防災にも役立つアウトドア用品

避難所の睡眠環境を劇的に変える「マット&寝具」の選び方

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

災害が起きたとき、身の安全を確保した後に直面するのが、普段とは大きく異なる過酷な生活環境です。
中でも、普段と異なる環境下で十分な睡眠をとることができるかは、十分な水や食料を確保できるかと同じくらい重要な問題です。
避難所となる施設では、場所により床の硬さや底冷え、周囲の明るさや足音が睡眠の大きな妨げになります。命をつなぐためには、非常時の「眠る環境」をどう整えるかが極めて重要になります。

まず、避難所に用意されている寝具は、必ずしも十分な数が確保されている場合ばかりではないでしょう。また、あったとしても毛布やアルミシートなど「急場をしのぐ」ことが主目的とならざるを得ないことを考えれば、可能であれば、寝具は自前で持ち込んだほうがより安全です。

とはいえ、「防災用に高価な専用寝具を完璧に揃えなければ」と身構える必要はありません。重要なポイントはたったひとつ、「床に敷くもの(マット)」と「身体を包むもの(寝袋などの寝具)」を分けて考え、備えることです。

今回も、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏の解説動画をもとに、厳しい環境でも確実に睡眠の質を向上できるアイテム選びを、できるだけ日常生活にも取り入れられることを前提に考えてみることにしましょう。

監修者 高荷智也(たかにともや)氏

合同会社ソナエルワークス 代表社員

備え・防災アドバイザー

「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災」のポイントを分かりやすく解説する防災専門家。大地震・水害・噴火・感染症などの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで幅広く解説をする。

講演、執筆、防災グッズ開発などの実績も多く、防災YouTuber、Voicyパーソナリティとしても活動する。著書に「今日から始める家庭の防災計画」「防災リュックはじめてBOOK」他多数。1982年、静岡県生まれ。

YouTube(そなえるTV)https://youtube.com/@sonaerutv
Voicy(そなえるらじお)https://voicy.jp/channel/1387

「寝袋があればOK」の罠。マットと寝具は役割が違う

防災用の睡眠グッズを準備する際、最も見落としやすいのが「寝具の下」の対策です。 寝袋は身体を包み込んで体温を保つためのものですが、固くて冷たい床に寝袋ひとつで寝転がると、冬などは寒さと痛みで全く眠れない事態に陥ります。
「マットと寝袋は、それぞれ役割が違うもの」として考えることが大切です。

・マットの主な役割:身体と床の間にクッションと断熱層をつくること(床からの冷えや硬さを防ぐ)
・寝袋・毛布などの主な役割:身体の周囲を覆って暖かさを保つこと(身体から逃げる熱を周囲にとどめる)

この二つのどちらもが眠りには重要で、どちらか一方だけを充実させるより、簡単なものでも両方を用意したほうが、睡眠の質の向上につながります。

高荷さんコメント
高荷さんコメント

「例えばよく避難所となる学校の体育館の床は、皆さんが想像している以上に硬くて、冬場は氷のように冷たくなります。高価な寝袋を一つ買うくらいなら、安い寝袋と安いマットをセットで買った方が何倍も快適に眠れます。特に夏場はマットだけでもあれば眠ることができるようになります。避難所には寝る場所はあっても、寝る道具はないものと考えたほうがよい。寝袋などの寝具は最低限必要ですが、できれば『マット』は別に用意してください」

防災用マットの選び方:安くてもいい、用意すべきマット5 タイプ

では、どのようなマットを選べばよいのでしょうか。防災用としては、主に以下の 5 タイプが主流です。予算や収納スペースに合わせて選びましょう。

1. 銀マット・発泡ポリエチレンマット(予算:数百円〜)

ホームセンターで手に入る最も手軽なマット。クッション性は低いですが、安価で床からの冷気を遮断する効果は絶大です。まずは家族全員分、安く揃えたい場合におすすめです。

2.エアーマット(予算:1,000円〜)

空気を入れて膨らませるタイプのエアーマット、安い・省スペース・高断熱とコスパに優れ、防災備蓄用でも多く使われます。エアーアマットの性能は「厚み」で決まるため、分厚いタイプを選ぶと快適に使えます。難点は下にとがったものがあった場合などにパンクしやすいことです。

3. 折りたたみ式 EVA フォームマット(予算:2,000 円〜)

アウトドアで定番の、アコーディオンのようにパタパタと広げるタイプのマット。空気を入れる手間がなく、パンクの心配もありません。サッと広げてすぐに横になれるため、防災用として非常に優秀です。ただ、エアーマットなどに比べるとかさばるので、収納等に考慮する必要があります。

4. インフレーターマット(予算:3,000 円〜)

バルブを開け空気を入れることで、ウレタンフォームと空気の層で体を支えるマット。クッション性が高く、自動で空気が入るため設営が楽で、物によっては自宅のベッドに近い寝心地を得られます。普段から車中泊やキャンプをする方におすすめです。

5.キャンプ用コット、サマーベッド(予算5,000円〜)

フレームがしっかりした簡易ベッドです。寝心地はよい反面、持ち運びはやや不便でかさばる点、下に空間があるために、そのままでは意外と寒い点がネックです。上にマットを敷くことで断熱性が高まり、より快適に使うことができます。



マットの種類 価格帯目安 特徴 メリット デメリット
銀マット・発泡ポリエチレンマット 数百円〜 体温や地面からの熱・冷気を反射するアルミ蒸着フィルムを樹脂発泡体に貼り付けたマットレス 安価・床からの冷気遮断効果はある クッション性が低い
エアーマット 1,000円〜 ナイロンやポリエステル、PVC(塩化ビニール)などでできた空気を入れて膨らませるベッド 安価・省スペース・高断熱 パンクの恐れあり
折りたたみ式 EVA フォームマット 2,000円〜 EVAフォーム(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂発泡体)でできた断熱性とクッション性に優れた折りたたみ式のマット 空気を入れる手間がない 収納時にかさばる
インフレーターマット 3,000円〜 バルブを開くだけで自動的に空気が入り、内部のウレタンフォームと空気のクッションで寝心地を確保 自動で膨らむ手軽さ・寝心地に優れる・高い断熱性 収納時かさばる・パンクのリスク・やや高価格
コットベッド 5,000円〜 脚付きの折りたたみ式簡易ベッド 地面の影響を受けにくい・底つき感がない かさばり重い・冬場は下を冷気を通り抜け寒い・高価格


高荷さんコメント
高荷さんコメント

「防災リュックへ入れて避難所へ持ち込むなら、軽量&快適に使えるエアーマットがオススメです。ただし穴が開くと空気漏れで使えなくなるため、補修用のテープ類を一緒に準備してください。車中泊などで使う場合は、車内の段差を解消しやすいインフレーターマットがオススメです。なおヨガマットなどがある場合は、これもマットの代替になります。」

寝具の選び方とフェーズフリー

マットを用意したら、次は掛け布団となる寝具です。普段からキャンプなどをされる方、車中泊で全国を旅される方ならば、きっと寝袋などの寝具は用意されていることでしょう。それをそのまま使えばいいことになります。

しかし、そうでない方は、「防災用に寝袋を買っても、押し入れの奥で邪魔になるだけでは?」と悩む方も多いはずです。そこで昨今注目されているのが、「フェーズフリー(日常時と非常時の垣根をなくす)」という考え方を取り入れたアイテムです。

最近では、寝具の世界でもいろいろなメーカーが、「日常生活でも使える」防災用品としての製品を開発・販売しています。

この考え方で作られた商品の代表例が、監修の高荷氏も開発にかかわった「SONAENO(ソナエノ)クッション型多機能寝袋」シリーズです。

「いつもの便利と、もしもの備えを。」をコンセプトに開発されたこの商品は、普段は 45cm 角のクッション形状に折りたためるのが最大の特徴。リビングのソファや車のシートの「クッションとして」日常使いすることができます。

高荷さんコメント
高荷さんコメント

「防災グッズの最大の弱点は『いざという時、どこにしまったか思い出せない。あるいは押し入れの奥にあって持ち出せない』ことです。普段はリビングにクッションとして転がしておき、避難する時にそのままサッと抱えて持ち出せる。これならば、安心ですし、何事もなければクッションとして役目を終えることもできます。」

SONAENOはもちろん普通にアウトドアの寝袋などの用途にも使えますが、防災を主体として企画されている分、大型フードでプライバシー確保、貴重品ポケット付き、丸洗い OKなど実際の避難所での使用を想定した様々な機能が備わっています。

SONAENOのクッション型寝袋

SONAENOのクッション型寝袋

さらに別のモデルでは、「クッション型着られる寝袋」として進化を遂げており、コートやポンチョのように「着たまま歩き回る」ことが可能。また、広げれば大きなパーソナルスペースになるため、着替えや授乳時の目隠しとしても機能します。

まとめ:日常の延長線上に防災にも役立つ寝具を

いざという時のためだけに特別なものを買い、押し入れに詰め込む時代は変わりつつあります。安価なマットを日々のストレッチ用やピクニック用として活用し、クッションとして多機能寝袋をソファに置いておく。「日常の延長線上」に防災グッズを配置することで、収納スペースの無駄を省きながら、災害発生時に最も素早く確実な睡眠環境を確保することができます。この機会にまずはご自宅にあるもののなかで、非常時に寝具や敷物として使えるものがあるか確認し、足りない要素を平時にも非常時にも使えるアイテムなどで補ってみることを検討してみてはいかがでしょう。

高荷さんコメント
高荷さんコメント

「『完璧な防災セット』を一気に作る必要はありません。電源、明かり、ラジオなどの必要最低限の非常用品を準備したら、つぎは床に敷くマットと、身体を包む寝具を一人分ずつ用意しましょう。そこから必要に応じて充実させていけばよいのです」

参照動画

避難所へ寝る環境を持参!進化した「クッション型着られる寝袋」詳細レビュー[そなえるTV・高荷智也]
避難所に欲しい「防災寝袋」平時から使える多機能寝袋レビュー|防災を学ぶ[そなえるTV・高荷智也]
避難所用マット(前編)保温力比較実験|防災を学ぶ[そなえるTV・高荷智也]
簡易マット7種比較レビュー!防災用からキャンプ用まで|防災を学ぶ[そなえるTV・高荷智也]
7種同時にマットの展開・収納競争、一番早いのは?|防災を学ぶ[そなえるTV・高荷智也]

価格.comマガジン編集部
Writer
価格.comマガジン編集部
パソコン・家電からカップ麺に至るまで、何でも自分で試してみないと気が済まないオタク(こだわり)集団。常にユーザー目線で製品を厳しくチェックします!
記事一覧へ
木島俊哉(編集部)
Editor
木島俊哉(編集部)
金融、自動車、アウトドア、防災等を担当。「常在有事」をモットーに防災とアウトドアの境界を睨む。乗り物好き。道具好き。モノ好き。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×