今年は例年より遅い梅雨入りとなったが、本格的な夏の到来が待ち遠しいところ。レジャーやスポーツにと、この夏のイベントを楽しみにしている人も多いことだろう。ところで、夏と言えば汗や臭い、汚れが気になる季節。ぜひ清潔さをキープして爽やかな毎日を送りたいものだ。そこで提案したいのが、ここ数年ですっかりヒット商品となった高級シャワーヘッド。女性を中心に人気を集めているが、今回はMTGの最新モデル「ReFa FINE BUBBLE U(リファファインバブル ユー) 」に注目し、男性目線からその魅力を探っていこう。
昨今の高級シャワーヘッドブームに火を付ける原動力となった、「ファインバブル」とはそもそも何なのか? 「ファインバブル」は国際標準化機構(ISO)で定義される固有名詞で、1μm〜100μmのマイクロサイズの気泡「マイクロバブル」と、1μm未満のナノサイズの気泡「ウルトラファインバブル」を含む総称となる。元々部品や装置の洗浄など産業用途を中心に活用されてきた先進の技術で、ここ数年でシャワーヘッドにも普及が進んだ。
ナノサイズのバブルとマイクロサイズのバブルを含む「ファインバブル」は、人間の毛穴や毛髪よりも小さい
ファインバブルには特殊な効果が認められており、その効果は、マイクロバブルとウルトラファインバブルによって異なる。2つの気泡はいずれも人間の毛穴や毛髪より小さいため、毛穴の奥に入り込むのは同様。ところがその後、マイクロバブルは汚れに吸着して水中を浮上し、ウルトラファインバブルは、汚れに付着して剥がしたまま水中に停滞する。この2つの効果を持つ気泡をシャワー水流に含むことで、毛穴の奥の汚れまでしっかりと取り除くことができるというのだ。
毛穴の奥の汚れを洗浄するほかにも、ファインバブルには肌の表面を保湿・保温する効果があるという。これらの効果に関して一般の消費者が確認するのは難しいが、ファインバブルの普及を推進するファインバブル産業会が、公的機関の調査データなどを用いて実証している。
また、シャワーヘッドでファインバブルを発生させる方法はメーカーによってさまざま。MTGの「ファインバブルシリーズ」では、「ダブルキャビテーション」という方法を用いている。これは水道水がシャワーヘッド本体に搭載されたファインバブル発生器を通ると、水道水が一瞬で減圧されて空気が析出し、ファインバブルとなって取り出される仕組みだ。
MTGでは、ファインバブルを発生するシャワーヘッドの第1号として、2020年8月に「ReFa FINE BUBBLE S(リファファインバブル エス)」を発売。コロナ渦で在宅時間が長くなったことや、清潔志向の高まりも背景に一躍ヒット商品となり、現在も安定した人気を集めている。
今回は、「ReFa FINE BUBBLE S」の登場から3年半以上を経て2024年3月に発売されたシリーズ最新作「ReFa FINE BUBBLE U」に注目。最新作としてすぐれた性能を備えているのはもちろんだが、カラーバリエーションに精悍な印象のブラックが追加されたのにも注目だ。もちろん、売れ筋のホワイトや定番のシルバーもラインアップされている。
今回は新色のブラックモデルを試した。本体正面にはピアノブラック調の塗装が、背面にはマット塗装が施されており、高級感を醸し出している。箱から出して手に取った瞬間、思わず「おぉ、カッコいい」と唸ってしまった。まさしく「大人の男のアイテム」という印象だ。カラーリングが変わるだけでこれだけ高い質感が出せるのも、元々のデザインがすぐれているからだろう。
「ReFa FINE BUBBLE U」の本体正面にはピアノブラック調の塗装が施されており、高級感を漂わせている
背面には、貝殻をモチーフにしたかのようなラインが入っており、デザイン性とグリップ力を向上させている
また、塗装に艶があるため、一見すると本体にメタル素材を用いているかにも思われたが、実際には硬質なプラスチックを用いており、本体重量が約300gと軽量なのもポイント。しかも、マットな塗装が施された背面には縦方向にラインが入っており、グリップ力が高く、取り回しもしやすい。
「ReFa FINE BUBBLE U」では、ファインバブルを含んだ4つの水流モードが楽しめる。水流モードの切り替えは、「ミスト」「ピュアストレート」「ストレート」「ポイントジェット」の4段階で、レバー操作によって切り替えが可能。それぞれの水流の広がり方や水圧が異なっており、シャワーの水流を当てる体の部位や洗い方に合わせて、好みのモードを使い分けられる。
水流モードの切り替えは、吐水口周囲のレバーを回して行う。各モードは、時計回りに「MIST」(ミスト)、「PURE STRAIGHT」(ピュアストレート)、「STRAIGHT」(ストレート)、「POINT JET」(ポイントジェット)となる
細かい粒子のような水流。ボリューム感のあるミストが、顔などの刺激に敏感な体の部位もふんわりとやさしく洗い上げる。まさに霧に包まれているような感覚で、まずミストを全身に浴びてから、ほかのモードで部分的に洗い流していくとよいだろう。また、肌当たりがやさしいので、洗顔時にはこのモードの出番が多くなる。
吐水板の外側に配置された10個の穴からミストを発生。最もファインバブルが多いモードとなる
高密度で勢いのある水流。滑らかな肌当たりで、ゆったり浴びるのにもしっかりと洗い流すのにも向いている。全身にくまなく水流を当てると、しっとりと水分を浸透させることができる。
ほかのモードで使う穴よりも小さい0.3mm径の210個の穴から水流を発生。水流に勢いがありながらも、滑らかな肌当たりとなっている
ピュアストレートよりも広範囲に当たる水流。体全体を一気に洗い流すのに便利だ。ちなみに、あらかじめ湯を張った浴槽にシャワーヘッド本体を入れてストレート水流でなじませると、シルキーバスを素早く作ることができる。
水圧を高めるために均一な大きさに設計された吐水穴から、広範囲に水流が発生する。体を一気に洗い流すときに便利だ
最も水圧が高い水流。狙った個所へポイント放射する。ヘッドスパのような爽快感があり、頭皮の皮脂汚れを流すのに最適だ。美容室のシャワーと似たような浴び心地で、頭皮に当てると気持ちがいい。
吐水板上部のライン上に密集した穴から水流を発生。水圧が強いので、首や肩に当てても気持ちがいい
ポイントジェットは水圧が高いので、風呂掃除でも重宝しそうだ
さて、検証に移ろう。まずは汚れ落ちから。思い切って油性マジックペンで腕に「価格」と書き、ウルトラファインバブルを最も多く含むミストモードの水流を1分ほど文字に当ててみた。さすがに水流だけで文字は落ちなかったが、軽くこすると、「価格」の文字の輪郭がぼやけていき、ぼろぼろと落ちていった。これなら、頭皮の皮脂汚れなどもしっかりと落とせそうだ。
油性マジックで文字を書いた腕に、ミストモードで水流を当ててみた。さすがに水流だけで油性マジックの文字を落とすことはできなかった
1分ほどミストモードの水流を当てた後、油性マジックで書いた文字を軽くこすってみた。すると、文字がにじみ、ほぼ消えてしまった。これは驚きだ
続いては保温・保湿効果だ。メーカーによれば、ファインバブルを含んだシャワーの水流を浴びるだけで、毛穴に入り込んだファインバブルが血行を促進し、保湿効果も得られるとのことだが、さらにここでは、ファインバブルを豊富に含むシルキーバスにも浸かって調べてみた。
シルキーバスは、お湯を張った浴槽にシャワーヘッドを入れ、数分間、ミストモードやストレートモードで浴槽内に水流をなじませて作る。なお、浴槽の湯が白濁したり、しなかったりすることがあるが、メーカーによると、いずれの場合もファインバブルの効果は変わらないという。
シルキーバスは、あらかじめ浴槽に湯を張っておき、頭や体を洗っているときなどに、浴槽にシャワーヘッドを入れて準備しておくとよいだろう
シルキーバスの湯に触れてまず感じたことは、手触りが通常の水道水の湯より滑らかなこと。浴槽に10分ほど浸かってから上がると、シャワーヘッドのミストモードで水流を浴びたときと同じように、体がぽかぽかとして、体の表面が膜に覆われているような感覚があった。
シルキーバスに入浴したのは午後4時頃だったが、就寝時刻の深夜0時頃も潤いが続いており、心地よく寝床につけた。確かに通常の温水を張った浴槽に浸かるのと比べると、保温・保湿効果が高そうだ。
元々女性を中心に話題を集めた高級シャワーヘッドだが、今回は40代男性の価格.comスタッフが使用し、男性目線から製品の特徴を確かめた。まず、すべての水流のモードで言えることとして、ファインバブルの水流は、女性や男性を問わず、肌当たりがやさしくて気持ちがいい。
ミストは気泡に包まれる感覚が非日常的で、シャワーを浴びた後は体の表面が膜に包まれているようで、ぽかぽかとして潤いもあった。ポイントジェットの水流に至っては、美容室でシャンプーされているのと同じような爽快さがあり、それでいてシャワーが当たるときの痛みもなかった。
さらに、驚いたのはシャワータイムの後だ。中年になると髪の毛が細くなり、髪の根元が寝やすくなるものだが、頭髪をドライヤーで乾かすと、いつもより髪の根元の立ち上がりがよかった。これは、髪や頭皮の汚れがいつもよりよく落ちたためだろう。汗や加齢臭などの臭い対策にも効果がありそうだ。
また、今回検証した「ReFa FINE BUBBLE U」は、通常のシャワーヘッドから変えると、節水効果も期待できる。シャワータイムが楽しみになり、さらに節水も図れるとなれば、高い満足感が得られそうだ。決して安い買い物ではないが、高級シャワーヘッドが気になっていた人は、汗や皮脂汚れが気になるこの夏に、購入を検討してみてはいかがだろうか。