人気の幾何学模様、中島の文字ですが、デザイン性が高く非常にすばらしいものです(漢字はちょっと認識しにくいですが……)。人気のせいもあってか、筆者の場合は納品まで約2週間かかりましたが、社内では、かっこいい印鑑の持ち主として注目の的ですよ♪
上品なカジュアルカラーが特徴の「ネームペンプリモ」シリーズ
印鑑だけでなく別のものとしても使える商品としては、やはり「シャチハタ ネームペン」が最初に思い浮かびました。使用頻度が高い、ペンとネーム印が一体化することで利便性が向上。会社でも自宅でも日常的に使える人気便利商品として定着。ボールペンだけでなく、万年筆やシャープペンなどもラインアップに加わっています。
現在「ネームペン」は、印面の内容があらかじめ用意された既製品、既製品よりも自由度が高い別注品、商品購入後に印面部分を別途申し込むメールオーダーといった区分があり、それぞれに特徴的な商品がラインアップされています。今回は、メールオーダーの中から「ネームペンプリモ」をチョイスしてみました。ちなみにボールペンの芯は、ボール径0.7mmのブラックです。
印面は本体と一緒に送られてくるハガキやインターネット経由でオーダーします。5種類のレイアウト、8種類の書体、6種類のインク色から選べます
印鑑部分は、後日郵便で届きました
印鑑を先に届いたペンに装着すればOK
印面は9mm、今回選択したのは楷書体の明瞭な印影です
以前使っていたのは別のタイプですが、今回購入した商品も何ら問題や不満もなく使うことができました。既製品の場合、一般的な名字2064氏名が用意されていますが(一部1402氏名の商品もあります)、メールオーダーの場合は、どんな氏名でも作成可能。パーカーとコラボした万年筆のネームペンや、印面サイズが6mmの訂正印として使える商品もあり、用意されている豊富なバリエーションに感嘆いたしました。
何がゴルフ好きにおすすめかと言うと……?
最後にご紹介するのは、「マイボールスタンプ」。通常の印鑑とはちょっと趣が変わりますが、筆者のお気に入り商品なのでご紹介いたしましょう。実はこちらはゴルフボールに押すために開発された印鑑。ゴルフでは、たまたま同じメーカーのボールを使っていて、同じようなところに飛んだため間違えて打っちゃった……なんてことが時々(プロでも!)あります。
そこで役立つのが「マイボールスタンプ」。ボールに名前やキャラクター、アイコンなどをスタンプしておけば、自分のボールであることは一目瞭然。また、データを用意できれば、自分だけのオリジナルスタンプも作れますよ。
こちらが「マイボールスタンプ」。本体に補充インクと溶剤がセット
ボールの部分がキャップになっています
今回は枠なしのひらがなで作成。紙に押しても非常にきれいな印影です
ボールとスタンプが垂直になるようにして……
グイっと押しこんで、真っすぐ離せば完成
ちょっと力を入れすぎたのでにじんでしまいましたが、乾いた印影はゴシゴシこすっても全くにじみません。もちろん水にぬれても問題なし
ゴルフショップではボールに自分の名前をプリントしてくれるオウンネームサービスを行っているところもありますが、それは多くの場合ボールをまとめ買いした際のサービスです。いろんな銘柄のボールを使っているような人にとって、このマイボールスタンプは大変有用ではないでしょうか。
ゴルフボール用として開発されていますが、ちゃんとした(?)印影で作れば認印としても使えそうですよ。筆者はスタンプを押したボールを実際のゴルフで使っておりますが、数ラウンド回っても、スタンプが消えたりすることは全くありませんでした。自分用としてはもちろん、ゴルフ好きの方へのプレゼントとしても喜ばれますよ。
なお、今回は、文字の見え具合が確認しやすいだろうと思って、ひらがな文字で作ったため、ちょっと地味な印影になってしまいました。皆さんが発注する時は、アイコンを使ったり、オリジナルデザインに挑戦したりと、いろいろと工夫してみてください。
それぞれ、コンセプトが違うのでいつもお気に入りを選ぶのが難しいのですが、今回はチタン製印鑑としました。1万円以上はするだろうと思い込んでいたこともありますが、想像以上にお安く購入できたこと、金属製ならではのずっしりとした重さと信頼感は、やはりこれまで使っていた印鑑とは印象が異なりました。末永いお付き合いになりそうです。
続いては、幾何学模様の印影が特徴の印鑑。このデザインは好き嫌いが分かれると思いますが、個人的には非常にかっこ良い印影だと思います。本体は既存の有名製品を使っているところも安心感があっていいですね。
持ち運びしやすい2種類の印鑑も悪くありませんし、ゴルフボール用のスタンプも実用性が高く、筆者のお気に入りです。まあ、全部良かったということで♪
主に東京の湾岸エリアに生息しているが、中国、タイ、インドネシアなどでの発見情報もあり、その実態は定かではない。仲間うちでは「おっちゃん」と呼ばれることも。